環島1000kmチャレンジ!父と娘のロードバイク旅<2>親子で挑んだ台湾一周、台東から新竹へ 寒さに震え、喧嘩を和解させたフルーツジュース

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 台湾のサイクリストのみならず、一度はトライしてみたい台湾一周の「環島」(ファンダオ)。トミーさん親子がバイクパッキングで環島に挑戦した様子をお届けする第2回目の連載は、台東から新竹までのリポートです。

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濡れながら長時間走り続けたせいで震えが止まらなくなる事態に Photo: Takeshi TOMIOKA

◇         ◇

 “ロードバイク・パッカー”のトミーです。小学校を卒業した娘(アオイ12歳)の春休みを利用して(奪って!?)、二人で台湾を一周する“環島1000km”チャレンジ。第2回は環島3日目~7日目(台東~瑞穂郷~花蓮~礁渓温泉~台北~新竹)の旅日記です。

環島3日目(3月28日):台東~瑞穂郷/104km

環島3日目のルート図 Photo: Takeshi TOMIOKA

 旅の出発は朝7時半。台東の街で地元の人に混じって朝食を取りました。中国語を話せなくても笑顔でおいしそうなものを指させばOK。帰り際に「おいしかった!」と言ったら、普通に通じました(笑)。

 10kmほど走ったところ、アオイが「首が痛い」と不調を訴えため、コンビニにピットイン。前傾姿勢が和らぐようにハンドルを上げ、サドルを下げて再出発。この日は海岸線を離れて、内陸寄りの幹線道路9号線(別名「環島1号線」)を選択。信号、交通量が少なく、山、田んぼ、パイナップル畑と台湾らしい濃い緑に囲まれたとても気持ちのいい道でした。強い南風に背中を押されてペダルも軽く、走りながらアオイとたくさん話ができました。

街の食堂で朝食 Photo: Takeshi TOMIOKA
気持ちのいい田園風景 Photo: Takeshi TOMIOKA

 この日、日中の最高気温は31℃とかなり暑い!! 昼食後にパンクしたことを踏まえ、少し早めにゴールすることにしました。到着したのは瑞穂郷という小さな街。のんびりとした時間が流れている素敵な田舎でした。

二人で協力してパンク修理 Photo: Takeshi TOMIOKA
瑞穂のフルーツ屋さん。走った後の甘いフルーツは最高! Photo: Takeshi TOMIOKA

 宿泊する場所は休憩時にアオイと一緒にBooking.comで写真を見ながら候補を選び、現地に着いてから実際の宿を見て決めていました。まあ、ほとんどは写真の方がきれいなのです(笑)。彼女イチオシの瑞穂のホステルは「超やばい」とテンションが急上昇するほど、豪華でおしゃれでした。大当たり~!

 瑞穂郷には有馬温泉と同じ泉質の銘泉、牧場やラフティングができる渓流などもあり、夏にはアウトドアが満喫できるそうです。いつかまた家族旅行で再訪したいなぁ。

環島4日目(3月29日):瑞穂郷~花蓮/74km

環島4日目のルート図 Photo: Takeshi TOMIOKA

 この日は、同じホステルに泊まっていた台湾の姉妹サイクリスト(ロードバイクで花蓮~台東を2泊3日で旅する途中でした)が、「結構アップダウンはあるけど、本当にすばらしい景色よ!」と教えてくれた(9号線の裏街道になる)193号線を行ってみることにしました。地元の人オススメの裏メニューは迷わず食べるしかないでしょ!

 紹介されたコースは約60kmの道中、ほとんど人にも車に出会わないすばらしいカントリーロードでした。もちろん大小のアップダウンはこれでもかというほどありました(笑)。「自転車はきついけど坂道があった方が楽しいよね。平坦は楽だけど、飽きてきちゃうんだよね」。いいことを言うじゃん、アオイ!

193号線の景色。田園風景が一面に広がる Photo: Takeshi TOMIOKA
193号線を行く Photo: Takeshi TOMIOKA
自転車は坂があるから楽しい Photo: Aoi TOMIOKA

 途中で休憩した古い雑貨屋では、86歳のおばあちゃんが、自家製の煮玉子とお茶をご馳走してくれました。たどたどしい日本語で「10歳まで2年間しか日本語を勉強しなかったから下手でごめんね。あの頃は日本人だったのよ」と一生懸命に語りかけてくれる姿がとてもやさしく、ありがたく、そして重かったです。

日本語で語りかけてくれた86歳のおばあちゃん(写真右) Photo: Takeshi TOMIOKA

 何杯もお替りを注いでくれたお茶は、アオイの苦手な味だったはずですが、彼女は残さずに飲み干していました。「台湾のおばあちゃんがなぜ日本語を話せるのか」、走りながらそんなことも彼女とたくさん話をしました。

 花蓮に到着した夜は、「餃子が食べたい!」というアオイに、Google翻訳とGoogleマップの使い方を教えて、自分で探したお店に案内してもらいました。アオイは4日間で380km、獲得標高3088mを走りました。今日は坂道でも一定ペースで走るコツをつかんだようです。すっかり食欲も回復して、元気いっぱいです。

環島5日目(3月30日):花蓮 〜 礁渓温泉/128km(電車移動92km)

環島5日目のルート図(バイク移動のみ) Photo: Takeshi TOMIOKA

 花蓮から蘇澳までの約90kmは、台湾の環島公式ガイド(※2)に「蘇花(蘇澳 – 花蓮)公路は台湾で最も眺めの良い道路ですが、最も危険なところでもあります。蘇花公路はヘアピンカーブの上に坂道となっている個所が無数にあり、トンネル内は特に危険です。常時多くの砂利運搬車や重量貨物車が通行しているので、ここでは安全のために自転車を降りて鉄道で移動することをお勧めします」と書いてある区間です。今回は、安全第一で素直に鉄道を使うことにしました。

 電車内には、ロードバイクをそのまま持ち込むことができます。今日は半分休養日と思いきや、車内は大陸からの団体旅行らしい乗客で満席。結局、揺れる車内で自転車を押さえたまま、1時間半ずっと立ちっぱなしでした。予想が甘かった〜!

4年前に走った蘇花公路の絶景 Photo: Takeshi TOMIOKA

 アオイはリトルチャイナの喧騒をまったく意に介さず、音楽を聴きながら、何やらイラストをずっと書いていました。大したものです(笑)。蘇澳駅で電車を降りた後は、小雨の中を2時間走って礁渓温泉に到着しました。

4年前に一緒に走った台湾の環島サイクリスト Photo: Takeshi TOMIOKA

 実は4年前の旅では「鉄道」という手段を知らず、ガイドに書いてあるとおりの絶景とスリルを同時に味わいました(笑)。その険しい山道で、膝を痛めて休んでいた台湾の学生サイクリストと出会い、テーピングで応急処置を施した後、宜蘭までの100kmを一緒に走ったのはいい思い出です。

 「環島」を知ったきっかけは別れ際に一緒に写真を撮った時、彼が掲げた旗に書いてあった「單車環 夢想不設限」(自転車環島 夢は叶う、かな)の文字でした。もしあの時、電車で移動していたら今回の環島旅はなかったかもしれません。

環島6日目(3月31日):礁渓温泉~台北/100km

 環島6日目は雨で気温17℃。かなり肌寒い! ここで残り1日のオフを使うか迷いましたが、小雨になった頃合いを見て8時半に出発。ウィンドブレーカーの上からコンビニで買った(ペラペラの)カッパを着込んでも、北からの強烈な向かい風がとにかく寒い。海岸沿いの景色、会話を楽しむ余裕がありませんでした。

台湾東端の極東公園にて Photo: Takeshi TOMIOKA
環島6日目のルート図 Photo: Takeshi TOMIOKA

 台湾最東端の岬を過ぎて進路を西へと転じ、標高300mほどの山間部を抜けるバイパス道路で台北を目指したのですが、まさか、この広くてきれいな道でこの旅で最大のピンチが待っていようとは…。

 朝よりもさらに気温が下がった土砂降りの中を濡れながら長時間走り続けたせいで、長い下り坂でついに身体が冷え切ってしまい、震えが止まらなくなってしまったのです。想定外の低気温に加え、当てにしていたコンビニが40kmもなかった誤算が重なり、かなり焦りました。幸いアオイは大丈夫でしたが、大、大、大反省です。

 また、雨に濡れながらも気持ちよく走れた4年前の経験が先入観になってしまい、雨対策を完全に軽視していました。どんなに荷物を軽量化したくても、最悪に備えてゴアテックスのレインウェアを1枚持っておくべきでした。

雨の中をペラペラのカッパで走る Photo: Takeshi TOMIOKA

 震えながら下りきった街でやっとセブンイレブンの明かりが見えたときには心底ほっとしました。温かいおでん、カレー、グラタン、ホットコーヒーで復活することができました。

 台北市内に入ってからは、10km進むのに1時間近くかかる交通カオス。長い信号待ちと縦横無尽のスクーターの群れにうんざり。大都市はただ通過するのみです。

 今日は厳しいコンディションを走り切り、弱音も文句も言わなかった頼もしい相棒の存在に助けられました。アオイ、ありがとうね。環島も600kmを過ぎました。残りは1/3。明日からは南に向かいます。

環島7日目(4月1日):台北~新竹/74km

台北市を脱出 Photo: Aoi TOMIOKA

 環島7日目の朝も冷たい雨。街行く人がダウンジャケットを着るほどの寒さです。昨日の失敗が頭をよぎり、出発を延期するかどうかアオイに相談すると、「体力はまだ大丈夫だけど、せっかく休んでも寒いし雨だしつまらないなぁ」とのこと。オフを楽しみにしているんだなぁ。とりあえず朝食を食べてから考えることにしました。

 台湾の天気アプリをダウンロードして雨雲と風向きをライブでチェックしていると、進路の雨は止んできました。強い北風も(南に向かう)今日は追い風に変わります。これなら行ける!と判断し、10時前に出発しました。

環島7日目のルート図 Photo: Takeshi TOMIOKA

 台北市~桃園市~竹北市と県道沿いに走って、午後3時前には新竹に到着。予想通り、雨や風、寒さは問題なし。市街地~田園~里山と変化していく光景は、どこか日本の田舎を感じさせる懐かしさがありました。

 環島チャレンジに挑戦して今日で1週間。到着した後は毎日シャワー、洗濯、バイクメンテ、街を散歩しながら夕食、早寝、早起きを規則正しく繰り返すだけ。マンネリ感は否めず、些細なことで口喧嘩も増えてきました。

トミー:「今日はビーフン食べに行かない?」
アオイ:「あんまりお腹空いてない」
トミー:「じゃ、ご飯行かないの?(怒)」
アオイ:「いや。お腹空いてなきゃ行っちゃいけないわけ?(怒)」

フルーツジュースで和解 Photo: Takeshi TOMIOKA

 新竹名物のビーフンを食べに行っても会話は少なく、お互いに機嫌は直らず。食後のフルーツジュースでなんとなく和解しました。甘いものは大切です(笑)。

※1:台湾交通部観光局『台湾一周サイクリングガイド』

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