ジロ・デ・イタリア2019 第3ステージ初山翔が144kmの単独逃げで魅せる スプリントによるステージ優勝争いはガビリアに軍配

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 ジロ・デ・イタリア2019は大会3日目。220kmで争われた第3ステージで、初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)が単独で逃げを敢行。144kmにわたって独走を続け、自身、そしてチームの存在感を示す走りを見せた。この日のステージ優勝争いは前日に続きスプリントとなり、フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAE・チームエミレーツ)が勝利。2017年大会に続くジロの勝ち星を挙げた。

144kmに及ぶ独走で見せ場を作った初山翔 Photo: Yuzuru SUNADA

独走の初山 一時は7分以上のリードを稼ぎ出す

 前日の第2ステージからロードレースステージが始まった今大会。プロトンはひとまず南へと進行中だ。第3ステージは、芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチの生まれ故郷であるヴィンチを出発し、オルベテッロにフィニッシュする220km。全体を通してレイアウトに大きな変化はなく、山岳ポイントは182.3km地点に設けられた4級1カ所のみ。主催者発表の難易度は星2つに設定され、スプリント向けの1日と予想された。

一時は7分以上のリードを築いた初山翔 Photo: Yuzuru SUNADA

 そうして迎えたレースで魅せたのは初山だった。スタートしてすぐに1人で飛び出すと、そのまま独走態勢に入る。これを見送ったメイン集団はサイクリングペースにスピードを落としたこともあり、初山はあっという間に大きなリードを奪うことになる。しばらくは4分前後の差で推移していたが、スタートから80kmで約5分30秒、さらに10kmほど進んだところでこの日最大となる7分10秒差とする。

 このタイム差を機に、メイン集団はようやくペースアップ。コース周辺の風が強くなり、各チームが隊列を組んで集団前方での位置取りを試みるようになったことで、自然とスピードが上がっていく。残り100kmで約4分45秒あったタイム差は、さらに20kmほど進むと1分まで縮まる。完全に勢いづいた集団に太刀打ちするのは初山でも至難の業。残りのレース距離に対応すべく、初山は余力を残しながら集団へと戻ることを選択した。

 それでも、144kmを独走し見せ場を作ったのは個人、チームとしても成功と言えそうだ。逃げている間、63.5km地点に設定されていた中間スプリントポイントを1位通過している。

初山翔とチームカーを運転する水谷壮宏監督が笑顔で話し合う Photo: Yuzuru SUNADA

ヴィヴィアーニが降着 ガビリアにステージ優勝が舞い込む

 初山が集団に戻った時点で、フィニッシュまでの距離は75km。先は長いが、強風下でのレースとあり、各チームが大きな変化を警戒し集団前方の位置をキープ。さらなるアタックは生まれず、一団のまま進行する。この間、4級山岳ポイントを迎えるが、山岳賞ジャージ「マリアアッズーラ」を着るジューリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)が先頭に出て1番手で通過。この時点でのジャージキープを決めている。

イタリア国旗を見ながら走るプロトン Photo: Yuzuru SUNADA

 それからも、スプリンターチーム、総合系ライダーを抱えるチームがそれぞれに隊列を編成して着々と残り距離を減らしていく。残り20kmを切ると、個人総合リーダーのプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア)擁するユンボ・ヴィスマのほか、ドゥクーニンク・クイックステップ、UAE・チームエミレーツ、ボーラ・ハンスグローエなどが集団前方をキープ。徐々に緊張感が高まっていく。

 そんな中、残り10kmを切ってからトラブルが多発。前回の個人総合4位、リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム)のバイクに異変が起きストップ。ここはすぐにアシストのバイクを受け取って再出発し、何とか集団に復帰を果たす。

落車で地面に叩きつけられたエンリーコ・バッタリーン Photo: Yuzuru SUNADA

 この日最も大きなアクシデントは、残り5kmで集団で発生した大規模なクラッシュ。これによって半数以上の選手が後方に取り残され、その中には個人総合7位につけていたタオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チーム イネオス)の姿も。スプリントに向けスピードの上がる集団の姿はどんどん遠くなり、復帰が困難な状況となってしまう。

 こうしたトラブルをよそに、スプリントを狙う選手たちはフィニッシュへ急ぐ。残り3km地点でドゥクーニンク・クイックステップ、グルパマ・エフデジ、ミッチェルトン・スコットが主導権争い。さらに進むとUAE・チームエミレーツ、ボーラ・ハンスグローエも上がっていく。

 残り1kmを切り、オルベテッロの街へ入っていくテクニカルなコーナーを利用して好位置へと上がったのは、前日の覇者パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)。その流れのまま、残り200mからスプリントを開始する。

 この動きを見逃さなかったのはエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)。アッカーマンの背後につけ、残り100mで加速すると一気に先頭へ。後方から伸びてきたガビリアの追撃を許さず、ヴィヴィアーニが1着でフィニッシュ。この大会に向けて刷新したイタリアチャンピオンジャージをアピールしながら、自らの走りを誇った。

スプリントで一度はエリア・ヴィヴィアーニ(右から2人目)が勝利したかに思われたが… Photo: Yuzuru SUNADA

 ヴィヴィアーニの今大会初勝利に一度は沸いたが、その後の審議で降着との判定。ヴィヴィアーニが加速するとともにスプリントラインを変化させた際に、追随していたマッテオ・モスケッティ(イタリア、トレック・セガフレード)のラインを侵害していたと裁定。これにより、2着以下の順位が1つずつ繰り上がりとなり、ステージ優勝はガビリアとなった。ヴィヴィアーニは集団最後尾の73位とされた。

降着の裁定を受け憮然とした様子で引き上げるエリア・ヴィヴィアーニ Photo: Yuzuru SUNADA

 この結果、ガビリアはポイント賞の「マリアチクラミーノ」を奪取。第4ステージは同賞リーダーとして出走することとなった。そのほか、個人総合首位の「マリアローザ」はログリッチェ、マリアアッズーラはチッコーネ、新人賞の「マリアビアンカ」はミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)で変わりなし。なお、残り5kmでのクラッシュの影響で、ゲオゲガンハートは集団復帰できず総合順位を大きく落としている。

マリアローザをキープしたプリモシュ・ログリッチェ Photo: Yuzuru SUNADA

 このステージの殊勲者の初山は、3分14秒差の169位でフィニッシュ。個人総合ではトップから18分55秒差の171位としている。

 14日に行われる第4ステージは、オルベテッロからフラスカーティまでの235km。難易度は星2つとなっているが、第3ステージと比較して細かなアップダウンが多く、最後も上り基調。フィニッシュまでの2kmは平均勾配4.4%とあり、スプリント力と登坂力とを兼ね備えた選手が有利となりそうだ。

第3ステージ結果
1 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAE・チームエミレーツ) 5時間23分19秒
2 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ) +0秒
3 パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
4 マッテオ・モスケッティ(イタリア、トレック・セガフレード)
5 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、ディメンションデータ)
6 ヤクブ・マレツェコ(イタリア、CCCチーム)
7 ダヴィデ・チモライ(イタリア、イスラエル サイクリングアカデミー)
8 マヌエル・ベレッティ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)
9 クリスティアン・クネース(ドイツ、チーム イネオス)
10 サーシャ・モードロ(イタリア、EFエデュケーションファースト)
169 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +3分14秒

個人総合(マリアローザ)
1 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 10時間21分1秒
2 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +19秒
3 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +23秒
4 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +28秒
5 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ)
6 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +33秒
7 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +39秒
8 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・メリダ) +40秒
9 ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ プロチーム) +42秒
10 ビクトル・デラパルテ(スペイン、CCCチーム) +45秒
171 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +18分55秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAE・チームエミレーツ) 58 pts
2 パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) 50 pts
3 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ) 49 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ジューリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) 24 pts
2 フランソワ・ビダール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) 6 pts
3 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 4 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 10時間21分29秒
2 ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト) +19秒
3 パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チーム イネオス) +33秒

チーム総合
1 ユンボ・ヴィスマ 31時間4分44秒
2 バーレーン・メリダ +15秒
3 アスタナ プロチーム +28秒

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