悪天候の中1161人が参加ご当地の麺料理を堪能 雨と霧の中で走った「富士山1周サイクリング2019」

by 大星直輝 / Naoki OHOSHI
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 ツールド・ニッポンのロングライドイベント「富士山1周サイクリング2019」(富士いち)が6月30日、静岡県御殿場市周辺で開催された。梅雨時期ということから天候が心配され、1週間前から天気予報をチェックするも雨模様。イベント当日も朝から強めの雨の中でのサイクリングとなった。

輪界のニューアイドル、YouTuberのMIHO氏さん。美味しい富士吉田うどんに笑顔 Photo: Naoki OHOSHI

雨の中1161人が参加

 今回のイベントは、一般社団法人ルーツ・スポーツ・ジャパンが主催、御殿場市が共催、スルガ銀行が特別協力として開催したもの。スタート地点の富士山樹空の森には、レインウェアを着たサイクリストが集まり始める。コースの距離は116.5km、獲得標高は1724mと中級者以上向きのレイアウト。富士山周辺を一周するため、ショートコースの設定はないが、1161人の健脚自慢が集結。雨のため3割ほどがDNS(未出走)とのことだが、14歳から74歳までの幅広い年代が参加した。

ゲストライダーの田代恭崇さん、アンバサダーのMIHO氏さん、岩本陽子さん、おおやようこさんが富士いちポーズ! Photo: Naoki OHOSHI

 早朝5時半より始まったステージでは、軽いブリーフィングのあと、大会ゲストの田代恭崇さん、アンバサダーのMIHO氏さん、おおやようこさん、岩本陽子さんの紹介が行われた。6時より先頭のAグループが数人に別れてスタート。その後30分おきにBグループ、Cグループ、Dグループと続いていく。

出発前の先頭グループ Photo: Naoki OHOSHI

 緩やかなアップダウンをこなし、ウォーミングアップを兼ねて12kmほど走ると、最初のエイドステーションである「道の駅すばしり」に到着。ここでは朝食にちょうどいいおにぎりが配られた。御殿場のコシヒカリを使ったお米は富士山麓のおいしい水で炊いたとあって、つやつやのモチモチ。地元の須川で獲れた鱒が具に使われ、その美味しさに思わず笑顔がこぼれる参加者が多く見られた。

116.5kmの富士山一周旅に出発する参加者 Photo: Naoki OHOSHI
愛知県から会社の仲間4人で参加した杉木さん(右)と永井さん。「お米がみずみずしく光っていて美味しい。コシヒカリ初めて食べました」 Photo: Naoki OHOSHI

 ここから最初の関門、標高1104mの籠坂峠に向かって登っていく。峠とはいえ道幅は広く、緩めの斜度が一定で続いているのでとても走りやすい。淡々と漕ぎ続ければ、気がつくと頂上に到達して、そのまま下りへと入っていく。雨が降っているため慎重にブレーキをきかせて下り、山中湖の西側を走ると少し雨脚が弱くなってきた。

降ったり止んだりの天候

 28km地点の「道の駅富士吉田」第2エイドに着いた時には雨が止み、なんと陽が差してきた。ここでは硬めのねじれ麺を使った富士吉田うどんが振舞われた。小麦の味わいが美味しい食べ物だ。東京都から参加の川田夫妻は「自転車のイベントに参加したのは初めて。みんなで走るのも新鮮で、エイドも充実している。うどんも食べ応えがあって美味しい」とイベントを満喫。天気も良くなり、リラックスした様子で休んでいる人が多く見られた。

 ここまで雨続きで一度も富士山の姿が見られなかったが、このまま天候が回復してくれれば、見ることができるかもしれない。そんな期待を持って、富士五湖最大の河口湖に到着した。河口湖大橋を渡って北の湖畔を走り抜け、西湖に続く上りにさしかかる。ここに設けられた給水場で休んでいると、また雨が降り出だした。西湖に着いてその湖畔を走るときには、顔に当たると痛いほどに雨脚が強くなった。

 第3エイド「富岳風穴」では、山梨県下一位のほうとうを決める大会、「ほうとう味くらべ真剣勝負」を3連覇した「歩成」のほうとうが提供された。辛味噌を入れた味噌の味が優しく、体に元気をくれた。ここからは長い長い下り坂が17kmも続く。天気が良ければ、富士山を横に見ながら絶景のダウンヒルというところだが、あいにくの空模様。それでもやはり下りは気持ちいい。

2011年から2013年の大会を3連覇し、殿堂入りを果たした「歩成」のほうとう Photo: Naoki OHOSHI
河口湖から西湖へ向かう。短いが斜度のある坂を走る Photo: Naoki OHOSHI

 第4エイドの「富士ミルクランド」では、飲むヨーグルトと富士宮やきそばなどが配られた。富士山のおっぱいと名付けられた飲むヨーグルトは、濃厚な味わいでおいしいのはもちろん、とても体に良いという。富士宮やきそばは昼食に最適で、ゆっくりと座って味わう参加者が多かった。ここまでくるとコースも半分を越えた。余裕ができた参加者はジェラートを買ったりして牧場の味を楽しんでいた。

コース脇に牧場を発見して、笑顔で馬ポーズをとる参加者 Photo: Naoki OHOSHI

濃霧で前が見えなくなるアクシデント

 アップダウンを走り給水所を過ぎると、このコース最大の難所、こどもの国に向かう上りへと突入する。11.5kmも続く坂では、景観の変わらないところに霧が発生。段々と濃くなり、数メートル先も霞んでしまうほどになってしまった。路側帯もほとんど見えない濃霧の中だが、トラックやバスなど交通量が多い。リアライトを点けてはいるものの、果たして車から見えているのだろうかと、緊張と不安がかなりあった。前を見ても濃い霧に遮られ、コースがどこまで続いているのかも不明。また所々現れる激坂に耐えきれず、自転車から降りて押して歩いている参加者も見られた。

濃霧の中、上り坂を懸命に走る参加者 Photo: Naoki OHOSHI

 ようやくたどり着いた101km地点の最後のエイドステーション「富士山こどもの国」では、短冊をイメージしたという米粉100%の平たい麺を使った「富士山ひらら」が提供された。ふんわりと優しい麺の食感が心地よい。出汁の効いた汁も甘めの味付けで、体に染み入っていく。ゆっくりと休みたいところだが、霧が濃くなり、雨も強くなっている。体も冷えてしまうので、残り15kmのゴールへ向かって走り出す。

米粉を使った麺の「富士山ひらら」。甘めの味付けで優しい Photo: Naoki OHOSHI
ゴール前の最後の登りを走る参加者 Photo: Naoki OHOSHI

 富士サファリパークの脇を抜け、急な下りが7kmほど続く。ここまでの疲労もあり、飛ばし過ぎないよう注意して下りきると、一瞬雨が止み、美しい緑に挟まれた一本道に入った。そしてそのまま少し上り返せば、ようやくゴール。スタッフの温かい出迎えと完走のメダルが贈られた。

地元チームの「ぽっチャリ倶楽部」。トレーニングで富士山一周はよく走るそう。「今日は雨だったが、普段は本当に景色が良くておすすめ。今回と逆の時計回りの方が、ハードなコースになります」 Photo: Naoki OHOSHI

 今回は残念ながら、富士山の姿は全く見ることができなかったが、麓を一周するという達成感は十分に味わうことができた。ゴール後には御殿場で伝統的に祝事の際に振舞われるという、みくりやそばも提供された。思い返せば6カ所の食べ物のうち、5カ所はご当地の麺類。地元のご当地麺を食べつくすという楽しみもあった(最初のおにぎりももちろん美味しかった)。

ゴール後の感想の寄せ書き Photo: Naoki OHOSHI

 それぞれが麺の種類が違うのはもちろんのこと、醤油や味噌、出汁にソースなど味付けも様々で、飽きることがなく楽しめた。今後はこんな食文化の違いに注目して走るのも面白いと思う。

 ツールド・ニッポンでは「その土地ならでは」を感じながら、「自転車で走って遊ぶ!」をテーマにイベントを開催している。今回のイベントは決してゴールではなく、その土地を知ってもらうためのきっかけだ。そして御殿場市では東京オリンピック2020の自転車ロードレースのコースに選ばれ、ますますサイクリングの魅力あるまちづくりに、力を入れていくという。

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