しまなみ海道の本州側出発地新装のJR尾道駅、ゴールデンウィークに向け拠点化狙う JRが新駅舎全額負担

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 3月10日に開業したJR山陽線尾道駅(広島県尾道市)の新駅舎は、大阪や京都といった大規模ターミナル駅以外では初めて、JR西日本の全額負担(総工費約17億円)で建て替えられた。歴史的な町並みが残り、「サイクリストの聖地」として知られるしまなみ海道の本州側出発地でもある尾道には近年、外国人を含む観光客が増えており、同社は新装・尾道駅を「瀬戸内エリアの観光拠点」と位置づける。駅舎内のテナントもその期待にふさわしい店舗が並び、「尾道の旅」を楽しむさまざまな趣向が凝らされている。もうすぐゴールデンウイーク(GW)。新駅舎は観光地・尾道の新たな名所となりそうだ。

3月10日に開業した尾道駅新駅舎

明治の木造駅舎を踏襲

 3月10日の開業セレモニーにはJR西日本の来島達夫社長も出席し、「120年以上の歴史を持つ先代の木造駅舎のイメージを踏襲した風情のある駅舎で、瀬戸内全体をつなぐ拠点を目指す」と意気込みを述べた。

 JR駅舎の建て替えは地元自治体などが費用の一部を負担するケースが多いが、同駅はJRの全額負担で、瀬戸内方面での新たな集客拠点として力の入れようが伝わってくる。

 新駅舎は鉄骨2階建て。木造平屋で瓦屋根などが特徴的だった明治24年の初代駅舎のデザインを踏襲し、尾道の町並みに溶け込む配慮がされている。延べ床面積約2150平方メートルのうち、半分以上の約1200平方mを商業施設部分が占める。

レンタサイクルはメンテナンスも万全

 駅舎内には約30台が用意されたレンタサイクル店も。四国(愛媛県今治市)に続くしまなみ海道のサイクリングは、駅周辺の既存のレンタサイクル店が対応しており、駅のレンタサイクルは比較的近くの商店街や観光スポット、尾道水道をフェリーの「5分の船旅」でわたる向島(むかいしま)(尾道市)の周遊などを想定。「しまなみ海道全線をガッツリ走りたいという人には、それに適した車種を置いている店を紹介している」(スタッフ)といい、既存店とのすみ分けに配慮している。

多彩な店舗や宿泊施設

2階展望デッキから臨む尾道水道

 駅舎の1階には観光案内所のほか、カフェなどを併設した複合店舗「おのまる商店」と、コンビニエンスストア「セブンイレブン ハートイン」、大衆食堂「食堂ミチ」の3店が入る。2階には展望デッキなどのパブリックスペースがあり、宿泊施設「m3HOSTEL(エムスリーホステル)」と「喫茶NEO(ネオ)」がある。

 おのまる商店は、テークアウトのおにぎりスタンド、地元食材を使ったホットドッグなどファストフードを提供するカフェ、地元のお土産に適した食品や小物などの物販に、先述のレンタサイクルを併設した店。店名は「尾道の良いものを“まるっと”紹介する」という意味が込められている。

オリジナル商品を説明する「おのまる商店」の岡崎ちはる店長
人気のアジフライ定食

 岡崎ちはる店長のお薦めは、おにぎりスタンドで販売する「せとうち巻き」。地元の漁師が船上で食べていた具だくさんののり巻きおにぎりをベースに、地元食材を包んで食べてもらう新名物として開発された。

 チリメンジャコとワケギの「ジャコねぎ」(税別160円、以下値段はいずれも税別)、広島菜とカツオブシの「江波巻き」(150円)など6種類。尾道商業高校の生徒のアイデアで、地元の人気商品「レモンイカ天」を具にした「尾商巻き」(200円)も売れているという。

 改札口正面からいったん駅舎を出て、西に向かうと「食堂ミチ」ののれんが目に入る。深川侑星(ゆうや)店長が「これを食べてほしい」という豚の角煮定食や皿からはみ出んばかりの巨大アジフライの定食が自慢の大衆食堂。開店から間もないのにすでに常連客がいるといい、特に夜の居酒屋タイムで「ビールより人気」なのが瀬戸内産レモンの「生しぼりレモンハイ」だ。国産レモン丸ごと1個を使って480円というお得感が観光客にも地元客にも支持されているようだ。

サイクリスト配慮のホステルも

 壁面の棚にさまざまな地元商品がディスプレーされているらせん階段「おのたびゲート」を上ると2階の展望デッキ。目の前には、1階からでは見えなかった尾道水道の水面が広がり、行き交うフェリーや造船所のクレーンが目に入る。

m3HOSTELのフロントとブックラウンジ

 JR西日本では初めての駅舎内宿泊施設というm3HOSTELは、2人部屋1室8000円から、4人部屋1室1万2000 円から泊まれるホステルタイプの宿。立方メートルを意味するm3という名称は、天井までの高さを生かしてロフトや2段ベッドを設置し、狭い面積でも快適に過ごせる工夫を凝らしたことも表している。愛車を携行するサイクリング客のために、組み上がった状態の自転車を預かるスペースもある。

 フロントの前にあるのはだれでも利用できるブックラウンジ。尾道ゆかりの小説をはじめ、ガイドブックや絵本、実用書など数百冊が書棚に並び、取り壊された旧駅舎の廃材で作られたベンチとテーブルで読むことができる。

 宿泊客専用のエリアにもラウンジがあり、こちらは山陽線を走る列車を見おろせるビューポイント。旧駅舎の地下から出てきた古いれんがなどを使った壁が、風情と歴史を感じさせる。

 喫茶NEOは、レトロ調の内装でまとめられた落ち着いた雰囲気。提供されるのは軽食が中心の「喫茶メニュー」だが「味は本物志向」という。

産経ニュースより)

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