求められる“強さ”と“勝利”2年目の世界挑戦は「ゼロからの再スタート」 ブリヂストンアンカー新監督&キャプテンに聞く

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 1月31日に2013年シーズンの体制を発表したブリヂストンアンカーサイクリングチーム(BSアンカー)。記者発表会は華やかな雰囲気に包まれたものの、チーム関係者からは自らを律するような厳しい言葉が相次いだ。昨季は新体制で世界レベルのレースに挑戦したものの、結果を出せず、チーム崩壊の危機も招いた。2年目は早くも正念場。新監督と選手たちは悲壮な決意でシーズンに挑む。(米山一輝)

ブリヂストンアンカーの2013年メンバーブリヂストンアンカーの2013年メンバー

 BSアンカーは近年、日本人選手による国内レース中心の活動を続けていたが、昨シーズンは本場欧州をターゲットとして世界挑戦に乗り出した。実力の高い日本人・外国人選手を迎え、欧州トップチームも参戦する「ツアー・オブ・カタール」でシーズンインするという、鳴り物入りでのスタートだったが、その後の成績は決して芳しいものとは言えなかった。

 チームはJプロツアーや国内外UCIレースなど、主要なロードレースで勝利を得られないまま、シーズン半ばを過ぎて監督が事実上更迭される事態となった。これは指導力不足や、チーム内のまとまりを欠いたことが原因と言われている。

 秋以降のシーズン後半は、実質的に元の純日本人チームに戻って国内レースに参戦。個々の選手が幾つか印象的な働きを見せたが、前半戦に狂った歯車を修正するには至らなかった。

 2013年シーズンは新監督に水谷壮宏氏を迎えて再出発をはかる。水谷監督はブリヂストン、ニッポなどで選手として活躍。2006年に選手を引退した後はエキップアサダで監督を務めていたが、同チームが資金不足から2009年限りでプロチームを解散して以降は、自転車競技の現場を離れていた。

 アマチュア時代からフランスを中心に活動し、現在もフランス在住。語学力が高く、現地の事情に通じ、かつ選手としての経験も豊富な新監督を迎えて、2013年のBSアンカーは欧州挑戦の“仕切り直し”となる。

「ラストチャンス。自分流のやり方でやる」 水谷壮宏監督

新監督に就任した水谷壮宏氏新監督に就任した水谷壮宏氏

 ――久々にレースの現場に復帰した経緯を教えてください

 (去年の)8月ごろにオファーを受け、これは自分のラストチャンスだなと思って引き受けました。以前エキップアサダで監督をしていて、(資金難という)ああいう形でチームが消滅してしまい、すごく悔いが残っていたので、ぜったい復帰してチームを率いたいという考えがずっとありました。
 ただ、去年のチーム事情を聞いて、これはもう大変だなと。先ほど(プレゼンテーションで)お話ししたとおり、全てをやり直して、ゼロからの再スタートです。今までのブリヂストンのスタイルでなくて、自分流のやり方でやるという感じです。
 会社からは、ただチームを強くすることと、成績を出すことを求められている。それ以外のことは、全て自由にやらせてもらっています。

 ――(ジロ区間優勝の実績を持つ)新加入のモニエ選手には驚かされました

 ダミアンは(フランスで)自分と家が近いんですよ。選手時代は一緒に練習したりして、彼の実力はよく知っています。ただ残念なことに、彼はウイルスにやられたり、交通事故にあったりで、チャンスが無かったんです。それで向こうのチームのオファーが取れず、選手を辞めざるを得ない状況に追い込まれていたので、声を掛けました。
 彼自身もまだ自転車競技に情熱を持っていて、やる気満々だったので、加入してくれました。とても感謝しています。

 ――これはブリヂストン史上過去最強のチームになるのでは?

 なってほしいですね。なれるように自分も努力します。
 やっぱりこれだけ強い選手がいても、うまくまとまらないと結果にはつながらない。去年も実力のある素晴らしい選手が集まっていたのに、そこで結果が出なかったのはやはり、まとめる人がいなかったというのが大きいんだろうと思います。
 でもそんなことにを自分はさせないし、全ての選手の能力を最大限に引き出して、さらにパワーアップさせる。そして結果を出す。それが目標です。

「国内レースも全力で勝ちにいく」 井上和郎キャプテン

キャプテンを務める井上和郎選手キャプテンを務める井上和郎選手

 ――凄い選手が入りましたね

 (新外国人選手は)めちゃくちゃ強いです(笑)。だからと言って、彼らばかりが勝って、僕ら日本人選手が見劣りするような走りをしては意味が無いです。

 ――レースがまた面白くなりそうです

 日本のレースも全力で勝ちにいきます。そっちを勝たないと、ヨーロッパでも結果は出ませんから。
 「ヨーロッパで勝ちたい」と言うチームは、日本で負けるわけにいかないのですが、そこが(今までの国内チームは)うやむやになっていた。残念というか「しょせんその程度でヨーロッパ行ってるのか」と見られているんだろうなって感じていた。そういう雰囲気には絶対にしちゃダメだと思います。

 ――キャプテンとしての抱負は?

 レースの現場でチームをまとめるかどうかは戦略次第。あとは、それ以外の私生活で、皆がお互いストレスを感じないようにしていきたいと思います。合宿所でずっと一緒に暮らすので、そういうところで、あまりお互いストレスを溜めないようにしたい。

 ――具体的にはどうしていこうと考えていますか?

 まずはじっくり構えて、みんなの動きをじーっと見ます(笑)。否定から始まるとチームってギクシャクしてしまうので、それぞれやりたいことを探しながら、チームの利益に反することだけはきっちり潰していく、という感じでしょうか。
 去年は個々のベクトルが色んな方を向いていたと思うんですけど、でもそれはそれでまとめ方があったと思う。そういう経験を今シーズンでは生かしていきたい。

 ――去年はあまりまとまっていなかった?

 そうですね。否定しないですけれど、それを生かさなきゃ。
 チームは一つの集合体ですけれど、各自はやっぱり独立した一人の選手なので、そこは無理にまとめるよりも、各自に持ち味を発揮してもらいたい。
 (自身は)キャプテンの役割はきっちりこなしていきますが、でも他の選手に見劣りする結果は出したくないですね。頑張ります。

 チーム発表会後は、清水都貴が日本代表チームに合流し、ツアー・オブ・カタールとツアー・オブ・オマーンに出場。他の選手は千葉県鴨川で合宿を行い、チーム初戦は3月3日、フランスでの「Grand Prix de la Ville de Lillers」(UCI1.2)となる。

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