ツアー・オブ・ジャパン2019 第5ステージ(南信州)先頭集団のスプリントを制したズルロが区間優勝 総合はヒル変わらず、雨澤毅明がリタイア

by 小森信道 / Nobumichi KOMORI
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 国内最大のステージレース「NTN presents 第22回ツアー・オブ・ジャパン」(TOJ)の第5ステージとなる南信州ステージが5月23日、長野県飯田市の下久竪周辺に設定された1周12.2kmを10周回したのちにフィニッシュ地点の松尾総合運動場前へと向かう1.6kmを加えた123.6kmで争われ、30人ほどに絞られた集団スプリントを制したフェデリコ・ズルロ(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー)がステージ優勝を飾った。

30人ほどの集団スプリントでフェデリコ・ズルロ(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー)が伸びのあるスプリントを見せる Photo: Nobumichi KOMORI

山岳賞ジャージのザッカンティらが逃げ

 2019年のツアー・オブ・ジャパンも第4ステージまでを終え、折り返しを過ぎた。ここからの後半戦は最終ステージの東京を除いて、個人総合時間争いの山場となるステージが続く。第5ステージの舞台となる長野県飯田市のコースは、コントロールラインからKOM(山岳ポイント)までおよそ3kmを上り、その後はダイナミックでテクニカルな下りが待ち受ける。平坦区間はほぼなく、ジェットコースターのようなコースと評される難コースで、このステージで個人総合時間争いが大きく動くことも多い。

チームUKYOのホームステージとなる南信州ステージ。オーナーの片山右京氏も駆けつけ、気軽に写真撮影に応じる Photo: Nobumichi KOMORI
各賞ジャージ着用選手がスタートライン先頭に並ぶ。左から山岳賞のザッカンティ、個人総合時間のヒル、新人賞のトゥーベイ、ポイント賞の窪木一茂 Photo: Nobumichi KOMORI
JR飯田駅前を選手たちがパレードスタートする Photo: Nobumichi KOMORI

 JR飯田駅をスタートし、7.3kmのパレード走行を終えてスターとしたレースは、最高気温30℃の予報も出る暑さの影響もあってか、例年に比べて穏やかな立ち上がり。例年であれば1周目からアタックの応酬になる上り区間もひとつの集団のままで終え、その後の下りでも大きな動きはないまま2周目へと入った。

KOM付近にはファンたちによるチョークペイントが。このステージ名物の焼肉の文字も多かった Photo: Nobumichi KOMORI
多くのチョークペイントが書かれたエリアをメイン集団が通過する Photo: Nobumichi KOMORI
フィリッポ・ザッカンティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)、トケル・イヨブ(エリトリア、トレンガヌINC.TSGサイクリングチーム)、岡篤志(宇都宮ブリッツェン)3人の逃げ集団が形成される Photo: Nobumichi KOMORI

 2周目に入ると、このステージ山岳賞ジャージをほぼ手中にしたいフィリッポ・ザッカンティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)が集団先頭でペーアップを開始。この動きに追従した岡篤志(宇都宮ブリッツェン)とメトケル・イヨブ(エリトリア、トレンガヌINC.TSGサイクリングチーム)とで3人の逃げ集団が形成された。一方のメイン集団は個人総合リーダーのベンジャミン・ヒル(オーストラリア)を抱えるリュブリャナ・グスト・サンティックがコントロールを開始。両者のタイム差は一気に1分30秒程度にまで開いた。すると、メイン集団からはエミール・ディマ(ルーマニア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー)が逃げ集団に単独ブリッジ。レースは4人の逃げ集団とメイン集団という形で落ち着きを見せた。

メイン集団から単独で飛び出したエミール・ディマ(ルーマニア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー)が逃げ集団へブリッジを試みる Photo: Nobumichi KOMORI
メイン集団はリーダーチームのリュブリャナ・グスト・サンティックがコントロールする展開に Photo: Nobumichi KOMORI
テクニカルな下り区間を一気に駆け下りていく選手たち Photo: Nobumichi KOMORI

約30人の集団スプリントに

 レースも中盤に差し掛かると、メイン集団ではリュブリャナ・グスト・サンティックに代わって、個人総合4位のアダム・トーパリック(チェコ)擁するザワーランド・NRW・P/B SKSジャーマニーがコントロールを開始。少しずつだが着実に逃げ集団とのタイム差を縮めていき、7周目の段階でその差は30秒と吸収も秒読みという状態になった。するとこのタイミングで個人総合時間5位のオールイス・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ)が追撃のアタック。それと時を同じくして、2度目の山岳ポイントを終えて足並みがそろわなくなってきた逃げ集団でも岡がアタックを仕掛けて単独で抜け出す展開になった。

エミール・ディマ(ルーマニア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー)が合流し、逃げ集団は4人に Photo: Nobumichi KOMORI
ザワーランド・NRW・P/B SKSジャーマニーにコントロールが代わったメイン集団がペースを上げて逃げ集団へと迫る Photo: Nobumichi KOMORI

 アウラールのアタックによって活性化したメイン集団からはドリュー・モレ(オーストラリア、トレンガヌINC.TSGサイクリングチーム)が抜け出して単独で先行する岡に合流。さらにアドリアン・ギロネット(フランス、インタープロサイクリングアカデミー)も合流し、レースも終盤に差しかかった段階で新たに3人の逃げ集団が形成された。

逃げ集団から単独で飛び出した岡篤志(宇都宮ブリッツェン)が逃げ切り勝利の可能性に賭ける Photo: Nobumichi KOMORI
単独で逃げていた岡篤志(宇都宮ブリッツェン)に、ドリュー・モレ(オーストラリア、トレンガヌINC.TSGサイクリングチーム)とアドリアン・ギロネット(フランス、インタープロサイクリングアカデミー)が合流し、3人の新たな逃げができる Photo: Nobumichi KOMORI

 3人の逃げ集団はメイン集団から1分程度のタイム差を奪って逃げ続ける一方で、メイン集団もフランシスコ・マンセボ(スペイン、マトリックスパワータグ)のアタックでその人数を減らしていく。やがて、メイン集団をキナンサイクリングチームがコントロールし始めたことで、ようやく逃げ集団とのタイム差が縮まり始めた。

活性化したメイン集団からは逃げ集団に合流しようと次々に選手たちが飛び出していく Photo: Nobumichi KOMORI

 残り2周となる9周目に入ると、序盤からここまで逃げ続けてきた岡が上り区間でドロップ。先頭はモレとギロネットの2人となったが、続いて最終周の上りでギロネットもドロップし、モレが逃げ切り勝利をかけて単独で先行する展開になった。しかし、キナンサイクリングチームがコントロールする30人ほどのメイン集団も着々とモレとのタイム差を縮めてきており、吸収は時間の問題という状態。ゴールまで残り3kmというところでモレは集団に吸収され、集団のまま周回コースを離れてフィニッシュ地点となる松尾総合運動場前へと続く平坦路へ。そこでも大きな動きは生まれることなく、勝負は30人ほどに絞られた集団スプリントとなり、小林海(ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー)のアシストを受けたズルロがステージ優勝を手中に収めた。

30人ほどの集団スプリントでフェデリコ・ズルロ(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー)が伸びのあるスプリントを見せる Photo: Nobumichi KOMORI

 この結果、個人総合時間のグリーンジャージはタイム差なしでフィニッシュしたヒル、山岳賞ジャージはこの日だけで14ポイントを加算したザッカンティが堅守したが、ポイント賞ジャージは窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング)からこの日2位に入ったレイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO)に、新人賞ジャージはエイデン・トゥーベイからタイム差なしの14位でまとめたトーパリックに移った。この日は5人の選手がリタイア。その中には昨年第2ステージを制した雨澤毅明(リュブリャナ・グスト・サンティック)の名もあった。

区間優勝のフェデリコ・ズルロ(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) Photo: TOJ2019
個人総合首位を守ったベンジャミン・ヒル(オーストラリア、リュブリャナ・グスト・サンティック) Photo: TOJ2019
ポイント賞リーダーに立ったレイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO) Photo: TOJ2019
新人賞リーダージャージを獲得したアダム・トーパリック(チェコ、ザワーランド・NRW・P/B SKSジャーマニー) Photo: TOJ2019

 翌24日の第6ステージは、ツアー・オブ・ジャパンのクイーンステージとなる富士山ステージ。静岡県小山町の須走商店街をパレードスタートし、富士スピードウェイの外周を2周したのちに再び須走商店街を抜けて、ふじあざみラインで富士山の須走口5合目まで一気に駆け上がる。このステージの勝者が個人総合優勝に王手をかけるといっても過言ではなく、大きな注目が集まるのは間違いない。

第5ステージ結果
1 フェデリコ・ズルロ(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) 3時間10分24秒
2 レイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO) +0秒
3 ニコラス・ホワイト(オーストラリア、チーム ブリッジレーン)
4 ベンジャミン・ヒル(オーストラリア、リュブリャナ・グスト・サンティック)
5 オールイス・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ)
6 パブロ・トレス(スペイン、インタープロサイクリングアカデミー)
7 中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)
8 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO)
9 小林海(ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー)
10 入部正太朗(シマノレーシングチーム)

個人総合時間
1 ベンジャミン・ヒル(オーストラリア、リュブリャナ・グスト・サンティック) 12時間27分54秒
2 アダム・トーパリック(チェコ、ザワーランド・NRW・P/B SKSジャーマニー) +2秒
3 レイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO) +7秒
4 入部正太朗(シマノレーシングチーム) +9秒
5 オールイス・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ) +11秒
6 フェデリコ・ズルロ(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) +15秒
7 クリス・ハーパー(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) +24秒
8 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
9 フランシスコ・マンセボ(スペイン、マトリックスパワータグ) +25秒
10 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO) +26秒

ポイント賞
1 レイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO) 67 pts
2 フェデリコ・ズルロ(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) 57 pts
3 窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング) 55 pts

山岳賞
1 フィリッポ・ザッカンティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) 30 pts
2 エミール・ディマ(ルーマニア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) 12 pts
3 ホアン・ボウ・カンパニー(スペイン、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) 10 pts

新人賞
1 アダム・トーパリック(チェコ、ザワーランド・NRW・P/B SKSジャーマニー) 12時間27分56秒
2 オールイス・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ) +9秒
3 フェデリコ・ズルロ(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) +13秒

チーム総合
1 チーム ブリッジレーン 37時間24分46秒
2 チームUKYO +10秒
3 マトリックスパワータグ +11秒

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