ジロ・デ・イタリア2019 第9ステージ圧巻のログリッチェ、土砂降りの個人TTを制し2勝目 イェーツ、ロペスは沈む

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ジロ・デ・イタリアは5月19日、第9ステージの個人タイムトライアルが開催され、土砂降りの悪天候ながらプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が圧巻の走りでステージ優勝。総合ライバルたちに大きくタイム差をつけ、総合2位に浮上した。マリアローザのヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチーム・エミレーツ)は3分34秒遅れのステージ38位でフィニッシュし、総合首位を守った。初山翔(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)は、9分44秒遅れのステージ160位でフィニッシュした。

得意のタイムトライアルで勝利したプリモシュ・ログリッチェは、表彰台でお馴染みのテレマークポーズを披露 Photo: Yuzuru SUNADA

欧州王者のカンペナールツがメカトラを乗り越え好タイム

 第9ステージはリッチョーネからサンマリノに至る、34.8kmの個人タイムトライアルで争われた。道中、世界最古の共和国とも言われるサンマリノ共和国に入国し、旧市街があり世界遺産でもあるティラーノ山に向かって、ラスト12.2kmは平均勾配4.5%の上りとなっていた。

 曇り空のなか第2走者の初山がスタート。平坦区間が終わったところでノーマルバイクに乗り換え、上り区間でタイムを挽回しながらフィニッシュ。第1走者のニコ・デンツ(ドイツ、アージェードゥーゼール ラモンディアール)から2分遅れの1時間1分36秒のタイムを残した。

レース前にウォームアップする初山翔 Photo: Yuzuru SUNADA
上り区間をノーマルバイクで駆け上がる初山翔 Photo: Yuzuru SUNADA

 先月アワーレコード新記録を樹立した欧州タイムトライアル王者のヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル)が30番手でスタートすると第1中間計測、第2中間計測ポイントでトップタイムを更新。TTバイクのまま、上り区間を駆け上がっていたものの、終盤でチェーンが脱落するトラブルに襲われた。

バイク交換後、沿道の観客に背中を押されたヴィクトール・カンペナールツ Photo: Yuzuru SUNADA

 バイク交換を余儀なくされ、乗り換えにやや手間取りタイムロス。それでも、52分3秒と暫定トップタイムを3分以上更新する好走を見せた。

 レース中盤に差し掛かると、現地では雷鳴轟く大雨が降ってきた。時折、雨が止むこともあったが、路面は常にウェットな状態となり、後半スタートの選手たちにとってはタイムを伸ばしにくい状況となった。

 カンペナールツのタイムに迫る選手はおろか、52分台を記録する選手も現れないまま、総合を狙う選手たちが出走する終盤を迎えた。

総合勢は明暗わかれる結果に

 総合20位のバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)は第2計測が1分35秒遅れだったものの、上り区間で猛烈な追い上げを見せ、52分52秒でフィニッシュ。カンペナーツに1分及ばなかったものの、暫定2位のタイムを叩き出した。

 総合17位のミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナプロチーム)は序盤の平坦区間でパンクに見舞われた。大きくタイムロスしてしまい、第2計測で3分3秒遅れを喫してしまった。これにより、ペースが乱れてしまったのか、得意の上り区間でも失速。最終的に3分45秒遅れのステージ42位でフィニッシュした。

第1ステージ9位に続き、上りのタイムトライアルで好走を見せたバウケ・モレマ Photo: Yuzuru SUNADA
ベテランらしく、きっちりタイムをまとめてきたヴィンチェンツォ・ニバリ Photo: Yuzuru SUNADA

 そうしたなか、地元イタリアの期待を背負ったヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)が好走。第2計測で1分29秒遅れながら、上り区間でタイムを挽回。カンペナールツから54秒遅れながら、52分台のタイムをマークした。

 今ステージの優勝候補としても名をあげられていたサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)は、第2計測で1分39秒遅れとまずまずのタイムを記録。ところが、上りに入ると大失速。最終的に3分11秒遅れのステージ31位に沈んだ。

得意の上り区間で失速したサイモン・イェーツ Photo: Yuzuru SUNADA

 チームのレースリポートによると、イェーツは「少しいやな感じがしていた。平坦区間は大丈夫だったけど、上りに入ってペダルを踏もうとしても力が入らなかった。これから新しい計画・戦略を考えて、山岳ステージで挽回したい」とコメント。ログリッチェだけでなく、ニバリからも大きくタイムを離され、総合争いで大きく後退する結果となった。

 そして、大本命のログリッチェが登場。第2計測で51秒遅れと、平坦区間を3番目に速く駆け抜けた。上り区間に入ると、本領発揮。全選手中トップとなる登坂タイムを叩き出すと、カンペナールツを11秒上回る51分52秒でフィニッシュ。圧巻の走りで暫定1位に浮上、実質的にステージ優勝が確定的となった。

上り区間で段違いの走りを見せたプリモシュ・ログリッチェ Photo : Yuzuru SUNADA

 ログリッチェは「とても長くてタフなタイムトライアルだった。雨が激しく降っていて、コーナーでは危険だったけどリスクをとって走った。上りに入ったら、加速して全力を尽くした。すべてが計画通りに進んで、ステージ優勝してタイムを稼げたことを嬉しく思う」とコメントしていた。

 カンペナールツにとっては、メカトラさえ無ければ勝てていたと思われるため、非常に悔いの残る結果となった。「メカトラが無ければ勝っていたので、残念に思う。それは誰のせいでもないので、受け入れなければならない。最終日の個人タイムトライアルの方が自分に向いているので、トラブルを避け、エネルギーを節約しながら、山岳ステージを生き延びたいと思う」とコメントしていた。

コンティがマリアローザをキープ

 総合10位のサム・オーメン(オランダ、チームサンウェブ)は、上り区間を前にノーマルバイクに乗り換え、3分39秒遅れのステージ41位でフィニッシュ。総合成績でもログリッチェから3分12秒遅れの総合19位に後退した。

 ナンズ・ピーターズ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)は3分46秒遅れのステージ43位でフィニッシュ。マリアビアンカを着用するジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニ・CSF)が5分23秒遅れのステージ70位となったことで、ピーターズが新人賞ランキング1位に浮上した。

 総合首位のコンティは、3分34秒遅れのステージ38位でフィニッシュし、1分50秒差で総合首位をキープ。週明けのステージは平坦ステージが続くため、もうしばらくマリアローザを着ることができそうだ。

総合首位をキープしたヴァレリオ・コンティ Photo: Yuzuru SUNADA

 ジロ・デ・イタリアは第1週を終え、1日休息日を挟んだ5月21日からレース再開。第10ステージはラヴェンナからモデナまでのオールフラットな145kmで争われ、集団スプリントの展開が予想される。

第9ステージ結果
1 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 51分52秒
2 ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル) +11秒
3 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +1分0秒
4 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1分5秒
5 タネル・カンゲルト(エストニア、EFエデュケーションファースト) +1分10秒
6 チャド・ハガ(アメリカ、チーム サンウェブ) +1分14秒
7 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、ドゥクーニンク・クイックステップ) +1分16秒
8 ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト) +1分30秒
9 ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ プロチーム) +1分43秒
10 マッティーア・カッタネオ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) +1分52秒
160 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +9分44秒

個人総合(マリアローザ)
1 ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAE・チームエミレーツ) 36時間8分32秒
2 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) +1分50秒
3 ナンズ・ピーターズ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +2分21秒
4 ホセ・ロハス(スペイン、モビスター チーム) +2分33秒
5 ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) +2分36秒
6 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター チーム) +2分39秒
7 アマーロ・アントゥネス(ポルトガル、CCCチーム) +3分5秒
8 ヴァランタン・マデュア(フランス、グルパマ・エフデジ) +3分27秒
9 ジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニ・CSF) +3分30秒
10 ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ プロチーム) +3分32秒
162 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +1時間33分9秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) 150 pts
2 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ) 98 pts
3 カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) 91 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ジューリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) 32 pts
2 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 22 pts
3 ファウスト・マスナーダ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) 18 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ナンズ・ピーターズ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) 36時間10分53秒
2 ヴァランタン・マデュア(フランス、グルパマ・エフデジ) +1分6秒
3 ジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニ・CSF) +1分9秒

チーム総合
1 モビスター チーム 108時間30分50秒
2 ドゥクーニンク・クイックステップ +6分53秒
3 アンドローニ・シデルメク・ボッテキア +8分4秒

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