ブリヂストン列車をごぼう抜きゴール前大きく伸びた岡篤志が優勝 Jプロツアー第4戦、東日本ロードクラシック群馬

by 小森信道 / Nobumichi KOMORI
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 国内最高峰のロードレースシリーズ、Jプロツアーの第4戦「第53回JBCF東日本ロードクラシック群馬大会」が4月28日、群馬県みなかみ町の群馬サイクルスポーツセンター6kmコースを25周する150kmで開催され、最後は大集団でのゴールスプリント勝負を僅差で制した宇都宮ブリッツェンの岡篤志が今季Jプロツアー初優勝を飾り、ツアーリーダーの証であるプロリーダージャージに袖を通した。

大外から抜群の伸びを見せて捲り切った岡篤志(右端、宇都宮ブリッツェン)が僅差でゴールスプリントを制した Photo: Nobumichi KOMORI

3人が逃げを形成

 ここまでの3戦を消化して、オールイスアルベルト・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ)が2勝、フランシスコ・マンセボ(スペイン、マトリックスパワータグ)が1勝と、マトリックスパワータグが破竹の3連勝を飾ってスタートダッシュを決めたJプロツアー序盤戦。しかし、そのマトリックスパワータグは同時期に開催されているUCI(国際自転車競技連合)ヨーロッパツアー1クラスの「ブエルタ・ア・カスティーリャ・イ・レオン」に出場しており、アウラール、マンセボ、ホセビセンテ・トリビオ(スペイン)といった快進撃を支えてきた主力選手が不在。ここまで後塵を拝してきた他チームにとっては、勝利の可能性が高まった状況でレースを迎えることになった。

前日は強風は吹き付け雪も降る荒れた天候だったがこの日は一転、穏やかな日差しが降り注ぐ1日となった Photo: Nobumichi KOMORI
ランキング上位選手を先頭に選手たちがスタートラインに整列する Photo: Nobumichi KOMORI

 レースはスタートから各チームが積極的にアタックを仕掛け合う展開に。いくつかのアタック&チェックがあった後のカウンターで飛び出した湊諒(シマノレーシング)、伊藤舜紀(東京ヴェントス)、村田雄耶(弱虫ペダルサイクリングチーム)の3人が逃げ集団を形成する展開になった。有力選手を含まず、かつ、少数の逃げ集団ということでメイン集団もこの逃げを容認。チーム ブリヂストンサイクリング、宇都宮ブリッツェン、そしてこのレースが今季Jプロツアー初参戦となったキナンサイクリングチームが1人ずつ選手を出し合い、タイム差を2分30秒前後に保ってコントロールする状況となった。

村田雄耶(弱虫ペダルサイクリングチーム)、湊諒(シマノレーシング)、伊藤舜紀(東京ヴェントス)の3人が1周目から逃げ続ける展開に Photo: Nobumichi KOMORI
逃げ集団を容認したメイン集団が心臓破りの坂をクリアしていく Photo: Nobumichi KOMORI
UCIコンチネンタルチーム3チームが選手を出し合ってコントロールする展開が続くメイン集団 Photo: Nobumichi KOMORI

岡がBS列車番手から急加速

 その後、佐藤信哉(VC福岡)や山本元喜(キナンサイクリングチーム)が単独で飛び出して逃げ集団にブリッジをかけようとする動きもあったものの、基本的には3人の逃げ集団とメイン集団という展開のまま大きな動きが生まれることなく、気付けばレースは残り8周と終盤戦に。

佐藤信哉(VC福岡)が逃げ集団へ単独でブリッジを試みるも、程なくしてメイン集団が吸収 Photo: Nobumichi KOMORI

 すると、疲労の色が見え始めて少しずつラップタイムが落ちてきていた逃げ集団に対してメイン集団から紺野元汰(イナーメ信濃山形)が単独アタックを仕掛け、残り7周に入ったところで逃げ集団にブリッジ。さらに、残り6周となった段階で今度は優勝候補の1人と目される入部正太朗(シマノレーシング)が逃げ集団にブリッジをかけたことでメイン集団も活性化。残り5周に入る直前で逃げ集団を吸収し、ひとつの集団になって終盤戦を迎えることになった。

レースも終盤に入り、コントロール下に置かれたメイン集団内でも少しずつ次の展開に備えてペースが上がり始める Photo: Nobumichi KOMORI
逃げ集団を吸収してひとつになった集団ではアタック&チェックが激しく繰り返される Photo: Nobumichi KOMORI

 ひとつになった集団はまだ、90人ほどの大集団。このままの状態でいけば大集団でのゴールスプリントになることが濃厚なことから、佐野淳哉(マトリックスパワータグ)らゴールスプリントに持ち込みたくない選手たちが積極果敢にアタックを仕掛けて抜け出そうとする。しかしスプリント力に優れるトラック兼任選手も多くメンバー入りしているチーム ブリヂストンサイクリングなど、ゴールスプリントに持ち込みたいチームがすかさずチェック。レースは54人の大集団のまま最終周へと入った。

米谷隆志(リオモ・ベルマーレ レーシングチーム)が先行した状態でレースは最終周に入る Photo: Nobumichi KOMORI

 最終周に入ると、木村圭佑(シマノレーシング)が単独アタックを仕掛けて若干のリードを奪う時間帯もあったが、結局は集団が吸収。勝負は大集団でのゴールスプリントになることがほぼ確実になった。すると、心臓破りの坂を過ぎた後のバックストレートで、ゴールスプリントに絶対の自信を持つチーム ブリヂストンサイクリングが隊列を組んで集団の先頭に。そのままホームストレートに入ると近谷涼が最終発射台となって沢田桂太郎、今村駿介、黒枝士揮の3人を発射。万全の状態でスプリントを開始したチーム ブリヂストンサイクリングが勝利かと思われたが、その隊列の番手から鈴木龍(宇都宮ブリッツェン)に発射されてスプリントを開始した岡が抜群の伸びを見せて大外から捲り切り、ビデオ判定にまでもつれる僅差で優勝を飾った。

ビデオ判定の結果で勝利が確定し、チームピットで喜びを爆発させる宇都宮ブリッツェンの選手とスタッフ Photo: Nobumichi KOMORI

レース展開の乏しさに課題

 最後に大迫力の集団ゴールスプリント勝負で勝敗が決したことにフォーカスされてしまいがちだが、この日のレースは序盤から終盤まで大きな動きがまったくない見どころの少ないレースでもあった。

 この点について勝利を手にした宇都宮ブリッツェンの清水裕輔監督は「各チームともにそれぞれの事情や作戦がある中でレース展開は決まるものですが」と前置きした上で、「現状でのJプロツアーの選手層の薄さというものが露呈したレースになったのかなと感じます。強力な外国人選手たちが不在になると、我々のチームも含めて一個人でレースを動かし、展開を決めてしまえる選手はほぼいない。今後、Jプロツアーや国内ロードレース界がさらに発展していくためには、日本人選手のレベルアップが不可欠だとあらためて感じるレースでしたね」と見解を述べた。ここまでマトリックスパワータグに3連勝され、他チームは是が非でも勝利が欲しい状況で手堅いレース展開になってしまったということを考慮しても、真剣に考えていかなければいけない点かもしれない。

Jプロツアー表彰式。左から2位の沢田桂太郎(チーム ブリヂストンサイクリング)、優勝の岡篤志(宇都宮ブリッツェン)、3位の今村駿介(チーム ブリヂストンサイクリング) Photo: Nobumichi KOMORI
敢闘賞は1周目から終盤まで逃げ続けた村田雄耶(弱虫ペダルサイクリングチーム)が獲得 Photo: Nobumichi KOMORI
プロリーダージャージは岡篤志(宇都宮ブリッツェン)、ネクストリーダージャージは沢田桂太郎(チーム ブリヂストンサイクリング)にそれぞれ移った Photo: Nobumichi KOMORI

 この結果、ツアーリーダーの証であるプロリーダージャージはアウラールから岡へ、ネクストリーダージャージは織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)からこの日2位となった沢田へとそれぞれ移った。次戦となる第5戦「JBCF宇都宮ロードレース」は5月11日、栃木県宇都宮市の鶴カントリー倶楽部周辺特設周回コースで開催される。

JBCF 東日本ロードクラシック 群馬大会 JPT結果
1 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) 3時間51分20秒
2 沢田桂太郎(チーム ブリヂストンサイクリング) +0秒
3 今村駿介(チーム ブリヂストンサイクリング)
4 黒枝士揮(チーム ブリヂストンサイクリング)
5 鈴木龍(宇都宮ブリッツェン)
6 大久保陣(キナンサイクリングチーム)
7 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
8 黒枝咲哉(シマノレーシング)
9 中井唯晶(シマノレーシング)
10 横塚浩平(チームUKYO) +1秒

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