ジロ・デ・イタリア2019 第21ステージカラパスがエクアドル人初のジロ総合優勝に輝く 初山翔は総合142位で完走

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ジロ・デ・イタリアは最終日となる6月2日、第21ステージが開催され、チャド・ハガ(アメリカ、チームサンウェブ)が最速タイムをマークして、ステージ優勝を飾った。自身初となるグランツール・ワールドツアーでの勝利となった。マリアローザのリチャル・カラパス(エクアドル、モビスターチーム)は初のグランツール総合優勝を決めた。初山翔(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)は、総合142位で初めてのグランツールを完走した。

エクアドル人初のグランツール総合優勝を飾ったリチャル・カラパス Photo: Yuzuru SUNADA

フィーバーを巻き起こした初山が無事完走

 3500kmを越える長旅もいよいよ終点となるヴェローナに到着。第21ステージは、17kmの個人タイムトライアルで争われた。途中、登坂距離4.5km・平均勾配4.6%の上りを含み、ヴェローナの市街地区間ではコーナーも多く、石畳区間も登場するなどテクニカルなレイアウトとなっていた。

 総合成績で最下位の初山が1番手でスタート。第3ステージの一人逃げ以来、現地イタリア人ファンの心を掴んだ初山は一躍人気者に。この日は、中継カメラバイクが帯同し、初山の走る姿が国際映像に何度も映されていた。しかし、後続のウィリアム・クラーク(オーストラリア、トレック・セガフレード)とトム・ボーリ(スイス、UAE・チームエミレーツ)に抜かれ、フィニッシュ地点には3番目に到着。25分44秒のタイムをマークした。

総合142位で初出場のジロを完走した初山翔 Photo: Yuzuru SUNADA

 表彰式会場も兼ねたフィニッシュ地点では、MCの「ハツヤマ!」コールに会場が沸き上がり、さらには総合最下位、つまり誰よりもジロ・デ・イタリアを長く走ったことを称える、半世紀以上前に存在した「マリアネーラ」の黒ジャージがサプライズで用意されていた。

 連日、初山はグルペットで走ることが多く、そこにはマリアチクラミーノを着ていたパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)やアルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)といったスター選手もいたであろう。しかし、沿道の観客はアッカーマンやデマールではなく、初山に向けて歓声を送っていたという。

大本命を下す好走を見せたハガ

 初山の2分後にスタートしたボーリは、22分41秒を記録。序盤のターゲットタイムとなり、しばらく暫定1位を維持したものの、27番目にスタートしたチェコTT王者のヨセフ・チェルニー(CCCチーム)がトップタイムを23秒更新。

「自分向き」と語っていたコースで、惜しくもステージ2位となったヴィクトール・カンペナールツ Photo: Yuzuru SUNADA

 しかし、その4人後にスタートしたヨーロッパTT王者のヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル)が中間計測を6秒更新する快走を見せ、最終的にチェルニーを7秒上回り、暫定1位に。

 本ステージの大本命がしっかりトップタイムをマークして、後半の総合勢を待つのかと思いきや、カンペナールツの7人後にスタートしたチャド・ハガ(アメリカ、チームサンウェブ)が、カンペナールツを4秒上回る好走を見せた。中間計測では、カンペナールツから6秒遅れだったにもかかわらず、後半の下り区間と市街地区間で10秒タイムを挽回したのだった。

 ハガのタイムを更新する者は誰も現れないまま、終盤の総合勢のスタートの時間が迫ってきた。

3年前の大怪我から復帰し、2017年にはデュムランの総合優勝に貢献したアシスト職人のチャド・ハガがトップタイムをマーク Photo : Yuzuru SUNADA

全力走行のカラパスが総合優勝確定

 総合8位のサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)、総合7位のラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)、総合6位のミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナプロチーム)までは43秒差にひしめいていた。

 先陣を切ったイェーツは、中間計測でトップから36秒遅れ。マイカは25秒遅れに留め、ロペスは52秒遅れと失速気味に。この時点で、ロペスとマイカの総合成績が入れ替わっていたが、ロペスは後半区間でタイムを挽回できず。イェーツが1分遅れ、マイカが40秒遅れ、ロペスは1分20秒遅れとなり、マイカが総合6位に浮上した。

総合順位は落としたものの、総合新人賞を2年連続で獲得したロペス Photo : Yuzuru SUNADA

 総合4位のプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)と総合3位のミケル・ランダ(スペイン、モビスターチーム)とのタイム差は23秒。タイムトライアルを得意とするログリッチェの優勢と見られていたが、激闘の疲れが溜まっているのか、中間計測でトップから15秒遅れとタイムが伸び悩んだ。しかし、ランダも35秒遅れとなり、総合表彰台を守るためのリードはわずか3秒に。

 最終的にログリッチェは26秒遅れでフィニッシュし、ステージ10位となった。ランダは57秒遅れでフィニッシュし、8秒差で総合成績が逆転。ログリッチェが総合3位に滑り込んだ。

 いよいよ、マリアローザの雌雄を決する総合2、1位の登場だ。カラパスから1分54秒遅れのヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)は、総合の逆転は非常に難しい状況。それでも、地元イタリアの期待を背負ったベテランライダーはベストを尽くすべく、序盤から飛ばす。中間計測ではログリッチェを上回り、トップから13秒遅れで通過。

フィニッシュ直後にガッツポーズをするカラパス Photo: Yuzuru SUNADA

 一方のカラパスは全力を出し切るかのように、上体を震わせながら激走。決して効率的な走りではなく、中間計測で46秒遅れであったが、総合首位を守るには十分な走りだ。

 後半区間も快調にこなしたニバリは23秒遅れのステージ9位に。そして、カラパスは1分12秒遅れでフィニッシュし、総合優勝が確定。ジロだけでなく、グランツールを制した最初のエクアドル人となった。

アレーナ・ディ・ヴェローナの中心で、カラパスはエクアドル国旗と優勝トロフィーと共に Photo : Yuzuru SUNADA

 一時はログリッチェから総合成績で3分以上遅れていたものの、第13、14ステージで3分以上ものタイムを挽回。その後も、モビスターはチーム力の高さを見せレースをコントロールし、厳しい上りではランダとの連携が光り、第3週の難関山岳ステージでは最も安定した走りを見せていた。5月29日に26歳となったばかりの若き王者の今後にも期待だ。

涙のステージ優勝を飾ったチャド・ハガ Photo: Yuzuru SUNADA

 また、ハガのステージ優勝も確定。ログリッチェがフィニッシュしたあたりで勝利を確信し、ホットシートで涙が止まらず。3年前の2016年初頭、スペインでトレーニング中に、ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、当時ジャイアント・アルペシン)らと共に交通事故に巻き込まれ大怪我を負った過去を持つ。自身にとってキャリア最大の勝利となった。

 そして、無事に完走したアッカーマンがポイント賞のマリアチクラミーノを獲得。同じくチッコーネは山岳賞のマリアアッズーラを獲得。ロペスが新人賞のマリアビアンカを守り抜いた。

総合上位3人のカラパス、ニバリ、ログリッチェ Photo: Yuzuru SUNADA
総合ポイント賞を獲得したアッカーマン Photo: Yuzuru SUNADA
総合山岳賞のチッコーネ Photo: Yuzuru SUNADA

第21ステージ結果
1 チャド・ハガ(アメリカ、チーム サンウェブ) 22分7秒
2 ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル) +4秒
3 トマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) +6秒
4 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・メリダ) +9秒
5 トビアス・ルドヴィグソン(スウェーデン、グルパマ・エフデジ) +11秒
6 ヨセフ・チェルニー(チェコ、CCCチーム)
7 ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ プロチーム) +17秒
8 マッティーア・カッタネオ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) +20秒
9 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +23秒
10 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) +26秒
139 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +3分37秒

個人総合(マリアローザ)
1 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) 90時間1分47秒
2 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1分5秒
3 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) +2分30秒
4 ミケル・ランダ(スペイン、モビスター チーム) +2分38秒
5 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +5分43秒
6 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +6分56秒
7 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +7分26秒
8 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +7分49秒
9 パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チーム イネオス) +8分56秒
10 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +12分14秒
142 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +6時間5分56秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) 226 pts
2 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ) 213 pts
3 ダミアーノ・チーマ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) 104 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ジューリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) 267 pts
2 ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) 115 pts
3 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・メリダ) 86 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 90時間9分13秒
2 パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チーム イネオス) +1分30秒
3 ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト) +9分10秒

チーム総合
1 モビスター チーム 270時間44分14秒
2 アスタナ プロチーム +17分36秒
3 バーレーン・メリダ +18分31秒

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