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山下晃和の「“キャンプ”ツーリングの達人」<8>キャンプスタイル別 快適な睡眠を確保する「スリーピングマット」の選び方

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 「三種の寝具」としてテント、スリーピングバッグ(寝袋)について紹介しましたが、最後に登場するのがマットです。「スリーピングパッド」「スリーピングマットレス」などという表記もありますが、正式には「スリーピングマット」と呼びます。これは敷布団やベッドの上に載せるマットレスと同じように、背中の下に敷くことで凸凹の地面でも快適に寝られる効果があります(寝袋の中に入れるタイプもあります)。また、地面からの冷気を遮断し、スリーピングバッグとの間に空気の層を作るため、保温性を高めます。

凸凹の地面でも平らに快適に眠れる必須アイテム、スリーピングマットを紹介します Photo: Akikazu YAMASHITA

低コストで買い替えできる銀ロールマット

 色々な種類のマットがありますが、学生の自転車部の方々がよく使うような代表的なものが「銀ロールマット」(アルミロールマット)だと思います。銀の部分はアルミ処理が施されているので、断熱効果が期待できます。また、非常に値段も安いため、ボロボロになってもすぐに買い替えられるのが良い点です。ただし、収納するときに小さくならないので、キャリアの天板の上に載せて運ぶことになるでしょう。そうなるとサドルバッグには入れられません。

 フラットバーハンドルの車体であれば大型フロントバッグに入れるか、「VOILE」のストラップなどを使ってハンドルに直接マウントさせることで収められますが、バイクパッキングのようにトレイルを走るスタイルだと邪魔になってしまうかもしれません。

保温性、耐久性の高いクローズドセルマット

 ロールタイプやパタパタと折りたたむものは、「クローズドセルマット」といいます。膨らませなくてもよい柔らかいマットです。素材は「架橋(かきょう)ポリエチレン」といいますが、これは覚えておかなくても良いでしょう。

「サーマレスト」の「Z-Lite」。上がオレンジ色で、下が銀色になっているタイプです。パタパタと折りたためるので簡単に設営、撤収ができます Photo: Akikazu YAMASHITA

 クローズドセルマットは銀ロールマットよりも表面が柔らかく、クッション性が高いのと、凹凸面に空気の層ができるので保温性に優れています。また、「サーマレスト」というアメリカのブランドの「Z-Lite」というモデルに代表される折りたたむタイプは、簡単に畳めるので撤収のスピードが圧倒的に早いのも特徴です。

 こちらは「銀ロールマット」に比べれば耐久性が高く、後ほど話す「インフレータブルマット」のようにパンクすることもないので15年以上使っています。ただし、銀ロールマットと同じように小さくなるわけではありません。積載する場合はキャリアの上か、フラットバーハンドルの前に横長のフロントバッグに装着するなどの工夫が必要になってきます。

最も軽くコンパクトなインフレータブルマット

アメリカブランド「クライミット」の「スタティックV」というモデル。体の圧力を分散させるためにVの字のコンパートメントになっていて、仰向けだけでなく、横になってもフワフワで寝心地が変わりません Photo: Akikazu YAMASHITA

 もっとも軽く、コンパクトになるのが「インフレータブルマット」。文字通り“膨らませるマット”です。重量は400gから500gくらいの物が多く、スタッフサックという付属の袋に入れると空き缶ほどのサイズになります。コンパクトになるため、自宅での収納時も場所を取りません。「プリマロフト」という保温素材が内蔵されるタイプもあり、寒い冬でも快適に過ごせます。

 欠点はパンクする可能性があるということです。アウトドアシーンでは、岩や木の枝が落ちているところが多いため、それらの突起物を踏んで穴を開けてしまうと、たちまち萎んで保温性がなくなります。

 縦走登山では致命的ですが、自転車でのキャンプの場合は死に至るケースは少なく、それほど心配することはないと思います。しかし、そういったケースが起こりうることを想定しておいた方がいいでしょう。パンクしてしまったらアウトドアショップで直してもらうか、自分でパンク修理パッドで補修します。これは自転車のタイヤと同じですね。3つのタイプの中では、一番値段が高いというデメリットもあります。

マットはバッグのサイズで決まる

 毛足が長くて整った芝生のキャンプ場であれば、マットは必需品ではありません。しかし、岩場や砂利の上に寝るシチュエーションであれば、無いと寝られない可能性も出てきます。冬場や春先の寒い時期だと、地面からの冷気は文字通り底冷えするので絶対にあった方が良いでしょう。以前、マットを忘れて寝たところ、寒さで頭痛になり一睡もできなかったことがありました。

翌朝の撤収時には、テント、スリーピングバッグ、マットの結露や濡れを乾かせるために太陽光に当てると軽量化になるだけでなく、ギアも長持ちさせます Photo: Akikazu YAMASHITA

 これらを選ぶ基準はご自身で使っているバッグの種類で決まります。バックパックに背負う場合は一番小さくて軽量な「インフレータブルマット」が良いですし、キャリアが搭載されている自転車はどのマットでも簡単に積載できます。

パニアバッグとリアキャリアがあれば、どんなマットでも積載可能です Photo: Akikazu YAMASHITA

 ドローコードやウレタンストラップを使って、フロントバッグ上に接続するなど、バイクパッキングでも工夫次第で「クローズドセルマット」を積めますが、「インフレータブルマット」であれば、フロントフォークの横に大きめのケージを付けるだけで容易に装着できます。

 また、マットには半身タイプや全身タイプなど様々な長さのものがあります。半身タイプは縦走登山でバックパックを枕や背中に敷いて接続させることができますが、自転車の場合はパニアバッグや大型サドルバッグにプラスチックの補強材が邪魔になり、マット代わりに使えない可能性が高いので、全身タイプをお勧めします。

 多めの衣類やアウトドア用のインフレータブルピロー(枕)を持っていくなら、半身タイプにチャレンジすることも可能です。しかし、睡眠時間の確保は翌日の英気を養う上でとても大切なことなので、ビギナーは全身タイプにしておきましょう。

山下晃和さんトークイベント「キャンプツーリングのすすめ」 7月3日にモンベル御徒町店で開催

 山下晃和さんによるトークイベント「キャンプツーリングのすすめ」が、7月3日(水)午後7時からモンベル御徒町店(東京・台東区)で開催されます。キャンプツーリングビギナーを対象とした座学形式のイベントで、山下さんが直伝するハウツーや、モンベルアイテムを例にキャンプ道具に直接触れられる貴重な機会です。この夏、キャンプツーリングの挑戦してみたいという方はぜひご参加ください! 詳細・申込みはこちら⇒「キャンプツーリングのすすめ」詳細

山下晃和山下晃和(やました・あきかず)

タイクーンモデルエージェンシー所属。雑誌、広告、WEB、CMなどのモデルをメインに、トラベルライターとしても活動する。「GARVY」(実業之日本社)などで連載ページを持つ。日本アドベンチャーサイクリストクラブ(JACC)評議員でもあり、東南アジア8カ国、中南米11カ国を自転車で駆けた旅サイクリスト。その旅日記をもとにした著書『自転車ロングツーリング入門』(実業之日本社)がある。趣味は、登山、オートバイ、インドカレーの食べ歩き。ウェブサイトはwww.akikazoo.net

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