ツアー・オブ・ジャパン2019 第3ステージ(いなべ)終盤2人で抜け出したヒルが区間優勝で総合首位に 窪木一茂がポイント賞リーダー

by 小森信道 / Nobumichi KOMORI
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 国内最大のステージレース「NTN presents 第22回ツアー・オブ・ジャパン」(TOJ)の第3ステージとなるいなべステージが5月21日、三重県いなべ市の梅林公園周辺に設定された1周14.8kmを8周に8.6kmを加えた127kmで開催され、最終周に先頭集団から抜け出した2人の選手が逃げ切り、ゴールスプリントを制したベンジャミン・ヒル(オーストラリア、リュブリャナ・グスト・サンティック)がステージ優勝を飾るとともに個人総合時間でも首位にジャンプアップ。今大会3人目のグリーンジャージ着用者となった。

誰もが苦しいタイミングで集団から飛び出して逃げ切ったベンジャミン・ヒル(オーストラリア、リュブリャナ・グスト・サンティック)がステージ優勝を飾り、グリーンジャージも手にした Photo: Nobumichi KOMORI

序盤は出入りの激しい展開に

 2015年に新ステージとしてTOJに加わったいなべステージも、今年で5回目の開催を迎えた。上り基調の平坦路でフィニッシュ地点に向かい、KOM(山岳賞)へと向かう激坂区間を過ぎれば、あとは下り基調というオーソドックスなレイアウトだったコースに手が加えられたのが2年前。フィニッシュ手前1km地点に「イナベルグ」と称される道幅の狭い激坂区間が組み込まれ、勝負の行方を大きく左右するようになった。一晩中降り続いた雨もスタートを迎える頃にはすっかり上がり、雲の切れ目から薄日が射し込む中でレースはスタートした。

ゆるキャラもキナンサイクリングチームのTシャツを着て応援 Photo: Nobumichi KOMORI
4賞ジャージ着用者を先頭に、選手たちがセレモニーランのスタート地点となる阿下喜駅前に整列する Photo: Nobumichi KOMORI
スタート前に挨拶をする日置靖いなべ市長はセレモニーランにも参加した Photo: Nobumichi KOMORI
セレモニーランをスタートさせる選手たち Photo: Nobumichi KOMORI

 スタート直後から激しいアタック合戦となったが、前日の第2ステージで各チームの戦力やエースのコンディションがおおよそ把握できたこともあってか、危険な選手の逃げにはすぐさまチェックが入り、なかなか逃げが形成されない状況が続く。そんな中、2周目には中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)、ディラン・サンダーランド(オーストラリア、チーム ブリッジレーン)、サム・クローム(オーストラリア、チームUKYO)、パブロ・トーレス・ムイノ(スペイン、インタープロサイクリングアカデミー)、小林海(ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー)、フェデリコ・ズルロ(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー)、オールイスアルベルト・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ)の7人が集団から抜け出したものの、有力選手を多く含んでいたため集団に吸収された。その後もアタックがかかっては吸収される状況が繰り返され、出入りが激しい展開が続いた。

山岳賞ジャージを着用するフィリッポ・ザッカンティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)が1回目の山岳ポイントを目指して激坂区間を上る Photo: Nobumichi KOMORI
KOMに続く道にはホームチームのキナンサイクリングチームを応援するチョークペイントが Photo: Nobumichi KOMORI

地元キナンがメイン集団を統率

 それでも3周目に入ると、エミール・ディマ(ルーマニア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー)がアタックを仕掛けて集団から単独で抜け出すと、集団もこの逃げを容認。ようやくレースが落ち着きを見せることになった。しかし、穏やかなムードが流れるメイン集団では、リーダーチームのチーム ブリッジレーンがコントロールする気配を見せず、仕切るチームが現れない。

単独で逃げ続けるエミール・ディマ(ルーマニア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー)に追走のペア・クリスティアン・ミュンスターマン(ドイツ、ザワーランド・NRW・P/B SKSジャーマニー)が単独リッジをかける Photo: Nobumichi KOMORI

 その状況を突いたペア・クリスティアン・ミュンスターマン(ドイツ、ザワーランド・NRW・P/B SKSジャーマニー)が単独で飛び出して追走を開始。およそ1周を費やして単独で逃げ続けるディマに合流、逃げは2人になって、レースは6周目に入った。

リーダーチームがコントロールしないメイン集団は、ホームチームのキナンサイクリングチームがコントロールを開始 Photo: Nobumichi KOMORI

 6周目に入ると、メイン集団ではリーダーチームがコントロールしないことに業を煮やし、このステージのホームチームであるキナンサイクリングチームがコントロールを開始。少しずつ逃げ集団とのタイム差を縮めていき、7周目に入る段階で最大で4分30秒ほどあった差は1分を切るまでになった。すると時をほぼ同じくして、逃げ集団からがミュンスターマンがドロップして逃げは再びディマ単独に。懸命に逃げ続けるディマのすぐ後方にメイン集団が迫る状況でレースは最終周を迎えた。

2人の逃げ集団が最大で4分30秒ほどのタイム差をつけて逃げる展開が続く Photo: Nobumichi KOMORI
キナンサイクリングチームがコントロールするメイン集団がじわじわとその差を詰めていく Photo: Nobumichi KOMORI
平日開催にもかかわらず、フィニッシュ地点には多くの観戦客が詰めかけた Photo: Nobumichi KOMORI
最終周に入るまで粘りの単独逃げを見せたエミール・ディマ(ルーマニア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー)だったが集団に吸収された Photo: Nobumichi KOMORI

苦しい局面で抜け出した2人が逃げ切り

 最終周に入ると、ここまで逃げ続けたディマも集団に吸収され、集団はひとつに。KOMに向かう激坂区間で集団の人数が20人ほどにまで絞り込まれて下りを迎えようと空気が緩んだ瞬間を見逃さずにアダム・トーパリック(チェコ、ザワーランド・NRW・P/B SKSジャーマニー)がアタック。誰もが苦しい状況での会心のアタックに反応できたのはヒルだけで、2人が先行する展開に。牽制が始まってしまった集団をよそに抜け出した2人は30秒ほどのリードを一気に稼ぎ出して逃げ切りを目指す。

力強いスプリントを見せたベンジャミン・ヒル(オーストラリア、リュブリャナ・グスト・サンティック)がダム・トーパリック(チェコ、ザワーランド・NRW・P/B SKSジャーマニー)を振り切る Photo: Nobumichi KOMORI

 集団も牽制を掛け合いながらも猛追したが及ばず、勝負は最終局面で飛び出した2人に絞られることになった。イナベルグをクリアしてホームストレートに姿を現した2人によるスプリント勝負の軍配はヒルに上がり、ヒルがステージ優勝を飾った。また、ヒルはフィニッシュ時のボーナスタイム10秒獲得したことで、個人総合11位から一気に1位にジャンプアップ。今大会3人目となるグリーンジャージ着用者となった。

ステージ優勝の表彰を受けるベンジャミン・ヒル(オーストラリア、リュブリャナ・グスト・サンティック) Photo: Nobumichi KOMORI
今大会3人目のグリーンジャージ着用者となったベンジャミン・ヒル(オーストラリア、リュブリャナ・グスト・サンティック) Photo: Nobumichi KOMORI
ポイント賞ジャージは窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング)が獲得 Photo: Nobumichi KOMORI

 また、この日の結果でポイント賞は窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング)が獲得。山岳賞と新人賞はフィリッポ・ザッカンティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)とエイデン・トゥーベイ(オーストラリア、チーム ブリッジレーン)がともにキープしている。

山岳賞ジャージをキープしたフィリッポ・ザッカンティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) Photo: Nobumichi KOMORI
エイデン・トゥーベイ(オーストラリア、チーム ブリッジレーン)はグリーンジャージは失ったが、新人賞ジャージは死守した Photo: Nobumichi KOMORI

 第4ステージは22日、岐阜県美濃市を舞台に開催される。最終日の東京とならぶスプリントステージということもあり、個人総合狙いの選手たちは小休止。代わりに、ポイント賞をかけた中間スプリントやゴールスプリントでの争いが激化することになりそうだ。

第3ステージ結果
1 ベンジャミン・ヒル(オーストラリア、リュブリャナ・グスト・サンティック) 3時間18分34秒
2 アダム・トーパリック(チェコ、ザワーランド・NRW・P/B SKSジャーマニー) +0秒
3 オールイス・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ) +13秒
4 窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング)
5 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO)
6 フェデリコ・ズルロ(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー)
7 フランシスコ・マンセボ(スペイン、マトリックスパワータグ)
8 サム・クローム(オーストラリア、チームUKYO) +16秒
9 中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)
10 レイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO)

個人総合時間
1 ベンジャミン・ヒル(オーストラリア、リュブリャナ・グスト・サンティック) 6時間3分10秒
2 エイデン・トゥーベイ(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) +1秒
3 アダム・トーパリック(チェコ、ザワーランド・NRW・P/B SKSジャーマニー) +2秒
4 入部正太朗(シマノレーシングチーム) +9秒
5 オールイス・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ) +15秒
6 窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング) +18秒
7 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +20秒
8 レイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO) +23秒
9 クリス・ハーパー(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) +24秒
10 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)

ポイント賞
1 窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング) 35 pts
2 エイデン・トゥーベイ(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) 33 pts
3 アダム・トーパリック(チェコ、ザワーランド・NRW・P/B SKSジャーマニー) 31 pts

山岳賞
1 フィリッポ・ザッカンティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) 16 pts
2 アドリアン・ギロネット(フランス、インタープロサイクリングアカデミー) 7 pts
3 エミール・ディマ(ルーマニア、ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー) 5 pts

新人賞
1 エイデン・トゥーベイ(オーストラリア、チーム ブリッジレーン) 6時間3分11秒
2 アダム・トーパリック(チェコ、ザワーランド・NRW・P/B SKSジャーマニー) +1秒
3 オールイス・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ) +14秒

チーム総合
1 チーム ブリッジレーン 18時間10分34秒
2 リュブリャナ・グスト・サンティック +3秒
3 チームUKYO +10秒

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