価格は破格の2000円Jプロツアー「VIPチケット」制度が開始 有料化とエリア制限は興行価値を向上させるか

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 日本最高峰のロードレースシリーズ「Jプロツアー」に、新たな試みとしてVIPチケットの販売が開始されました。フィニッシュライン目の前に設置された専用の観戦テントや、上位選手のサインがもらえるなど、特典は盛りだくさんです。

Jプロツアーで始まった「VIPチケット」には嬉しい特典が満載! Photo: Shusaku MATSUO

当日の限定20枚

 チケットは大会当日、会場内のインフォメーションテントで販売されます。販売枚数は20枚となかなかの少なさ。先着順となるので、購入希望の観戦者は早めの会場入りが望まれます。先日開催された修善寺ラウンドの2日目では早々と売り切れになっていました。

 気になる特典ですが、Jプロツアーファンなら垂涎の内容満載。VIPチケット購入者専用のテントがスタート/フィニッシュラインのすぐ横に設置されており、スタート間際に見せる選手の集中した表情から、白熱のゴールシーンを間近で見ることができます。

チケットは首から下げるタイプ Photo: Shusaku MATSUO

 椅子が設けられているので、レース中にコース内を歩く際、必要ない荷物を置いておくというファンの姿も見受けられました。レース会場は荷物を預けられるスペースは設置されていない場合が多く、便利な活用方法といえるでしょう。雨や風、日よけとしても期待できます。

 お楽しみはレース終了後にも用意されています。レースの上位3人がサインした色紙がプレゼントされるうえ、ステージ上で選手たちと写真撮影できる特典もあります。修善寺ラウンドでは優勝したフランシスコ・マンセボ(スペイン)と2位のアイラン・フェルナンデス(スペイン)のマトリックスパワータグコンビ、3位だった横山航太がレース終了後、表彰式を待つなか、1枚1枚丁寧にサインしている姿がありました。

フィニッシュエリアすぐ横に設けられた専用の観戦テント Photo: Shusaku MATSUO
レース前、選手の真剣な表情を間近で見ることができる Photo: Shusaku MATSUO
レース終了後は選手と写真撮影も Photo: Shusaku MATSUO

 本来なら上位3選手とチケット購入者の4人で写真撮影が可能なところでしたが、この日は気温が低く冷たい風が吹き荒む天候に、選手の体調を気遣いグループでの撮影に変更。参加者からは「選手の体を冷やさない判断なので、一人ひとりと撮影できなくても文句はありません」というファンならではの声も聞かれました。アットホームな雰囲気のなか、選手と触れ合える貴重な時間として人気を博していました。

レースの上位3選手のサイン入り色紙がプレゼントされる Photo: Shusaku MATSUO
表彰を待つ間、1枚1枚丁寧にサインを書いていくフランシスコ・マンセボ(左、スペイン)とアイラン・フェルナンデス(スペイン) Photo: Shusaku MATSUO

 これらの特典がついて価格はなんと税込2000円。車や電車、場合によっては宿泊にかかる観戦コストは数万円となる場合があると思いますが、その中の2000円とみれば決して高くないのではないでしょうか。現状、市街地から離れた会場が多く、足を運ぶファンはVIPチケット代とは比較にならないハードルを越えてきているはずです。

 “ロードレースは無料で観戦できるもの”という既存の考え方はありますが、「レース観戦の質が上がるならお金を払ってもいい」「ファン活動したい」という声があるのも事実です。2000円×20人×2日間で8万円という収入は、主催者であるJBCF(全日本実業団自転車競技連盟)の収入としては決して多くなく、それで何ができるのかという意見もあるでしょう。しかし、個人が課金できる取り組みとして画期的で前向きな施策だと思います。

価値向上と収益向上、どちらが先か

 Jプロツアーは今季から、選手エリアと観戦エリアを明確に線引きしています。パスを持った関係者のみしか選手エリアには入れません。選手と近い距離で楽しめるスポーツとして人気があるサイクルロードレースのメリットが薄まるのではないか、という懸念もあると思います。

会場内は明確にエリアが定められた Photo: Shusaku MATSUO
線引きは果たして選手の価値を向上させられるのか Photo: Shusaku MATSUO

 ですが、線引きされたことで選手の価値が上がるのではないでしょうか。選手に近づきにくくなったことで、選手との会話、写真撮影など、あらゆることに価値が生まれ、Jプロツアーが興行として成長する糧となるはずです。もちろん、それに見合うよう、選手はよりプロ意識を持ってレースに臨まねばなりませんね。有料化とエリア、動線の明確化は、コアなファンだけでなく、より一般的なファンを増やすためにも大きな一歩と言えるでしょう。今後、さらにお金を払いたくなるようなコンテンツになることをツアーの一ファンとして願います。

松尾修作松尾修作

サイクリスト編集部員。10代からスイスのUCIコンチネンタルチームに所属し、アジアや欧州のレースを転戦。帰国後はJプロツアーにも参戦し、現在は社会人チーム「Roppongi Express」で趣味のレースを楽しむ。JBCFのカテゴリーはE1。数多くのバイクやパーツを試してきた経験を生かし、インプレッション記事を主に担当している。

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