全日本選手権ロードレース【詳報】與那嶺恵理が前半から独走の圧勝劇でV5 2位に金子広美が入り五輪に近づく

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
  • 一覧

 レースが折り返しに差し掛かるよりも遥か前、女王・與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ)が自ら仕掛けて独走を開始した。他を寄せ付けない強さを示し、13周回のうち9周を単独で走り切って優勝。女子エリート4連覇を飾った。東京オリンピックの選手選考に関わる2位争いは金子広美(イナーメ信濃山形)が制した。

女子エリートの表彰。2位に入った金子広美(イナーメ信濃山形)、優勝した與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ)、3位の樫木祥子(チーム イルミネート) Photo: Shusaku MATSUO

圧倒的な実力差で4連覇

 富士スピードウェイで6月29日午後に開催された女子エリート。この日午前中のレースは濃霧の影響で周回数が短縮されたものの、女子エリートは予定通り決行され、10.8kmを13周する計140kmで争われた。今大会は2020年に開催される東京五輪の選考に大きく関わっており、優勝ならびに2位の選手は出場に大きく近づくこととなる。

女子エリートのスタートで昨年の表彰台の3人が並ぶ。左から牧瀬翼(IKEUCHI EXIT)、與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ)、金子広美(イナーメ信濃山形) Photo: Kenta SAWANO

 U23(23歳未満)の選手も含めて60人でスタートが切られたが、序盤から力の差が如実に表れる展開となり、後続の選手から次々に脱落。一方の有力選手たちは前方に固まり、ライバルの動きを睨むレース運びとなった。

 動きが出たのは2周目の後半。メインストレートへと向かう最終コーナー上りで吉川美穂(LiveGARDEN BICI STELLE)が仕掛け、メイン集団からやや先行した。そこに與那嶺が追いつき、カウンターアタックを仕掛けて集団をリード。メインストレートへ入っても踏み止めず、後続では中切れが起き、先頭集団は一気に10人程まで絞られた。

女子エリート 序盤、様子を見ながらゆっくりとしたペースで走る集団 Photo: Kenta SAWANO
3周目、最後の上りコーナーで集団の様子をうかがう與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ) Photo: Kenta SAWANO
與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ)を追うメイン集団 Photo: Shusaku MATSUO

 與那嶺の攻撃はさらに続いた。4周目の急こう配区間でアタックすると、追従できる選手はなく、そのまま独走状態に。その後も集団は與那嶺を追う動きを見せず、タイムギャップはみるみる開いていった。時間が経過するごとに與那嶺のラップタイムが落ちる場面もあったが、後続との差は詰まることなくファイナルラップへ。最後のメインストレートでホイールのスポークが折れるトラブルに見舞われたものの、危なげない走りでフィニッシュし、4年連続、自身5度目の全日本選手権のタイトルを手にした。

 與那嶺はロードと個人タイムトライアルのダブルタイトルも4年連続。本場ヨーロッパを主戦場とするトップ選手として、今年も抜きん出た力を見せつけた形だ。

100km以上を独走した與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ) Photo: Shusaku MATSUO

 一方の後続グループではサバイバルな展開に。早い段階から集団が絞り込まれたことで、完走者はわずか13人となった。最終的には金子、樫木祥子(チーム イルミネート)、牧瀬翼(IKEUCHI EXIT)の3人が残り、2位争いを展開。最終ラップの上りでは、ヒルクライムが得意な金子が仕掛け、平坦区間では樫木がペースアップを試みるなど揺さぶりをかけるシーンがあったが、勝負は3人のスプリントへと持ち込まれた。

最終周、ゴールに向かって進む與那嶺恵理。武井コーチはサポートカーの旧車ブルーバードに乗って見守る  Photo: Kenta SAWANO
2位争いする3人が最終ラップへと入る Photo: Shusaku MATSUO

2位争いは僅差の勝負に

 残り1kmを過ぎ、牽制にはいった3人だったが、残り距離200mほどのところからスプリント体制へ。黒のジャージを纏う樫木が先行したが、横からピンクのジャージを着る金子が並び、フィニッシュラインを横一線で通過。僅差の差で金子が競り勝ち、五輪出場へ近づく準優勝の座を射止めた。

金子広美(イナーメ信濃山形)と樫木祥子(チーム イルミネート)が横一線で並ぶ Photo: Shusaku MATSUO

 與那嶺はゴール後、仕掛けるのが予定よりも早かったことを明かした。「徐々に人数を減らす作戦でしたが、1人になってしまいました。後ろを待つ選択肢もありましたが『いいや、行っちゃえ』と判断しました。独走になった後は最後まで保てるペースで、トラブルが起きた際のマージンを取りながら走りました」とコメント。

 近づいた五輪出場について問われると「JCF(日本自転車競技連盟)と係争したりで、プレッシャーどころかストレスに感じる場面が最近多く、あまり考えないようにしています。あくまで私はヨーロッパを走ることが目標でありつづけています」と心情を述べた。

4年連続5度目のナショナルチャンピオンとなった與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ) Photo: Shusaku MATSUO

 僅差で競り勝ち、2位に入った金子。アタックした與那嶺を追ったが振り切られたため、集団でレースをすることを選択。得意の上りでふるいにかけることで有利に進めたという。「スプリントは他2人の方が強いので、牧瀬選手と樫木選手の動きを後ろから見極め、ここだというタイミングで踏みました」と振り返る。

 五輪については課題が残っているといい「まだまだ自分も與那嶺選手からタイム差があります。来年までどういう練習をしたら強くなるか、日々模索しながら集中してトレーニングに取り組みます」と意気込みを語った。

 惜しくも3着となった樫木は「3人の中ならスプリントでいけると思いましたが、200mからの仕掛けが早く、タレてしまいました。脚を貯めて臨んだのですが、金子選手が強かった。とはいえ、私にとっては全日本選手権で初めての表彰台。それについては嬉しく思います」とコメントを残した。

女子エリート結果
1 與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ) 4時間19分42秒
2 金子広美(イナーメ信濃山形)+3分47秒
3 樫木祥子(team illuminate)
4 牧瀬翼(IKEUCHI EXIT)
5 伊藤優以(Team ZERO UNO FRONTIER)+4分15秒

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

全日本ロード2019

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載