ツール・ド・フランス出場チームプレビュー<1>総合2連覇を狙うイネオスはトーマス、ベルナルら重厚な布陣 総合系チームが続々とメンバー発表

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ツール・ド・フランス2019に向けて、各チームとも出場メンバー発表が目白押しだ。今回は6月29日時点で出場メンバーを発表しているワールドチームのなかで、今回は総合優勝狙いのチーム イネオス、アスタナプロチーム、ミッチェルトン・スコット、トレック・セガフレード、グルパマ・エフデジの5チームの出場メンバーをプレビューしていく。

ツール・ド・フランス2019総合優勝を狙うヤコブ・フルサング(左)、ゲラント・トーマス(中央)、アダム・イェーツ(右) Photo: Yuzuru SUNADA

総合連覇に向けて重厚な布陣

チーム イネオス出場メンバー

ゲラント・トーマス(イギリス)
エガン・ベルナル(コロンビア)
ヨナタン・カストロビエホ(スペイン)
ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド)
ジャンニ・モスコン(イタリア)
ワウト・プールス(オランダ)
ルーク・ロウ(イギリス)
ディラン・ファンバーレ(オランダ)

昨年は自身初のステージ優勝を飾ったゲラント・トーマスは、連覇に向けて充実した戦力で挑む Photo: Yuzuru SUNADA

 大黒柱のクリストファー・フルーム(イギリス)を怪我で欠いてもなお、総合2連覇のかかるトーマスを中心とした重厚な布陣となっている。当のトーマスはツール・ド・スイスで落車負傷しリタイアとなったことによるコンディションへの影響が懸念されている。

 そのなかで注目を集める存在がスイスで総合優勝を飾ったベルナルだ。「ツール前哨戦終了! ベルナル、バルベルデら復調組が本番へ明るい兆し」にもある通り、基本路線はトーマスのアシストとのことだが、状況次第ではベルナルで総合を狙う展開も考えられる。昨年のフルームとトーマスの関係性に似ているといえよう。

 トーマス、ベルナル、カストロビエホ、クウィアトコウスキー、モスコン、ファンバーレは国内TT王者に輝いた経験を持ち、プールスも2018年パリ〜ニース第4ステージなど個人TTで勝利するなどTT巧者揃いとなっている。第2ステージのチームタイムトライアルを重視した布陣といえよう。

今季はパリ〜ニース、ツール・ド・スイスと名高いステージレースを制した神童エガン・ベルナル。トーマスを置いて総合優勝に推す声も少なくない Photo: STIEHL / SUNADA

 一方で、暫定メンバーに名前を連ねていたクライマーのケニー・エリッソンド(フランス)はメンバーから外れている。山岳アシストの戦力ではプールスを筆頭に、カストロビエホ、クウィアトコウスキー、モスコン、そして先日のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ第8ステージで勝利したファンバーレら上りに強い選手が揃っている。しかし、標高2000mを越える難関山岳での働きを考えると純粋なクライマーに近い脚質を持つプールスの負担が大きくなるかもしれない。

 また、ファンバーレを除く7人が昨年のツールにも出場しており、チームとしての成熟度は非常に高そうだ。

過去最高クラスの戦力でフルサングを支える

アスタナプロチーム出場メンバー

ルイスレオン・サンチェス(スペイン)
ペリョ・ビルバオ(スペイン)
ゴルカ・イサギレ(スペイン)
ヤコブ・フルサング(デンマーク)
アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン)
マグナス・コルト(デンマーク)
オマール・フライレ(スペイン)
ユーゴ・ウル(カナダ)

 今季8つのステージレースで総合優勝しているアスタナは、前哨戦のドーフィネで総合優勝を果たしたフルサングが総合エースを担う。フルサング自身も極めて好調である。2月のブエルタ・ア・アンダルシアで総合優勝して以来、ワンデーレースはすべて表彰台に上っていて、ステージレースは最低でも総合4位と安定した戦績を誇る。

今季、著しい成長ぶりを見せているアレクセイ・ルツェンコは、上り・下り・スプリントなんでもできる Photo: Yuzuru SUNADA

 さらに、ジロ・デ・イタリアでステージ2勝のビルバオ、今季6勝のルツェンコを筆頭に、イサギレ、サンチェス、フライレ、コルトと上りに強いメンバーが勢揃い。長時間の集団けん引に耐えうる力を持っているルーラーのウルも頼もしい存在だ。

 それでいて、国内TT王者となった経験を持つのは、フルサング、ルツェンコ、サンチェス、ウルと4人いる。ビルバオ、イサギレもTTは速い。チームトライアルで大きく遅れるようなことは避けられるだろう。

 山岳ステージでの攻撃に主眼を置いた布陣ながら、総合力の高いメンバー構成となっており、アスタナが得意とする戦略的なレース展開が見どころとなりそうだ。

イェーツ兄弟の共闘で頂点を目指す

ミッチェルトン・スコット出場メンバー

アダム・イェーツ(イギリス)
サイモン・イェーツ(イギリス)
ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア)
ジャック・ヘイグ(オーストラリア)
マイケル・ヘップバーン(オーストラリア)
クリストファー・ユールイェンセン(デンマーク)
ダリル・インピー(南アフリカ)
マッテオ・トレンティン(イタリア)

ジロでは不発に終わったサイモンだが、ツールで起用するということは、アダムで本気で総合を取りに行く証拠 Photo: Yuzuru SUNADA

 2016年にマイヨブランに輝いた経験を持つアダムが総合エースを務める。今季はステージレースで安定した走りを見せ、ステージ3勝を飾り、ティレーノ~アドリアティコとイツリア・バスクカントリーでは総合2位に入っている。直近のドーフィネでは雨と低温の第7ステージで体調を崩して翌日リタイアとなった。

 また、昨年のブエルタ・ア・エスパーニャで総合優勝を飾ったサイモンも急遽出場を決めた。ブエルタではアシストとして走ったアダムがサイモンの優勝に貢献したように、サイモンはツールでアダムのアシストを務める見込みだ。今年のパリ〜ニースで総合4位となったヘイグも、サイモンと共にアダムの山岳アシストを務める。

 トレンティン・インピーを中心に、集団スプリントやパンチャー向きの上りスプリントを狙える布陣にもなっており、ダーブリッジ、ヘップバーン、ユールイェンセンなど高速巡航が可能なルーラーがメンバーに名を連ねた。チームタイムトライアルでの好成績も期待できそうだ。

 しかし、サイモン、ダーブリッジ、ユールイェンセンが、ジロに引き続いてグランツール連戦となるため、蓄積した疲労の影響が懸念されている。もちろん、チーム首脳陣は問題ないと判断しての采配であると思われるが、サイモンにとってジロからツールへの連戦は初めての経験であり、未知なる挑戦ともいえそうだ。

ポート悲願の総合優勝に向けてチーム一丸

トレック・セガフレード出場メンバー

リッチー・ポート(オーストラリア)
バウケ・モレマ(オランダ)
ジュリアン・ベルナール(フランス)
ジューリオ・チッコーネ(イタリア)
クーン・デコルト(オランダ)
ファビオ・フェリーネ(イタリア)
トムス・スクインシュ(ラトビア)
ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー)

 ポートにとって悲願ともいえるツール総合優勝であるが、今シーズンは1月のツアー・ダウンアンダー第6ステージで勝利して以来、目立ったリザルトは見当たらない。マイペース調整によるものなのか、不調によるものなのか、判別はつかないが、9年連続出場となるツールでの経験は随一だ。

2年連続第9ステージで落車リタイアしているリッチー・ポートは、悲願のマイヨジョーヌ獲りへ Photo: Yuzuru SUNADA
ツールではポートのアシストに専念するバウケ・モレマ Photo: Yuzuru SUNADA

 それに、チームのエーススプリンターであるジョン・デゲンコルプ(ドイツ)を外す決断を下したように、トレック・セガフレードはポートの総合優勝に狙いに絞っている。

 山岳アシストにはモレマ、チッコーネ、ベルナールらが名を連ねている。モレマはジロ総合5位、チッコーネはジロ第16ステージ優勝&山岳賞と大活躍だった2人だが、グランツール連戦による疲労の影響は蓋を開けてみないとわからない。

フランス人34年ぶり総合優勝を狙う

グルパマ・エフデジ出場メンバー

ティボー・ピノ(フランス)
ウィリアム・ボネ(フランス)
アントニー・ルー(フランス)
セバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス)
ルディ・モラール(フランス)
ダヴィ・ゴデュ(フランス)
シュテファン・キュング(スイス)
マチュー・ラダニュー(フランス)

闘志あふれるアグレッシブなヒルクライムが魅力のティボー・ピノ Photo: Yuzuru SUNADA

 1985年のベルナール・イノー(フランス)以来、フランス人レーサーによるツール総合優勝はない。今年、その期待がかかる選手の一人がピノだ。今季はフランスのステージレースで2度総合優勝しており、直近のドーフィネでは総合5位とまずまずの結果だった。

 そして何よりも、山岳でのアグレッシブな走りがピノの持ち味だ。標高2000m越えの難関山岳ステージが多数登場する今年のツールのコースレイアウトはもっぱらピノ向きとの評判だ。

 成長著しいゴデュとモラール、安定した走りが売りのライヒェンバッハと山岳アシストも充実している。

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