ジロ・デ・イタリア2019 第12ステージ31歳ベネデッティが大逃げ集団での戦いを制しプロ初勝利 マリアローザはポランツェに移動

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
  • 一覧

 ジロ・デ・イタリア2019は5月23日、第12ステージが行われ、序盤に形成された25人の大きな逃げ集団から、今大会最初の1級山岳で絞り込まれた5人によるゴール勝負を、チェザーレ・ベネデッティ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)が制して、プロ初勝利をジロの大舞台で飾った。総合首位はこの日6位でゴールしたヤン・ポランツェ(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)が獲得。初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)は区間155位で完走した。

チェザーレ・ベネデッティ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)が逃げ切った5人のゴール勝負を制してプロ初勝利 Photo: Yuzuru SUNADA

ユアン、ヴィヴィアーニが大会を去る

 全21ステージで争われるジロは、大会後半戦へと入った。今大会最初の本格山岳ステージとなるこの日は、クーネオからピネローロに至る158kmで行われた。スタートから約100kmでゴール地点となるピネローロの街を一度通過し、1級山岳モントソ(距離8.8km、平均勾配9.5%、最大勾配14%)を越えた後、下って再びピネローロに至る。ゴール直前にはピネローロの市街地で、狭い石畳の丘を越えてからのフィニッシュ。ここまで平坦中心で息を潜めてきた総合有力勢の戦いがいよいよ本格化する。短めの距離となるためハイスピードでの戦いが予想された。

クーネオの街をスタートする一団 Photo: Yuzuru SUNADA

 前日まで熱戦を繰り広げたスプリンター勢のうち、カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)の2人が、この日未出走となった。今大会後半戦はほぼ山岳レースのみとなり、スプリンターのチャンスは残すところ第18ステージの1日のみ。すでに2勝を挙げ、ツール・ド・フランスに向けて“前向きな撤退”となるユアンに対し、イタリアチャンピオンとして臨みながら勝利を挙げられなかったヴィヴィアーニは、失意の帰宅となった。ポイント賞のマリアチクラミーノを争うアルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)とパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)は大会にとどまる。

25人の逃げが15分の大差

 レースは序盤の攻防からまずトマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)、エディ・ダンバー(アイルランド、チーム イネオス)の2人が集団から抜け出して先行した。これを追う動きが20人以上でまとまり、15km過ぎで先行する2人と合流して25人の大きな逃げ集団となった。25人の中ではポランツェが5分24秒差の総合23位で最も上位に付ける。40km地点でメイン集団との差は6分以上となり、ポランツェがバーチャルでのマリアローザとなった。

 一方メイン集団は、マリアローザのヴァレリオ・コンティ(イタリア)を擁するUAE・チームエミレーツ勢が前を引くものの、バーチャルマリアローザとなるポランツェもUAEの選手であるため、タイム差を抑えることはなく、むしろ積極的に開かせる流れとなった。

デヘントら25人の逃げがメイン集団に大差を付ける Photo: Yuzuru SUNADA

 タイム差はレースを折り返した残り70kmで15分半に達し、後半は総合有力勢のバーレーン・メリダやユンボ・ヴィスマらがメイン集団をけん引して差を若干縮めたものの、モントソの上り入口となる残り40kmで12分半差。区間優勝争いは逃げの25人に絞られ、またポランツェがタイム差を保ってゴールできるか、さらにメイン集団内での有力選手同士にタイム差が付くかどうかが、この日の焦点となった。

5人のスプリントはベネデッティに軍配

 ここまで人数を保ってきた先頭の25人は、上り直前から区間優勝を目指した戦いが開始。上りではダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・メリダ)、ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード)が積極的にペースを上げて、集団の人数を絞った。山頂付近ではこの2人とダンバー、エロス・カペッキ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)による4人の先頭となり、ブランビッラが山岳ポイントを先頭で通過。ブランビッラは40ポイントを一気に獲得し、山岳賞首位はジューリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)から、同僚のブランビッラに移ることになった。

上りで積極的にペースを上げるブランビッラ。この日山岳賞を獲得 Photo: Yuzuru SUNADA

 先頭の4人に下りで数人ずつが追い付き、その中にはバーチャルマリアローザのポランツェの姿もあった。ゴール目前のピネローロの石畳の急坂は、ブランビッラとカペッキがやや抜け出して通過。少し遅れてダンバーが下りで追い付いて先頭に合流した。さらにゴールへ向けてのけん制により、残り500mでベネデッティとカルーゾも追い付き、5人でのゴール勝負となった。

石畳の上りで先行するブランビッラとカペッキ Photo: Yuzuru SUNADA

 最終コーナーを過ぎてスプリントを先行したのはブランビッラ。しかし3番手から加速したベネデッティがブランビッラをかわすと、そのまま先頭でゴールラインを駆け抜けた。31歳のベネデッティはプロ11年目にして初優勝。長年アシストとして堅実な仕事を積み重ねた職人が、地元イタリアの最高の晴れ舞台で、栄えある初勝利を手に入れた。

プロ初勝利を挙げたベネデッティ Photo: Yuzuru SUNADA

ロペス、ランダが先行ゴールに成功

 メイン集団での戦いは上り前半で、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)がアシストを先行させてからアタックして合流し、戦いの火蓋を切った。この動きに総合有力勢はこぞって追随。続いてミケル・ランダ(スペイン、モビスター チーム)が鋭いアタックで抜け出し、これにロペスのみが合流して、2人がメイン集団から30秒ほど先行する形となった。マリアローザを着るコンティは後方集団に埋没し、苦しい流れになった。

ランダのアタックにロペスのみが反応 Photo: Yuzuru SUNADA

 メイン集団はヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)、プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)、ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)、サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)、エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット)、バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)、リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム)といったビッグネームを含むが、追走はそれぞれの思惑が絡んで完全協調体制とはならない。先行するランダとロペスには、逃げの25人に入っていたチームメートがそれぞれ下がって合流。メイン集団からの逃げ切りを図る。

ログリッチェ、カラパス、マイカらのメイン集団 Photo: Yuzuru SUNADA

 最終的にロペスとランダは、メイン集団から28秒先行してのゴールに成功。有力選手のメイン集団は先頭のベネデッティから8分3秒差でゴールした。この結果、マリアローザは粘って25秒差でゴールしたポランツェが獲得。新人賞はヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト)に移り、総合各賞首位が、ポイント賞以外全て入れ替わった。

逃げ集団のポランツェは、最後若干遅れたものの、粘ってタイム差を保ちゴール Photo: Yuzuru SUNADA
初山翔は先頭から21分38秒差の区間155位でゴールし、厳しい山岳ステージを生き残った Photo: Yuzuru SUNADA
マリアローザに袖を通したポランツェ Photo: Yuzuru SUNADA

 翌第13ステージは、ピネローロからチェレゾーレ・レアーレ(ラーゴ・セッル)に至る196kmで行われる。レース前半に1級山岳、後半に2級山岳を1つずつこなした後、終盤は1級山岳を駆け上がっての山頂ゴール。ラーゴ・セッルに至る上りは登坂距離20.3km、獲得標高1196m、平均斜度5.9%というボリューム。ラスト2.5kmは約10%の勾配が続き、総合有力勢の激しい戦いが繰り広げられることは必至だ。

第12ステージ結果
1 チェザーレ・ベネデッティ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) 3時間41分49秒
2 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・メリダ) +0秒
3 エディ・ダンバー(アイルランド、チーム イネオス)
4 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード) +2秒
5 エロス・カペッキ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) +6秒
6 ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) +25秒
7 マッテーオ・モンタグーティ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) +34秒
8 トマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) +2分36秒
9 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)
10 マヌエル・センニ(イタリア、バルディアーニ・CSF) +2分38秒
155 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +21分38秒

個人総合(マリアローザ)
1 ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) 48時間49分40秒
2 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) +4分7秒
3 ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAE・チームエミレーツ) +4分51秒
4 エロス・カペッキ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) +5分2秒
5 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +5分51秒
6 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +6分2秒
7 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +7分0秒
8 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) +7分23秒
9 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター チーム) +7分30秒
10 ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト) +7分33秒
159 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +1時間54分4秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ) 194 pts
2 パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) 183 pts
3 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) 50 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード) 40 pts
2 ジューリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) 32 pts
3 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 22 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト) 48時間57分13秒
2 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +35秒
3 パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チーム イネオス) +45秒

チーム総合
1 アンドローニ・シデルメク・ボッテキア 146時間38分47秒
2 モビスター チーム +2分30秒
3 ドゥクーニンク・クイックステップ +9分30秒

関連記事

この記事のタグ

UCIワールドツアー ジロ・デ・イタリア2019 ロードレース

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載