ツール・ド・スイス2019 第4ステージヴィヴィアーニが他を寄せ付けずスプリント勝利 トーマスが落車リタイアのアクシデント

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 ツール・ド・スイス2019の第4ステージが6月19日に行われ、前日に続くスプリントによるステージ優勝争いはエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)が制した。個人総合では、この日3位のペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)がキープ。また、レース後半に起きたクラッシュにゲラント・トーマス(イギリス、チーム イネオス)が巻き込まれリタイア。個人総合2連覇を目指すツール・ド・フランスに向けて、不安を残して大会を去っている。

ツール・ド・スイス第4ステージはスプリントの末、エリア・ヴィヴィアーニ(右端)が勝利した Photo: STIEHL / SUNADA

トーマスが落車でまさかのリタイア

 このステージは、首都ベルンの近郊に位置するムルテンを出発し、フランスとドイツの国境に近いアルレスハイムまでの163.9kmに設定された。北に進行するルートは、おおよそ中間地点で2級山岳を越え、その後はアップダウンを繰り返しながら、一度アルレスハイムを通過。終盤は同地を基点とする周回コースを走って、再びアルレスハイムに戻った時にフィニッシュを迎える。この周回には3級山岳のほか、ステージ2つ目の中間スプリントポイントが設けられる。

地元スイス期待のシュテファン・キュングはスターティングセレモニーでマイクが向けられる Photo: STIEHL / SUNADA

 そんなレースは、ロビン・カーペンター(アメリカ、ラリー・UHCサイクリング)、シモン・ゲシュケ(ドイツ、CCCチーム)、ジャン・フライセク(スイス、スイスナショナルチーム)が15km地点からリードを開始。その後、タコ・ファンデルホールン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)が合流し、4人の逃げグループが形成される。メイン集団に対して、最大で約3分30秒のリードを得てしばし先行した。

 メイン集団では、個人総合首位のサガン擁するボーラ・ハンスグローエのコントロールのもと、淡々とレースを進めていく。フィニッシュまで残り50kmを切ってからは、先頭4人とのタイム差を本格的に調整していった。

 落ち着いて進んでいたかに思われたレースに暗雲が立ち込めたのは、残り30km地点。少しずつペースを上げていたメイン集団でクラッシュが発生した。これで大きなダメージを受けたのがトーマスとアンドレイ・ツェイツ(カザフスタン、アスタナ プロチーム)の2人。地面にたたきつけられたトーマスはその場に座り込み、すぐにレース復帰を諦めてしまった。ツール総合2連覇へ向けて、足固めの場として挑んでいた今大会だったが、このリタイアは心身のコンディションを図るうえで大きな不安を残すものとなった。

残り30km地点で落車したゲラント・トーマスはそのままリタイア。右瞼をカットしている Photo: Tour de Suisse

絶好のポジションから飛び出したヴィヴィアーニが約3カ月ぶりの勝利

 徐々にアドバンテージを減らしていた先頭の4人は、アルレスハイムを通過後3級山岳の上りに入ると協調が完全に崩れてしまう。そのままフライセクが独走態勢に入り、山岳ポイントをトップ通過。集団はフライセクとの差を1分以内とし、射程圏内に完全に捉えた。フライセクは、次に迎えた中間スプリントポイントを1位で通過したのち、集団に飲み込まれた。

 この間、メイン集団ではアシスト陣のケアを受けたサガンが中間スプリントを2位で通過。2秒のボーナスタイムを獲得している。直後にフライセクを吸収すると、これまで鳴りを潜めていた各チームが前方へと上がってスピードアップを図る。活性化したプロトンは、下りを経て一気に加速。リタイアしたトーマスをのぞき、主要な選手たちは集団に残っており、フィニッシュめがけてペースを上げていった。

ステージ優勝を挙げ、ポディウムで喜ぶエリア・ヴィヴィアーニ Photo: STIEHL / SUNADA

 スプリントフィニッシュに向けて態勢を整えていく各チーム。早くからの集団コントロールで人数を減らしていったボーラ・ハンスグローエに代わり、チーム サンウェブやグルパマ・エフデジなどスプリンターを配備しているチームが主導権争いを見せる。残り3kmを切ってトレック・セガフレードのトレインが先頭へ出るが、残り1kmを迎えたところでドゥクーニンク・クイックステップが人数をそろえて急浮上。エーススプリンターのヴィヴィアーニを引き連れ、完全に流れを引き寄せた。

 ドゥクーニンク・クイックステップのトレインが前方をキープしたまま最終コーナーを抜けると、フィニッシュまでは150m。ここで満を持してヴィヴィアーニが発射。番手につけたサガンもペダルに力を込めるが、勝ちパターンに持ち込んだヴィヴィアーニに軍配。今大会初勝利となるステージ優勝を決めた。

 3月に行われたティレーノ~アドリアティコ第3ステージ以来となる、シーズン5勝目を挙げたヴィヴィアーニ。先月のジロ・デ・イタリアでは活躍が期待されながらも、勝てないまま大会を去っていた。先に控えるツール・ド・フランスへの参戦も表明しており、弾みとなる大きな勝ち星となった。

 2位にはフィニッシュ目前で追い込んだマイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ)が続き、サガンは3位。前日に続く連勝とはならずも、サガンは個人総合での首位はキープし、翌日もリーダージャージを着用する。

 ここまではスプリンターをはじめとするスピードマンが主役争いを繰り広げているツール・ド・スイスだが、続く第5ステージからは様相が変わってきそうだ。序盤から細かいアップダウンが続き、後半には約20kmもの登坂が続く2級山岳、直後には3級山岳も待ち受ける。そこからフィニッシュまでの約24kmは大きな変化こそないが、それまでの上りで前線に生き残った選手たちが有利なレースと予想される。現状、プロトンのリーダーとなっているサガンにとっても、ジャージを守るうえで正念場の1日となりそうだ。

ステージ3位だったペテル・サガンはリーダージャージを守っている Photo: STIEHL / SUNADA

第4ステージ結果
1 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) 3時間46分2秒
2 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ) +0秒
3 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
4 マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)
5 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
6 セップ・ファンマルク(ベルギー、EFエデュケーションファースト)
7 レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)
8 イバン・ガルシア(スペイン、バーレーン・メリダ)
9 スタン・デウルフ(ベルギー、ロット・スーダル)
10 ファビアン・リーンハルト(スイス、スイスサイクリングチーム)

個人総合時間賞
1 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 11時間37分28秒
2 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ) +10秒
3 カスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) +15秒
4 ローハン・デニス(オーストラリア、バーレーン・メリダ) +16秒
5 ローソン・クラドック(アメリカ、EFエデュケーションファースト) +21秒
6 シュテファン・キュング(スイス、グルパマ・エフデジ) +25秒
7 マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット) +32秒
8 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +33秒
9 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、チーム イネオス) +34秒
10 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ プロチーム)

ポイント賞
1 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 29 pts
2 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) 20 pts
3 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ) 15 pts

山岳賞
1 クラウディオ・インホフ(スイス、スイスサイクリングチーム) 21 pts
2 ギャビン・マニオン(アメリカ、ラリー・UHC) 13 pts
3 ファビアン・グルリエ(フランス、トタル ディレクトエネルジー) 9 pts

新人賞
1 カスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) 11時間37分43秒
2 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス) +24秒
3 ケヴィン・ジェニツ(ルクセンブルク、グルパマ・エフデジ) +26秒

チーム総合
1 チーム サンウェブ 34時間53分38秒
2 EFエデュケーションファースト +15秒
3 チーム イネオス +28秒

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