ツール・ド・フランス出場チームプレビュー<2>サガンを中心にステージ勝利量産を狙うボーラ 有力スプリンターを擁するチームの陣容をチェック

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ツール・ド・フランス2019開幕に向けて、各チームの出場メンバーが出そろった。今回は有力スプリンターを擁するボーラ・ハンスグローエ、ドゥクーニンク・クイックステップ、ロット・スーダル、ユンボ・ヴィスマ、UAE・チームエミレーツの5チームをプレビューしていく。

世界最高の舞台にトップスプリンターが集結。ペテル・サガン(左)、ディラン・フルーネウェーヘン(<br />中央)、エリア・ヴィヴィアーニ(右) Photo: Yuzuru SUNADA

ステージ優勝、総合成績、特別ジャージ全部狙う

ボーラ・ハンスグローエ出場メンバー

ペテル・サガン(スロバキア)
エマヌエル・ブッフマン(ドイツ)
パトリック・コンラッド(オーストリア)
ダニエル・オス(イタリア)
ゴレゴール・ミュールベルガー(オーストリア)
ルーカス・ペストルベルガー(オーストリア)
マルクス・ブルグハート(ドイツ)
マクシミリアン・シャフマン(ドイツ)

 なんといってもサガンのステージ優勝と史上最多7度目のマイヨヴェール獲得がチームの大きな目標となるだろう。前哨戦のツール・ド・スイスでは9年連続のステージ優勝に3年連続のポイント賞獲得と、準備万端の様子。春先はなかなか勝てないレースが続いていた不調のシーズンだっただけに、復調を予感させる好成績は喜ばしい限りだ。

 いつも発射台を務めているリードアウト役は不在だが、ワンデークラシックの相棒といえるオス、ブルグハート、ペストルベルガーらが集団スプリントでのサガンのポジション取りをアシストすることだろう。

 その上で、ブッフマンが総合を狙う布陣を敷いている。ブッフマンは安定した走りを見せており、UAEツアー総合4位、イツリア・バスクカントリー総合3位、ツール・ド・ロマンディ総合7位、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ総合3位とステージレースで好成績を残している。スイス総合3位のコンラッド、高い登坂力を見せるミュールベルガーと共に総合上位を狙うだろう。

イツリア・バスクカントリーで活躍したエマヌエル・ブッフマン(左)とマクシミリアン・シャフマン(右) Photo : KARLIS / SUNADA

 さらに新ドイツチャンピオンに輝き、今季6勝と新たなステージハンターとしてブレイク中のシャフマンもメンバー入り。ステージ勝利を量産できる布陣といえそうだ。

ジロで不発のウルフパックが巻き返す

ドゥクーニンク・クイックステップ出場メンバー

ジュリアン・アラフィリップ(フランス)
カスパー・アスグリーン(デンマーク)
ドリス・デヴェナインス(ベルギー)
エンリク・マス(スペイン)
イヴ・ランパールト(ベルギー)
ミケル・モルコフ(デンマーク)
マクシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)
エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)

 2016年のブエルタ・ア・エスパーニャから、2018年のブエルタまでグランツール7大会連続でチームとしてステージ4勝を以上をあげてきた常勝軍団クイックステップ。しかし、今年のジロ・デ・イタリアではまさかの未勝利に終わった。

 そのジロで勝利を期待されながら、疑惑の判定により降格処分を受けるなど未勝利に終わったヴィヴィアーニを再びツールで起用。前哨戦のスイスでステージ2勝をあげるなど上り調子だ。リケーゼ、モルコフ、ランパールトと昨年勝利を量産したリードアウト陣と共に、ツールの舞台で暴れまわるだろう。

 さらに、昨年ステージ2勝&山岳賞を獲得したアラフィリップもこのチームのエースだ。丘陵ステージでの上りスプリント、中級・難関山岳ステージでの逃げ切り勝利を狙う。さらにそれだけではなく、平坦ステージではヴィヴィアーニのためにリードアウトに加わるスピードも兼ね備えており、「ウルフパック」の一員としてチームの勝利に貢献するだろう。

前哨戦のドーフィネではステージ1勝&山岳賞獲得と好調のジュリアン・アラフィリップ Photo: STIEHL / SUNADA
昨年のブエルタ第20ステージで勝利したエンリク・マス Photo: Yuzuru SUNADA

 さらに、昨年のブエルタ総合2位のマスは総合成績を狙う。山岳アシストはベテランオールラウンダーのデヴェナインスのみと、枚数に不安があることは懸念点だろう。

 ロンド・ファン・フラーンデレン2位、ツアー・オブ・カリフォルニア1勝&総合3位の若手急上昇株アスグリーンがメンバー入りを果たした一方で、ベテランのフィリップ・ジルベール(ベルギー)がメンバー外となった。

非常に総合力の高いメンバー構成

ユンボ・ヴィスマ出場メンバー

ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ)
ステフェン・クライスヴァイク(オランダ)
ワウト・ファンアールト(ベルギー)
トニー・マルティン(ドイツ)
ジョージ・ベネット(ニュージーランド)
アムンドグロンダル・ヤンセン(ノルウェー)
ローレンス・デプルス(ベルギー)
ミケ・テウニッセン(オランダ)

 こちらも目標を複数持っているチームである。一つ目の狙いはフルーネウェーヘンのスプリント勝利だ。今季は集団スプリントで10勝をあげており、いま一番勝っているスプリンターである。自身のパワーとテクニックだけでなく、リードアウトのテウニッセン、ヤンセン、マルティンといったメンバーが強力無比であることが非常に大きい。

 二つ目の狙いはクライスヴァイクの総合成績だ。昨年はプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア)とダブルエース体制で好連携を見せて総合5位に、続くブエルタでは総合4位と好成績を残した。ログリッチェは不在であるが、山岳アシストのベネットとデプルスがクライスヴァイクを支える布陣となっている。

年々総合成績が向上している印象のステフェン・クライスヴァイク Photo: Yuzuru SUNADA
ドーフィネではポイント賞を獲得したワウト・ファンアールト Photo: STIEHL / SUNADA

 そして、三つ目の狙いはファンアールトのステージ優勝だ。今季ワールドチームデビューを果たし、ロードレースに本格参戦したにもかかわず、ドーフィネでステージ2勝、さらに直近のベルギーTT選手権で優勝を飾った。チームタイムトライアルでの重要な戦力でもある。底知れぬポテンシャルで、初参戦のグランツールでの活躍が大いに期待されている。

ユアンのスプリント必勝体制を築く

ロット・スーダル出場メンバー

カレブ・ユアン(オーストラリア)
トマス・デヘント(ベルギー)
ティシュ・ベノート(ベルギー)
ロジャー・クルーゲ(ドイツ)
マキシム・モンフォール(ベルギー)
ティム・ウェレンス(ベルギー)
ジャスパー・デブイスト(ベルギー)
イエンス・クークレール(ベルギー)

新天地で大活躍中のカレブ・ユアン。リードアウト陣も頼もしい Photo: Yuzuru SUNADA

 ジロに引き続きユアンのスプリント勝利を主眼に置いた布陣だ。そのジロでユアンはステージ2勝をあげ、移籍1年目ながらチームの中心選手として確固たる地位を築きつつある。リードアウト陣はクルーゲ、デブイスト、クークレール、デヘントらが務める。クルーゲ、デブイスト、デヘントはジロに引き続いて連戦である。

 また、ベノート、ウェレンス、モンフォールら上りに強い選手を多く起用。ベノートは総合上位を狙える実力を持っており、ヤングライダー賞の有力候補の一人だ。ウェレンスはステージハンターとして丘陵ステージ・中級山岳ステージを中心に勝利を狙う。

 モンフォールはグランツール出場20回目となる大ベテランで、過去19大会中18大会で完走している。チームの精神的支柱となってくれることだろう。

ガビリア欠場を受け、バランス重視に

UAE・チームエミレーツ出場メンバー

アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー)
ファビオ・アル(イタリア)
スヴェンエリク・ビストラム(ノルウェー)
ルイ・コスタ(ポルトガル)
セルジオ・エナオ(コロンビア)
ヴェガールスターク・ラエンゲン(ノルウェー)
ダニエル・マーティン(アイルランド)
ジャスパー・フィリプセン(ベルギー)

 エーススプリンターを務める予定だったフェルナンド・ガビリア(コロンビア)が膝痛のため欠場となったことで、チーム目標の修正を余儀なくされた。

 元々の予定では、ガビリアのリードアウトにクリストフを起用するはずだったが、クリストフがエーススプリンターとして走ることに。昨年のシャンゼリゼステージで勝利しているようにスプリントのトップスピードは世界トップレベルを誇る実力者だ。

今シーズンは5勝をあげ、好調なアレクサンドル・クリストフ Photo: Yuzuru SUNADA
昨年はステージ1勝&総合8位&総合敢闘賞受賞と活躍を見せたダニエル・マーティン Photo: Yuzuru SUNADA

 そして、チーム目標は総合成績にフォーカス。ツールでは3年連続一桁順位で完走、昨年は総合敢闘賞にも輝いたマーティンが総合エースを務める。血行障害のため長らく欠場を強いられていたアルに目処がたったことで、ツールではマーティンのアシストとして出場する。調子次第ではアルで総合やステージ優勝を狙うことも考えられるだろう。

 他にも2014年世界チャンピオンのコスタ、ワールドチーム1年目にしてグランツール初出場の21歳フィリプセンなど、逃げ切りやステージ勝利を狙える人材も揃っている。

 スプリント、総合成績、逃げと様々な状況に対応できるバランスの良いメンバー構成だ。

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