ツアー・オブ・ジャパン2019 第7ステージトーレスが逃げ切ってプロ初勝利 ハーパーが抜群のチーム力で総合首位をキープ

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 国内最大のステージレース「NTN presents 第22回ツアー・オブ・ジャパン」(TOJ)の第7ステージとなる伊豆ステージが5月25日、静岡県伊豆市の日本サイクルスポーツセンター(CSC)周辺の周回コース122kmで開催され、終盤に独走に持ち込んだパブロ・トーレス(スペイン、インタープロサイクリングアカデミー)がプロ初勝利となるステージ優勝を飾った。総合首位のクリス・ハーパー(オーストラリア、チーム ブリッジレーン)はその座を守り、個人総合優勝を決定的なものとした。

伊豆ステージは終盤に独走に持ち込んだパブロ・トーレスがプロ初勝利 Photo: Yuu AKISANE

序盤から凄まじいサバイバルレースに

 昨年の伊豆ステージは修善寺駅をスタートしていたが、今年は2年前と同様にCSC内で一斉にスタートする形式となった。1周12.2kmの周回コースを10ラップするが、道中は上りと下りしかないコースレイアウトとなっており、獲得標高は3750mに達するTOJ屈指の難コースだ。

快晴の下、スタート地点に集合する選手たち Photo: Yuu AKISANE

 翌日の東京ステージは、アップダウンが一切ない平坦ステージであるため、総合優勝の行方は実質的に伊豆ステージで決まることとなる。総合首位のハーパーは45秒のリードを築いているが、総合2位から5位までの選手はタイム差15秒以内にひしめいていた。接戦の総合争い、表彰台争い、ステージ優勝争いと、各チームの思惑が交差して、激しいレース展開が予想されていた。

 スタート直後からアタック合戦が繰り広げられ、ハイスピードでレースが進行。数人の選手が抜け出しては、リーダーチームのブリッジレーンを中心にメイン集団が逃げを吸収。直後にカウンターで飛び出した選手たちを、またブリッジレーンが追って吸収と、先頭では選手が立ち代り入れ替わる激しい展開となった。

 決定的な逃げが決まらないまま1周目を終え、2周目に入っても断続的に集団から飛び出す選手が現れ続けていた。ハイペースすぎる展開に、集団から脱落する選手が続出。2周目にもかかわらず、早くも集団は全体の半分以下となる40人程度まで小さくなっていた。リーダージャージを着るハーパー自ら集団をけん引する姿が見られるなど、序盤から厳しいサバイバルレースとなっていった。

序盤から集団コントロールを担ったチーム ブリッジレーン Photo: Yuu AKISANE
2周目にはリーダージャージのクリス・ハーパー自ら逃げ集団を追う姿が見られた Photo: Yuu AKISANE

 3周目を迎えるホームストレート付近で、オールイス・アウラール(ベネズエラ、マトリックス・パワータグ)が集団から飛び出した。ここにブリッジをかける形で10人の逃げ集団が形成された。

レース前に会話する姿が見られた伊藤雅和(手前)と小林海(奥) Photo: Yuu AKISANE

 2年前に伊豆でステージ優勝、昨年総合優勝のマルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)、1分47秒遅れで総合11位のサム・クローム(オーストラリア、チームUKYO)、南信州ステージ優勝のフェデリコ・ズルロ(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー)、ブエルタ・ア・エスパーニャ出場経験を持つトーレス、日本勢では伊藤雅和(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)、小林海(ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー)、小石祐馬(チームUKYO)、木村圭佑(シマノレーシング)と、国内外の有力候補を含む精鋭集団となっていた。

 すると、この集団からズルロがアタック。逃げ集団からの更なる飛び出しは容認され、先頭は単独でズルロ、9人が追走集団となり、メイン集団がそれぞれ追う形で、ようやくレースが落ち着いた。

終盤にトーレスが独走に持ち込む

 快調に突き進むズルロは、メイン集団に対して最大5分、追走集団に対して最大3分程度のリードを築いていた。レースの折り返しを迎えた6周目からは、宇都宮ブリッツェン、トレンガヌがメイン集団のけん引を開始した。しかし、ペースが上がったダウンヒルで、落車が発生。総合3位のメトケル・イヨブ(エリトリア、トレンガヌ・サイクリング・チーム)、増田、窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング)といった有力選手が地面に叩きつけられた。

 宇都宮ブリッツェンは岡篤志、鈴木龍ら集団に残っていたアシストを下げて、増田の集団復帰をサポート。7周目には集団復帰を果たしたが、背中や膝にダメージを残す手負いの状態でレースを続行することに。

中盤に先頭を独走していたフェデリコ・ズルロはポイント賞ジャージを獲得する好走を見せた Photo: Yuu AKISANE

 ブリッツェンとトレンガヌにトラブルが発生したものの、メイン集団はブリッジレーンがペースアップを続行。強力アシスト陣のけん引により、徐々に逃げとの差が縮まり始めた。時を同じくして、快調に飛ばしていた先頭のズルロも失速。8周目に入ってすぐに、ズルロは追走集団に吸収されたが、中間スプリント地点でポイントを稼いでポイント賞ランキングで首位に浮上した。

 メイン集団はブリッジレーンが、高速けん引を続行しており、負傷した増田が脱落。そうして、20人以上いた集団を10人程度まで絞り込んでいった。しかし、ブリッジレーンはアシストを使い果たし、メイン集団にはハーパーが単騎となってしまった。

集団前方に位置取りする宇都宮ブリッツェンのメンバー Photo: Yuu AKISANE

 一方で総合2位のベンジャミ・プラデス(スペイン)を擁するチームUKYOは逃げ集団に2人、メイン集団に3人残しており、ハーパーに対して数的優位に立っていた。しかし、メイン集団のペースを掌握したのは、マトリックスパワータグだった。フランシスコ・マンセボ(スペイン)が先頭固定で強烈なけん引を開始。集団から仕掛ける選手が誰も出ないまま、逃げ集団との差をじわじわと縮めていった。

 タイム差が20秒を切ったところで、逃げ集団からトーレスがアタック。単独での抜け出しに成功し独走に持ち込む。

 残った逃げメンバーは、マンセボ率いるメイン集団に吸収された。総合成績で4分以上遅れているトーレスを積極的に追いかけるチームは現れず、メイン集団では総合成績を巡る駆け引きが始まり、勝負はラスト1周を残すのみとなった。

トーレス逃げ切り、ハーパー総合首位堅守

 この時点でもなお、5人の選手を残しているチームUKYOだったが、なかなか積極的に仕掛けられる展開に持ち込めなかった。勝負どころとなるラスト3km地点の上り区間に入ると、石橋のアタックをきっかけに集団は崩壊。この機に乗じてプラデスがアタックを仕掛けるも、余力を残していたハーパーはピタリとマーク。プラデスは突き放すことができない。

終盤に10人に絞り込まれたメイン集団をフランシスコ・マンセボがけん引 Photo: Yuu AKISANE

 再び集団はけん制状態に陥ると、リーダーのハーパー自らアタックを仕掛け、フィニッシュへと向かうダウンヒルへと突入した。ハーパーのアタックは集団に揺さぶりをかけただけで、集団はまともや一つにまとまった。

 先頭を走るトーレスは一定ペースを保って、フィニッシュに向かう最後の上りに突入。後続集団とのタイム差は十分で、最後は喜びを噛みしめるようにガッツポーズを連発し、フィニッシュ。嬉しいプロ初勝利を飾った。

チームスタッフと抱き合って喜ぶパブロ・トーレス Photo: Yuu AKISANE

 後続集団は一つのまま、2位争いの上りスプリントに持ち込まれた。いなべステージの上りスプリントを制したベンジャミン・ヒル(オーストラリア、リュブリャナ・グスト・サンティック)が集団先頭をとり、ハーパーはプラデスから5秒遅れたものの、総合首位をキープした。日本勢では石橋学(チーム ブリヂストンサイクリング)がステージ9位となり、総合7位に浮上した一方で、総合4位でスタートした増田成幸(宇都宮ブリッツェン)は落車の影響もあり、総合10位に後退した。

 序盤に激しいレース展開を見せ、30℃を越える暑さも影響したためか、終盤はほとんどのチームが思惑どおりの展開を作り出すことができず。そうしたなかで、ブリッッジレーンのチーム力が光った一戦だった。

抜群のチーム力でグリーンジャージを守り抜いたクリス・ハーパー Photo: Yuu AKISANE

 翌日に開催される東京ステージは、昨年と異なり大井ふ頭内の周回コースでスタート。3.8kmのパレード走行ののち、周回コースを112km走って争われる。スプリンターに有利な高速レースになることが予想され、接戦のポイント賞ランキング争いにも注目が集まるだろう。スタートは午前11時だ。

第7ステージ結果
1 パブロ・トレス(スペイン、インタープロサイクリングアカデミー) 3時間35分58秒
2 ベンジャミン・ヒル(オーストラリア、リュブリャナ・グスト・サンティック) +11秒
3 ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ)
4 フランシスコ・マンセボ(スペイン、マトリックスパワータグ)
5 アダム・トーパリック(チェコ、ザワーランド・NRW・P/B SKSジャーマニー)
6 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、キナンサイクリングチーム)
7 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO)
8 クリス・ハーパー(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) +16秒
9 石橋学(チーム ブリヂストンサイクリング) +22秒
10 小林海(ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) +28秒

個人総合時間
1 クリス・ハーパー(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) 17時間26分56秒
2 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO) +40秒
3 ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ) +51秒
4 フランシスコ・マンセボ(スペイン、マトリックスパワータグ) +1分2秒
5 ドリュー・モレ(オーストラリア、トレンガヌ・サイクリング・チーム) +1分29秒
6 サム・クローム(オーストラリア、チームUKYO) +2分3秒
7 石橋学(チーム ブリヂストンサイクリング) +2分16秒
8 小林海(ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) +2分45秒
9 アドリアン・ギロネット(フランス、インタープロサイクリングアカデミー) +3分25秒
10 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +4分1秒

ポイント賞
1 フェデリコ・ズルロ(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) 67 pts
2 レイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO) 67 pts
3 ベンジャミン・ヒル(オーストラリア、リュブリャナ・グスト・サンティック) 59 pts

山岳賞
1 フィリッポ・ザッカンティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) 33 pts
2 クリス・ハーパー(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) 15 pts
3 エミール・ディマ(ルーマニア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) 12 pts

新人賞
1 クリス・ハーパー(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) 17時間26分56秒
2 ドリュー・モレ(オーストラリア、トレンガヌ・サイクリング・チーム) +1分29秒
3 小林海(ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) +2分45秒

チーム総合
1 チームUKYO 52時間28分50秒
2 マトリックスパワータグ +1分41秒
3 インタープロサイクリングアカデミー +8分14秒

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