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栗村修の“輪”生相談<155>50代男性「トレーニング後の晩酌は悪影響でしょうか?」

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 今年50歳になります。

 毎日仕事から帰宅後に筋トレとローラー、土日には実走で追い込んでいますが、晩酌の誘惑にはどうしても勝てず毎晩ビール2~3本程度ですが飲んでいます。

 平日帰宅後のトレーニング後の晩酌が悪影響を及ぼすのかお伺いしたいです。

(50代男性)

 実は僕、最近までお酒の美味しさが分からなかったんですよ。

 もちろん打ち上げなどでお酒を飲む機会はありましたし、そういう場所ではそれなりに飲みましたけれど、一人でお酒を飲むことはなかったんですね。お酒は騒ぐための手段だと思っていました。今だから言いますが、お酒を美味しいとは思わなかったんです。

 しかし40歳を超えると、暑い時期のビールの喉越しやピート香を感じるスモーキーなウイスキーを美味しいと感じるようになりました。大人になったということでしょうか。

 まあ自分のことはともかく、僕が知る限り、選手たちにはお酒好きも少なくない印象です。で、お酒が好きな人はなんだかんだでお酒を正当化する傾向にありますよね。よく聞くのが「少量の飲酒は体にいい」という説です。

 ところが残念なことに、その説は100%正しいとも言えないようです…。

 あちこちのメディアで話題になったのでお酒好きの方はご存知かもしれませんが、2018年にイギリスの権威ある医学雑誌『ランセット』(LANCET)に掲載された論文によると、「アルコール」は、ごく少なくてもガンなど病気のリスクを増大させてしまうらしいんですね。健康リスクを避けたいなら飲まないしかない、と。

ツール・ド・フランス2016、最終ステージの一コマ Photo: Yuzuru SUNADA

 そういえば以前、宇都宮ブリッツェンの増田成幸選手も「アルコールは百害あって一利なし」と言っていました。彼は勉強家なので、こういう説を調べたのかもしれません。彼自身、お酒は嫌いではないはずですが、その年は一杯も飲んでいないと言っていました。そのせいかどうかは分かりませんが、成績が良かったのは確かです。

 しかし、ここで注意したいのが、「お酒を飲む」という表現についてです。

 日本では一般的「お酒を飲む」というと、ビール、ウイスキー、焼酎、日本酒、ワインなどなど、アルコール分が含まれた飲料を飲む行為を差します。一方、ワインに含まれているポリフェノールなど、「お酒」であっても体に良いとされる成分を含んでいるものもあります。

 体に害を及ぼすものはあくまで「アルコール成分」であり、「お酒=悪」と言い切ってしまうのはやや性急なのかもしれません。

 また、お酒が体に悪いのは間違いないようですが、心に対してはどうでしょうか。

 お酒以外の要素、たとえば練習とかダイエットについても言えることなんですが、心と体の利害が一致しないケースはたまにあるわけですね。たとえば「燃え尽き症候群」になってしまうのは、体は大丈夫でも心が悲鳴を上げてしまった場合ですよね。あるいはダイエットを頑張りすぎて病んじゃうとか。体の利益だけを計るのが正解とは限らないわけですよ。そんな時、仲間と飲む適量のお酒が心をリセットしてくれるかもしれません。

 質問者さんの場合、体のことだけを考えるなら飲まないのがベストであることは間違いありません。アルコールは肝臓など内臓にも負担をかけますし、ビールのカロリーは馬鹿になりません。筋肉にダメージを与えるという話もありますし、長い目でみたらガンなどのリスクを上げてしまいます。

 しかし、心はどうでしょう。いきなり断酒したとして、質問者さんが楽しくトレーニングを続けられるかどうか。僕にはわかりません。案外大丈夫かもしれないし、ダメかもしれません。

 ひとつ言えるのは、アルコールの体へのリスクはおおむね飲む量に比例して増えていくということです。つまり、量が少なければリスクも少ない。だから、そのリスクと質問者さんの心を天秤にかけるしかないのではないでしょうか。

 良質な原料でつくられた「高いお酒」を少量嗜むのが、バランスの取れた大人の愉しみ方なのかもしれませんね。

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
 ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「輪生相談質問」としてお寄せください。

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