ジロ・デ・イタリア2019 第13ステージ逃げ切ったザカリンが独走で山頂フィニッシュを制し4年ぶりジロ勝利 総合でも3位に浮上

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 ジロ・デ・イタリア2019は5月24日、第13ステージが1級山岳の山頂フィニッシュで行われ、前半からの逃げ集団に入ったイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)が、最後の上りで独走に持ち込んで逃げ切りステージ優勝を挙げた。総合首位のマリアローザはヤン・ポランツェ(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)が守ったものの、有力勢の順位が変動する一日になった。初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)はステージ140位で完走した。

イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)が1級山頂ゴールを制して優勝 Photo: Yuzuru SUNADA

思惑絡み合う大きな逃げ集団

 この日のレースは、ピネローロからチェレゾーレ・レアーレ(ラーゴ・セッル)に至る196kmで行われた。前半に1級山岳ルイス峠を越え、後半に2級山岳を1つ越えた後に、最後は1級山岳(登坂距離14.9km、獲得標高957m、平均勾配6.4%)を上りきってゴールとなる、今大会最初の山頂フィニッシュ。ラスト2.5kmの平均勾配は9.3%に達する厳しいものだ。

この日からマリアローザを着るポランツェを、前日までマリアローザを着たコンティが先導する Photo: Yuzuru SUNADA

 レースは前半の1級山岳までに25人超の逃げ集団が形成された。この集団にはザカリン、バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)といった自身が総合エースを担う選手や、山岳賞ジャージを着るジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード)と、同2位に付けるジューリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)が入り、さらには総合有力選手を抱える数チームが複数アシスト選手を乗せて終盤局面での“前待ちアシスト”を臭わせるなど、さまざまな思惑が絡む集団となった。メイン集団はリーダーチームのUAE・チームエミレーツや、総合2位のプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア)を抱えるユンボ・ヴィスマがコントロールを担い、タイム差は最大でも3分台と少なく抑えられた。

厳しい山岳ステージに、ポイント賞ジャージのデマール、初山翔らはグルペットで完走を目指す Photo: Yuzuru SUNADA

 最初の1級山岳ポイントはチッコーネが先頭で通過。山岳賞ジャージを着るブランビッラはむしろアシストの態勢。続く2級山岳もチッコーネが頂上を取り、前日失った山岳賞ジャージの奪回を決めた。逃げに4人を乗せたトレック・セガフレードは、この日終盤に向けてはモレマの逃げ切りと総合順位アップを狙う。

 タイム差2分台で走るメイン集団では、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)を連れたアシストのペリョ・ビルバオ(スペイン)がペースアップし、集団を絞りにかかった。マリアローザを着るポランツェは若干遅れ気味となり、メイン集団はロペス、ログリッチェ、ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)、ミケル・ランダ(スペイン、モビスター チーム)、サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)といった、有力選手による10人少々に絞り込まれた。

最後の1級山岳へと入ったメイン集団 Photo: Yuzuru SUNADA

好調ランダが連日の先行

 逃げ集団は2級山岳からの下り区間をこなし、いよいよ最後のチェレゾーレ・レアーレの上りへと入った。メイン集団は下りでポランツェらが追い付き再び大きな集団となっていたが、アスタナ プロチームとモビスター チームが前を固めてペースを作る中、上り口でランダがアタックを敢行。再びのペースアップで集団は分割し、ポランツェは厳しい戦いを余儀なくされた。

前待ちから合流したカレテロ、アマドールに引かれて走るランダ Photo: Yuzuru SUNADA

 先頭ではアタック合戦からチッコーネ、モレマ、ザカリン、ミケル・ニエベ(スペイン、ミッチェルトン・スコット)の4人が先行。追走するランダには、逃げ集団で前待ちしていたエクトル・カレテロ(スペイン)、アンドレイ・アマドール(コスタリカ)が次々合流し、長い上りの中盤をアシストした。一方のメイン集団では、ロペスがチェーントラブルでストップ。自転車の交換で後退を余儀なくされた。

3人に絞られた先頭。前半から先行したモレマ、ザカリンがステージ勝利と総合ジャンプアップを目指す Photo: Yuzuru SUNADA

 ラスト5kmを前に先頭は、チッコーネが脱落してモレマ、ニエベ、ザカリンの3人に。これを追うランダも単独でタイム差を詰めていく。人数が徐々に絞られるメイン集団は、ニバリ、ログリッチェ、ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)、リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム)、パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チーム イネオス)らが残るが、イェーツは脱落してしまった。

ザカリンがモレマ、ニエベを振り切る

 先頭ではザカリンがアタックを見せ、ニエベは追随するがモレマは苦しくなった。一方のメイン集団ではマイカがアタック。カラパスはこれに付いたが、ログリッチェとニバリは互いをけん制する様子で反応しない。ログリッチェが一度アタックを見せるが、ニバリは落ち着いて対応。だが先行するランダやマイカらとの差は詰める動きとはならなかった。

残り2kmからザカリンが独走に持ち込んだ Photo: Yuzuru SUNADA

 ザカリンは残り2kmを切って、ついにニエベを完全に振り切ることに成功。最終盤の急勾配を危なげなくこなし、そのまま独走でゴールへと飛び込んだ。ロードレースでの勝利は2016年以来、ジロでは2015年の第11ステージ以来4年ぶりの勝利となった。個人総合でも12位から一気に3位へジャンプアップ。実質首位と言えるログリッチェから31秒差にまで迫った。

 ステージ2位はニエベ、3位は単独追い込んだランダが入り、連日の先行ゴールで総合順位を上げた。4位からはカラパス、モレマ、マイカと続き、ログリッチェとニバリは見合ったまま7番手でゴールした。区間15位でゴールしたポランツェはマリアローザを守ったが、2位のログリッチェとのタイム差は2分25秒に縮まった。

4年ぶりジロ勝利を飾ったザカリン Photo: Yuzuru SUNADA
苦しいレースながらマリアローザを守ったポランツェ Photo: Yuzuru SUNADA

 初山はポイント賞ジャージを着るアルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)らと、レース前半から完走を目指すグルペットで走行。先頭のザカリンから48分53秒差でゴールし、総合151位で次ステージへと駒を進めた。

 翌第14ステージは、再び強烈な山岳ステージが待ち受ける。10%前後の勾配を含むカテゴリー山岳が5カ所登場。今大会のロードレースステージで最短の131kmながら、獲得標高は4000mを超える。ラストは1級山岳を下ってすぐ3級山岳を上っての山頂ゴールで、激しいレース展開となることが予想される。

第13ステージ結果
1 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) 5時間34分40秒
2 ミケル・ニエベ(スペイン、ミッチェルトン・スコット) +35秒
3 ミケル・ランダ(スペイン、モビスター チーム) +1分20秒
4 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) +1分38秒
5 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +1分45秒
6 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +2分7秒
7 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) +2分57秒
8 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
9 パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チーム イネオス) +3分34秒
10 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) +3分50秒
140 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +48分53秒

個人総合(マリアローザ)
1 ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) 54時間28分59秒
2 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) +2分25秒
3 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +2分56秒
4 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +3分6秒
5 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +4分9秒
6 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) +4分22秒
7 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +4分28秒
8 ミケル・ランダ(スペイン、モビスター チーム) +5分8秒
9 パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チーム イネオス) +7分13秒
10 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +7分48秒
151 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +2時間38分18秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ) 194 pts
2 パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) 183 pts
3 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) 57 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ジューリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) 90 pts
2 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) 42 pts
3 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード) 40 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チーム イネオス) 54時間36分12秒
2 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +35秒
3 ヴァランタン・マデュア(フランス、グルパマ・エフデジ) +4分11秒

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