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旅サイクリスト昼間岳の地球走行録<31>アフリカで注意すべき写真トラブルと、意外な金銭ギャップ

by 昼間岳 / Gaku HIRUMA
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 アフリカ走行を控え、何が一番不安だったかというと、やはり治安だ。ただ、実際に走ってみると思ったほどには危険を感じなかった。物珍しさからすぐに人だかりが出来てしまうが、自転車や荷物に触られる事はほとんどないし、基本的にフレンドリーな人達だらけだ。しかし写真のトラブルは他の地域より多かった。アフリカ以外でも人物を撮る場合は許可を得るようにして撮っていたが、普通に町の風景の写真を撮ると「今俺の写真を撮っていただろう」と言われることが多かった。

商店で少し買い物しているとすぐ人だかりが出来る。カメラを出すとさらに増える Photo: Gaku HIRUMA

カメラはトラブルのもと

 宗教上の理由や本当に写真嫌いな人もいるが、まぁそのほとんどは“いちゃもん”だった。金を要求されることもあれば、「消せ」と言われることもあった。その場合は一緒にデータを確認して、その人が写っていなくても消して、早々に立ち去ることにしていた。

東アフリカの酒場は場末の酒場感が漂い好きだった。地元の人は大体陽気だ Photo: Gaku HIRUMA

 そしてこれは僕の不注意でもあるが、走行中何気なく撮った写真に警察か軍の建物が写ってしまった。呼び止められたので、いつものようにコミュニケーションを図ろうと近づくと、「建物の中に入れ」と言われ、そこでしまったと気が付いた。

 僕は必死に旅の経緯を説明して怪しいものではないと伝えた。カメラの写真をくまなくチェックされ、「建物が写っている写真を消しなさい」と言われたが、消した後は賄賂を要求されることもなく無事解放された。時間にして15分くらいだったか。冷汗が止まらなかった。

 これはアフリカに限った事ではないが、政府の建物はもちろん、鉄道や橋など施設はトラブルになるのでカメラはしまっておくことが原則だ。

食も問題なし

 僕がアフリカで走ったルートはエジプト、エチオピア、ケニア、タンザニア、マラウィ、モザンビーク、ジンバブエ、ボツアナ、ナミビア、南アフリカだ。日中は走行中や街歩き中でも、よほど裏道に迷い込まない限り危険は感じなかったが、危険地域はもちろん存在する。

 2013年当時はナイロビのダウンタウン、タンザニアのダルエスサラーム、南アフリカのヨハネスブルグが危ないといわれていたので近寄らなかったし、治安が比較的良いとされている都市でも人通りが少ないところは歩かなかった。

今の時代とは逆行する全く写真栄えしない食べ物だが、これが不思議と食べていくうちにはまってくる。ウガリと牛肉の煮込みをテイクアウトで Photo: Gaku HIRUMA

  一方で食料や水の補給は特に問題なかった。小規模の村でも小さな商店や食堂はあったし、主食が米なのは非常に有難かった。「ウガリ」や「シマ」と呼ばれる、トウモロコシやキャッサバの粉を水で練って蒸しパンのようにしたアフリカの主食も、初めはあまり美味しいとも思わなかった。しかし地方によっては食堂にウガリしかなく、仕方なく食べていると素朴な味わいが付け合わせのシチューとの相性抜群で、腹持ちも良く徐々にはまってくる。最終的には米とウガリを選べる場合でもウガリを選ぶくらい好きになっていた。

 場所によって無人地帯が200km近くあり、水が補給できないこともあるが、事前に無人地帯とわかっていればなんてことはない。旅中はMSR社の「ミニワークスEX」という浄水器を常に持ち歩いていたが、アフリカでは結局一度も使わなかった。

パンケーキ2円、宿1泊25ドル

 しかしアフリカで一番ギャップを感じたのは物価の高さだ。エチオピア、タンザニア、マラウィは安く、宿代も食事も数百円~1000円程度で済む。ケニアは上記の国より少し高いくらい。南部のナミビアと南アフリカはヨーロッパ並みに高いが、そのクオリティもヨーロッパのように洗練されているので、払う価値は充分にあった。

典型的な安宿。タンザニアは物価が安く宿が利用しやすい。最低限の部屋だが、大体蚊帳は付いていた Photo: Gaku HIRUMA

 ただ問題は中部のザンビア、モザンビーク、ジンバブエ、ボツワナだ。地元の人が使うような市場や食堂は安い。やはり数百円で食べられる。問題は宿代だ。簡素な部屋に傷んだスプリングのベットと机がひとつ。バケツが置いてありシャワーは当然水しか出ない。まぁよくあるアフリカの典型的な安宿だ。これに文句はないが、やる気のない従業員は不愛想に言う。

 「一泊25ドルだ」

モザンビークの路上でパンケーキを買う。とても美味しくひとつ2円くらいなのに、宿代は25ドル以上と飛びぬけて高い Photo: Gaku HIRUMA

 愕然とする。小さい集落の道端で売ってるおばちゃんのパンケーキが2円くらいなのに。25ドルを要求するなら、せめてもっと掃除したり笑顔で接客してほしい。宿代が高いため、アフリカを旅するバックパッカーですらほとんど自前のテントを持って旅しているほどだ。野宿ではなくて宿の庭などに格安でテントを張れる。

野生動物と出会う場所

 そして、アフリカと言えばやはり野生動物だ。そこらじゅうに野生動物がいるというイメージだが、実際は野生動物の保護区や国立公園になっている地域に行かないとそうは見られない。ましてや国道が保護区を横切っている所なんてほんの一部だ。

道路脇の休憩スペースには野生動物エリアとの表示が。出来ればこんなところでテントは張りたくない Photo: Gaku HIRUMA

 僕が走ったところだとタンザニアのミクミ国立公園と、広大なボツアナくらいだ。ライオンやチーターなどの肉食動物に路上で出会う事はほとんどないが、シマウマやキリン、象などは頻繁に見かけることができる。

 比較的に野宿もしやすい大陸だが、絶対に人なんていなさそうな場所にテントを張っても、人に遭うのもアフリカだった。ただ見つかっても危険な雰囲気になったことはなく、挨拶して少し話して別れるだけだったので、そのまま場所を変えずに夜を明かした。

 人は問題なかったのだが、野生動物のテリトリーでテントを張らざるを得ない状況は恐怖でしかないので、野宿できそうな地域でも、野生動物の保護エリアなどは避けるように走りたい。

昼間岳昼間岳(ひるま・がく)

小学生の時に自転車で旅する青年を見て、自転車で世界一周するという夢を抱いた。大学時代は国内外を旅し、卒業後は自転車店に勤務。2009年に念願だった自転車世界一周へ出発した。5年8カ月をかけてたくさんの出会いや感動、経験を自転車に載せながら、世界60カ国を走破。2015年4月に帰国した。『Cyclist』ではこれまでに「旅サイクリスト昼間岳の地球写真館」を連載。ブログ「Take it easy!!

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