ジロ・デ・イタリア2019 第5ステージ大雨の集団スプリントでアッカーマンが大会2勝目 前日落車のデュムランはリタイア

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
  • 一覧

 ジロ・デ・イタリアは5月15日、第5ステージが開催され、大雨の集団スプリントをパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が制し、第2ステージにつづく大会2勝目を飾った。悪天候のため、レースは残り9km地点を通過した時点で総合タイムを計測する措置がとられ、残りはニュートラルに。総合首位のプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)を含めて、総合勢にタイム変動はなかった。初山翔(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)も無事にフィニッシュした。

大雨が降るなかでも力強いスプリントを見せ、大会2勝目を飾ったパスカル・アッカーマン Photo: Yuzuru SUNADA

左膝負傷のデュムランが無念のリタイア

 第5ステージはフラスカーティからテッラチーナまでの140kmで争われた。序盤にアップダウンが多くあるものの、カテゴリー山岳は中盤に4級山岳が1カ所のみ設定されているのみ。距離が短いこともあり、大会主催者は難易度を星1つと設定していた。ラスト40kmほどは平坦路で、最後は9kmの周回コースを1周してフィニッシュするコースレイアウトとなっていたため、集団スプリントの展開が予想されていた。

 昨日、落車により左膝を負傷したトム・デュムラン(オランダ、チームサンウェブ)はレース続行を決断。スタート前に出走サイン台からの階段を降りる際に、膝をかばう様子が見られた。しかしスタートラインに並んだものの、レースが始まるとすぐにバイクを降りて、無念のリタイアとなった。

 チームのプレスリリースによるとデュムランは「今朝、部屋でローラー台に乗ったときはまあまあだったが、実際に走ってみると膝がとても痛かった。ペダルを回すことはできても、レースはできなかったんだ。何カ月も何週間もジロのために捧げてきたので、一瞬ですべてが終わってしまってとてもつらい」とコメントを残した。

連日のように逃げ集団にメンバーに送り込むNIPPO。この日はイヴァン・サンタロミータが逃げた Photo: Yuzuru SUNADA
レインウェアを着込み、集団内を走行する初山翔 Photo: Yuzuru SUNADA

 レースは大粒の冷たい雨が降りしきるなか、スタート直後にアタックした6人の選手による逃げがあっさりと決まった。メンバーは、ミゲルエドアルド・フロレス(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ・シデルメク)、エンリーコ・バルビン(イタリア、バルディアーニ・CSF)、ウンベルト・オルシーニ(イタリア、バルディアーニ・CSF)、イヴァン・サンタロミータ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)、ルイス・ヴェルヴァーク(ベルギー、チームサンウェブ)、ジューリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)だった。

 マリアアッズーラを着用するチッコーネだったが、中盤に設定された4級山岳を待たずに、逃げ集団から脱落。5人となった逃げ集団だったが、メイン集団は完全に容認することはせず、最大2分程度のタイム差にコントロールしていた。

レースディレクターと会話するヴィンチェンツォ・ニバリ Photo: Yuzuru SUNADA

 一向にやむ気配のない大雨のなか、レース中盤にはヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)、ログチッチェがレースディレクターと会話する姿が見られた。すると、大会主催者は危険回避のために、最後の周回コースに入った時点で総合タイムを計測、ラスト9kmはニュートラルとすると発表。なお、ステージ優勝は争われ、着順に対するボーナスタイム、スプリントポイントは通常どおりに付与されることとなった。

最大1520Wの大出力でアッカーマンが勝利

 中盤の4級山岳に差し掛かると、逃げ集団からヴェルヴァークがアタック。単独で山頂を先頭通過。山岳ポイント獲得後もアタックを継続して、独走に持ち込んだ。

 20kmほど独走のままレースの先頭をひた走っていたものの、残り22km地点でメイン集団に吸収された。

エースのリタイアにより、大きくレースプラン変更を余儀なくされたチームサンウェブのルイス・ヴェルヴァークが粘りの走りを見せる Photo: Yuzuru SUNADA
雨と低温対策のため重装備で走るサイモン・イェーツ Photo: Yuzuru SUNADA

 集団前方にはスプリンターチームが集まるなか、サイクリングペースでラスト9.2kmの周回コースに到達。ここよりニュートラルになるため、総合系チームが一気に後方に下がって集団から離脱。残ったスプリンターチームによるステージ優勝争いに持ち込まれた。

 雨足はさらに強まり、1車線まるまる冠水しているように見えるほどの大きな水たまりができており、ウェットでスリッピーなコンディションのなか、直角コーナーやラウンドアバウトを抜けるテクニカルな区間を、選手たちは慎重に切り抜ける。

レース中におどけた表情を見せるパスカル・アッカーマン Photo: Yuzuru SUNADA

 グルパマ・エフデジ、イスラエルサイクリングアカデミーが先頭でトレインを組むなか、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)は雨の路面に苦しみポジションを失っていた。残り3kmを切って、ようやくアシストがヴィヴィアーニを引き上げて集団前方にポジショニング。

 残り1kmのアーチをくぐると、満を持してドゥクーニンク・クイックステップトレインが集団先頭に出た。残り500mを切っても、リードアウトを2枚残した状態で万全の体勢を築いたと思いきや、ヴィヴィアーニは最終発射台の動きについていけず、両サイドから上がってきたライバルチームのなかに埋もれてしまった。

 代わって好位置を確保したのは、リードアウトに引き連れられたアッカーマンだった。しかし、その番手につけていたフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAE・チームエミレーツ)が、先頭から4番手とやや後方の位置からスプリント開始。先頭を引いていたグルパマ・エフデジのリードアウトをかわして先頭に立った。

 ガビリアの動きにいち早く反応したアッカーマンだったが、グルパマ・エフデジのリードアウトに引っかかるような形でわずかに失速。トップスピードに乗ったガビリアに車間を空けられたアッカーマンは万事休すと思われたが、ここから凄まじいパワーを見せつける。

最大出力1520Wを記録したパスカル・アッカーマンのスプリントの走行データ ©Velon

 Velon社が計測しているデータによると最大1520Wもの高出力を見せ、水のたまったスリッピーな路面を物ともしない力強いペダリングで、先行するガビリアに追いついた。

 残り75mでガビリアをかわそうと横に出ると、残り25m地点で横に並び、最後はホイール半分の差でフィニッシュラインに先着。ノリにノッてるドイツチャンピオンが第2ステージに続く大会2勝目を飾った。マリアチクラミーノも堅守し、グランツール初出場ながら快進撃を見せている。

 ログリッチェら総合陣も、スプリンターたちのフィニッシュから数分後に到着。この日は総合順位に変動はなかった。

グランツール初出場にして早くもステージ2勝目をあげたアッカーマンは、どれだけ勝ち星を積み上げられるのだろうか Photo: Yuzuru SUNADA

 翌第6ステージは、カッシーノからサン・ジョヴァンニ・ロトンドへの238kmで争われる。今大会2番目に長い距離を走るだけでなく、終盤には登坂距離15km・平均勾配4.4%と難易度は控えめながら長い上り区間のある2級山岳も登場。クライマー、パンチャー系の選手に有利なステージとなりそうだ。

第5ステージ結果
1 パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) 3時間15分44秒
2 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAE・チームエミレーツ) +0秒
3 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)
4 カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)
5 マッテオ・モスケッティ(イタリア、トレック・セガフレード)
6 ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ)
7 パオロ・シミオン(イタリア、バルディアーニ・CSF)
8 イエンセ・ビエルマンス(ベルギー、カチューシャ・アルペシン)
9 ジョヴァンニ・ロナルディ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)
10 マヌエル・ベレッティ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)
158 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +0秒

個人総合(マリアローザ)
1 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 19時間35分4秒
2 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +35秒
3 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +39秒
4 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +44秒
5 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAE・チームエミレーツ)
6 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +49秒
7 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +55秒
8 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・メリダ) +56秒
9 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、ドゥクーニンク・クイックステップ) +1分2秒
10 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) +1分6秒
168 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +36分54秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) 121 pts
2 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAE・チームエミレーツ) 93 pts
3 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ) 86 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ジューリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) 24 pts
2 フランソワ・ビダール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) 6 pts
3 マルコ・フラッポルティ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) 4 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 19時間35分48秒
2 ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト) +32秒
3 パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チーム イネオス) +40秒

チーム総合
1 ボーラ・ハンスグローエ 58時間48分6秒
2 ミッチェルトン・スコット +29秒
3 UAE・チームエミレーツ +36秒

関連記事

この記事のタグ

UCIワールドツアー ジロ・デ・イタリア2019 ロードレース

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載