ジロ・デ・イタリア2019 第19ステージチャベスが独走逃げ切りで1年ぶり勝利 総合上位勢は大きく動かず山岳最終決戦へ

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 ジロ・デ・イタリア2019は5月31日、第19ステージが行われ、12人の逃げからエステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット)が、2級山頂ゴールのラスト2.5kmから独走に持ち込んで、昨年のジロ第6ステージ以来の優勝を飾った。総合上位勢はメイン集団内で大きな動きはなく、リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム)が首位を守った。初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)は先頭から23分48秒差の区間131位でフィニッシュした。

エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット)がステージ優勝。コロンビアの国旗をマントにして表彰台に上がった Photo: Yuzuru SUNADA

12人の逃げが容認

 この日はピナレロ社が本社を構えるトレビーゾから、ドロミテ山脈の入口となるサン・マルティーノ・ディ・カストロッツァに至る151kmで行われた。途中に3級山岳と4級山岳を越え、最後は2級山岳の頂上ゴールとなる。ラストの上りは13.6kmで平均勾配5.6%と、急勾配ではないものの、展開次第ではタイム差が生まれることも考えられた。

逃げの12人。前日優勝のNIPPOはこの日も2人を送り込んだ Photo: Yuzuru SUNADA

 レースは市街地のパレードスタートから、ピナレロ本社前で一旦ストップし、改めて本スタートが切られた。すぐに10人ほどが抜け出し、さらに数人が合流して、最終的に12人の逃げ集団となった。逃げはチャベスのほか、マルコ・マルカート(イタリア、UAE・チームエミレーツ)、ピーター・セリー(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)らが入った。NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネも、マルコ・カノラ(イタリア)、イヴァン・サンタロミータ(イタリア)の2人を送り込んだ。

 逃げ集団のメンバーは最も総合成績上位のセリーでも1時間以上遅れているため、リーダーチームのモビスターは逃げを完全に容認。ステージ優勝を狙う先行グループと、メイン集団の総合争いの攻防と、実質2つのレースが並行する一日になった。

モビスター チームがコントロールするメイン集団は逃げを完全に容認 Photo: Yuzuru SUNADA

チャベスが再三のアタックで独走へ

 逃げの12人とメイン集団のタイム差は、ゴールまで残り40km時点で約9分にまで広がっていた。この日2つ目の山岳ポイントを前に、逃げ集団からはマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、アスタナ プロチーム)が単独抜け出して先行したが、残り20kmを切ったところで吸収され、最後の上りへと入っていった。

最後の上りで単独抜け出したカノラ Photo: Yuzuru SUNADA

 上りではラスト11kmからカノラがアタック。散発的な追走からチャベスとセリー、フランソワ・ビダール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)、アンドレーア・ヴェンドラーメ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)が合流して先頭は5人となった。

 ここからチャベスがアタックを仕掛け始めた。セリー、ビダール、ヴェンドラーメが反応し、カノラが若干遅れるが、カウンターアタックは起きずにペースダウンしたところでカノラが追い付く、という動きが何度か繰り返された。5人の中ではスプリント力に優るカノラを引き離したいが、チャベスの上りを警戒する他の選手がアタックではなく防戦に回ったため、先頭の平均ペース自体は上がらない。しばらくして、追走していたアマーロ・アントゥネス(ポルトガル、CCCチーム)とジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニ・CSF)が追い付き、ラスト5kmを切ったところで先頭は7人となった。

 ここからもチャベスを中心としたアタックと吸収が繰り返され、ラスト3kmではチャベス、ビダール、セリーの3人が若干抜け出した形になった。残り2.5kmでアントゥネスとカルボーニが前3人に追い付こうとした瞬間、さらにチャベスがアタックした。ビダールとセリーが反応するが、チャベスはペースを緩めず渾身の加速を続ける。ついにチャベスが2人を振り切って独走態勢となった。

1年ぶりの勝利のゴールを安堵の表情で切ったチャベス Photo: Yuzuru SUNADA

 集団の重力圏からの脱出に成功したチャベスは、苦しげな表情を見せつつも、そのままゴールまで独走。ラスト50mを切ってようやく表情を緩めて、ホッとした様子でハンドルから手を離してゴールした。昨年のジロでは前半戦好調でステージ1勝、総合でも2位に付けていたが、大会後半に調子を落としてその後も体調を崩し、ジロ以降はレースに出られずシーズン後半を棒に振っていた。故郷コロンビアから訪れた両親がゴール地点で見守る中、1年ぶりの勝利をジロで挙げ、復活を強く印象づけた。

昨シーズンはジロを最後に半年間休養していたチャベス。1年ぶりの優勝で復活をアピール Photo: Yuzuru SUNADA

総合上位4人は見合ってのゴール

 メイン集団はモビスター勢が先頭を固めたまま最後の上りに入ったが、上り途中からアスタナ プロチームが集団先頭に出てペースアップし、残り5kmからエースのミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア)がアタックした。

メイン集団からアタックしたロペス Photo: Yuzuru SUNADA

 新人賞争いでは首位に立つロペスだが、全体の総合では6分遅れの6位と表彰台圏内からは若干離れているため、カラパス、ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)、プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)、ミケル・ランダ(スペイン、モビスター チーム)の総合上位4傑は、ロペスの先行を容認。互いに見合っての終盤戦となった。

 他の選手のアタックに乗じた上位勢の動きも見られるものの、総合上位4選手は互いに抜け出しを許さない。上り勾配が厳しくないこともあって決定的な動きは最後まで見られず、最後はログリッチェがスピードを上げるものの、上位4人のタイム差は生まれないまま、先頭から6分29秒差でゴールした。ロペスは集団から44秒先行してゴールしたが、総合6位は変わっていない。

総合上位4人は互いをマークしてタイム差は生まれず Photo: Yuzuru SUNADA

 今年のジロも残すところあと2ステージ。最終日は個人タイムトライアルとなるため、次の第20ステージが最後のロードレースとなる。ドロミテ山脈をめぐる194kmは、獲得標高が5000m超。3つの2級山岳と2つの1級山岳があり、ラストの1級山頂ゴールへは距離6.9kmで平均勾配7.3%、最大勾配11%の上りが待ち受ける。カラパスとランダのモビスター勢が首位を守りきるか、ニバリ、ログリッチェがこれを崩す攻撃を打てるか、注目の山岳最終決戦だ。

第19ステージ結果
1 エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) 4時間1分31秒
2 アンドレーア・ヴェンドラーメ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) +10秒
3 アマーロ・アントゥネス(ポルトガル、CCCチーム) +12秒
4 ジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニ・CSF) +24秒
5 ピーター・セリー(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) +32秒
6 フランソワ・ビダール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +35秒
7 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +1分2秒
8 マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、アスタナ プロチーム) +1分37秒
9 マヌエル・センニ(イタリア、バルディアーニ・CSF) +1分53秒
10 オリヴィエ・ルガック(フランス、グルパマ・エフデジ) +2分33秒
131 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +23分48秒

個人総合(マリアローザ)
1 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) 83時間52分22秒
2 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1分54秒
3 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) +2分16秒
4 ミケル・ランダ(スペイン、モビスター チーム) +3分3秒
5 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +5分7秒
6 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +5分33秒
7 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +6分48秒
8 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +7分17秒
9 パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チーム イネオス) +8分27秒
10 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) +10分6秒
143 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +5時間21分10秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) 226 pts
2 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ) 213 pts
3 ダミアーノ・チーマ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) 104 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ジューリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) 229 pts
2 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) 66 pts
3 ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) 57 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 83時間57分55秒
2 パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チーム イネオス) +2分54秒
3 ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト) +9分18秒

チーム総合
1 モビスター チーム 252時間5分13秒
2 アスタナ プロチーム +22分28秒
3 バーレーン・メリダ +24分11秒

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