ジロ・デ・イタリア2019 第6ステージ最後の山岳で攻撃したマスナダがジロ初勝利 大逃げ決まりマリアローザはコンティに

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 ジロ・デ・イタリアは5月16日、第6ステージがカッシーノからサン・ジョヴァンニ・ロトンドに至る238kmで争われ、13人の逃げ集団から終盤抜け出したファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)が優勝した。メイン集団は先頭から7分以上の大差となり、総合首位のマリアローザは、マスナダと共にゴールしたヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAE・チームエミレーツ)へと移った。初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)は区間143位でゴールした。

13人の逃げ集団からアタックして抜け出したファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)が、唯一反応したヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAE・チームエミレーツ)をゴール勝負で寄せ付けずグランツール初勝利 Photo: Yuzuru SUNADA

首位のログリッチェが序盤に落車

 今大会最もイタリア南部を走り、今大会2番目に長い距離で行われたこの日のステージは、大会からは3つ星の難易度が付けられた。前半から中盤までは山岳ポイントの付かない3つの丘を越えた後、残り32kmからは2級山岳(距離15km・平均勾配4.4%)を1つこなし、そのままほぼ下らずに17kmのアップダウンを経てゴールする。終盤の山岳での情勢によっては、総合上位勢に動きが出る可能性のあるステージとみられていたが、違った意味で総合順位が大きく動く一日となった。

序盤の集団落車。奥にピンクのヘルメットを被るログリッチェの姿も Photo: Yuzuru SUNADA
右臀部を負傷したログリッチェ Photo: Yuzuru SUNADA

 レースは序盤、マスナダら5人の逃げが形成されたが、30km地点を過ぎて逃げは一旦全て吸収された。この直後に集団内で落車が発生し、マリアローザを着るプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)も転倒。レースにはすぐ復帰したものの、パンツは右の臀部が大きく破れ、打ち身と擦過傷がみられる状態。走りながら応急処置を受け、残り200km以上のレースを継続することになった。この落車にはラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)、イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)といった有力勢も巻き込まれたが、いずれも致命的な問題はなくレースに復帰している。

 落車による混乱の収拾を待って、50km地点近くから再びアタック合戦が始まった。6人の先行グループに7人が追い付き、13人の大きな逃げ集団が形成された。この中で最も総合成績が上位のコンティは、スタート時点で首位のログリッチェから1分59秒差の総合27位。逃げ集団が早々とメイン集団から2分のタイム差を得たことで、コンティがバーチャルでのマリアローザとなった。NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネもニコラ・バジョーリ(イタリア)を送り込み、連日の逃げで積極的なレースを見せる。

13人の逃げ、追わないメイン集団

逃げた13人。NIPPOはこの日も逃げ集団に選手を送り込んだ Photo: Yuzuru SUNADA

 メイン集団はリーダーチームのユンボ・ヴィスマが先頭を固めてコントロール。ゴールまで距離があるため、力を使ってタイム差を抑える策とはせず、逃げとのタイム差は100km地点で4分強、その後最大6分半まで広がることになった。その後は若干タイム差を詰め、5分台前半でのタイム差コントロールとなったが、相変わらずほぼユンボ・ヴィスマのみが先頭けん引を担っていた。

ユンボ・ヴィスマがひたすらコントロールするメイン集団 Photo: Yuzuru SUNADA

 セオリーであればレース後半は、総合上位の他のチームや、ステージ優勝狙いのチームがけん引に加わるところ。しかしこの日は全22チーム中12チームと、大半のチームが逃げに選手を送り込んだことも手伝って、メイン集団内で積極的に動くチームは現れない。総合上位勢のチームもあえて動かず、逃げとのタイム差を無理に詰めないまま先頭を引かされるユンボ・ヴィスマと、それを容認する他チームという、静かな駆け引きの構図となった。

風にあおられた一日。メイン集団では一時横風で分断も発生 Photo: Yuzuru SUNADA

 逃げ集団は終盤まで協調して逃げ続け、13人の体制を保ったまま残り32kmからの2級山岳へと到達した。メイン集団とのタイム差は5分と、逃げ切りの可能性は十分。上り序盤で小競り合いが何度か続いたが、残り30kmを切って決定的なアタックを見せたのが、レース序盤から積極的だったマスナダだ。このアタックにコンティのみが反応。逃げ集団は先行する2人と、追走の11人に2分された。

上りでアタックしたマスナダに、唯一コンティが追随 Photo: Yuzuru SUNADA

 マスナダは何度かペースアップを仕掛けて独走に持ち込もうとするが、コンティも粘り強くマスナダに反応する。コンティはこのまま付いていけば、ステージ優勝できなくてもマリアローザの獲得が濃厚。マスナダはコンティを振り切ることを一旦諦め、上りはほぼ先頭固定で後続との差を開きにかかった。

 追走の11人では断続的にカウンターアタックがかかるが、協調しての追走とはならず、先頭の2人との差は徐々に開いていった。上り後半になってようやく、ルーベン・プラサ(スペイン、イスラエル サイクリングアカデミー)、ホセ・ロハス(スペイン、モビスター チーム)、ジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニ・CSF)の3人が、新たな追走グループを形成した。

最終局面を前に抜け出したイタリア人選手2人がゴールに向けて突き進む Photo: Yuzuru SUNADA

好調マスナダがワールドツアー・グランツール初勝利

 しかし山岳ポイント通過時に先頭の2人と追走との差は約30秒。上りを終えてからはコンティも先頭交代に加わり、前2人は逃げ切り体制に入った。ラスト1kmを切ってからは、少しでも後続にタイム差を付けたいコンティが、ゴール前のけん制をせずに先頭でペースアップ。これをマスナダが残り100mを切ってからかわして突き放し、ガッツポーズでゴールした。先頭の2人は、くしくも共に1993年生まれのイタリア人。この日マスナダはステージ勝利を、そしてコンティはマリアローザを、それぞれ手に入れることになった。

 マスナダは今年、ジロ直前の4月に行われたツアー・オブ・アルプスで、ステージ2勝を挙げて総合5位に入り、好調で今大会に臨んでいた。UCIワールドツアーは今回が初勝利。それもイタリア人にとって最大の名誉とも言える、ジロの大舞台での栄冠となった。

 メイン集団は最後までユンボ・ヴィスマが先頭を引き続け、終盤ペースが上がらなかったことから、先頭のマスナダから7分19秒の大差でゴールした。この結果、首位のログリッチェは一気に総合11位まで転落。初日から着続けたマリアローザを一旦手放した。

区間2位に入ったコンティがチームに初のマリアローザをもたらした Photo: Yuzuru SUNADA

 翌第7ステージは、ヴァストからラクイラに至る185kmで行われる。第6ステージに似たレイアウトで、後半に2級山岳を上った後、大きく下らないままアップダウンをこなしてゴールとなる。ラスト1kmからゴールまでは平均勾配7.6%・最大勾配11%の上りが待ち構え、有力勢の間でも若干ながらタイム差が付くことが予想される。

第6ステージ結果
1 ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) 5時間45分1秒
2 ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAE・チームエミレーツ) +5秒
3 ホセ・ロハス(スペイン、モビスター チーム) +38秒
4 ルーベン・プラサ(スペイン、イスラエル サイクリングアカデミー)
5 ジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニ・CSF) +43秒
6 ピーター・セリー(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) +54秒
7 ヴァランタン・マデュア(フランス、グルパマ・エフデジ)
8 ナンズ・ピーターズ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +57秒
9 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター チーム)
10 アマーロ・アントゥネス(ポルトガル、CCCチーム)
143 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +23分8秒

個人総合(マリアローザ)
1 ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAE・チームエミレーツ) 25時間22分0秒
2 ジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニ・CSF) +1分41秒
3 ナンズ・ピーターズ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +2分9秒
4 ホセ・ロハス(スペイン、モビスター チーム) +2分12秒
5 ヴァランタン・マデュア(フランス、グルパマ・エフデジ) +2分19秒
6 アマーロ・アントゥネス(ポルトガル、CCCチーム) +2分45秒
7 ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) +3分14秒
8 ピーター・セリー(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) +3分25秒
9 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター チーム) +3分27秒
10 サム・オーメン(オランダ、チーム サンウェブ) +4分57秒
166 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +58分7秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) 121 pts
2 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAE・チームエミレーツ) 93 pts
3 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ) 86 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ジューリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) 24 pts
2 ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) 18 pts
3 ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAE・チームエミレーツ) 8 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニ・CSF) 25時間23分41秒
2 ナンズ・ピーターズ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +28秒
3 ヴァランタン・マデュア(フランス、グルパマ・エフデジ) +38秒

チーム総合
1 モビスター チーム 76時間14分55秒
2 UAE・チームエミレーツ +3分33秒
3 ドゥクーニンク・クイックステップ +5分12秒

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