ジロ・デ・イタリア2019展望<1>総距離3578.8km マリアローザ争いは3回のTTと大会後半の山岳地帯がポイントに

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 2019年最初のグランツール、ジロ・デ・イタリアが5月11日に開幕。6月2日のフィニッシュまで、3週間にわたるイタリア一周の旅が続いていく。数々のドラマが待ち受け、われわれに感動を与えてくれること必至の壮大なレースを前に、Cyclistでは2回にわたって大会の展望をお届けしていきたい。今回は、全21ステージに及ぶコースを解説。最大の栄誉であるマリアローザをはじめとする、各賞争いのポイントとなるのはどこか、コースを見ていきながらそれぞれに思いを巡らせてみてほしい。

イタリア国旗を横目に走るジロ・デ・イタリアのプロトン。2018年大会第19ステージのひとこま =2018年5月25日 Photo: Yuzuru SUNADA

大会前後半で異なるルート構成 「2つのレース」の呼び声も

 第102回ジロ・デ・イタリアの開幕地は、イタリア北部の都市・ボローニャ。昨年10月にコースプレゼンテーションが開催され、そこで明らかになったのは、大会前半はイタリア半島中部から南部をめぐり、大会2週目以降は北部の山岳地帯へ移っていくというもの。大会前半と後半とで趣きが異なるルート構成に、ヨーロッパのメディアを中心に今年のジロを「2つのレース」と呼ぶ声もあるほど。

 先ごろ、全21ステージの距離が見直され、最終決定された。総距離は3578.8km。ステージ平均は170.4kmとなる。

 まずは、ボローニャを出発し、3週間後にベローナへ到達する21のステージを確認しておこう。

ジロ・デ・イタリア2019 コースマップ ©︎RCS

ジロ・デ・イタリア2019(星の数は主催者発表による難易度)

5月11日 第1ステージ ボローニャ~ボローニャ(サン・ルカ聖堂) 8km個人タイムトライアル ★★★
5月12日 第2ステージ ボローニャ~フチェッキオ 205km ★★★
5月13日 第3ステージ ヴィンチ~オルベッテロ 220km ★★
5月14日 第4ステージ オルベッテロ~フラスカーティ 235km ★★
5月15日 第5ステージ フラスカーティ~テッラチーナ 140km ★
5月16日 第6ステージ カッシーノ~サン・ジョヴァンニ・ロトンド 238km ★★★
5月17日 第7ステージ ヴァスト~ラクイラ 185km ★★
5月18日 第8ステージ トルトレード・リド~ペーザロ 239km ★★★
5月19日 第9ステージ リッチョーネ~サンマリノ 34.8km個人タイムトライアル ★★★★
5月20日 休息日
5月21日 第10ステージ ラヴェンナ~モデナ 145km ★
5月22日 第11ステージ カルピ~ノーヴィ・リーグレ 221km ★
5月23日 第12ステージ クーネオ~ピネローロ 158km ★★★
5月24日 第13ステージ ピネローロ~チェレゾーレ・レアーレ(ラーゴ・セッル) 196km ★★★★★
5月25日 第14ステージ サン=ヴァンサン~クールマイユール(スカイウェイ・モンテ・ビアンコ) 131km ★★★★★
5月26日 第15ステージ イブレア~コモ 232km ★★★★
5月27日 休息日
5月28日 第16ステージ ロベレ~ポンテ・ディ・レーニョ 226km ★★★★★
5月29日 第17ステージ コンメッツァドゥーラ(ヴァル・ディ・ソーレ)~アンテルセルヴァ 181km ★★★
5月30日 第18ステージ ヴァルダーオラ~サンタ・マリア・ディ・サーラ 222km ★
5月31日 第19ステージ トレビーゾ~サン・マルティーノ・ディ・カストロッツァ 151km ★★★
6月1日 第20ステージ フェルトレ~クローチェ・ダウネ/モンテ・アヴェーナ 194km ★★★★★
6月2日 第21ステージ ヴェローナ~ヴェローナ 17km個人タイムトライアル

総距離 3578.8km(ステージ平均170.4km)
個人タイムトライアル 3
低難度ステージ 6
中難度ステージ 7
高難度ステージ 5

初日から緊張感に満ちたマリアローザ争いに

 ポイントとなるステージを中心に、コースをチェックしてみよう。

ジロ・デ・イタリア2019第1ステージ コースレイアウト ©︎RCS

 大会の華である個人総合時間賞「マリアローザ」に向けては、大会初日から取りこぼしが許されないハードなものとなった。ボローニャでの8km個人タイムトライアルは、最後の2.1kmが平均勾配9.7kmの急坂。残り1km地点で16%の区間が待ち受ける。レース距離こそ短いが、TTバイクで全行程を走り切るか、上りを前にノーマルバイクに乗り換えるか、判断も問われることになる。

 第2ステージから針路を南へととる。スプリンターたちの出番は、この日か翌日の第3ステージから幕開け。第5ステージまでは平坦にカテゴライズされている。

 第6ステージから2日間は丘陵地帯へ。総合争いで大きな変化が起こる可能性は低いと見られるが、逃げ屋やステージハンターが本格的に動き出すことになりそう。第8ステージは、再びスプリンター向けの一日。

ジロ・デ・イタリア2019第9ステージ コースレイアウト ©︎RCS

 大会前半のポイントとなりそうなのが、小国サンマリノに入国する第9ステージ。34.8kmに設定された今大会2回目の個人タイムトライアルは、中盤以降が上り基調。山頂にそびえるサンマリノ市街地を目指すルートは、終盤に最大勾配10%の区間も控える。ここまで上級山岳ステージこそ設けられていないものの、このタイムトライアルステージを終えた時点で、マリアローザ争いの形勢がある程度浮かび上がってきていても不思議ではない。

 1回目の休息日を経て、第10ステージから大会2週目がスタート。続く第11ステージと合わせて、オールフラットなスプリンターステージが用意されている。

 第12ステージからは、いよいよイタリア北部の山岳地帯へ。今大会最初の山頂フィニッシュとなるのが、第13ステージ。前半から中盤にかけて難所を越え、標高2247mのチェレゾーレ・レアーレへとフィニッシュ。勾配12%の残り1km地点がアタックポイントか。第14ステージも前日と同様に最高難度の5つ星。10%前後の勾配を含むカテゴリー山岳が5カ所登場。今大会のロードレースステージで最短の131kmながら、獲得標高は4000m超。激しいレース展開となることが予想される。

ジロ・デ・イタリア2019第13ステージ コースレイアウト ©︎RCS
ジロ・デ・イタリア2019第14ステージ コースレイアウト ©︎RCS

 第2週最終日の第15ステージは、秋に開催されるクラシックレース「イル・ロンバルディア」と一部同じルートを使用し、サイクリストの聖地といわれるマドンナ・デル・ギザッロ教会やコルマ・ディ・ソルマーノ(ソルマーノの壁)、チヴィリオの上りがコースに組み入れられる。フィニッシュ地点は、おなじみのコモだ。

ジロ・デ・イタリア2019第16ステージ コースレイアウト ©︎RCS

 大会終盤戦、3週目はレース距離226km、獲得標高が驚異の5700mに及ぶ第16ステージから始まる。この日3つ目の上りとなる標高2618mのパッソ・ガヴィアが今大会の最高標高地点「チーマ・コッピ」に設定される。また、マルコ・パンターニの記念碑が建てられるパッソ・デル・モルティローロ(モルティローロ峠)は、登坂距離12.8km、平均勾配10.1%。最大勾配18%ととなる中腹が勝負どころ。翌日の第17ステージもアンテセルヴァの頂上フィニッシュとなる。

 実に8日ぶりの平坦区間となる第18ステージで、今大会のスプリンター向けステージが終了。この日を終えた段階でのポイント賞の行方によっては、スプリンターたちの“一斉帰宅”となってしまう可能性も…。

ジロ・デ・イタリア2019第20ステージ コースレイアウト ©︎RCS

 サン・マルティーノ・ディ・カストロッツァの山頂フィニッシュとなる第19ステージを経て、続く第20ステージが今大会のロードレースステージとしては最後になる。ドロミテ山脈をめぐる1日は、再びの獲得標高5000m超え。チーマ・カンポ、パッソ・マンゲン、パッソ・ロッレと、最大勾配10%を超える山々をクリアし、最後はモンテ・アヴェナへ。最終日を前に総合上位陣によるタフな攻防戦となることは確実。アシスト陣による「前待ち」など、各チームの戦術も見ものだ。

 最後を飾る第21ステージは、ヴェローナでの17km個人タイムトライアル。中盤の丘越えを経て、街の中心部に位置する円形闘技場「アレーナ・ディ・ヴェローナ」へと飛び込む。総合上位陣が僅差でこの日を迎えるようなことがあれば、劇的な幕切れが待ち受ける。

 全21ステージを走り終えた時点で、個人総合成績でトップに立つ選手が、第102回ジロ・デ・イタリアの王者となる。

2017年大会では最終日の個人タイムトライアルで大逆転。トム・デュムランがマリアローザ奪取に成功し頂点に立った =2017年5月28日 Photo: Yuzuru SUNADA

イタリアの歴史を実感するジロに

 スペクタクルなコース設定はそのままに、今年のジロは社会的・文化的な側面との結びつきも強いものとしている。

 例えば、画家レオナルド・ダ・ヴィンチの没後500年であることから、彼の出身地ヴィンチを第3ステージのスタート地に選定。また、イタリア中部に甚大な被害を及ぼしたラクイラ地震(イタリア中部地震)から10年の節目として、同地を第7ステージのフィニッシュ地に。第10ステージでは、2012年のイタリア北部地震で最も被害が大きかった地域を走行する。

 そのほか、20世紀のイタリアを代表するジャーナリストであったインドロ・モンタネッリの生誕110周年を記念して、生まれ故郷のフチェッキオが第2ステージのフィニッシュ地点となるほか、作曲家ジョアキーノ・ロッシーニの故郷であるペーザロが第8ステージのフィニッシュ地点に。

 今大会はこれまで以上にイタリアの歴史を感じられる3週間となりそうだ。

社会的・文化的な側面との結びつきの強い第102回ジロ・デ・イタリア。3週間のレースを通じてイタリアの歴史も感じられそうだ(写真はイメージ) =ジロ・デ・イタリア2018第18ステージ、2018年5月24日 Photo: Yuzuru SUNADA

 ジロ・デ・イタリア2019展望、第2回は注目選手にフォーカスしてみます。

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