「伊豆大島・御神火ライド」のここがすごい!<2>大島じてんしゃ協会代表・寺本雄一郎さん 「自転車だから体感できる大島がある」

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
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 9月7、8日に開催する「伊豆大島御神火ライド2019」(以下、御神火ライド)に向けて、地元の人が伊豆大島の魅力について語る連載「『御神火ライド」』のここがすごい!」。三辻利弘町長に続く2人目は、「“ひとり”大島じてんしゃ協会」の代表、寺本雄一郎さん(45)です。オンシーズンになると、朝練で島一周してから大島役場に出勤するというスーパーサイクリスト職員。御神火ライドの誕生も支えた、大島輪界を背負って立つ“漢”に、サイクリングアイランド伊豆大島のダイナミックな魅力をアツく語ってもらいました。

“ひとり”大島じてんしゃ協会代表、寺本雄一郎さん。地元で「御神火」と呼ばれ、親しまれている三原山をバックに。愛車のタイムも協会公式ジャージとカラーリングばっちり! Photo: Rika USUI

大島を楽しく走りたくて“協会”発足

─寺本さんが大島でロードバイクに乗り始めたきっかけは?

寺本 15年前、大島で開催されたトライアスロン大会がきっかけでした。役場職員として大会準備に関わっているうちに、自分でもできるか?と思ってトライしたのが始まり。実際に自転車で走ってみたらしんどかったんですけど、とても気持ち良くて。それと、もともとメカ好きだったこともあって、当時はクルマの方が好きだったんですが、バイクメンテを覚えるうちに次第に自転車の魅力にはまっていった感じです。

普段は大島町役場観光課の職員として勤務する寺本さん。生まれも育ちも大島という生粋の大島人 Photo: Kyoko GOTO

─なぜ「“ひとり”大島じてんしゃ協会」を立ち上げたのですか?

寺本 発足したのは2007年。まあ僕が個人的に言ってるだけで、しっかりした組織や団体ではなく基本的に会員は僕1人です。大島を自転車で走る楽しさを色々な人に伝えられて、なおかつ大島で困っているサイクリストがいたら助けられたらいいな、と思ったのが立ち上げた理由です。発足当時、トライアスロンで島に来る人はいても、島の中で自転車競技として自転車に乗っている人はいなかったので、じゃあ自分で立ち上げちゃおうと(笑)。ちなみに東京各地に支部(仲間)があって、すでに20人ほどがこの協会公式ジャージを着ています。

大島じてんしゃ協会の公式ジャージ。寺本さんいわく、黒は玄武岩、緑は島内に多く生息する巨樹「スダジイ」、赤はもちろん椿をイメージ Photo: Ryo KAMIKATAHIRA
島のサイクリングルートが描かれている表に対し、背面には島一周の獲得標高が描かれている Photo: Ryo KAMIKATAHIRA

─その20人は協会メンバーなのですか?

寺本 僕は認めてないです(笑)。ジャージを渡したのは僕と遊んでくれる仲間だからであって、会員となるには「自転車をひとりで組み立てられる」「誰かが困っていたら助ける」といった活動をしてもらう、そして「大島が好き」ということが条件です。ということで、実質まだ1人です。でも、こうして独自にでも名乗っていたことが『御神火ライド』の話につながるきっかけにもなったので、旗を揚げたのも無駄ではなかったと思っています。御神火ライド開催の話をもらったときは嬉しかったですよ。

御神火ライドではスタッフとしてイベントをサポート(写真右が寺本さん=2017年) Photo: Kyoko GOTO

 もちろん、そうなると自分ひとりではできないので、しかるべきところにつなげるために、島内の自分の知り合いや仲間をたずねて協力を募りました。声がけをしたら、皆さん気持ちよく協力してくれたことも嬉しかったですね。そのこともあってか、いまは観光課に部署異動したので、自転車で手伝えることがあれば積極的に手伝いたいと思っています。

地球を体感する「ジオライド」

─“協会活動”がさらにパワーアップですね

寺本 いま課内で「ジオパーク」(※1)を担当しているんですが、これもまた自転車との組み合わせがマッチしているんですよ。

海へ流れ出し、固まった溶岩 Photo: Kyoko GOTO

 伊豆大島は若い火山の島です。黒く固まった溶岩流や大きな火口、溶岩が降り積もった黒い砂漠など「生きている火山」を体感できる要素がそこらじゅうにあります。それをダイレクトに感じられるのが自転車です。例えば、起伏に富んだ地形も溶岩の上を自転車で走ってると思えば「なんでこんなきつい坂を上らなきゃいけないの」というのが「溶岩すげー」に変わったりしませんか?  きついのは変わらないですけどね(笑)。

大小の起伏に富んだ地形は「溶岩だから」と思えば納得できる? Photo :Kyoko GOTO

 三原山や裏砂漠、地層大切断面など、「わーすごい!」という驚きからもう一歩踏み込んで「なぜこれが見えるのか」というところを楽しみ出したら、もっと楽しくなると思います。その魅力を発信するためにも、僕自身が大島を自転車で走る楽しさをもっと知る必要があるので、それを“協会活動”として頑張りたいと思っています。もう、公私混同です(笑)。

※1「大地の公園」を意味し、地球(ジオ)を学び、丸ごと楽しむことができる場所として認定された地域のこと。

健脚基準は「30分切り」御神火スカイライン

─サイクリスト目線で見たコースの魅力を教えてください?

寺本 御神火ライドの「大島ぐるっと一周コース」になっていますが、約46kmにいろんな要素が凝縮されていて、多種多様な楽しみ方ができるコースだと思います。

 御神火ライドのスタート地点となる仲の原園地から走り出すと、まず小刻みでアップダウンが続き、そのあと長めの上りが始まり、その後の長い下りも気持ちがいい。その間にも「大切断面」や「筆島」などのスポット、そして視界が開けるポイントではいつも海が見える。挑戦したい人にはちゃんと平均斜度9%の「御神火スカイライン」もありますしね(笑)。

図はロングコース。三原山に向かうヒルクライムを除いたものがショートコースとなる ©伊豆大島御神火ライド2019実行委員会

 でも、それって何なのかって考えると、つまりは構造物が何もないからなんです。島にいる僕たちは「自然の中で走れる」ということを特別なことと思っていないんですけど、島外から訪れる人たちは特別に感じるみたいです。信号が少ないことは僕らにとっては当たり前の風景なんですが、島外の人たちにとっては新鮮に映るようです。クルマないな、何もないなって(笑)。それがいいみたいです。

-寺本さんが大島で一番好きなスポットはどこですか?

寺本 筆島から始まる上りとか、あと「御神火スカイライン」かな。別に坂が好きなわけではないんですけどね(笑)。御神火スカイラインの何が良いかというと、上ると自販機があってコーラが売っていること(笑)。僕はあそこのコーラがこの世で一番うまいと思ってます。

-確かに美味しかったです(笑)

寺本 でしょ?(笑)あのコーラを体験した自転車乗りは皆そう言います。

-御神火スカイランは斜度が急で、振り返ると上ってきた道がはるか下に見えるのがなんとも言えない気分ですよね。

寺本 御神火スカイラインは平均斜度9%で距離6kmなのですが、ヒルクライム大会ではそれを(1日に)2本上らされるんですよ(笑)。そしてその2本の合計タイムで競うことになります。

上ってきた軌跡が見える御神火スカイライン Photo :Kyoko GOTO

-寺本さんはどれくらいのタイムで上るんですか?

寺本 最近は太ってしまったのでタイムを気にしていませんが、かつての自己ベストは29分57秒でした。全日本選手権で一番速かった選手が21分台で上っていたので、僕のタイムはさほどすごくはありません。でも、走力を試すという点では30分切れるかどうかが一つの目安になっています。ちなみにスタート地点は「御神火スカイラン入り口」と描かれた信号の案内板が目印なので、脚自慢の方はぜひトライしてみてください。

サイクリストと大島をつなぐ「ハブ」に

-前回の御神火ライドは開催2回目にして450人の参加者が集まる盛況ぶりでした。「自転車で大島盛り上げる」という思いが具現化した形ですね

寺本 2回目にして一気に増えたなーと思いました。でも自分自身もっと頑張るために「まだまだ」と言っておこうかな。

 参加者が増える一方で島内の宿泊施設だったり、商店だったり食堂だったり、地元の方たちに「自転車は面白いぞ」って思ってもらうことも大事だと思っています。そのために僕自身が自転車で島内の色々なところに行き、お店に立ち寄るという個人的な活動をしています。その姿を見て、「大島の人も自転車乗ってるんだな」と興味をもってくれたら嬉しい。

「サイクリストを迎え入れる島の態勢も充実していきたい」という寺本さん Photo: Ryo KAMIKATAHIRA

 実際に来島するサイクリストは増えているけれど、一方で迎え入れる態勢はまだまだ十分とはいえない状況なので、いまはそこに力を入れていきたいと思っています。地元の人が、島を訪れたサイクリストと「自転車で来たんだー、どこから?」という会話が気軽にできるようになったら素敵ですよね。“ひとりじてんしゃ協会”といっていても本当に僕一人じゃ何もできません。皆をつなぐ「ハブ」みたいに働いて、大島を盛り上げていけたらと思っています。

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