ジロ・デ・イタリア2019 第20ステージ上りスプリントを制したビルバオが大会2勝目 カラパスがエクアドル人初のマリアローザに王手

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ジロ・デ・イタリアは6月1日、第20ステージが開催され、ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ プロチーム)が大会2勝目となるステージ優勝を飾った。総合首位のリチャル・カラパス(エクアドル、モビスターチーム)はステージ4位となり、マリアローザに王手をかけた。2分近いアドバンテージを持って最終日の個人タイムトライアルに挑む。初山翔(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)は、42分25秒遅れのステージ138位ながら時間内でフィニッシュし、完走まであと1ステージとなった。

第7ステージ以来、大会2勝目を飾ったペリョ・ビルバオ Photo: Yuzuru SUNADA

雌雄を決する超難関ステージ

 第20ステージはフェルトレからクローチェ・ダウネ/モンテ・アヴェーナまでの194kmで争われた。獲得標高5200mに達する今大会屈指の難関山岳ステージである。2、1、2、2、1級と5つのカテゴリー山岳が登場し、第16ステージのガヴィア峠(標高2618m)がカットされたことで、登坂距離18.9km・平均勾配7.9%のマンゲン峠(標高2047m)がチーマ・コッピ(大会最高標高地点)となっていた。

 前日ステージ終了時点で、総合首位のカラパスと、2位のヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)は1分54秒、3位のプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)は2分16秒のタイム差がついていた。翌日は17kmの個人タイムトライアルであり、TTが得意なニバリとログリッチェといえども、2分近い差をTTだけで逆転することは難しく、逆転総合優勝を狙うには本ステージでカラパスからタイムを奪う必要があった。

 レースはスタート後に10人以上の逃げ集団が形成。モビスターチームはアンドレイ・アマドール(コスタリカ)、バーレーン・メリダはダミアーノ・カルーゾ(イタリア)、アスタナプロチームはペリョ・ビルバオ(スペイン)、ダリオ・カタルド(イタリア)と、総合成績を狙うチームがアシストを多く送り込む展開に。

マンゲン峠を走る逃げ集団の選手たち Photo: Yuzuru SUNADA

 メイン集団はモビスターとボーラ・ハンスグローエがけん引し、タイム差は最大3分程度に抑えながらコントロールしていた。

 マンゲン峠手前の中間スプリントポイントを目がけて、逃げ集団からファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)がアタック。先頭でポイント通過を果たし、中間スプリント賞ランキング1位の座を、ダミアーノ・チーマ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)から奪い返した。その後も独走のままマンゲン峠を登坂開始した。

アスタナの猛攻により集団が崩壊

 マンゲン峠の中腹に差し掛かると、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア)を擁するアスタナプロチームがアシスト総動員してメイン集団をペースアップ。強烈なけん引により、集団は崩壊。ニバリとログリッチェがアシストを全員失うなど、レース終盤かのような激しい攻撃が繰り広げられた。

アスタナはアシスト総動員で猛攻を仕掛けた Photo: Yuzuru SUNADA
ロペス、カラパス、ランダが抜け出す展開に Photo: Yuzuru SUNADA

 すると、ロペスがフィニッシュまで118kmを残してアタック。カラパスとミケル・ランダ(スペイン、モビスターチーム)のみが追従し、ニバリとログリッチェは遅れを喫した。

"ファウスト"・マスナダが、ファウスト・コッピに由来する「チーマ・コッピ」を獲得 Photo: Yuzuru SUNADA

 一方、先頭のマスナダは独走で山頂に到達。チーマ・コッピの由来となったファウスト・コッピと同じ名を持つ選手が史上初めてチーマ・コッピを獲得。

 そして、カラパスグループは山頂付近で残りの逃げ集団に追いついた。20秒ほど遅れてニバリとログリッチェらが通過。ダウンヒルを得意とするニバリ、ログリッチェは下り区間でカラパスらの集団に追いついて、窮地を脱した。

 下りきったところで、マスナダも集団に引き戻され、集団のペースがやや緩んだところで遅れていた総合勢や、仕事を終えていたアシスト陣が集団復帰。

 30人ほどに増えた先頭集団からは、再び逃げに乗ろうとアタック合戦の末、序盤から逃げていたミケル・ニエベ(スペイン、ミッチェルトン・スコット)、ビルバオ、タネル・カンゲルト(エストニア、EFエデュケーションファースト)、アマヌエル・ゲブレイグザブハイアー(エリトリア、ディメンションデータ)、エディ・ダンバー(アイルランド、チーム イネオス)が抜け出し、少し遅れてヴァランタン・マデュア(フランス、グルパマ・エフデジ)、ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)、エロス・カペッキ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)が追走開始。しばらくして、8人の逃げ集団を形成した。

ローレ峠へと向かうメイン集団 Photo: Yuzuru SUNADA

 メイン集団はモビスターがコントロールを再開し、逃げとのタイム差を3分程度に保ったまま、3つ目のカテゴリー山岳となるローレ峠を越えて、レースは終盤を迎えた。

カラパスとランダの連携がピタリとハマる

 4つ目のカテゴリー山岳であるクローチェ・ダウネ(登坂距離11.1km・平均勾配5.5%)に向けて、モビスターが一気にペースアップ。逃げ集団とのタイム差が2分を切った状態で、上り区間に入った。

 吸収を嫌った先頭集団では、チッコーネのアタックを皮切りに動きが活発化。すると、マデュアが単独での抜け出し、残り16km地点で独走に持ち込んだ。

 メイン集団では、勾配が厳しくなる残り13km付近で、ロペスがアタック。この動きは決まらず、集団に引き戻されるも、すぐさま二度目のアタックを敢行。カラパス、ランダ、ニバリを振り切ることはできず、ログリッチェはやや遅れながらも、集団はひとかたまりになった。今度はカウンターでランダがアタック。単独での抜け出しに成功した。

カラパスとの連携が見事にハマったランダの好走 Photo: Yuzuru SUNADA

 ランダを追うメイン集団後方には、上りにやや苦しむログリッチェの姿があった。すると、沿道の観客がログリッチェの背中を十数秒間にわたって押すシーンが見られた。これにより、ログリッチェはフィニッシュ後に10秒のペナルティを受けることになってしまう。

 山頂を越え、下り区間に入るとニバリが得意のダウンヒルを披露。ログリッチェらメイン集団との差を広げ、ランダとの差を詰め始めた。カラパスはニバリの背後をピタリとマーク。ニバリに離されることなく、テクニカルな下りをこなしていく。

 下りきって、最後の1級山岳モンテ・アヴェーナ(登坂距離6.9km・平均勾配7.3%)の上りに入るところで、ニバリとカラパスはランダにジョイン。ひとまず、ログリッチェとの差を広げたいニバリはモビスターの2人と協調しながら上りをこなしていった。

ニバリ、カラパス、ランダは後続とのタイム差をじわじわと広げていった Photo: Yuzuru SUNADA

 逃げていたメンバーを次々に吸収、追い越しながら、先頭集団はニバリ、カラパス、ランダに加えて、ビルバオ、チッコーネ、ニエベ、マデュア、カンゲルトの8人となった。

 後方ではまたしても観客が関わるトラブルが発生。集団と並走していた観客がロペスに衝突。落車したロペスは激昂し、観客に手を出す場面も見られた。再スタートにも手間取り、ログリッチェらの追走集団からも完全に脱落。序盤からの積極的な走りが水の泡に。最終的にロペスはペナルティなしとなったが、後味の悪い展開になってしまった。

 フィニッシュまで残り2kmを切って、ニバリがアタックを仕掛けるも、カラパスとランダの牙城は崩せない。最後はカラパス自ら集団を率いて、ランダの総合成績とステージ優勝のためのアシストを見せ、最後は8人による上りスプリントに持ち込まれた。

 カラパスの高速けん引から発射されたランダが飛び出すも、最終コーナーでインを突いたビルバオが先頭に。そのまま最後まで踏み切って第7ステージ以来のステージ優勝を飾った。

ステージ4位でフィニッシュしたリチャル・カラパス Photo: Yuzuru SUNADA
フィニッシュ後に抱き合って喜ぶカラパスとランダ Photo: Yuzuru SUNADA

 カラパスとニバリは並んでステージ4、5位でフィニッシュ。ログリッチェは40秒ほど遅れてフィニッシュに到達。ステージ2位に入ったランダが総合3位に浮上し、ログリッチェは総合4位に後退。ロペスはさらに1分遅れてフィニッシュにやってきたが、総合6位とマリアビアンカはキープした。

エクアドル人初となるグランツール総合優勝まであと1ステージとなったカラパス Photo: Yuzuru SUNADA
エースにトラブルが起きたものの、ステージ優勝を飾ったビルバオ Photo: Yuzuru SUNADA

 最終第21ステージは、ヴェローナで17kmの個人タイムトライアルで争われる。途中、登坂距離4.5km・平均勾配4.6%の上りを含み、ヴェローナの市街地区間ではコーナーも多く、石畳区間も通過するなどテクニカルなレイアウトとなっている。カラパス有利ではあるが、総合上位の順位がシャッフルされる可能性も十分あり、最後まで目が離せない展開となりそうだ。

第20ステージ結果
1 ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ プロチーム) 5時間46分2秒
2 ミケル・ランダ(スペイン、モビスター チーム) +0秒
3 ジューリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) +2秒
4 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) +4秒
5 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
6 タネル・カンゲルト(エストニア、EFエデュケーションファースト) +15秒
7 ミケル・ニエベ(スペイン、ミッチェルトン・スコット)
8 ヴァランタン・マデュア(フランス、グルパマ・エフデジ) +25秒
9 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +44秒
10 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)
138 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +42分25秒

個人総合(マリアローザ)
1 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) 89時間38分28秒
2 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1分54秒
3 ミケル・ランダ(スペイン、モビスター チーム) +2分53秒
4 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) +3分16秒
5 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +5分51秒
6 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +7分18秒
7 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +7分28秒
8 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +8分1秒
9 パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チーム イネオス) +9分11秒
10 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +12分50秒
142 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +6時間3分31秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) 226 pts
2 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ) 213 pts
3 ダミアーノ・チーマ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) 104 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ジューリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) 267 pts
2 ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) 115 pts
3 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・メリダ) 84 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 89時間45分46秒
2 パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チーム イネオス) +1分53秒
3 ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト) +8分39秒

チーム総合
1 モビスター チーム 269時間34分59秒
2 アスタナ プロチーム +17分53秒
3 バーレーン・メリダ +19分23秒

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