ジロ・デ・イタリア2019 第18ステージダミアーノ・チーマが逃げ切り優勝 NIPPOにグランツール初勝利をもたらす

by 平井久美子 / Kumiko HIRAI
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 ジロ・デ・イタリア2019は5月30日、第18ステージが行われ、ダミアーノ・チーマ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)が逃げ切り優勝を飾った。グランツール初出場にして初勝利。自身はもちろんチームにとっても非常に価値ある一勝を挙げた。総合首位のリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム)はトップとタイム差なしの42位でゴール、マリアローザをキープし翌日の山岳対決に臨む。初山翔(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)は134位でフィニッシュしている。

見事逃げ切り勝利をあげたチーマ Photo: Yuzuru SUNADA

スプリンター、ラストチャンスのステージ

 第18ステージは、ヴァルダーオラからサンタ・マリア・ディ・サーラまでの222km。難易度1つ星の平坦ステージだ。カテゴリー山岳は4級山岳1つ、全体的に下り基調で、約160km以降のスプリントポイント以降はほぼ平坦となっている。やはりスプリンターによる争いとなるだろう。

総合勢にとっては心安らぐ移動ステージ Photo: Yuzuru SUNADA

 カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)、フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAE・チームエミレーツ)は既に大会を去っている。残ったスプリンターは何としてでも勝利を手に入れたいところだ。

 レースはスタート後、逃げが決まらないまま進行。10人ほどの選手が先行する場面もあったが、その動きも許されなかった。

3人の長い旅がスタートする Photo: Yuzuru SUNADA

 逃げが決まったのは、約50km地点。チーマ、ニコ・デンツ(ドイツ、アージェードゥーゼール ラモンディアール)、ミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニ・CSF)が先行し、レースはようやく落ち着いた展開となる。メイン集団は、ポイント賞争いで2位のパスカル・アッカーマン(ドイツ)を擁するボーラ・ハンスグローエがタイム差3分程でコントロールしていた。

 レースが折り返しに差し掛かろうとする約110km地点のタイム差は約6分半。スプリントステージらしく、集団は逃げ3人を泳がしている状態だった。残り約60kmでは約3分、50kmでは4分。メイン集団はゴールスプリントに向けタイム差を射程圏内にコントロールする。

スプリンターチームがコントロールするメイン集団が徐々に逃げとの差を縮める Photo: Yuzuru SUNADA

タイム差ゼロの逃げ切り勝利

 雲行きが怪しくなったのは、レースが4分の3を過ぎた頃。なかなか、タイム差が縮まらなくなった。

 残り30kmでは4分弱、25kmでは3分、20kmは2分半、ボーラ・ハンスグローエやドゥクーニンク・クイックステップなどがメイン集団を引っ張るものの、思うように差を詰められない。

 マリアチクラミーノを保持するアルノー・デマール(フランス)擁するグルパマ・エフデジが、ステージ優勝よりもジャージ保持を優先させコントロールに加わらなかったことも、タイム差が縮まらない要因の一つとなっていた。

逃げるチーマ Photo: Yuzuru SUNADA

 残り10kmでのタイム差は1分とタイム差自体は縮まっているものの、未だに逃げは捕まえることができない状況。

 集団も必死に追いかけるが、先頭3人は下ハンドルを握り必死にペースアップを試みる。全ては逃げ切り勝利を手に入れるためだ。

 その後、残り5km地点で46秒、2kmで30秒とけん制や気を緩みが出ればすぐに後ろから追いつかれる状況だったが、同時に逃げ切りの可能性も十分にある展開。集団にはこの日一番とも言える緊張が走っていた。

メイン集団からは強豪スプリンターが迫りくる Photo: Yuzuru SUNADA

 残り1kmでのタイム差は20秒。ここにきてグルパマ・エフデジを先頭にペースアップをするが、時すでに遅し。勝負は先頭3人のスプリント争いに持ち込まれる。いち早く仕掛けたのは、デンツ。それに反応しマエストリとチーマ、さらに、後ろの集団にいたアッカーマンやシモーネ・コンソンニ(イタリア、UAE・チームエミレーツ)、フロリアン・セネシャル(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)もスプリントを開始する。

 混沌とするゴール前、その中でフィニッシュラインを1番に通過したのはチーマ。逃げ切り優勝を飾った。チーマはグランツール初出場にて初優勝。さらに、NIPPOにとってもグランツール初優勝。初尽くしの大金星をあげた。

初々しい表情でのシャンパンファイト Photo: Yuzuru SUNADA

 チーマと一緒に逃げていたマエストリは11位、デンツは12位でゴール。2位から10位にはアッカーマンやコンソンニ、デマールなど集団にいたスプリンターが名を連ねた。チーマの勝利は偶然ではない。彼自身のスプリント力、判断力があったからこその勝利だ。

マリアローザをキープして明日からの山岳決戦に臨むカラパス Photo: Yuzuru SUNADA

 2位はアッカーマン。デマールが8位に終わったことから、ポイント賞争いで首位を逆転し、マリアチクラミーノを奪回した。一方、総合勢はトラブルなくゴール。トップ10の顔ぶれに変動はなく明日からの山岳ステージに臨む。今年のジロも残り3ステージ。カラパスがマリアローザをキープし続けるのか、それとも大逆転が待っているのか。目が離せない。

第18ステージ結果
1 ダミアーノ・チーマ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) 4時間56分4秒
2 パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +0秒
3 シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAE・チームエミレーツ)
4 フロリアン・セネシャル(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)
5 ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ)
6 マヌエル・ベレッティ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)
7 ダヴィデ・チモライ(イタリア、イスラエル サイクリングアカデミー)
8 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)
9 ショーン・ベネット(アメリカ、EFエデュケーションファースト)
10 ミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニ・CSF)
134 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +6分11秒

個人総合(マリアローザ)
1 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) 79時間44分22秒
2 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1分54秒
3 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) +2分16秒
4 ミケル・ランダ(スペイン、モビスター チーム) +3分3秒
5 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +5分7秒
6 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +6分17秒
7 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +6分48秒
8 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +7分13秒
9 パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チーム イネオス) +8分21秒
10 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) +8分59秒
143 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +5時間3分51秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) 226 pts
2 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ) 213 pts
3 ダミアーノ・チーマ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) 104 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ジューリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) 229 pts
2 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) 66 pts
3 ファウスト・マスナーダ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) 57 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 79時間50分39秒
2 パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チーム イネオス) +2分4秒
3 ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト) +8分34秒

チーム総合
1 モビスター チーム 239時間38分17秒
2 バーレーン・メリダ +27分1秒
3 アスタナ プロチーム +28分4秒

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