ツール・ド・熊野2019 第2ステージトマ・ルバが2年ぶりに熊野山岳征服 オールイス・アウラールは堅実な走りで総合首位キープ

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 和歌山県と三重県にまたがる熊野地域で開催されているステージレース「ツール・ド・熊野」(UCIアジアツアー2.2)は6月1日、第2ステージが行われた。熊野の荘厳な山々をめぐった一日は、レース中盤にメイン集団から飛び出した2選手の争いとなり、マッチスプリントを制したトマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)がステージ優勝。同ステージで2年ぶりの勝利となった。個人総合争いは、主要な選手たちがルバから24秒差の集団でフィニッシュ。リーダージャージを着るオールイス・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ)は集団先頭となる3位となり、ボーナスタイムを得て総合タイム差を広げることに成功している。

ツール・ド・熊野第2ステージ、逃げ切った2選手による勝負はトマ・ルバに軍配。2年ぶりに熊野山岳を制した Photo: Syunsuke FUKUMITSU

3つの山岳ポイントを越えるクイーンステージ

 第2ステージは三重県熊野市、紀和町、御浜町の3市町にまたがるコースが設定される。温浴施設「熊野倶楽部」を発着点に、2.7kmのパレード走行を経てリアルスタート。109.3kmのコースはまず、山の斜面に作られた棚田群「丸山千枚田」を上り、1つ目の山岳ポイントを通過。いったん下って迎えるは今大会最大の山岳ポイントである札立峠。再び下った後、レース序盤に走った区間を再度通過して最後の難所となる2回目の丸山千枚田登坂へ。

スタートラインに並んだ4勝ライダー Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 ポイントとなるのは登坂力はもとより、その後のテクニカルなダウンヒル。3つのカテゴリー山岳通過後すべてに共通する要素となり、上り・下りともにいかに攻められるかが勝負のカギとなる。また、2回目の丸山千枚田頂上からフィニッシュ地点までは16.5km。下りと平坦基調によるレース終盤の駆け引きも見ものとなる。例年激しい勝負が繰り広げられており、総合争いの行方を占うクイーンステージであることは誰もが認める。

1回目の丸山千枚田を1位で上りきったマルコス・ガルシア Photo: Kensaku SAKAI

 山本元喜(キナンサイクリングチーム)らのファーストアタックで火ぶたが切られたレースは、しばし出入りが続く展開。リアルスタートから31.6km地点で頂上を迎える丸山千枚田1回目の上りで集団が割れると、やがて前方には精鋭だけが残る形になった。2級山岳にあたる丸山千枚田1回目はマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)がトップ通過している。

 直後の下りでは木村圭祐(シマノレーシング)が飛び出し、新城雄大(キナンサイクリングチーム)らが追随したが、逃げグループ形成とまではならず、約40人がひとかたまりとなって、2つ目の山岳ポイントである札立峠へと入っていった。

名所・丸山千枚田。はるか先にプロトンの姿がうかがえる Photo: Tour de Kumano 2019

ガルシアが山岳ポイント量産

 札立峠へ向かう上りでは、ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO)と山本大喜(キナンサイクリングチーム)が飛び出すが、集団コントロールを本格化させたマトリックスパワータグ勢が2人の動きを封じる。さらに、ガルシアが再三のアタックで集団を絞り込む。この動きにサム・クローム(オーストラリア、チームUKYO)が続いたほか、リーダージャージのアウラール自らチェックに動く場面も見られた。

札立峠の上り前半で仕掛けたベンジャミ・プラデス(左)と山本大喜 Photo: Tour de Kumano 2019
マルコス・ガルシア(左)がチェックに動いたオールイス・アウラール(中央)とベンジャミ・プラデスを振り切る Photo: Tour de Kumano 2019

 連続して攻撃を繰り出したガルシアは、山頂まで約2kmのところで独走に持ち込み、山岳ポイントを1位で通過。丸山千枚田1回目での得点を含めて17点に伸ばし、山岳賞争いで完全に抜け出した。

長いダウンヒル区間で独走に持ち込んだトマ・ルバ Photo: Kensaku SAKAI

 札立峠頂上からは長いダウンヒル区間。部分的に上りや平坦となる個所があるものの、スピードに乗った選手たちが次々と先を急いでいく。ガルシアは集団に戻り、代わってサルバドール・グアルディオラ(スペイン、キナンサイクリングチーム)や吉岡直哉(チームUKYO)が前方をうかがう。この2人はしばらくして集団へと戻っていくが、その後集団から単独で飛び出したのがルバだった。

マッチスプリントはルバに軍配

 ダウンヒルを得意とするルバは、下り終える頃にはメイン集団に対し約2分のリードを奪う。単独でドリュー・モレ(オーストラリア、トレンガヌ.INC・TSGサイクリングチーム)が追走を試み、ルバから約40秒差で続く。

2回目の丸山千枚田を上るトマ・ルバ Photo: Kensaku SAKAI

 中盤以降はルバ、モレ、メイン集団との構図が続いていく。ルバは独走のまま2回目の丸山千枚田上りへ。その後ろからは、独走力のあるモレがタイム差を縮める。ルバはトップのまま頂上を通過し、約20秒差でモレが追う。実質この日最後の上り区間とあって、メイン集団ではアタックが断続的に発生するが、いずれも決定的な動きとはならない。そのままダウンヒルも終えて、フィニッシュまで約13kmの平坦区間を迎えた。

単独で先頭を追うドリュー・モレ Photo: Kensaku SAKAI
2回目の丸山千枚田を上るリーダージャージグループ。たびたびアタックがかかった Photo: Kensaku SAKAI

 ここで一気に勢いづいたのが追走を続けてきたモレだった。先頭をゆくルバとの差をあっという間に縮めていき、残り約7kmでついに合流。この頃にはメイン集団に対し十分なリードを奪っていたこともあり、2人によるステージ優勝争いとなることが色濃くなっていった。

残り約7km。ついにドリュー・モレ(右)がトマ・ルバに追いつく Photo: Tour de Kumano 2019
マッチスプリント。上り基調の最終局面でトマ・ルバが先頭に出る Photo: Tour de Kumano 2019

 着々と残り距離を減らしていく先頭の2選手。ステージ優勝を意識し牽制気味となるが、フィニッシュ前200mの上り基調でルバがスプリントを開始。モレも食らいついたが先頭に出るまでには至らず、ルバのステージ優勝が決まった。

2年ぶりの熊野山岳ステージ勝利に喜びを爆発させるトマ・ルバ Photo: Tour de Kumano 2019

 ルバにとって、熊野山岳をめぐるこの大会のクイーンステージ勝利は2017年に続き2回目。前日の第1ステージではトップから6分以上の遅れを喫し、チームメートのアシストや自身のステージ優勝狙いに切り替えて迎えていた1日だった。レース後には「チームのホームである熊野で勝利を挙げられ、みんなと喜べることが本当にうれしい」と感激の面持ちで語った。

 ルバとモレの死闘から24秒後、メイン集団がフィニッシュへとやってきた。2回目の丸山千枚田以降、アウラールやガルシアらが繰り返しアタックを試みたが大きな変化とはならず、最後は約20人による順位争いのスプリントに。ここはスピードに勝るアウラールが前を確保しステージ3位とした。

メイン集団のスプリントはリーダージャージのオールイス・アウラールが先頭を取る Photo: Tour de Kumano 2019

 この結果、アウラールはフィニッシュでのボーナスタイム4秒を獲得し、個人総合2位の岡篤志(宇都宮ブリッツェン)に対し総合タイム差を9秒に広げることに成功。また、個人総合上位12人が34秒以内にひしめき合う僅差の争いにもなっている。

 そのほか、各賞ではポイント賞でアウラールが得点を伸ばしたほか、山岳賞では3つの上りすべてでポイントを重ねたガルシアが2位以下に大差をつけている。

 大会は和歌山県太地町での第3ステージでフィナーレを迎える。太地半島をほぼ1周する10.5kmのサーキットコースをメインとする104.3kmのレースは、太地港からの上りや、その後のテクニカルなダウンヒルなどが待ち受ける難コース。逃げや小集団でのステージ優勝争いが近年は展開されているが、それと合わせて総合上位陣の駆け引きも見どころの1つに。各チームの思惑が交錯する、緊張感のある戦いが見られるはずだ。

個人総合首位を堅守したオールイス・アウラール。リーダージャージのまま大会最終日を迎える Photo: Syunsuke FUKUMITSU

ツール・ド・熊野 第2ステージ(109.3km)結果
1 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) 2時間40分7秒
2 ドリュー・モレ(オーストラリア、トレンガヌ.INC・TSGサイクリングチーム) +0秒
3 オールイス・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ) +24秒
4 フェデリコ・ズルロ(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア)
5 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)
6ユーセフ・レグイグイ(アルジェリア、トレンガヌ.INC・TSGサイクリングチーム)
7 サム・クローム(オーストラリア、チームUKYO)
8 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO)
9 コービン・ストロング(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル)
10 フランシスコ・マンセボ(スペイン、マトリックスパワータグ)

個人総合時間賞
1 オールイス・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ) 4時間53分30秒
2 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +9秒
3 ユーセフ・レグイグイ(アルジェリア、トレンガヌ.INC・TSGサイクリングチーム) +14秒
4 コービン・ストロング(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) +15秒
5 サム・クローム(オーストラリア、チームUKYO)
6 平塚吉光(チーム ブリヂストンサイクリング) +16秒
7 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO)
8 山本大喜(キナンサイクリングチーム) +17秒
9 マイケル・ヴィンク(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) +18秒
10 フランシスコ・マンセボ(スペイン、マトリックスパワータグ)

ポイント賞
1 オールイス・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ) 48pts
2 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) 32pts
3 ユーセフ・レグイグイ(アルジェリア、トレンガヌ.INC・TSGサイクリングチーム) 28pts

山岳賞
1 マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) 20pts
2 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) 7pts
3 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO) 7pts

ヤングライダー賞
1 コービン・ストロング(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) 4時間53分45秒
2 チョン・フンミン(韓国、ソウルサイクリング) +2分38秒
3 デニス・ヴァルカン(ルーマニア、ジョッティ・ヴィクトリア) +6分13秒

チーム総合
1 マトリックスパワータグ 14時間41分36秒
2 ジョッティ・ヴィクトリア +2分38秒
3 キナンサイクリングチーム +5分34秒

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