ジロ・デ・イタリア2019 第1ステージ初日個人TTはログリッチェが異次元の速さで優勝 初出場の西村はタイムアウトにより失格

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 今シーズン最初のグランツールとなるジロ・デ・イタリアが5月11日、イタリア・ボローニャにて開幕した。第1ステージは8kmの個人タイムトライアルを、プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が圧倒的なパフォーマンスでライバルたちを圧倒し、ステージ優勝を飾りマリアローザを獲得した。ジロへの出場は3年ぶりとなる日本人勢は、初山翔(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)が2分47秒遅れのステージ170位に入ったが、西村大輝(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)は4分36秒遅れとなり、規定によりタイムアウトのため失格となった。

初日の個人TTを制して、マリアローザに袖を通すプリモシュ・ログリッチェ Photo : Yuzuru SUNADA

天候悪化を懸念して、有力選手が序盤に出走

 近年は初日に個人タイムトライアルが設定されることが多く、序盤は平坦区間を走り、後半はボローニャの人気観光スポットの一つであるサン・ルカ教会のある丘に向けて駆け上がるコース設定となっていた。上り区間は登坂距離2.1km、平均勾配9.3%、最大勾配16%の急勾配区間となっており、純粋なタイムトライアルスペシャリストより、上りを得意とする総合系のオールラウンダーに有利と見られていた。

2人そろってグランツール初出場となる西村大輝(左)と初山翔(右) Photo: Yuzuru SUNADA

 そして、第1走者は2017年大会覇者にして元タイムトライアル世界チャンピオンのトム・デュムラン(オランダ、チームサンウェブ)だ。同じく1巡目にはヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)やプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)といった総合系のエースも序盤に出走するという異例の展開に。

 というのも、現地では時間が経つとともに、にわか雨や雷雨など天候悪化が懸念されており、路面コンディションが悪化する前に走れるよう、総合狙いやステージ優勝狙いの有力選手のほとんどが第1巡目での出走を決めていたのだった。

異例の第1走者となったトム・デュムランは、ステージ優勝の最有力候補とされながらタイムが伸び悩んだ Photo: Yuzuru SUNADA

 唯一、サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)のみが、チームの最終出走者となり、全体でもラストから3番目のスタートを決断。メリットとしては、チームメイトやライバル選手たちの走りを見て、自分の走りをシミュレーションできることがあげられるだろう。

 そうして、ドライコンディションのなか、デュムランがスタート。序盤の平坦区間を駆け抜けると、大勢の観客が詰めかけている上り区間を力強いペダリングで突き進んでいた。思わず蛇行しかねないほどの急勾配区間も直線的に走り抜け、フィニッシュ地点に到達。13分22秒をマークした。

 いかに、デュムランのタイムから離されないようにするかの勝負になるかと思いきや、第5走者のミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナプロチーム)が平坦区間の終わる中間計測ポイントでデュムランを2秒上回る好走を見せ、最終的にデュムランと同タイムでフィニッシュ。コンマ秒差でロペスが上回り、暫定1位となる波乱の展開となった。

苦手と見られていたタイムトライアルで好タイムをマークしたミゲルアンヘル・ロペス Photo: Yuzuru SUNADA
地元イタリア勢としては最上位でフィニッシュしたヴィンチェンツォ・ニバリ Photo: Yuzuru SUNADA

 さらに、第9走者のニバリは中間計測でロペスを5秒上回り、フィニッシュタイムも5秒更新して暫定1位に浮上。ジロ開幕直後から目まぐるしい展開がつづくなか、ワールドツアー総合3連勝中のログリッチェがスタートした。

ログリッチェがライバルを圧倒するタイムを記録

 ログリッチェは平坦区間を驚異的なスピードで駆け抜け、中間計測で最速のニバリを4秒上回った。上り区間に入ると、1分先にスタートした前走者を追い越し、2分先にスタートした前々走者の背中を視界に捉える猛烈なスピードで駆け上がってく。

 前々走者に追いつくような形で、ログリッチェはフィニッシュ。ニバリを23秒上回る、12分台のタイムを記録。今シーズンここまでの好調をそのままに、ライバルの総合勢を圧倒するタイムを叩き出した。

平坦区間・上り区間ともに圧倒的なスピードを発揮したプリモシュ・ログリッチェ Photo: Yuzuru SUNADA

 また、この日のフィニッシュ地点は3級山岳となっており、上り区間のみを最速で駆け上がった選手が山岳賞ジャージを手にすることができる。そうしたなかで、ジューリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)は、中間計測で8分19秒と暫定最下位のタイムをマーク。TTバイクからノーマルバイクに交換し、その後の上り区間はログリッチェを越える最速タイムをマークして、山岳賞ジャージを獲得した。

天気は悪化せず、イェーツは好タイムをマーク

 懸念されていた天気は悪化することなく、レースは進行。結局、雨は降ることなく、昨年はステージ3勝を飾り第19ステージまで総合首位をキープしたイェーツがスタートする時間となった。

あえてレース後半の出走を選択した戦略が功を奏し、好タイムを記録したサイモン・イェーツ Photo: Yuzuru SUNADA

 序盤の平坦区間は抑えめに走ったのか、中間計測ではトップのログリッチェから18秒遅れだったが、上り区間で挽回。ログリッチェに匹敵するハイペースで上りきり、19秒遅れのステージ2位でフィニッシュ。この瞬間、ログリッチェのステージ優勝が決まった。

 日本勢の結果としては、西村は平坦区間ではワースト2位となる1分29秒遅れ。上りでも苦しみ、トップから4分36秒遅れの最下位でフィニッシュ。1つ上の選手からも1分以上遅れる大ブレーキで、この結果、規定によりタイムアウトとなってしまい、初めてのグランツールは苦い経験となってしまった。初山は平坦区間を52秒遅れに留め、上りを経て2分58秒遅れでフィニッシュ。ステージ170位に入った。

上り区間で苦悶の表情を浮かべる西村大輝 Photo: Yuzuru SUNADA
ミラノ〜サンレモなど大舞台で逃げた経験を持つ初山翔はステージ170位でフィニッシュ Photo: Yuzuru SUNADA

 翌日の第2ステージは、ボローニャからフチェッキオへの205kmで争われる。終盤にカテゴリー山岳が2つ登場するものの、全体的には集団スプリントの可能性が高いコースとなっている。しかし、大会主催者は初日の個人TTと同じく、難易度を星3つとしている。勾配は抑えめながら曲がりくねった上り区間が登場するため、レースにどのような影響を及ぼすか注目のステージだ。

第1ステージ結果
1 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 12分54秒
2 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +19秒
3 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +23秒
4 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +28秒
5 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ)
6 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +33秒
7 タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チーム イネオス) +35秒
8 ローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)
9 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +39秒
10 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・メリダ) +40秒
170 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +2分47秒
OTL 西村大輝(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +4分36秒

個人総合(マリアローザ)
1 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 12分54秒
2 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +19秒
3 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +23秒
4 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +28秒
5 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ)
6 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +33秒
7 タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チーム イネオス) +35秒
8 ローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)
9 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +39秒
10 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・メリダ) +40秒
170 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ) +2分47秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 15 pts
2 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 12 pts
3 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) 9 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ジューリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) 9 pts
2 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 4 pts
3 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 2 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 13分22秒
2 タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チーム イネオス) +7秒
3 ローレンス・デプルス(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)

チーム総合
1 ユンボ・ヴィスマ 40分23秒
2 バーレーン・メリダ +15秒
3 アスタナ プロチーム +28秒

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