ジロ・デ・イタリア2019 第14ステージ山岳ショートステージ、カラパスが27km独走で今大会2勝目 エクアドル人初のマリアローザ

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 ジロ・デ・イタリア2019は5月25日、第14ステージが行われ、5つのカテゴリー山岳がスタートからゴールまで続く厳しいレースを、4つ目の山岳で単独抜け出したリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム)が制し、今大会2勝目を挙げた。カラパスは個人総合でも首位に立ち、エクアドル人として初めてマリアローザに袖を通した。初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)は区間144位で難関ステージをクリアした。

リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム)が終盤独走で今大会2層目 Photo: Yuzuru SUNADA

最初の山岳から有力勢の攻防

 この日はサン=ヴァンサンから、クールマイユール(スカイウェイ・モンテ・ビアンコ)に至る131kmで行われた。今大会のロードレースでは最短距離ながら、スタートからゴールまで5つの山岳が詰め込まれ、獲得標高は4000m超。最後は3級山岳の山頂フィニッシュとなる。今大会3日ある“難度5つ星”の最難関ステージの1つ。総合優勝を狙う有力選手同士の、激しい戦いが繰り広げられた。

序盤に形成された逃げ集団。ここに後ろから総合有力勢も加わり乱戦に Photo: Yuzuru SUNADA

 レースはスタート直後から始まる2級山岳の上りから緊張したものに。山岳賞リーダージャージを着るジューリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)らが逃げる意思を示して、上りでは15人の先頭集団が形成されたが、メイン集団ではサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がアタックし、総合2位のプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)らが早くも自ら反応して、決戦態勢のハイペースになった。

 総合有力勢の小競り合いは2級山岳からの下りでも続いたが、下りきったところで有力勢を含まない逃げが構成されると、これを容認。後ろから追ってきた大きな集団と合流して、レースは一旦落ち着きをみせた。逃げは山岳ポイントを稼ぎたいチッコーネと、中間スプリントを狙うファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)らプロコン勢、さらに後半の山でのアシストのために“前待ち”をする総合有力勢のチームメートといった、さまざまな思惑が入り交じった連合軍。メイン集団は実質的な総合首位であるログリッチェを擁する、ユンボ・ヴィスマのコントロール下に入った。

思惑の交錯する逃げグループ。先頭を走るマスナダは中間スプリント2カ所をともに先頭通過 Photo: Yuzuru SUNADA
メイン集団はユンボ・ヴィスマ勢が中心にコントロール Photo: Yuzuru SUNADA

後半の1級山岳で戦いが本格化

 逃げ集団は続く1級山岳、2級山岳を、チッコーネが先頭で通過。メイン集団はタイム差をおおよそ2分台に抑えて、終盤の1級山岳、3級山岳の連続へと備えた。

1級山岳でニバリが攻撃態勢に Photo: Yuzuru SUNADA

 1級山岳サン・カルロ峠では各チームがエースを好位置で送り出すために隊列を形成。上りの前半でバーレーン・メリダがエースのヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)を連れて先頭でペースを上げると、たまらずマリアローザを着るヤン・ポランツェ(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)が集団から後退した。ここからニバリがアタックすると、ログリッチェ、さらにカラパス、ミケル・ランダ(スペイン、モビスター チーム)、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)が反応して追随し、総合有力勢の精鋭追走グループを形成した。

 追走グループはさらにラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)、パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チーム イネオス)、ジョセフロイド・ドンブロウスキー(アメリカ、EFエデュケーションファースト)も合流。また逃げ集団で前待ちしていたアシスト選手も前から合流し、その中の一人、ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・メリダ)がハイペースでけん引を始めた。

前待ちで合流したカルーゾが強力に集団をペースアップ Photo: Yuzuru SUNADA

 追走グループ内でにらみ合うニバリ、ログリッチェら有力勢。一方でイェーツや、前日優勝で総合3位に付けるイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)、同4位のバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)はペースアップに反応しきれず、苦しい状況となった。

カラパスが鋭いアタック

 先頭を行く逃げ集団は上りに入って完全に崩壊。追走から20秒ほどに迫られた中、チッコーネが山岳ポイント獲得を目指して単独で抜け出した。しかしニバリ、ロペスらが攻撃を仕掛けてペースアップした追走グループは、チッコーネを山頂前で飲み込んだ。有力勢のアタックには、すでにアシストを全員失ったログリッチェが自ら対応。モビスター勢はこの日ランダよりも、カラパスが軽快な動きをみせ、積極的にアタックの動きに反応する。

総合有力勢自らのアタック合戦 Photo: Yuzuru SUNADA

 そして1級山岳頂上まで約3kmとなったところで、カラパスが鋭いアタックを見せた。しばらく見合った有力勢は、ニバリ、ログリッチェ、ランダ、ロペスが追走を始める。だがカラパスの強力なペースに、有力勢同士のけん制も手伝って、一気に20秒以上の差が開いた。

カラパスが単独での抜け出しに成功 Photo: Yuzuru SUNADA

 1級山頂はカラパスが先頭で通過。約30秒差の追走グループでは、山頂直前からニバリがペースを上げ、下りでの合流を狙う。ダウンヒルのニバリ、ログリッチェが高速ダウンヒルで前を追うが、カラパスも攻撃的な下りで差を詰めさせない。カラパスは30秒の差を保ったまま、最後の3級山岳へと突入。ログリッチェらの追走グループには、上り口までにマイカ、カルーゾら数人が追い付いて合流。その中には長時間苦しみながら追走していたイェーツの姿もあった。一方でマリアローザのポランツェはすでに6分以上遅れ、この日限りでの首位陥落は確実となった。

ログリッチェはニバリを警戒

 けん制気味となった追走グループに対し、ハイペースを保って先頭を走るカラパス。タイム差は1分を超え、この日のスタート時点でログリッチェから1分57秒差だったカラパスに、マリアローザ獲得の可能性が出てきた。しかしログリッチェはニバリを警戒し、自らカラパスを追走する動きは見せない。各選手が代わる代わるアタックを見せるものの、決定的な流れとはならず、むしろけん制から先頭カラパスとの差はさらに広がっていった。

最後までペースが緩まなかったカラパス Photo: Yuzuru SUNADA

 結局、カラパスはラスト27kmを独走して優勝。今大会は第4ステージに続く2勝目、ジロ通算3勝目を挙げた。2位はけん制する集団から単独抜け出したイェーツ、3位は集団先頭をニバリが取った。ログリッチェはカラパスから1分54秒差でのゴール。しかしカラパスが1位のボーナスタイム10秒を得たことで、カラパスがログリッチェを逆転し、エクアドル人初のマリアローザを獲得した。

2位は最後抜け出したイェーツ Photo: Yuzuru SUNADA
ニバリは集団先頭の3位で4秒のボーナスタイムを獲得 Photo: Yuzuru SUNADA

 翌第15ステージは、休息日前の第2週目最終日。イブレアからコモに至る232kmは、後半に2級山岳2つと、3級山岳が1つ設けられる。一見難易度が下がるかのようにも思えるが、最後の3級山岳は距離4.2kmで平均勾配9.6%という、十分に厳しいもの。山頂から6km下ってすぐのゴールということもあり、有力勢にとっては最後まで油断のできない一日となる。

エクアドル人初となるマリアローザの感触を確かめるカラパス Photo: Yuzuru SUNADA

第14ステージ結果
1 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) 4時間2分23秒
2 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +1分32秒
3 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1分54秒
4 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)
5 ミケル・ランダ(スペイン、モビスター チーム)
6 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)
7 パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チーム イネオス)
8 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)
9 ジョセフロイド・ドンブロウスキー(アメリカ、EFエデュケーションファースト)
10 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・メリダ) +2分1秒
144 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +40分55秒

個人総合(マリアローザ)
1 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) 58時間35分34秒
2 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) +7秒
3 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1分47秒
4 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +2分10秒
5 ミケル・ランダ(スペイン、モビスター チーム) +2分50秒
6 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +2分58秒
7 ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) +3分29秒
8 パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チーム イネオス) +4分55秒
9 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +5分28秒
10 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +5分30秒
149 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +3時間15分1秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ) 194 pts
2 パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) 183 pts
3 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) 72 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ジューリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) 166 pts
2 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) 64 pts
3 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) 42 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チーム イネオス) 58時間40分29秒
2 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +35秒
3 ヴァランタン・マデュア(フランス、グルパマ・エフデジ) +8分15秒

チーム総合
1 モビスター チーム 175時間55分50秒
2 EFエデュケーションファースト +27分37秒
3 バーレーン・メリダ +31分18秒

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