GIANT JAPAN斎藤朋寛さんの参戦記実力者でも足を着く「松野四万十バイクレース」 MTBの醍醐味が詰まった国内最長133km

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 チーム戦によるマウンテンバイク(MTB)のマラソンレースとして人気急上昇の「第4回・松野四万十バイクレース」(MSBR)が6月2日、愛媛県松野町をスタート・ゴールに、愛媛県・高知県にまたがる四万十川源流地域を舞台に開催されました。国内最長となる133kmの難コースに初挑戦したGIANT JAPAN斎藤朋寛さんによるリポートをお届けします。

松野四万十バイクレース名物のリバークロスを進む橋口潤一郎選手 ⒸMSBR

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地元・門田基志選手がプロデュース

 GIANTの契約ライダーで今年「自転車活用推進功労者表彰」を受賞した門田基志選手がプロデュースする国内最長のマウンテンバイクレース「松野四万十バイクレース」(MSBR)は、門田選手が海外レース参戦で刺激を受けて2016年からスタートしたチーム形式のマラソンレースだ。4回目となる今年は時期を昨年までの10月から6月に移して開催された。以前からこの大会に興味はありつつもなかなか実現できなかったが、今年は現地のGIANTブース出展業務も含めて急遽参加するチャンスが回ってきた。

パートナーで練習仲間の橋口潤一郎選手(右)とGIANTのANTHEMで臨んだ Photo: Tomohiro SAITO
筆者のMSBR仕様「GIANT ANTHEM ADVANCED PRO 29ER」 Photo: Tomohiro SAITO

練習仲間の橋口選手とコンビ

 MSBRは、走行距離133km、獲得標高3300mという圧倒的に長く厳しいマウンテンバイクマラソンレースで、特徴的なのは、個人戦ではなくチーム戦でレースするためパートナーが必要なこと。また、大会ルールで安全上の問題でチームメートが常に視界に入る位置での走行が義務付けられているため、練習仲間でフィジカルレベルが近い橋口潤一郎選手(AX MTB TEAM)を誘ってチームを組むことにした。橋口選手はMTBクップ ドゥ ジャポン(CJ)のクロスカントリーをエリートクラスで走る健脚の持ち主だ。

スポーツアロマで頭痛半減

 橋口選手は以前から私の乗る「GIANT ANTHEM ADVANCED PRO 29ER」に興味があり、今回は荷物を減らすことも含めて、弊社の試乗車「GIANT ANTHEM 29ER 2」で参戦してもらうことになった。トラブル対応としては、予備チューブ x2、CO2ボンベ x2、ポンプ、交換リアエンド、携帯工具、タイヤブートに加えて、大会側から支給の発炎筒を橋口選手と分担してバイクにセットした。

 コースの各エイドでは補給食の供給があるものの、過酷なレースのため、大会側からは1000kcal程度の補給食の携帯を推奨された。過去参加した選手から情報をもらいながら、今回補給食として、ジェル系、シリアルバー、魚肉ソーセージなどを準備した。実は移動前日の金曜日から頭痛と肩痛がひどく、さらに天気予報も良くなかったことから内心ナイーブになっていたが、出展していたスポーツアロマコンディショニングの軽部さんに、夕方時間ギリギリで施術してもらって頭痛がかなり改善した。

1000kcal補修食+バナナを追加

補給食として、ジェル系、シリアルバー、魚肉ソーセージなどを準備 Photo: Tomohiro SAITO 

 レース当日は午前3時半に起床、4時に朝食を食べて、長丁場に備えてスタート15分前に追加でバナナを食べてスタートラインへ。天気予報では、スタートから3時間半経過した午前9時頃から一日中雨の予報で、最後までカッパを持っていくか悩んだものの、予報が外れて欲しい希望と早くゴールする意気込みでカッパは持たず、念のためベストを背中に忍ばせた。

 会場の「道の駅虹の森公園」前の国道を2車線通行止めにした贅沢なスタートゾーンから、午前5時半に一斉にスタート。林道に入るまでの約2kmは舗装路を門田選手率いるナショナルチームの3人が先頭でコントロールしながら進む。エントリーが最終ギリギリだった我々は、置いてきぼりを食らわないように後方から先頭集団に向けて一気に合流した。

午前5時半スタート。「道の駅虹の森公園」前の国道を2車線通行止めにした贅沢な演出だ ⒸMSBR

ナショナルチーム、山本和弘選手らと先頭集団

 その後、林道への上り口に入ったところで先頭集団は、ナショナルチーム、我々、そしてCannondale JAPANの山本和弘選手率いるTEAMISYYの3チームとなっていた。会話しながら進んでいたこれまでとは違い、上り坂に入ると会話が少なくなる。そしてこの段階で自分の心拍が異様に高い(175bpm *最大195)ことに気づいた。

 そういえば、前夜は相方の橋口選手が秒殺で気持ち良さそうに寝落ちしたのと相反して、ほとんど眠りにつくことができなかった。MSBRのような一日中楽しめるサイクルレースは「Raphaジェントルマンレース」以来で、遠足前の小学生のようにワクワクとドキドキで興奮していたのだろう。ともあれ、負荷が高くないのに身体の調子が良くない可能性があるので、気を引き締めて行こうと自分自身に念を押した。

序盤はナショナルチーム、TEAMISYYと先頭集団を構成して進む ⒸMSBR

 MSBRのアルティメットクラスでは主に4つの林道を使ったダイナミックな獲得標高のコースが特徴だが、コースの設営方法も工夫されている。分岐や交差点の前になると、白いGIANTのコーステープが見えてくる。分岐の手前に1カ所、分岐に1カ所、分岐を抜けてから正しい道には1カ所、約1mの長さのコーステープが設置されている。話に夢中になっていると最初の一個目を見逃す場合があるが、3カ所あるため山中で現れる分岐でもほぼ迷うことはない。

白いGIANTのコーステープが分岐や交差点で選手をガイド(2017年大会画像) ⒸMSBR 
GIANTのGPSサイクルコンピューター「NEOS TRACK」にコースマップを入れてガーミンと併用 Photo: Tomohiro SAITO

 過去の大会リポートを読んで、念のためルートを間違わないためにGIANTのGPSサイクルコンピューター「NEOS TRACK」にコースマップを入れてナビモードで常時表示することで、一度もミスコースすることなく進むことができた。また、NEOS TRACKの表示を「高低差」に都度切り替えることで、上りや下りのコースプロファイルを常時確認できたので、体力を上手くマネジメントすることができた。

ナショナルチームと一緒に良いペースで滑床林道を駆け上がる ⒸMSBR 

“抹茶おかわり”のスキに先頭奪取

 1つ目の「滑床林道」はピークのチェックポイント(CP)まで高低差約1000mを上るいきなり厳しいレイアウトのため、林道の中盤からはナショナルチームと我々の2チーム5人で進むことになった。皆気の合うメンバーだったので会話も弾みながら順当に進んでいると、突如今回のMSBRで初お目見えの女子ユニット「ムービングマスク隊」が水鉄砲片手に水掛で応援してくれるが、この日は気温が低くリアルに寒い(笑)。

女子ユニット「ムービングマスク隊」が水鉄砲から水を掛けて応援してくれたのだが。。。 ⒸMSBR

 冷えた身体を温めるべく5人のまま良いペースで第1CP+フィードの「鹿のコル」に到着。ここは「表千家流」の先生がお抹茶を一人ひとりに入れてくれる豪華なサービスフィード。一通り休んだので先を急ごうとすると、なんとナショナルチームはお抹茶のおかわりを要求。このタイミングで我々は先に出発して、密かな目標だったナショナルチームよりも先頭を走ることに早くも成功!

「表千家流」の先生から淹れててのお抹茶をいただく Photo: Tomohiro SAITO
トップを走っていたナショナルチームの門田選手が抹茶をおかわりする間に、先に出発してトップに! Photo: Tomohiro SAITO 
もうひとつの名物「鹿肉ソーセージ」でエネルギー補給 ⒸMSBR 

 第2フィードでは、MSBRのもう一つの目玉「鹿肉のソーセージ」が振舞われる。絶品の鹿肉ソーセージを頂き出発するところで、ナショナルチームとTEAMISYYが到着。TEAMISYYが予想よりもタイムを詰めてきているので気を引き締めて先に「西谷林道」のに突入した。一つ目の「滑床林道」のパンチが強すぎたので約300mアップの「西谷林道」は順当にクリアして、次の難関まで舗装路で10kmの高速移動に入った。ここで調子に乗って、いつもの練習のように二人で先頭交代しながらハイペースを刻んでしまったことが後々の後悔につながることに…。

リバークロスを水しぶきを上げてクリアする山本和弘選手 ⒸMSBR 

名物「リバークロス」もクリア

 3つ目の「玖木林道」に入ると、大会名物の川渡り「リバークロス」セクションが現れる。幸い透明度の高い水のおかげで川底にある大きな石をしっかり確認することができたので無難にクリアできた。その後本当の難所が現れた。話に聞いていた激坂だ。滑りやすい玉砂利の路面と急勾配、さらに舗装路区間で踏みすぎてしまった我がチームは、ヘロヘロになりながらなんとか足をつかないように上るものの、この区間でナショナルチームのメンバーに勢い良く抜かれてしまう。流石は国内エリートトップクラスの走りだ。

トップを快走した門田基志選手らナショナルチーム ⒸMSBR 

 第3フィードに着くころには雨が本格的に降り始めていた。疲労が出てきた中で、残り60kmこの雨に降られて走ることを考えると憂鬱な気持ちになったが、第3フィードにいた軽部さんがマッサージでその心と身体をほぐしてくれた。このフィードでもゆっくり休憩していたナショナルチームに続けと、急いでベストを羽織って次の難関「日見須林道」に突入する。ここまでの進行が早すぎたためか、また遭遇した「ムービングマスク隊」の準備が間に合わず何もされず通過してしまう残念な出来事もおこった。

 この林道は門田選手曰く「MSBRで最もきつい上り」セクションで、「先が長いのでペース配分を間違えるとかなりきつい」とのアドバイスをもらったので、無理をせず順当にナショナルチームから千切れる(笑)。前34T、後50Tのインナーローギアでも厳しい勾配の坂に、遠く前方でフル乗車する門田選手を尻目に、斎藤・橋口ともに数回足を着いてしまう始末。くやしい…。

“狼”や“ライオン”からフィードを受ける参加者 ⒸMSBR

秘策「魚肉ソーセージ」補給

 そんな時には、チームメートの橋口選手と励まし合いながら、またゴールまでの長丁場に備えてカロリーもミネラル系もしっかり補給するようにお互いで確認しあった。中盤から後半の空腹対策に、西山選手に教えてもらった秘策の「魚肉ソーセージ」もロングライドでかなり重宝することを体感した。

 次のフィードである沈下橋には、これまたMSBR名物の「鎧武者」がお出迎えしてくれる。これほどハードなレースなのに演出やホスピタリティが充実しており、疲れた身体と気持ちを癒してくれる。タイムレースで鎧武者と記念撮影する時間を贅沢に使うのは、MSBRの他には間違いなくないであろう。

沈下橋で鎧武者がお出迎え! タイムレースなのに演出が凝っているのもMSBRならでは Photo: Tomohiro SAITO

 残るは50kmだ。ぶっつけ本番でANTHEMに初めて乗る橋口選手はここまで素晴らしい走りを見せてくれたが、ベストもカッパも持参しなかった影響もあり、流石に消耗してきている。無理のない範囲でお互い先頭交代しながら15kmの舗装路区間をひた走ると、和太鼓の演奏が聞こえてきて「松野南小学校」フィードに到着した。子供たちが演奏する元気な和太鼓と、このフィードで提供されたANAのコンソメスープが、濡れて冷えた身体を温め元気をくれた。

松野南小学校では子供たちが演奏する和太鼓に元気をもらう ⒸMSBR
松野南小学校ではANAのコンソメスープで体の芯から温まった Photo: Tomohiro SAITO

 残すは最後の難所、全長約20kmの「目黒林道」だ。疲労が蓄積してきているが二人で最後の上りをかみ締めながら頂上を目指す。ガスに囲まれた頂上のフィードでナショナルチームと合流して、最後のご褒美ロングダウンヒルセクションに突入した。雨が降り視界が悪い中、大きな石がゴロゴロしている高速の林道ダウンヒルは所々楽しいを通り越して怖い部分もあり、残念ながら快調に飛ばすナショナルチーム3人からは大きく離されてしまった。

目標どおり初優勝達成

 無事下山して、再び「松野南小学校」に戻りコンソメスープで暖をとったあとは、二人でゴールまで残り9kmを急いだ。最後の舗装路区間は、橋口選手のANTHEMの感想やレース全体の話で盛り上がりながら、オープン参加のナショナルチームを除くと目標とした「優勝」が現実のものになる実感を二人で味わいながらゴールを迎えた。

最後もムービングマスク隊の祝福を受けながら勝利のガッツポーズ ⒸMSBR 
優勝商品のお米もしっかりいただきました ⒸMSBR

 初参戦のMSBRは、雨に降られたものの体調を崩すことなく、松野四万十の大自然と贅沢にも普段入ることができない林道を対向車に気を使わず楽しく走ることができ最高の体験となった。コースはものすごく辛かったが、4回目となるMSBRに毎年リピートでエントリーしている人の気持ちも、今となってはわかる気がする。また、各フィードでの補給食やアトラクションも楽しむことができ、チームとして参加した橋口選手ともこの体験を通じてより仲良くなれたと信じている。

 大会を運営していただいた松野町、およびスタッフの皆様、素晴らしい体験をありがとうございました。

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