ジロ・デ・イタリア2019 第17ステージ3年目のピーターズがラスト16kmを独走してプロ初勝利 カラパス、ランダが総合タイム稼ぐ

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 ジロ・デ・イタリア2019は5月29日、第17ステージが行われ、レース前半から逃げた18人の集団から、ナンズ・ピーターズ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)が、ラスト16kmを独走してプロ初勝利を飾った。個人総合首位のリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム)はリードを若干拡大。初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)は30分12秒遅れの区間123位でゴールした。

25歳のナンズ・ピーターズ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)が、初勝利を独走逃げ切りで飾った Photo: Yuzuru SUNADA

18人の逃げ集団が形成

 第17ステージは、コンメッツァドゥーラ(ヴァル・ディ・ソーレ)から、アンテルセルヴァに至る181kmで行われた。序盤に山岳カテゴリーが付かないものの本格的上りとなるマドンナ峠を越えた後、後半にカテゴリー4級、3級の山岳を越えて、最後はオーストリアとの国境となる3級山岳の山頂にゴールする。全体の難易度は高くないものの、ラストの上りは総合争いでのタイム差も予想された。

レース前半に形成された逃げ集団。優勝したピーターズも逃げに乗った Photo: Yuzuru SUNADA

 レースは序盤、逃げを狙う出入りの激しい展開に。マドンナ峠を前に抜け出したいくつかの小集団が、峠を越えた下りで合流して、最終的に18人の逃げ集団が形成された。ピーターズのほか、エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット)、ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)、ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)、トマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)らを含む逃げ集団は、メイン集団の容認を得てタイム差を徐々に拡大していった。

途中単独で逃げたバーケランツ Photo: Yuzuru SUNADA

 後半の4級山岳エルヴァスへの上りでは、ヤン・バーケランツ(ベルギー、チーム サンウェブ)が単独抜け出し独走で山頂を通過。しかし続く3級山岳テレントへの上りでバーケランツは追走グループに吸収され、続く下り結局逃げは元通り、18人の集団となった。ラスト30kmを切ってから緩やかな上り基調となり、ゴールまで残り5.5kmからが、最大勾配12%の本格的な上りとなる。

 メイン集団はリーダーチームのモビスター、また総合2位のヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)を抱えるバーレーン・メリダがコントロール。タイム差は最大8分ほどまで広がり、後半やや縮まったものの、ラスト20kmでも差は5分台。先頭18人の逃げ切りは容認される形となった。

この日が26歳の誕生日だったカラパス Photo: Yuzuru SUNADA
途中、ホイールを交換したマリアチクラミーノのデマール Photo: Yuzuru SUNADA

勇気あるアタックを成功させたピーターズ

 先頭集団ではヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAE・チームエミレーツ)がしばらく逃げたものの吸収。代わってラスト16kmからピーターズがアタックして抜け出した。微妙に距離を残す位置からのアタックは、ピーターズが決め手に欠く選手であることから、追随する選手が現れず容認。ピーターズはじわじわと差を広げ、アンテルセルヴァへの上り口となるラスト5.5kmで、55秒の差を後続に付けた。

ラスト16kmを残してピーターズがアタック Photo: Yuzuru SUNADA

 上り口からはチャベス、コンティ、クリッツ・ネイランズ(ラトビア、イスラエル サイクリングアカデミー)の3人が追走を組織し、後続集団も分解。ラスト3kmからはチャベスが単独2番手となって追走したが、ここに来て先頭を行くピーターズとのタイム差はむしろ拡大。ピーターズのペダリングは最後まで衰えず、単独逃げ切りで記念すべきプロ初勝利を、ジロの大舞台で飾った。

最後までペダリングが衰えなかったピーターズ Photo: Yuzuru SUNADA

 ピーターズはプロ3年目の25歳。昨年のブエルタ・ア・エスパーニャで区間4位の成績があり、今大会は大逃げが決まった第6ステージで8位に入るとともに、一時は新人賞ジャージに袖を通していた。チームは前日にエースのトニー・ガロパン(フランス)がリタイア。今大会の目標を完全にステージ狙いへ切り替えたところで、若手が大きな結果を出した。

大舞台でのプロ初勝利を飾ったピーターズ Photo: Yuzuru SUNADA

ランダの攻撃にニバリ、ログリッチェは動けず

 メイン集団は上りに入って、アスタナ勢がロペスを引き連れてペースアップ。ところが肝心のロペスがこのペースに耐えられず後退してしまう。この混乱に乗じて、総合4位のミケル・ランダ(スペイン、モビスター チーム)がアタックを仕掛けた。これに反応したのはヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト)のみで、カラパス、ニバリ、ログリッチェは見合う形に。

メイン集団ではランダがアタック Photo: Yuzuru SUNADA
ランダの攻撃に有力勢は見合う形に Photo: Yuzuru SUNADA

 ランダはカーシーを振り切り独走態勢。後方ではロペスがアタックして追走に入るが、ここにカラパスは反応するものの、ニバリ、ログリッチェが付いていけない。最終的にランダがメイン集団の先頭で、カラパス、ロペスはランダから12秒差、ニバリ、ログリッチェらは19秒差でゴールした。総合首位のカラパスは、同2位のニバリと同3位のログリッチェから、この日7秒差を稼ぐことに成功した。カラパスのチームメートで総合4位のランダも、上2人との差を着々と縮めている。

 翌第18ステージは、久々の平坦系ステージとなる。途中に4級山岳が1つあるものの、全体的に下り基調。後半約80kmはほぼ平坦となり、総合争いは一旦小休止、久々にスプリンター勢が活躍できる一日となりそうだ。現在ポイント賞のマリアチクラミーノを着るアルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)と、13ポイント差で争うパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)との戦いに注目が集まる。

第17ステージ結果
1 ナンズ・ピーターズ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) 4時間41分34秒
2 エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) +1分34秒
3 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) +1分51秒
4 ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)
5 クリッツ・ネイランズ(ラトビア、イスラエル サイクリングアカデミー)
6 タネル・カンゲルト(エストニア、EFエデュケーションファースト) +2分2秒
7 ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAE・チームエミレーツ) +2分8秒
8 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード)
9 クリストファー・ハミルトン(オーストラリア、チーム サンウェブ) +2分22秒
10 アンドレーア・ヴェンドラーメ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) +2分34秒
123 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +30分12秒

個人総合(マリアローザ)
1 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) 74時間48分18秒
2 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1分54秒
3 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) +2分16秒
4 ミケル・ランダ(スペイン、モビスター チーム) +3分3秒
5 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +5分7秒
6 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +6分17秒
7 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +6分48秒
8 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +7分13秒
9 パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チーム イネオス) +8分21秒
10 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) +8分59秒
144 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +4時間57分40秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ) 200 pts
2 パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) 187 pts
3 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) 83 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ジューリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) 229 pts
2 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) 66 pts
3 ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) 57 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 74時間54分35秒
2 パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チーム イネオス) +2分4秒
3 ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト) +8分25秒

チーム総合
1 モビスター チーム 224時間50分5秒
2 バーレーン・メリダ +27分1秒
3 アスタナ プロチーム +28分4秒

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