全日本選手権ロード個人TT 【詳報】“不死鳥”増田成幸が5月の骨折から初のタイトル獲得 女子は與那嶺恵理にライバル現れず

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 例年にも増して激戦となった2019年の全日本選手権ロード個人タイムトライアル(TT)。強豪ひしめく男子エリートを制したのは、骨折して間もない増田成幸(宇都宮ブリッツェン)だった。女子は與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ)が圧巻の優勝を果たし、男子U23は今村駿介(チーム ブリヂストンサイクリング)が初出場で初勝利を飾った。

男子エリート表彰。左から2位の岡篤志(宇都宮ブリッツェン)、優勝した増田成幸(宇都宮ブリッツェン)、3位の別府史之(トレック・セガフレード) Photo: Shusaku MATSUO

増田「報われて良かった」

 今年5月下旬に開催されたツアー・オブ・ジャパン(TOJ)の伊豆ステージで、増田は他の選手と絡み落車。腰の骨を折り、戦線離脱を余儀なくされた。しかし、全日本ロードに向けてトレーニングを積み、“不死鳥”の異名のごとく復帰し優勝。自身初のナショナルチャンピオンジャージに袖を通した。

入念にウォーミングアップを行う別府史之(トレック・セガフレード) Photo: Shusaku MATSUO
怪我から復帰したばかりの新城幸也(バーレーン・メリダ) Photo: Shusaku MATSUO

 増田は復活までの道のりをこう語った。「TOJで骨折して、1週間は自転車に乗れませんでした(医者は3週間と言っていましたが)。その後、JISS(国立スポーツ科学センター)でリハビリを行い、プライベートも全て自転車に注いで復帰を目指しました。諦めなかった結果だと思います。報われて良かった」。

 計3周で行われたうち、2周目には暫定トップのタイムをたたき出した増田。背後からは別府史之(トレック・セガフレード)も好ペースで迫るも、時計が覆ることはなかった。3位に入った別府は「ペースも落ちませんでしたし、決して悪いコンディションではなかった。増田選手が強かったです」と振り返る。

ハイペースを崩さなかった別府史之(トレック・セガフレード) Photo: Shusaku MATSUO

 3周回のラップタイムがバラつくことなく、好タイムを出した別府だったが、コースの攻略に課題があったという。「もう少しコースを煮詰める必要がありました。落車が多く発生したコーナーなど慎重になりすぎてしまいタイムを失ったと思います」と明かし、「負けたことは悔しいですが、素直に受け止めます」と語った。

 また、30日のロードレースについては「厳しい展開になるとは思いますが、コンディションがあれば結果はついてきます。トレックジャパンをはじめ、チームのサポート体制も充実しています。しっかり集中してベストを尽くします」と意気込んだ。

小石祐馬(チームUKYO)は4位 Photo: Shusaku MATSUO
7位でレースを終えた新城幸也(バーレーン・メリダ) Photo: Shusaku MATSUO
2週目から暫定トップに立った増田成幸(宇都宮ブリッツェン) Photo: Shusaku MATSUO

 上位選手のほとんどは2組目のスタートだったが、2位に入った岡篤志(宇都宮ブリッツェン)は1組目スタートだった。1周目の中間計測地点を全選手中ダントツのトップタイムで突っ込んだ岡。得意の低いポジションと、持ち前のバイクコントロールでテクニカルなコースを攻め、1組目を終えた時点で最速タイムをたたき出していた。

1組目をトップタイムで終えた岡篤志(宇都宮ブリッツェン) Photo: Shusaku MATSUO

 「中盤にペースが落ちましたが、後半に持ち直すことができました。1組目は選手の出走間隔が短いので、前に追いついてしまい、選手を抜く回数が多かったですね」と振り返った。2組目の選手たちにとってベンチマークとなった岡のタイムだったが、上回ったのはチームメートの増田ただ一人であった。結果的に宇都宮ブリッツェンはワン・ツーフィニッシュを果たし、日曜日に行われるロードレースへ向けて上々の滑り出しとなった。

自身初のナショナルチャンピオンジャージに身を包んだ増田成幸(宇都宮ブリッツェン) Photo: Shusaku MATSUO

 宇都宮ブリッツェンの清水裕輔監督は「全日本選手権は優勝のチャンスはこれまでにありましたが、なかなか獲れなかった。望むからこその空回りが続きました。今回は、選手みんな本当に頑張ってくれた。ファンも長い間待ってくれ、応援してくれたことが力になりました。それを考えると本当に嬉しいです」とコメントした。

男子個人タイムトライアル(39km)
1 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) 56分5秒53
2 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +11秒64
3 別府史之(トレック・セガフレード) +13秒81
4 小石祐馬(チームUKYO) +1分2秒13
5 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) +1分2秒16
6 佐野淳哉(マトリックスパワータグ) +1分2秒79
7 新城幸也(バーレーン・メリダ) +1分4秒99
8 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) +1分51秒31
9 小林海(ジョッティヴィクトリア・パロマー) +2分7秒84
10 徳田優(チーム ブリヂストンサイクリング) +2分22秒12

與那嶺が5連覇達成

 女子エリートは今年も與那嶺の圧勝で幕を閉じた。最終出走者としてスタートした與那嶺は、2周回目に1分前にスタートした唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)をパス。終始危なげない走りで2位の福田咲絵(慶応義塾大学)に1分7秒の差をつけて5連覇を飾った。

女子エリート表彰。左から2位の福田咲絵(慶應義塾大学)、連覇を飾った與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ)、3位の上野みなみ(シエルブルー鹿屋) Photo: Shusaku MATSUO
序盤から圧巻の走りを披露した與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ) Photo: Shusaku MATSUO

 「今年前半には個人TTが1レースもなく、特別なトレーニングはしてきませんでした。ロードレースも控えているので、とにかく転ばないことを心掛けて走りました。勝つことが目的でしたので、ペダルを踏むときは全力です。100%で踏みました」と息を整えながら語った。

 土曜日のレースについて與那嶺は「1日空くのでリラックスします。昨年みたいに長い上りはありませんが、コースはテクニカルなのでインターバルがかかるでしょう。でも走り方は変わりますが、やることは変わらない。ペダルを踏むだけです」と話し、全日本ロード4連覇を見据えた。

女子エリート2位の福田<br />咲絵(慶応義塾大学) Photo: Shusaku MATSUO
女子エリート3位の上野みなみ(シエルブルー鹿屋) Photo: Shusaku MATSUO

■全日本選手権ロードレース個人TT女子エリート結果
1 與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ) 40分38秒97
2 福田咲絵(慶應義塾大学) +1分7秒6
3 上野みなみ(シエルブルー鹿屋) +1分26秒13

落車が相次いだ男子U23

 男子U23は落車が相次ぎ、混戦模様となった。最も雨脚が強まった時間帯に開催されたうえ、“ダンロップコーナー”で多くの選手が落車。このコーナーでは男子エリートカテゴリーの選手も多く落車し、窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング)も「事前情報があり、注意して走ったのに転んでしまった」と難しさを明かしている。

ミスなく力を発揮して男子U23を制した今村駿介(チーム ブリヂストンサイクリング) Photo: Shusaku MATSUO

 しかし、勝利を飾った今村駿介(チーム ブリヂストンサイクリング)は転ぶことなくコースを攻略した。ハイスピードで2周を駆け抜け、2位の石原悠希(インタープロ・サイクリングアカデミー)に1分9秒という大差をつけてフィニッシュ。自身、初出場で初優勝となった。

男子U23の表彰。左から2位の石原悠希(インタープロ・サイクリングアカデミー)、優勝した今村駿介(チーム ブリヂストンサイクリング)、3位の大町健斗(チーム ユーラシアIRCタイヤ) Photo: Shusaku MATSUO

 今村は「コンディションが良かったので、結果はついてくると予想していました。ロードレースを控えているので転びたくないと思いつつ、全力を出し切れば勝てると思いました」とコメント。土曜日のロードレースについては「しっかり自分でも動き、最後は強い選手だけで展開したい」と展望を述べた。

■全日本選手権ロードレース個人男子U23結果
1 今村駿介(チーム ブリヂストンサイクリング) 37分9秒8
2 石原悠希(インタープロ・サイクリングチーム) +1分9秒47
3 大町健斗(チーム ユーラシア・IRCタイヤ) +1分22秒39

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