自転車向け新製品を開発六角レンチってどうやって作られるの? 国内生産に一貫する「エイト」の製作現場に密着PR
自転車を整備するうえでは欠かせない工具「六角レンチ」。一見すると各メーカーのレンチが同じ姿をしているが、精度や形状は別物だ。今回は六角レンチの専門メーカー「エイト」の工場を取材。一貫してメイドインジャパンにこだわる専門メーカーの製作現場に密着した。

アーレンキーやヘックスレンチなど、さまざまに呼称されるこの工具だが「六角棒スパナ」が正確な呼び名だという。スポーツバイクにおいてはシートポストの上げ下げ、ハンドルやステムの調整に使用したことがある読者も多いのではないだろうか。そんな六角レンチを専門で製作するのがエイトだ。
エイトは大阪に本社を持ち、鳥取にある工場で製造。0.71mm~50mm、また、インチサイズの工具も含めて120種類にも及ぶ製品ラインナップを取り揃える。月に80万本という出荷量を誇り、国内外へと出荷されている。エイトの六角レンチが持つ特徴は、何といってもその精度だ。

品質を最重要視しているエイトは、工具に使用する鋼材からこだわりをみせる。特殊合金銅SNCM+V製という選び抜いた鋼材を、管理が徹底されたマシンで製品の仕様ごとの長さにカット。細いレンチの場合、コイル状の鋼材を直線出ししてから加工していた。切断された断面の面取り段階から、熟練のスタッフによる検品作業が入り、基準に満たないものはここで除外される。
独自の技術「テーパーヘッド」
そこからプレスをかけ、先端を90度に屈曲させおなじみのL字形状へと仕上げていく。エイトの工具は全て打刻印が施されているのも特色の一つだ。ここで角度に問題はないか、割れはないかなど再び人の手でチェックし、優れた精度の製品として世に送り出されていく。

エイトにはさらに「テーパーヘッド」という特徴的な先端形状の六角レンチをラインナップしている。ボルトに対して角度がある位置からでも整備がしやすい六角レンチとして、先端が丸みを帯びた「ボールポイント」が挙げられるが、テーパーヘッドは六面がボルト穴にさらに密着する形状を採用。滑ることなく、通常のボールポイントよりも傾けた確度からでもトルクをかけることが可能となった。カムアウト(締めている途中で工具が外れる)の可能性が低く、仮止めだけでなく、本締めでも活用することができるのが特徴だ。
自転車乗りが求める用途に最適化
テーパーヘッドはエイトが独自に持つ切削技術によって実現している。門外不出で非公開という切削行程は、マシン内部で行うが、それ以降は一本一本全てを人の目で検品。切削面が均一かどうか、削った粉で傷ができていないかを厳しくチェックしていた。
そのエイトの強み、テーパーヘッドを用いた自転車用ツール「ミニツール(CN-M)」が新たに登場した。コンパクトにまとめられたセットには3、4、5、6mmのテーパーヘッド六角レンチのほかプラスドライバーが付属している。開発に携わった松本裕樹さんは「工具の精度が生きるよう、強度の確保のために成形部分とのねじ止めに力を入れました。また、お客様が手に取ったとき、製品が美しく見えるようレンチ一本一本の並びにはこだわりました」とアピールした。
コンパクトツールは主にライド先で活躍する工具。通常、出先では落ち着いた環境で作業できないことが多く、簡易的なツールではボルト穴を傷めてしまった経験が筆者にもあった。エイトのミニツールはガッチリとボルト穴を掴むので、その心配はしなくてもよさそうだ。高性能なバイクにこそ、高品質のツールを選択してみてはいかがだろうか。ミニツールは順次ライトウェイプロダクツジャパン取り扱い店舗で発売される。
■エイト「ミニツール」
税抜価格:2,350円
スペック:3、4、5、6mm(テーパーヘッド)、プラスドライバー
フォトギャラリー
- エイトが誇る形状「テーパーヘッド」を採用 Photo: Shusaku MATSUO
- 国内屈指の加工技術でエイトの六角レンチは仕上げられる Photo: Shusaku MATSUO
- エイトの六角レンチは全て鳥取工場で生産・加工される Photo: Shusaku MATSUO
- 細い六角レンチはコイル状の鋼材を使用 Photo: Shusaku MATSUO
- 直線出しの後、カットされて加工が施される Photo: Shusaku MATSUO
- 右が鋼材を切ったもの、左が面取り処理後 Photo: Shusaku MATSUO
- 厳しい社内規格を設け、高品質な製品を供給 Photo: Shusaku MATSUO
- プレス機で90度の曲げ加工が施される Photo: Shusaku MATSUO
- プレスの後は人の手で検品 Photo: Shusaku MATSUO
- 打刻印された六角レンチ Photo: Shusaku MATSUO
- 大量のオイルを使いながらの切削 Photo: Shusaku MATSUO
- 切削を受けた工具は一つ一つ人の目によってチェックされる Photo: Shusaku MATSUO
- ミリ単位以下の精度までこだわる Photo: Shusaku MATSUO
- オーダーメイドの工具も一から金型を起して制作するという Photo: Shusaku MATSUO
- パッケージングも社内で行われる Photo: Shusaku MATSUO
- Photo: Shusaku MATSUO
- サイクリスト向けのコンパクトツール制作に携わった松本裕樹さん Photo: Shusaku MATSUO
- 工具の並びにこだわり、性能とデザインを両立させた Photo: Shusaku MATSUO