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山下晃和の「“キャンプ”ツーリングの達人」<10>ギアとバッグの組み合わせで仕上げるキャンプツーリングスタイル

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 これまでキャンプに必要なギアについて書いてきましたが、今回はそれらをまとめた総合的な荷物の積載についてお話しようと思います。これまでも何度か書いてきたように、テント、マット、スリーピングバッグはここ数年で格段に軽量・コンパクトになりました。さらにそれらの入れ物となるバッグ類の選択と積載方法によって、さらに軽量化を一工夫できるようになります。おさらいも含めて、夏のキャンプツーリングにおける積載荷物をイメージしてみましょう。

ギアとバッグの組み合わせで、より軽量コンパクトに! Photo: Akikazu YAMASHITA

バイクパッキングのための軽量化

 バイクパッキングはMTBなどのトレイルとキャンピングの追求をルーツとするスタイルで、バイクに直付けする大型のサドルバッグを使用します。現在、このスタイルはもちろんMTB以外のツーリングでも可能で、サイドバッグを使うスタイルと比べても軽量化できます。荷物を1つのバッグに収めなくてはならないため積載容量が少し小さくなりますが、衣類やかさばるギアを減らすことで対処できます。

MTBに大型のサドルバッグを装着するバイクパッキングスタイル Photo: Akikazu YAMASHITA

 長さのあるテントのポールや丸めて収納するマットレス、短くならない焚き火台などを積載する場合は、フレームやボトルケージにマウントさせたり、フロントバッグに入れたりするのも手です。ただしバイクパッキング用のフロントバッグはMTBのフラットバーハンドルのためのもので、ドロップハンドルでは装着できないケースもあるので要注意。フロントバッグを選ぶ際は横幅のサイズをチェックしておきましょう。
 
スリーピングバッグはこれから本格的な夏を迎えるので、冬用しか持っていないのであれば、夏用も買い足しましょう。以前紹介しましたが、軽量化を目的とした場合は化繊よりも羽毛タイプの方がおすすめです。マットレスも、折りたたみ・丸めるタイプよりはインフレータブル(膨らませるタイプ)のマットレスの方が軽量ですし、コンパクトにもなります。

 衣類のオススメはウール素材です。サイクルジャージは自転車で漕ぐ時には良いのですが、どちらかというと速乾性を重視した化繊素材がほとんど。化繊は臭いが残りますし、体温をクールダウンさせるので、夜など気温が下がった場合上着が必要になります。その結果、ジャージ自体の重量は軽くても余計に数枚の衣類が必要になります。

一着あれば安心のメリノウールは軽量化には欠かせません Photo: Akikazu YAMASHITA

 その点、ウールは抗菌防臭性能があり、体温も調整しやすく汗冷えもしにくいため、一夜過ごすのも一着で済みます。また、焚き火をした場合、火の粉が飛んできたらサイクルジャージはあっという間に穴だらけになってしまいますが、コットンやウールなどの天然繊維はそれらに強いというのも特長です。ウールの中でも「メリノウール」という素材は少し高級品ではありますが、肌触りもよく、スリーピングバッグとの相性も抜群です。

 また、足元は僕の経験上「フラットペダル+トレイルランニングシューズ」という組み合わせが一番軽量になるという結論に至っています。トレイルランニングシューズは文字通り、トレイルを走るために作られているのでシューズの中でも超軽量ですし、中には「GORETEX」(ゴアテックス)、「eVent」(イーベント)、「POLARTEC」(ポーラテック)といった素材メーカーの新しい防水透湿素材を使っているアイテムもあるので、比較的雨に強いものもあります(さすがに大雨の時は上から入ってきますが)。

防水透湿素材を使っていたり、雨にも強さを発揮するトレイルシューズ Photo: Akikazu YAMASHITA
MTB用のフラットペダル Photo: Akikazu YAMASHITA

 またアウトソールがトレイル仕様になっているため、トレイルでのグリップ力も高いのです。それにMTBなどで使うピン付きのフラットペダルを使うと、ペダルの食いつき方が良くなります。「どうしてもビンディングシューズは譲れない」という場合は、キャンプで履く用のサンダルを用意すれば良いと思いますが、重量だけでいうと前者が1足で済むので軽量なのは言うまでもありません。

 ただ、そういう“引き足”を使いたい、走り重視派キャンパーには、MTB、アドベンチャー、カジュアル向けのビンディングシューズもあります。クライミングシューズ、スケートボード、トレッキングシューズのようなルックスで、ツーリングシーンでも馴染みます。ブロックパターンや高いグリップ力をもつ「Vibram」(ビブラム)ソールのタイプも多数出ているので、キャンプ場などの不整地でも歩くことができます。

いま注目している、シマノの全天候アドベンチャー型SPDシューズ「SH-XM900」。自転車キャンプツーリングの“全部乗せ”的な感じで最高 ©SHIMANO

 また、キャンプ場にシャワーがある場合や、途中で温泉などに立ち寄ることを想定するとタオルを携行したいところですが、僕はここで手ぬぐいを使うようにしています。こちらはタオルに比べてコンパクトになりますし、バイクパッキングの時はサドルバッグの隙間に詰め込むことでバッグの形を整えることができますし、ドライヤーを数秒当てれば乾いてしまうという長所もあります。サドルバッグのドローコードに挟んでおいて、走りながら乾かすこともできます。

使い方の幅が広いサイドバッグ

 従来からあるパニアバッグ、サイドバッグをキャリアの上にマウントさせるツーリングスタイルは軽量化では負けてしまいますが、積載容量やキャンプ場での設営、撤収の早さにおいてはメリットがあります。昔から使っているお気に入りのテントを持っていきたい、「Helinox」(ヘリノックス)の小さな椅子とコンパクトにたためる「SOTO」(ソト)のポップアップテーブルを持っていってダイニングを充実させたい、現地で食材を買ってシングルバーナー、クッカー、カトラリー、ナイフなどを持って行って料理を楽しみたい─などといったキャンプでの時間を楽しみたい人にもオススメです。

かつて4バッグスタイルで旅をしていた筆者 Photo: Akikazu YAMASHITA

 さらにいうと「4サイドバッグ」という4つのバッグとフロントバッグを組み合わせたスタイルで、さらにキャリアの上にキャンプ道具を積めば、長期間の海外放浪の旅に行くこともできます。将来的に海外でのツーリングを視野に入れている方にとっては、従来の4バッグスタイルもまだまだ健在です。

 ちょっと話は変わりますが、サイドバッグが1つあれば、通勤、通学で自転車に乗っている人にとっては普段使いにも便利だというメリットがあります。僕はサイドバッグの中にトートバッグを入れ、その中に資料、PC、ガジェットケース、メモ、筆記用具を入れておくことがあります。そうすれば、そのまま打ち合わせに行くこともできますし、ちょっとした原稿書きの仕事(ライター業)でカフェに寄ったり、レストランに寄ったりするノマドスタイルもでき、よりスマートに移動ができます。

サイドバッグは普段使いにも便利 Photo: Akikazu YAMASHITA
海外では通勤等でサイドバッグを使っている人をよく見かけた Photo: Akikazu YAMASHITA

 こういったサイドバッグ、パニアバッグ(左右のバッグが一体化しているタイプ)を積んだ自転車の通勤風景は、ヨーロッパやアメリカの大都市圏で見られますが、日本でも外国人の方が颯爽と走っている姿を目にすることがあると思います。バックパックやメッセンジャーバッグだと夏場は背中にびっしょりと汗をかきますが、バッグが体から離れていればそんな不快な思いをしなくて済みます。

 ツーリングだけではなく、普段の生活にもぜひ取り入れてみてください。

山下晃和山下晃和(やました・あきかず)

タイクーンモデルエージェンシー所属。雑誌、広告、WEB、CMなどのモデルをメインに、トラベルライターとしても活動する。「GARVY」(実業之日本社)などで連載ページを持つ。日本アドベンチャーサイクリストクラブ(JACC)評議員でもあり、東南アジア8カ国、中南米11カ国を自転車で駆けた旅サイクリスト。その旅日記をもとにした著書『自転車ロングツーリング入門』(実業之日本社)がある。趣味は、登山、オートバイ、インドカレーの食べ歩き。ウェブサイトはwww.akikazoo.net

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