ツール・ド・熊野2019 第1ステージコース刷新の赤木川清流コースは19人が逃げ切り アウラールがスプリント制す

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 和歌山県と三重県にまたがる熊野地域を舞台とするステージレース「ツール・ド・熊野」(UCIアジアツアー2.2)は、5月31日に第1ステージが行われた。和歌山県新宮市の赤木川沿いをメインとする周回コースで行われた100.4kmのレースは、レース前半に形成された19人が勢いそのままに逃げ切り。最後はスプリント勝負となり、オールイス・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ)がステージ優勝。フィニッシュで得たボーナスタイムも合わせ、個人総合成績でも首位に浮上した。

ツール・ド・熊野第1ステージ、逃げ切った19人によるスプリントを制したオールイス・アウラール Photo: Syunsuke FUKUMITSU

KOMポイントが刷新 激坂とテクニカルなダウンヒルがカギに

 新宮市熊野川町の赤井川沿いを走る通称「赤木川清流コース」。同地の「熊野川温泉 さつき」前を発着とする点は例年通りだが、今年から周回コースが一部刷新。まず、第1周回は変則レイアウトの15.4kmを走り、第2周回からメインコースの17.2kmのサーキットへ。この周回から山岳賞(KOM)が設定されるが、KOM地点が昨年までとは大きく変わっている。上りがこれまでと違わず激坂で、頂上からの下りもテクニカル。集団内でのポジショニングによっては、周回を重ねていくたびにふるい落とされていくばかりか、レース展開次第では総合成績にも影響が及ぶ可能性が秘める。

3賞ジャージが先頭でスタートラインへ。プロローグ優勝の沢田桂太郎(中央)がリーダージャージを着用する Photo: Tour de Kumano 2019
パレード走行中の選手たち。新宮市街地を抜けていく Photo: Tour de Kumano 2019

 この周回を4回めぐり、最終の第6周回で再び変則レイアウトとなり16.2kmを走ってフィニッシュへ。なお、山岳賞は第2、第5周回に設定される。

 新宮市役所前をスタートした選手たちは、1.9kmのパレード走行ののち、スタート地点までのニュートラル走行。そして、さつき前での号砲をもって「リアルスタート」となった。

1回目の山岳ポイントへ急ぐエミール・ディマ(左) Photo: Kensaku SAKAI

 レースは早々に動きが発生。1周目に4人の飛び出しが決まると、メイン集団はこれを見送り一時は逃げを容認したように思われた。しばらく落ち着いていた集団だったが、新たなKOMの上りでメイン集団にペースアップを試みるアクションが発生すると、これをきっかけにフランシスコ・マンセボ(スペイン、マトリックスパワータグ)が中心となって前方めがけて猛然とスピードを上げる。このペーシングに対応できた17人が後続を引き離し、追走グループに。みるみる間に逃げメンバーとのタイム差が縮まり、3周目に入るとともに1つとなった。

 かたや、後方の大集団には前日の勝者でリーダージャージを着る沢田桂太郎(チーム ブリヂストンサイクリング)が取り残される状況に。そのほかにも総合系の有力ライダーが含まれる波乱含みの展開となった。

KOMポイントへの上りで急激にペースを上げたメイン集団。この動きをきっかけに20人近い追走グループが生まれる Photo: Tour de Kumano 2019
最大20人で形成された先頭グループ Photo: Tour de Kumano 2019

19人によるスプリントはアウラールが圧勝

 20人となった先頭グループは着々とリードを広げていく。有力チームの多くが複数メンバーをこの中へ送り込んだこともあり、先頭交代のローテーションを繰り返しながら先を急ぐ。沢田らを含む実質のメイン集団から数人が追走を試みアタックが見られるが、多くの選手が追うのを諦め、レースが半ばを過ぎる頃には大きく差を付けられてしまった。

2回目の山岳ポイントに向けてアタックした安原大貴(左) Photo: Kensaku SAKAI

 こうなると俄然先頭グループが中心のレースへ。5周目に設けられたKOMに向けて安原大貴(マトリックスパワータグ)が山岳ポイント狙いでアタックを見せたが、勝負にかかわるものではなく、人数を減らすことなく最終周回へと突入した。

 最終周回に入ってもローテーションを繰り返す選手たち。決定的なアタックはないまま、フィニッシュまでの距離を減らしていく。先頭グループは1人が脱落したとはいえ形勢に劇的な変化はなく、ステージ優勝争いは19選手によるスプリントにゆだねられた。

赤木川を走る先頭グループ。フィニッシュに向けて急ぐ Photo: Tour de Kumano 2019
セントジョージコンチネンタルが牽引する最終局面。ブレイク・クイックが先頭に立つ Photo: Kensaku SAKAI

 フィニッシュ前500mを過ぎ2度ある直角コーナーをクリアすると、上り基調の最終ストレートへ。コーナーを2番手で通過し、満を持して加速したのはアウラール。先頭に立つと、あとはフィニッシュへまっしぐら。好調の岡篤志(宇都宮ブリッツェン)や、1周目から逃げ続けてきた中井唯晶(シマノレーシング)の追い上げをかわし、ガッツポーズをしっかり決めての勝利とした。

2番手と絶好の位置で最終コーナーを抜けたオールイス・アウラール(右から2人目)。スプリントで他選手を凌駕した Photo: Kensaku SAKAI

 アウラール以降、19人が5秒以内にフィニッシュ。リーダージャージの沢田は5分59秒差、最も大規模な集団に至っては6分以上の開きでステージを終えることに。前日のプロローグでも4位と好走していたアウラールは、フィニッシュでのボーナスタイム10秒も含めて個人総合で首位に浮上。ステージ2位の岡が総合タイム差5秒、同じく3位となった中井が同7秒差で続いている。

 100人が出走した第1ステージ。91人がフィニッシュを果たし、次のステージへと駒を進めている。昨年のこのステージでは、トンネル内に設置したフェンスが倒壊するハプニングによりレースがキャンセルとなった経緯があり、2年ぶりに正規リザルトが生まれることとなった。

個人総合首位に立ちイエロージャージに袖を通したオールイス・アウラール。トップの立場で熊野山岳でのクイーンステージへ向かう Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 6月1日に行われる第2ステージは、今大会のハイライトとなる。熊野山岳での戦いは、風光明媚な「丸山千枚田」を上った後、最大の山岳区間である札立峠へ。テクニカルかつ長距離のダウンヒルを経て、2回目の丸山千枚田の上りへ。この頂上からフィニッシュ地点までは16.5km。下りと平坦基調によるレース終盤の駆け引きも見もの。総合争いの形成は、誰もが認める109.3kmのクイーンステージにゆだねられる。

ツール・ド・熊野 第1ステージ(100.4km)結果
1 オールイス・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ) 2時間12分23秒
2 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +0秒
3 中井唯晶(シマノレーシング)
4 ユーセフ・レグイグイ(アルジェリア、トレンガヌ.INC・TSGサイクリングチーム)
5 コービン・ストロング(セントジョージコンチネンタル)
6 ホセヴィセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ)
7 エマヌエーレ・オネスティ(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア)
8 横山航太(シマノレーシング)
9 ブレイク・クイック(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル)
10 草場啓吾(愛三工業レーシング)

個人総合時間賞
1 オールイス・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ) 2時間13分3秒
2 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +5秒
3 中井唯晶(シマノレーシング) +7秒
4 ブレイク・クイック(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +9秒
5 ユーセフ・レグイグイ(アルジェリア、トレンガヌ.INC・TSGサイクリングチーム) +10秒
6 コービン・ストロング(セントジョージコンチネンタル) +11秒
7 エマヌエーレ・オネスティ(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア)
8 横山航太(シマノレーシング)
9 サム・クローム(オーストラリア、チームUKYO)
10 草場啓吾(愛三工業レーシング)

ポイント賞
1 オールイス・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ) 32pts
2 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) 20pts
3 ユーセフ・レグイグイ(アルジェリア、トレンガヌ.INC・TSGサイクリングチーム) 18pts

山岳賞
1 安原大貴(マトリックスパワータグ) 2pts
2 エミール・ディマ(ルーマニア、ジョッティ・ヴィクトリア) 2pts
3 横山航太(シマノレーシング) 1pts

ヤングライダー賞
1 ブレイク・クイック(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) 2時間13分12秒
2 コービン・ストロング(セントジョージコンチネンタル) +2秒
3 エミール・ディマ(ルーマニア、ジョッティ・ヴィクトリア) +22秒

チーム総合
1 セントジョージコンチネンタル 6時間39分42秒
2 マトリックスパワータグ +5秒
3 シマノレーシング +2分31秒

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