ツール・ド・フランス2019 第2ステージユンボ・ヴィスマが圧倒的トップタイムで優勝 テウニッセンがマイヨジョーヌを守る

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
  • 一覧

 ツール・ド・フランス2019第2ステージが現地時間7月7日に行われ、27.6kmのチームタイムトライアルを、ユンボ・ヴィスマが唯一28分台をマークするトップタイムでステージ優勝。2位のチーム イネオスに20秒差をつける圧勝劇となった。前日の第1ステージではマイク・テウニッセン(オランダ)が勝利しており、チームとして実質2連勝。これによりテウニッセンは、首位の証であるマイヨジョーヌを守っている。

チームタイムトライアルで争われたツール・ド・フランス2019第2ステージ。マイヨジョーヌのマイク・テウニッセン(左から2人目)を擁するユンボ・ヴィスマがトップタイムをマークし優勝した Photo: Yuzuru SUNADA

ベルギーのシンボル同士をつなぐ27.6kmの戦い

 今大会の開幕地、ベルギーの首都・ブリュッセルでのレース2日目。この日はチームタイムトライアルが設定された。同市中心部に近い王宮をスタートし、北に位置するブリュッセル・アトミウムを目指す27.6km。ブリュッセルのシンボルでもあるモニュメント「アトミウム」は、1958年に同地で開催された万国博覧会に合わせて建設されたもので、ベルギーの技術力を誇示するシンボルとされている。

 この国の象徴から象徴へつなぐレースルートは、幹線道路が採用されており、主催者によるフィニッシュタイムは約30分との予想。総合での上位進出を目指す選手を抱えるチームとしては、少しの遅れも避けたいところ。エース・アシストすべての力が試されるチーム戦だ。なお、フィニッシュタイムはチーム内4番目の選手のものが反映され、脱落した選手は遅れた分のタイムが加算されることになる。

 このステージでは、前日の第1ステージを制したテウニッセンがマイヨジョーヌを着て出走する。

1958年に行われた万国博覧会に合わせて建設されたアトミウム。ベルギーの技術力の象徴となっている Photo: A.S.O./Thomas MAHEUX

一番出走のチーム イネオスがハイレベルの基準タイム

 レースは、現地時間午後2時30分、チーム イネオスをトップバッターにスタート。以降、5分おきにチーム総合の下位チームから順にコースへと繰り出していった。

1番出走のチーム イネオス。フィニッシュタイムが長くトップに君臨した Photo: Yuzuru SUNADA

 第1ステージ終盤に起きた大規模クラッシュの影響で、メンバーのほとんどが分断された集団の後方でフィニッシュしたチーム イネオス。思いがけない形でチーム総合最下位でのスタートとなったが、そんなことはお構いなしとスタートから快調に飛ばしていく。13km過ぎに設定された第1中間計測を13分58秒、20km地点に設定された第2中間計測を21分11秒で通過。終盤まで8選手でローテーションを繰り返し、最後の数kmで数人を切り離したものの、総合エースのゲラント・トーマス(イギリス)を先頭に29分18秒でフィニッシュラインを通過。まずはこのタイムが基準タイムとなった。

 だが、そこはタイムトライアルで数々の実績を残してきたチーム。ライバルチームにとっては簡単に破ることにできないタイムであることを、時間とともに示していくことになる。

 3番出走のアスタナ プロチームが20秒遅れ、スタート以降10秒前後のタイム差で推移したグルパマ・エフデジは最終的に12秒遅れと、序盤から飛ばすもなかなかチーム イネオスのタイムまでは届かない。8番出走のCCCチームは、後半にかけて盛り返してみせたが、それでも10秒差に迫るのが精いっぱいだった。

トップタイムに肉薄したカチューシャ・アルペシン Photo: A.S.O./Pauline BALLET

 その流れに変化をもたらしたのは、11番目にコースへと繰り出したカチューシャ・アルペシン。スピードに乗った隊列は、乱れることなく進行。第1中間計測でトップタイムを3秒更新すると、その勢いのまま後半へ。第2中間計測も2秒更新し、フィニッシュタイムに期待がかかる。ところが、最終盤にきて失速。フィニッシュでは逆に5秒遅れる形になり、1位浮上はならなかった。

 その後も、14番出走のチーム サンウェブが途中までの10秒前後の遅れを徐々に取り戻していくも、フィニッシュでは5秒遅れと一歩届かない。トップタイムをマークしたチームが座るホットシートは、チーム イネオスの8選手が長く温め続けた。

最終走者のユンボ・ヴィスマが会心の走り テウニッセンはジャージをキープ

 後半出走のチームでは、総合系ライダーを擁するチームが攻めの走りを見せるが、それでもチーム イネオスが残したタイムまでは到達できない。ミッチェルトン・スコットは21秒遅れ、ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)が牽引するバーレーン・メリダは16秒遅れで終える。

 そんな中、18番目にスタートを切ったEFエデュケーションファーストがスタート直後から5秒前後の遅れにとどめてハイスピードで進行していく。後半のペース次第ではトップ浮上の可能性もあったが、結果的に8秒遅れ。

最後の追い込みをかけるドゥクーニンク・クイックステップの選手たち。しかしほんのわずかにチーム イネオスのタイムには及ばず Photo: Yuzuru SUNADA

 さらには、チームタイムトライアルを得意とするドゥクーニンク・クイックステップが地元ベルギーでの勝利を狙って飛ばしていく。第1中間計測では1秒、第2中間計測では2秒と、チーム イネオスのタイムを射程圏内にとらえながら進んでいく。残り1kmを切ってからは、脚のあるジュリアン・アラフィリップ(フランス)が先頭へ出てチームメートを引っ張る。最後は時計との戦いとなったが、フィニッシュライン通過は0秒82差。わずかながら、チーム イネオスのタイムを上回ることができなかった。

 長く君臨したトップタイムだったが、その状況をチーム力をもって打破したのはリーダーチームとして最終走者を務めたユンボ・ヴィスマだった。

最終走者を務めたユンボ・ヴィスマ。終始トップタイムをキープし続けた Photo: Yuzuru SUNADA

 時速60km前後のスピードで進むイエロー基調のジャージに身を包んだ選手たちのトレイン。大きく乱れることなく進むと、第1中間計測でカチューシャ・アルペシンが持っていたトップタイムを11秒更新。勢いはさらに増し、同じくカチューシャ・アルペシンが持っていた第2中間計測のタイムも14秒上回る。昨日落車したスプリンターのディラン・フルーネウェーヘン(オランダ)こそ早々に遅れたが、人数を残しながらローテーションを繰り返す。マイヨジョーヌのテウニッセンもトレイン牽引に盛んに加わった。

マイヨジョーヌのマイク・テウニッセンはチーム2番手でフィニッシュ。その前ではワウト・ファンアールトがトップタイムを喜びガッツポーズ Photo: Yuzuru SUNADA

 いよいよ最終局面。いくつかのコーナーとラウンドアバウトをクリアし、モニュメント「アトミウム」をくぐって最後の直線へ。フィニッシュの直前では、マイヨジョーヌのテウニッセンが総合エースのステフェン・クライスヴァイク(オランダ)やジョージ・ベネット(ニュージーランド)の位置を確認する冷静さを見せ、5選手が一団でフィニッシュラインを通過。選手たちはすかさず拳を掲げ、トップタイムを喜んだ。

 ユンボ・ヴィスマの正式タイムは、28分56秒81。平均時速にして57.202km。2位に20秒差をつける圧勝で、それまでホットシートに座っていたチーム イネオスの選手たちも脱帽とばかりに拍手でその走りを称えた。最後まで残った5選手は、フィニッシュライン通過順にワウト・ファンアールト(ベルギー)、テウニッセン、トニー・マルティン(ドイツ)、クライスヴァイク、ベネット。これにより、テウニッセンはマイヨジョーヌのキープが決定。続く第3ステージも、個人総合首位の立場でスタートを切ることになった。

ステージ優勝の表彰を受けるユンボ・ヴィスマの選手たち Photo: Yuzuru SUNADA

 このステージでは、総合争いで有力視されていた選手を抱えるチームの遅れが目立っており、ダニエル・マーティン(アイルランド、UAE・チーム エミレーツ)が総合タイム差1分13秒、ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)が同じく1分15秒、リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)が1分28秒、ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)が1分29秒と、巻き返しが求められる状況となっている。

 なお、2ステージまで終えた時点での各賞は、マイヨジョーヌとマイヨヴェール(ポイント賞)はテウニッセンで変わらず、山岳賞のマイヨアポワもグレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー、CCCチーム)がキープ。新人賞のマイヨブランは、勝利したユンボ・ヴィスマで先頭フィニッシュしたファンアールトが袖を通している。

マイヨジョーヌのキープに成功したマイク・テウニッセン Photo: Yuzuru SUNADA

 大会は3日目にしてブリュッセルを離れることになる。翌8日に実施される第3ステージは、ベルギー南部・ワロン地域の街であるバンシュをスタートし、レース序盤にフランスへと入国。後半にカテゴリー山岳が立て続けに登場し、なかでも残り16kmで通過する3級山岳コート・ド・ミュティニーは登坂距離900mながら、最大勾配12.6%の急坂。フィニッシュ前500mも8%の勾配と、スピード・登坂力ともに求められるステージとなりそうだ。また、コート・ド・ミュティニーの頂上には「ボーナスポイント」を設置。上位通過3選手にボーナスタイムが与えられるため、総合系ライダーが何らかのアクションを起こすことも考えられる。

第2ステージ結果
1 ユンボ・ヴィスマ 28分57秒
2 チーム イネオス +20秒
3 ドゥクーニンク・クイックステップ +21秒
4 チーム サンウェブ +26秒
5 カチューシャ・アルペシン
6 EFエデュケーションファースト +28秒
7 CCCチーム +31秒
8 グルパマ・エフデジ +32秒
9 バーレーン・メリダ +36秒
10 アスタナ プロチーム +41秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 マイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) 4時間51分34秒
2 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) +10秒
3 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
4 トニー・マルティン(ドイツ、ユンボ・ヴィスマ)
5 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマ)
6 ジャンニ・モスコン(イタリア、チーム イネオス) +30秒
7 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス)
8 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム イネオス)
9 ディラン・ファンバーレ(オランダ、チーム イネオス)
10 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) +31秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 マイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) 50 pts
2 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 50 pts
3 ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) 33 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 グレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー、CCCチーム) 2 pts
2 クサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、ワンティ・ゴベール) 2 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) 4時間51分44秒
2 ジャンニ・モスコン(イタリア、チーム イネオス) +20秒
3 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス)

チーム総合
1 ユンボ・ヴィスマ 15時間4分9秒
2 チーム イネオス +1分20秒
3 ドゥクーニンク・クイックステップ +1分24秒

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

UCIワールドツアー ツール・ド・フランス2019 ツール2019・レース詳報 ロードレース

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載