クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2019 第4ステージファンアールトが圧倒的タイムでワールドツアー初優勝 アダム・イェーツが総合首位に

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 フランスで開催中のUCIワールドツアー、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネは6月12日、第4ステージの個人タイムトライアル(TT)が行われ、ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が2位に31秒の大差を付ける圧倒的タイムで、ワールドツアー初優勝を飾った。個人総合成績は大きく入れ替わり、アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が総合首位に立った。

今季UCIワールドチームに加入してのワールドツアー初勝利をついに飾ったワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) Photo: STIEHL / SUNADA

フルームが落車リタイアの衝撃

 ロアンヌを発着に26.1kmで行われた今大会唯一の個人TTステージは、中間地点に向けて約4kmの丘越えが用意され、前半は平坦から上り基調、後半は下り基調から平坦となる。王道のTTコースは今大会の行方を占うだけでなく、来月に迫ったツール・ド・フランスに向けて、有力選手の仕上がり具合を知るのに絶好の機会だ。前日までの個人総合成績の下から順に、選手が一人ずつ、1分間隔でスタートしてタイムを競った。

 レースが始まってすぐ、衝撃的なニュースが飛び込んできた。前日まで総合8位につけ、これまでドーフィネ総合優勝3回、さらにはツール・ド・フランスでも総合優勝4回を誇るクリストファー・フルーム(イギリス、チーム イネオス)が、レース前の試走中に激しく落車し、リタイアすることが決まったのだ。病院での検査の結果、大腿骨の骨折が判明。ツール出場も絶望的となってしまった。

デュムランの好タイムをファンアールトが更新

 フルームを除く142人の選手が次々スタートしていく中、総合78位で中盤にスタートしたジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)が34分37秒という好タイムで途中、暫定首位に立った。

地元フランス期待のピノは、区間14位でタイムをまとめた Photo: STIEHL / SUNADA

 このタイムを塗り替えたのが、総合50位からスタートしたトム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ)だ。上り基調の前半をアラフィリップとほぼ同タイムでこなすと、後半に加速して、ゴールではアラフィリップを11秒上回る、34分25秒のタイムで首位に立った。5月のジロ・デ・イタリアを落車負傷でリタイアしたデュムランにとって、今大会は復帰後の試運転的な位置づけ。コンディションは上々のようだ。

 しばらくデュムランのタイムを破る選手は現れなかったが、デュムランから30人目、総合20位でスタートしたファンアールトが、驚異的な走りを見せた。中間計測でデュムランのタイムを18秒も上回ると、テクニカルなコーナーを含む後半でも勢いは衰えず、最終的にデュムランを47秒も上回る、33分38秒という驚異的なタイムを叩き出した。

マイヨジョーヌを着て出走したトゥーンスは14位と“好走”したが、総合首位の座は4秒差で明け渡すことに Photo: STIEHL / SUNADA

 ファンアールトのタイムは圧倒的で、中間計測でもこれを上回る選手は現れない。2人後に走ったステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)は中間で8秒差と、射程圏内かと思われたが、後半失速して49秒差の34分台にとどまった。その後の上位勢も、いずれも中間計測時点でファンアールトのタイムを上回れない。

シクロクロス王者がロードでも待望の勝利

 結局、総合14位からスタートのティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、EFエデュケーションファースト)が、唯一ファンアールトとデュムランの間に入れたのみ。ファンアールトの暫定1位は最後まで動かないまま、最終走者のディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ)が区間14位のタイムに終わり、ファンアールトの今季初優勝、そしてワールドツアー初優勝が決まった。

総合ポイント賞、同新人賞も引き続きキープするファンアールト。集団スプリントから上りもこなし、先だって出場を表明したツール・ド・フランスでは、サガンのライバルとなるかもしれない Photo: STIEHL / SUNADA

 シクロクロス競技においては世界選手権エリート3連覇など、24歳にして圧倒的な存在感を発揮していたファンアールト。ロードレースでは今年ワールドチーム入りし、本格的なワールドツアー参戦をスタートさせたばかりだ。今シーズンここまで優勝まであと一歩の惜しいレースが続いていたが、シクロクロスで磨いた集中力とテクニックを武器に、ついにロードレースでも大きな勝利を手に入れた。

 各選手にタイム差が付いたことで、個人総合順位は大きく入れ替わった。区間6位でまとめたイェーツが総合10位からジャンプアップして首位に立ち、リーダージャージのマイヨジョーヌに袖を通した。

 翌第5ステージは、201kmで行われる。中間地点までに4級山岳が4つあるが、後半は目立った上りはなく、集団ゴールスプリントになる可能性も高い。細かいアップダウンの中をスプリンターチームがエースを最後まで運びきれるか、他のチームが波乱を起こすのか、区間優勝をめぐる駆け引きに注目したい。

総合首位に立ったアダム・イェーツ Photo: STIEHL / SUNADA

第4ステージ結果
1 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) 33分38秒
2 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、EFエデュケーションファースト) +31秒
3 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) +47秒
4 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) +49秒
5 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +51秒
6 アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +56秒
7 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) +59秒
8 ニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) +1分5秒
9 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム) +1分7秒
10 レミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) +1分10秒

個人総合
1 アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 12時間27分26秒
2 ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ) +4秒
3 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、EFエデュケーションファースト) +6秒
4 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム) +7秒
5 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) +24秒
6 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) +25秒
7 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +26秒
8 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ プロチーム) +30秒
9 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)
10 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +40秒

ポイント賞
1 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) 57 pts
2 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) 39 pts
3 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ プロチーム) 38 pts

山岳賞
1 カスパー・ピーダスン(デンマーク、チーム サンウェブ) 18 pts
2 マグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ プロチーム) 13 pts
3 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) 12 pts

新人賞
1 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) 12時間27分56秒
2 ニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) +1分14秒
3 ビョルグ・ランブレヒト(ベルギー、ロット・スーダル) +2分15秒

チーム総合
1 EFエデュケーションファースト 37時間25分36秒
2 アスタナ プロチーム +14秒
3 ミッチェルトン・スコット +1分4秒

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