ツール・ド・スイス2019 第7ステージ首位ベルナルが超級山頂フィニッシュで圧倒 2位との差を広げ個人TT決選へ

by 平井久美子 / Kumiko HIRAI
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 ツール・ド・スイス2019は6月21日、第7ステージのレースが行われ、総合首位のリーダージャージを着るエガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス)が、超級山頂ゴールを自ら制して優勝した。総合首位はもちろんベルナルがキープ。同2位のローハン・デニス(オーストラリア、バーレーン・メリダ)とのタイム差41秒で翌日の個人タイムトライアル(TT)に臨む。

山頂フィニッシュのステージを制したエガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス) Photo: STIEHL / SUNADA

スイス王者のモラビトらが逃げ

 第7ステージは今大会最長の216.6km。68km、126km地点の2級山岳と1級山岳をクリアした後、超級山岳ゴッタルド峠(距離12.5km/平均勾配7.2%)を上り切ってゴールとなる。ラストは約8kmの石畳が登場。勝利を手に入れるには、登坂力や石畳に耐えうる体力などさまざまな能力が必要になってくる。

逃げを容認したメイン集団 Photo: STIEHL / SUNADA

 スタート後、数人の選手が逃げたところに、後ろから複数人が合流。1つ目の山岳を越える頃には、8人の逃げが形成された。この中で総合成績が一番良いのは、スイスチャンピオンジャージを着るスティーヴ・モラビト(スイス、グルパマ・エフデジ)の25位で2分13秒差。メイン集団は危険な逃げと判断せず、先頭集団を容認した。

 タイム差は約3分。逃げとメイン集団という構図のまま1級山岳もクリアしたが、先頭からは1人が脱落し7人に。一方メイン集団は首位のベルナルを擁する、チーム イネオスがコントロールしていた。

勝負はゴッタルド峠へ

 残り40km、スプリントポイント2つを終えるといよいよゴッタルド峠に突入する。この時タイム差は約4分となっていた。気になるのはメイン集団にいる総合勢の狙い。ステージ優勝は先頭に預け、メイン集団で総合争いをするか。先頭を吸収しゴールのボーナスタイムも狙うか。彼らの思惑次第でレース展開は大きく変わる。

最後のゴッタルド峠へと向かう逃げ集団 Photo: STIEHL / SUNADA

 レースが動いたのは、残り16km。先頭からクーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)が抜け出す。残された逃げは先頭交代をしてボウマンを追いかけるが、なかなか捕まらない。そして、ボウマン、約20秒後ろに残った逃げメンバー、そこから1分半後ろにメイン集団という構図で、ゴッタルド峠に突入した。

 残り10kmを切った頃、先頭交代をしてボウマンを追いかけていたモラビトら3人がボウマンをキャッチ。そこから、マティアス・フランク(スイス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)がカウンターアタックで抜け出した。だが、メイン集団とのタイム差は約30秒。フランクが捕まるのは時間の問題だった。

 集団は変わらずイネオスが牽引し、タイム差は約25秒となる。この頃、メイン集団はルイ・コスタ(ポルトガル、UAE・チームエミレーツ)、ドリス・デヴェナインス(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)、ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ プロチーム)といった有力勢もドロップし、絞られた選手のみが残っていた。

 残り5.5km、ベン・スウィフト(イギリス、チーム イネオス)が牽引したメイン集団が、フランクを吸収。ここから本当の勝負が始まった。イネオス、バーレーンが先頭を固める中、最初に仕掛けたのは、総合12位のエンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ)。残り4.3kmでの動きだった。

ベルナルが鋭いアタック

 この動きに、メイン集団は冷静に対応。総合勢のベルナル、エリッソンド(フランス、チーム イネオス)やデニス、ポッツォヴィーヴォ、さらにパトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)、ヤン・ヒルト(チェコ、アスタナ プロチーム)、ティシュ・ベノート (ベルギー、ロット・スーダル)は自らのペースを守りながら、マスを追う。

 だが、そのマスを捕まえる前に動きが出る。残り2.8km、昨日に続きベルナルがアタックしたのだ。デニスとドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)が反応するがベルナルについていくことはできず。ベルナルはその後も快調にペダルを踏み、2.1kmでマスを捕まえ抜き去った。ポッツォヴィーヴォとデニスは協力し追いすがるが、ベルナルのスピードには手も足も出ない状態だった。

独走でゴールへ飛び込んだベルナル Photo: STIEHL / SUNADA

 残り1kmでもベルナルのペースは全く落ちず。そのままフィニッシュラインを1位で通過した。昨日の2位に続く活躍、コンディションの良さを表す走りだった。後ろは、ポッツォヴィーヴォ、デニスという順でゴール。ベルナルは攻撃的な走りが実り、総合2位のデニスとのタイム差を41秒に拡大、リーダージャージをキープした。

 翌日の第8ステージは、第1ステージ以来となる19.2kmの個人TT。第1ステージの倍の距離となる中で、総合2位に付ける現TT世界チャンピオンのデニスの走りと、首位のベルナルがいかに対抗するかに注目したい。

リーダージャージをキープした22歳のベルナル。新人賞、山岳賞でも首位に立つ Photo: STIEHL / SUNADA

第7ステージ結果
1 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス) 5時間37分40秒
2 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) +23秒
3 ローハン・デニス(オーストラリア、バーレーン・メリダ)
4 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +34秒
5 ヤン・ヒルト(チェコ、アスタナ プロチーム)
6 ティシュ・ベノート (ベルギー、ロット・スーダル)
7 エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ) +40秒
8 シモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン) +50秒
9 レナード・ケムナ(ドイツ、チーム サンウェブ) +1分3秒
10 ファビオ・アル(イタリア、UAE・チームエミレーツ)

個人総合時間賞
1 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス) 24時間17分48秒
2 ローハン・デニス(オーストラリア、バーレーン・メリダ) +41秒
3 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +1分13秒
4 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1分17秒
5 ヤン・ヒルト(チェコ、アスタナ プロチーム) +1分19秒
6 ティシュ・ベノート (ベルギー、ロット・スーダル)
7 エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ) +2分7秒
8 ファビオ・アル(イタリア、UAE・チームエミレーツ) +2分20秒
9 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、チーム サンウェブ) +2分23秒
10 シモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン) +2分26秒

ポイント賞
1 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 37 pts
2 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) 32 pts
3 マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット) 22 pts

山岳賞
1 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス) 30 pts
2 クラウディオ・インホフ(スイス、スイスサイクリングチーム) 25 pts
3 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) 21 pts

新人賞
1 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス) 24時間17分48秒
2 ティシュ・ベノート (ベルギー、ロット・スーダル) +1分19秒
3 エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ) +2分7秒

チーム総合
1 モビスター チーム 73時間7分48秒
2 アスタナ プロチーム +25秒
3 チーム イネオス +48秒

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