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安井行生流ロードバイクの選び方<2>ロードバイクのフレーム選びで重視する2つの基準

by 安井行生 / Yukio YASUI
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 前回はカタログスペックが絶対的な判断材料にならないことをお伝えしました。それなら、どうやって選べばいいのか。それが今回のテーマです。

 あくまで僕の場合ですが、基準は二つ。「性能」と「乗り味」です。後者は「ペダリングフィール」「気持ちよさ」「一体感」「自転車と対話できるかどうか」などと言い換えることもできます。

愛車のルック785。選んだのには理由がある Photo: Yukio YASUI

バイク選びに不可欠な二つの基準

 この二つの基準、どっちかではダメなんです。二つのバランスが取れてないとダメ。「鼻歌歌いながら40km/h巡航できるし乗鞍で軽く1時間切れるけど味わいゼロ」という自転車は欲しくなりません(そんな自転車ないけど)。「ペダリングフィール最高だけど300ワットで15km/hしか出ない」もダメ。「ある程度速くて、しかも超気持ちいい」。僕が欲しくなるのはそんな自転車です。

 だから、カリカリのハイエンドバイクよりバランスのとれたセカンドグレードのほうが好みに合うことも多いです。ちなみに、快適性は高いに越したことはないけれど、最重要事項ではありません。僕は「ロードバイクは速く気持ちよく走るための乗り物であり、ラクに走るためのものではない」と思っているからです。

 もちろん、選択基準は目的や好みによって変わります。「レースで上位入賞を目指すのが目的だから乗り味なんてどうだっていい」「ロードバイクは高速巡航性能命」「とにかく快適に安楽に走りたい」「雨でもガンガン乗るからウェット時の制動性能は必須」というなら、各々の性能を唯一絶対の基準にして自転車を選べばいい。「乗り味の良さがパフォーマンスの向上につながる」というなら、レースが目的でも乗り味を重視すべきですが。

 じゃその「性能」と「乗り味」をどうやって判断するのか。

 これはもう試乗しまくるしかありません。昔と違って今は代理店やメーカーやショップがいろんなところで試乗会を開催しているので、それを利用しましょう。

試乗を繰り返すうちに自分好みの味がわかるはずです Photo: Shusaku MATSUO

「性能」「乗り味」をどう評価するか

 僕が買ったフレームの多くは、試乗で惚れ込んだものでした。ルック・585に試乗してあまりの気持ちよさに気絶しそうになり、我慢ならず数カ月後には買ってました。BMCの先代SLR01に試乗したときは「これぞ新世代の走りだ!」と感動に打ち震え、すぐに注文しました。試乗してバランスのよさに感銘を受けたメリダ・スクルトゥーラは、その場でショップに電話を入れました。

BMCの「チームマシンSLR01」(2016年7月撮影) Photo: Shusaku MATSUO

 みなさんもどんどん試乗してみてください。確かに“インプレは水物”です。その日の気分や体調、気温、天気、コース、ホイール、タイヤ、空気圧、コンポ、その他パーツ、ポジション如何によって印象はコロコロ変わる。その直前に何に乗っていたかによっても印象は大きく左右されます。でも、経験を重ねればなんとなくフレームの良し悪しを感取できるようになり、自分の好みが確立されていきます。

 もちろん、試乗をせずに、というか実物も見ずに買っちまったフレームもたくさんあります。ルック・695はコンセプトにやられて発表直後に注文しました。タイム・アイゾンもルック・785も試乗せずに買いました。その理由は、「このメーカーなら自分好みの乗り味になってるだろう」という信頼感ですね。「このメーカーがこういうコンセプトで作ったバイクには乗らねばならぬ」と思ってしまうこともあります。

 モノ作りの姿勢や乗り味や走りの方向性をコロコロ変えるメーカーは、そういう判断はしづらいですね。僕が最近信頼しているのは、カーボンの成型方法の一種となるRTM製法を使い続けるタイムと、プロフォーマット(素材、空力など様々な面から自転車の推進力を最大化する技術)導入以降のアンカー。この2社は、フレーム作りの根底に「ロードバイクはこうあるべきだ」「オレたちが作るバイクはこういう走りをするべきだ」という信念のようなものを感じるんです。ルックの走りも基本的に信頼してます。スチールとチタンで我が道を行くパナソニックのモノづくりにも共感できます。

美人は三日で飽きるわけない

 そうそう、見た目も大事ですよ。所有感と言い換えてもいい。いくら走りがよくても、カッコ悪かったら欲しくならない。僕はそういう軟派な人間です。

 多少高くても、他のバイクよりスペックがショボくても、ちょっと快適性が低くても、見るたびに「オレの自転車かっけぇなあ…」って惚れ惚れできる自転車のほうがいい。美人は三日で飽きると言いますが、そんなもん嘘に決まってるでしょう。

 だから、「細いチューブのホリゾンタルフレームが好きだから、多少重くてもスチールフレームを選ぶ」とか、「自分の速度域では空力性能なんか必要ないけど、見た目が好みだからエアロロードにする」というのは全然アリです。「冷静に盲目的になる」とでも言いましょうか。すごくいい自転車の選び方だと思います。

 クルマを買うときには気にする人が多いリセールバリュー、それはこの際無視しましょう。スポーツバイクという崇高な趣味にそんなものを持ち込むのは野暮ってもんです。

 次回は、フレームのジオメトリの良し悪しを判断する方法について書きます。

安井行生
インプレッションライダー・安井行生(やすい・ゆきお)

大学在学中にメッセンジャーになり、都内で4年間の配送生活を送る。ひょんなことから自転車ライターへと転身し、現在は様々な媒体でニューモデルの試乗記事、自転車関連の技術解説、自転車に関するエッセイなどを執筆する。今まで稼いだ原稿料の大半をロードバイクにつぎ込んできた自転車大好き人間。

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