環島1000kmチャレンジ!父と娘のロードバイク旅 <1>バイクパッキングで台湾一周、出発前にアクシデント連発? 親子で挑んだ完走への道

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 台湾のサイクリストのみならず、一度はトライしてみたい台湾一周の「環島」(ファンダオ)。良好な走行環境と、温暖な気候、温かい台湾の人々との交流を求めてビギナーからベテランまで人気になっています。今回Cyclistでは、春休みにトミーさん親子がバイクパッキングで環島に挑戦した様子をリポートします。

台湾一周一日目、西海岸沿いを南に走る様子 Photo: Takeshi TOMIOKA

◇         ◇

 Cyclist読者のみなさま、はじめまして!年1回の「海外ロードバイク一人旅」を始めて5年目になる“ロードバイク・パッカー”のトミーです。これまでに台湾、タイ、ポーランド、インドネシア(バリ島)で旅をしてきました。

 今年は小学校を卒業した娘(アオイ12歳)の春休みを利用して(奪って!?)、2人で台湾を一周する“環島1000km”に挑戦してきました。これから3回に分けて、出会いあり、トラブルあり、親子喧嘩ありの旅日記をお届けします。どうぞご笑覧ください。

“とりあえず”高雄に行ってから考えよう

 よりにもよって自転車旅に出発する3日前にぎっくり腰をやってしまいました、トホホ(涙)。出発当日の朝には、「お腹が痛い、食欲がない」とアオイまで急性胃腸炎でダウン。学校に遅刻しても朝食だけは必ず食べる彼女だけに、これはマズイ…。

 旅の中止が頭をよぎりましたが、為末大さんが「常にモチベーション100%のわけではありません。練習するかどうかは“とりあえずグラウンドに行ってから考える”ということをよくやっていました」とラジオで話していたエピソードをふと思い出し、「とりあえず高雄に行こう。環島できるかどうかは行ってから考えよう」と切り替えました。

とりあえず高雄へ Photo: Takeshi TOMIOKA

 成田空港までは車移動。出発ターミナルで車を預けたら、チェックインカウンターは目の前。大きな輪行ケースがあるときは、パーキングサービスは便利でおすすめです。料金も大型宅配便よりリーズナブルです。(※1)

 無事にチェックインを済ませ、約4時間のフライトで22時に高雄国際空港に到着。成田で縦積みシールを貼ってもらった輪行ケース(※2)でしたが、他のスーツケースと一緒に横になって流れてきました(笑)。

 海外の空港の場合、手持ちで運んでくれるかどうかは当日の係員の気分次第という気がします。手荒く扱われる前提で、リアディレーラーを取り外してエンド部分まで丁寧に保護するなど、梱包で一手間を掛けていたので、幸い機材トラブルはありませんでした。

ベースキャンプ「あひる家」で体調回復

 海外自転車旅の出発前に滞在する宿は、大きな荷物を預かってもらったり、現地の交通事情や見どころを教えてもらったりするベースキャンプのような存在です。今回は高雄のゲストハウス「あひる家」さん(※3)にお世話になりました。

 4年前の自転車一人旅ですごく親切にしていただき、その後、夏休みの家族旅行でも2回訪れました。親切、清潔、安価、日本語OKと4拍子揃った宿です。台北ではなく高雄を出発地に選んだのも、「とりあえず高雄に行こう」と思えたのも、ベースキャンプ「あひる家」があるからでした。

台湾一周出発前に「あひる家」のオーナー佐々木さん(写真右)と写真撮影 Photo: Takeshi TOMIOKA

 高雄在住の日本人オーナーの佐々木さん(映画「KANO」や「沈黙」に出演されている俳優さんでもあるんです!)からは、「日本からの環島サイクリスト大歓迎です。政府公認の宿なので、安心して出発・帰着の宿としてご利用くださいね」と嬉しいメッセージをいただきました。

中医の先生に鍼を打ってもらう Photo: Aoi TOMIOKA

 台湾一周はどうなったかというと、出発を2日延期して「あひる家」で体調回復に努めました。佐々木さんに東洋医学の病院「中医」を教えてもらったおかげで、ぎっくり腰は自転車に乗れるまでに回復!医師の的確な鍼治療が受けられて、自己負担診療でも街のマッサージ屋さんより安い500元(約1800円)でした。本当に助かりました!

 アオイは、あひる家の大きなソファーで終日ゴロゴロ。「な〜んにもしない時間がうれしい」と上機嫌の様子。学校、塾、宿題、スイミング、卒業式からの卒ディズ(※4)と出発直前まで毎日忙しかったので、いい休息になったようです。佐々木さんに滋味たっぷりの鶏鍋に連れて行ってもらったり、オープン直前の日式ラーメン店の試食会に招待していただいたりして、彼女の胃腸炎も食欲が出るまでに回復しました。

自転車の整備など、できることは自分でやる Photo: Takeshi TOMIOKA
スクーターの群れと一緒に走る高雄市内 Photo: Takeshi TOMIOKA

 出発前日は台湾の道に慣れるために、機材チェックを兼ねて高雄市内を試走。どこの国でも安全に走るためには、自転車の整備と日本と異なる現地の交通事情(路面状態、路肩幅、車との距離感、交差点ルール等)の理解は不可欠です。自転車にやさしいイメージのある台湾ですが、右側通行、優先概念のない交差点、スクーターの群れなどの危険も伴います。出発前に慣れておく時間の余裕を持ちたいところです。

環島1日目(3月26日):高雄~四重渓温泉/94km

環島1日目のルート図 Photo: Takeshi TOMIOKA

 当初は13日間での環島を予定していたのですが、体調回復に2日も使ってしまったので、11日間で1000kmを走らなくてはなりません。1日100kmとしてオフは1日。これまでに何度か100kmは走ったことがあるアオイも、毎日続けてどれだけ走れるかは未知数です。おそらく雨も避けられないでしょう。「環島できるかどうかはとりあえず出発してから考えよう!」で旅が始まりました。

 初日は、交通量の多い高雄市街を抜けた後は、台湾の西海岸に沿って南下していくほぼ平坦な道です。腰の様子を見ながらの慎重な走りでしたが、アオイがしっかりと先頭交代をしてくれて助かりました。海沿いの強い向かい風も、“腹痛の田所を引く小野田ごっこ”で「恋のヒメヒメペッタンコ」(※5)を大声で歌いながら、二人で楽しく乗り切ることができました。また少し大きくなった小さな背中が何とも頼もしかったです。

海辺で景色を眺めて小休止 Photo: Takeshi TOMIOKA
フルーツかき氷で一息 Photo: Takeshi TOMIOKA
昭和情緒のある旅館のフロント Photo: Takeshi TOMIOKA

 この日のゴールは、「あひる家」の佐々木さんから教えてもらった四重渓という小さな温泉街。台湾の温泉には、水着を着て入る外風呂と、日本と同じように入れる内風呂の2種類があります。「温泉と部屋を見せて」と飛び込みで四軒の宿を比較検討し、両方のお風呂があって、清潔&リーズナブルな最後の一軒に決めました。一泊1200元(約4320円)。台湾は「一部屋いくら」の文化なので、日本と比べると二人旅の宿泊費はかなり安く上ります。ぎっくり腰にも、胃腸炎にもやさしい温泉にゆっくりと浸かって、さらに体調を回復することができました。

環島2日目(3月27日):四重渓温泉~台東/108km

環島2日目のルート図 Photo: Takeshi TOMIOKA

 2日目は、いきなり台湾を西から東へと横断する山越えからスタート。200~400mの大小の峠が、約30kmに渡って続く環島で一番の難所と言われている道です。アオイの体力が心配でしたが、まったくの杞憂で、早々に逃げを容認(笑)。1人グルペットで腰をいたわりながら、ひたすらマイペースで走りきりました。山間にカラフルな原住民の部落が点在する光景が印象的でした。

 峠を下った休憩所では、環島中の台湾のカップルに出会いました。台湾では、GIANT(ジャイアント)のクロスバイクにパニアバッグ、全身と顔を覆うウェアが環島の定番スタイルのようです。半袖ジャージ、レーパンでロードバイクに乗っている僕たちは、「旅ではなくトレーニングしているように見えた」と言われました(笑)。もしロードバイクで台湾を旅する機会があれば、彼らの手作り「環島」プレートを真似すると、出会いが増えると思います!

早々に逃げを容認 Photo: Takeshi TOMIOKA
台湾の環島カップルと一緒に Photo: Takeshi TOMIOKA
山間部の美しい小学校の前で休憩 Photo: Takeshi TOMIOKA

 東海岸に抜けた後は、切り立った崖と高速道路並みに飛ばすトラックとに挟まれて、あまり気持ちよく走れない道が続きました。アオイは前半の山で「真波くん(※6)のように走った」らしく(笑)、すっかり脚を使い果たしてしまい、今日は先頭交代できず…。疲れて千切れそうになるクライマーを80km引き続けて、ようやく台東に到着したのでした。

環島1000kmチャレンジ!父と娘のロードバイク旅<2>→

※1:アイムズパーキング(11~30日プラン)/税込6500円、JAL ABC大型宅配(220サイズ)関東往復/8820円(ともに2019年4月現在)
※2:JAL国際線規定内の「バイクポーターPro」3辺合計203cmを使用
※3:高雄 ゲストハウス「あひる家」
※4:「卒業式の後に友だち同士で行くディズニーランド」の略
※5:漫画「弱虫ペダル」第14巻のエピソード
※6:漫画「弱虫ペダル」に登場する真波山岳くんのこと。坂がとっても速い

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