ツアー・オブ・ジャパン2019 第8ステージ(東京)【詳報】チームのアシストで窪木一茂が渾身のスプリント 日本人が大会2勝目で締めくくる

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 国内最大のステージレース「NTN presents 第22回ツアー・オブ・ジャパン」(TOJ)の最終日の集団スプリント勝負を制したのは、窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング)だった。前日の落車負傷の影響を見せず、抜群のスピードを披露してTOJ初勝利。総合首位のクリス・ハーパー(オーストラリア、チーム ブリッジレーン)は危なげなく集団内でフィニッシュし、総合優勝を飾った。

表彰台でガッツポーズする窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング) ©TEAM BRIDGESTONE Cycling

序盤は激しい逃げの打ち合い

 東京ステージは、昨年と異なり大井ふ頭内の周回コースでスタート。一周7kmの周回コースを16ラップして争われた。総合首位のハーパーは総合2位のベンジャミン・プラデス(スペイン、チームUKYO)に40秒差つけており、オールフラットの東京ステージでの逆転は非常に難しい状況。

レース前にファンサービスする窪木一茂 Photo: Shusaku MATSUO
スターターを努めた小池百合子東京都知事 Photo: Shusaku MATSUO

 一方でポイント賞ランキングでは首位のフェデリコ・ズルロ(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー)が67点、2位のレイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO)は同点、3位のベンジャミン・ヒル(オーストラリア、リュブリャナ・グスト・サンティック)は59点、4位の窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング)が55点、5位のオールイス・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ)が54点となっていた。

4賞ジャージがスタート前に勢揃い Photo: Shusaku MATSUO

 4、8、12周回終了時点の中間スプリントでは1位の選手に5点、フィニッシュ地点では1位に25点入るため、逃げに注意しながらも、ポイント賞を狙うチームを中心に集団スプリントになる展開が予想されていた。

 3.8kmのパレード走行が終わり、レーススタートのフラッグが振られると、ルイス・ライナウ(ドイツ、ザワーランド・NRW・P/B SKSジャーマニー)、安原大貴(マトリックスパワータグ)、新城雄大(キナンサイクリングチーム)、尾形尚彦(日本ナショナルチーム)が飛び出した。

ファーストアタックを決めた新城雄大が逃げ集団を先頭でけん引 Photo: Shusaku MATSUO

 さらに、メイン集団からポイント賞3位のヒル、4位の窪木を含む7人の選手が追走を開始。新城、尾形が脱落し、追走7人が先頭に追いついたことで、9人の逃げ集団が形成されたが、この動きはメイン集団が許さず。ペースをあげて、逃げを吸収した。

 その後も6人ほどの選手が飛び出すも、リーダーチームのブリッジレーンが中心に集団をけん引して、丁寧に逃げを潰していく。再び集団が一つになったところを、昨年総合優勝のマルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)がカウンターで飛び出した。キレのある動きで、集団から独走でリードを築いた。

メイン集団はブリッジレーンがコントロール Photo: Shusaku MATSUO
単独抜け出しに成功したマルコス・ガルシア Photo: Shusaku MATSUO

 逃げが決まりそうな動きに、フォン・カーホー(香港、HKSIプロサイクリングチーム)、再び安原、サルバドール・グアルディオラ(スペイン、キナンサイクリングチーム)がそれぞれ単独で追走開始。3周目に入ると、フローリアン・オードリー(フランス、インタープロサイクリングアカデミー)も集団から飛び出したが、結局先頭には追いつくことができずに、集団に戻っていった。

 総合争いに大きな影響を与えないメンバーが飛び出していることから、ブリッジレーンはレースを落ち着かせたいところ。メイン集団前方でふたをするような形で集団のペースをコントロールしていく。

逃げ集団を形成した4人の選手 Photo: Shusaku MATSUO

 安原、カーホー、グアルディオラの3人は合流し、先頭のガルシアを追走。4周目に入ったところで追いついて、4人の逃げ集団となった。集団とのタイム差は3分程度まで拡大し、レースが進行していった。

ディフェンディング王者が意地の逃げ

 ブリッジレーンに代わって、スプリンターチームが集団けん引に力を貸すようになり、逃げ集団とのタイム差は2分を切ってきた11周目。逃げ集団からいきなりガルシアが飛び出した。

 取り残された3人だったが、グアルディオラが隙を突いて安原とカーホーを置き去りにして、先頭のガルシアにジョイン。キナン勢が2人でローテーションしながら、逃げを続行した。

終盤に見せ場をつくったキナンサイクリングのマルコス・ガルシアとサルバドール・グアルディオラ Photo: Shusaku MATSUO
粘りを見せるマルコス・ガルシアとサルバドール・グアルディオラ Photo: Shusaku MATSUO

 残り3周でタイム差は1分10秒。愛三工業、ブリッジレーン、チームUKYO、日本ナショナルチーム、ブリヂストンサイクリング、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマーといった総合系、スプリンターチームが集団前方を陣取り、ペースをコントロール。総合8位につけている小林海(ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー)も集団けん引に加わり、逃げの2人とのタイム差をじわじわと詰めていった。

スプリンターチームも集団けん引に加わり、逃げ集団を追い詰める Photo: Shusaku MATSUO

 残り2周、ラスト14kmでガルシアとグアルディオラは、後続集団とのタイム差は36秒。ギアを上げ始めたメイン集団は、いつでも捕まえられる位置で2人を逃がす。

 先頭からは序盤から積極的に動いたガルシアが脱落。最終周回を迎える直前に、グアルディオラも集団に引き戻され、いよいよ集団スプリントに向けた位置取り争いが繰り広げられることとなった。

窪木が圧倒的なスプリントで勝利

 残り5km地点、チームUKYOがトレインを組んで集団先頭を確保。宇都宮ブリッツェンもポジションを上げてきた。集団は一列棒状となり、ラスト2kmを切っていく。しかし、向かい風の強い区間に差し掛かったこともあり、先頭を確保していたチームUKYO陣はポジションを失ってしまった。

チームUKYOを中心に位置取りが激化する集団先頭付近 Photo: Shusaku MATSUO

 集団が横一線に広がり、混沌とした状況に陥るなか、宇都宮ブリッツェンが先頭に立ち、ラスト1kmを迎えた。阿部嵩之を先頭に、ブリヂストンサイクリングとジョッティ・ヴィクトリア・パロマーがトレインを組んで先頭に上がってくるなか、残り300mの最終コーナーに突入した。

 ブリヂストンサイクリングはコーナーの立ち上がりで、孫崎大樹のアシストにより、窪木を発射した。窪木は前日の伊豆ステージでは高速ダウンヒルで落車したが、そのダメージを感じさせない加速力を発揮し、両手をあげてガッツポーズしながらフィニッシュ。後続に一車身近くリードを開く圧倒的なスプリントでステージ優勝を飾った。

窪木一茂の勝利を確信し、孫崎大樹がガッツポーズ Photo: Shusaku MATSUO

 この日もメイン集団内でフィニッシュしたハーパーは総合1位が確定。昨年大会で新人賞、総合4位となった実力者が初優勝を決めた。総合2位にはプラデスが入り、チーム総合1位もチームUKYOだった。

 接戦のポイント賞ジャージ争いは、ズルロがステージ2位に入った一方で、クレダーがステージ8位に沈み、ズルロが獲得した。山岳賞ジャージはすでに確定していたフィリッポ・ザッカンティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)が無事完走して獲得。日本人の総合最高位は石橋学(チーム ブリヂストンサイクリング)の7位だった。

ポイント賞ジャージを獲得したフェデリコ・ズルロ(左)、山岳賞のフィリッポ・ザッカンティ(右)、クリス・ハーパー(中央)は総合と新人賞のダブル受賞 Photo: Shusaku MATSUO
チーム総合1位に輝いたチームUKYOのメンバー Photo: Shusaku MATSUO

第8ステージ結果
1 窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング) 2時間23分1秒
2 フェデリコ・ズルロ(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) +0秒
3 オールイス・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ)
4 黒枝士揮(チーム ブリヂストンサイクリング)
5 鈴木龍(宇都宮ブリッツェン)
6 リカルド・スタッキオッティ(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー)
7 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
8 レイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO)
9 岡本隼(愛三工業レーシングチーム)
10 吉田隼人(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)

個人総合時間
1 クリス・ハーパー(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) 19時間49分57秒
2 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO) +40秒
3 ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ) +51秒
4 フランシスコ・マンセボ(スペイン、マトリックスパワータグ) +1分2秒
5 ドリュー・モレ(オーストラリア、トレンガヌ・サイクリング・チーム) +1分29秒
6 サム・クローム(オーストラリア、チームUKYO) +2分3秒
7 石橋学(チーム ブリヂストンサイクリング) +2分16秒
8 小林海(ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) +2分45秒
9 アドリアン・ギロネット(フランス、インタープロサイクリングアカデミー) +3分25秒
10 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +4分1秒

ポイント賞
1 フェデリコ・ズルロ(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) 87 pts
2 窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング) 80 pts
3 レイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO) 75 pts

山岳賞
1 フィリッポ・ザッカンティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) 33 pts
2 クリス・ハーパー(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) 15 pts
3 エミール・ディマ(ルーマニア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) 12 pts

新人賞
1 クリス・ハーパー(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) 19時間49分57秒
2 ドリュー・モレ(オーストラリア、トレンガヌ・サイクリング・チーム) +1分29秒
3 小林海(ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) +2分45秒

チーム総合
1 チームUKYO 59時間37分53秒
2 マトリックスパワータグ +1分41秒
3 インタープロサイクリングアカデミー +8分14秒

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