ツール・デ・フランドル2019EFエデュケーション・ベッティオールがロンド制覇 ラスト17kmを独走でワールドツアー初勝利

by 平井久美子 / Kumiko HIRAI
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 激坂と石畳が詰め込まれたクラシックレース、「第103回ツール・デ・フランドル」(ロンド・ファン・フラーンデレン)がベルギー北部のフランドル地域で4月7日に開催され、ラスト17kmを独走したアルベルト・ベッティオール(イタリア、EFエデュケーションファースト)が優勝を飾った。ワールドツアー初勝利が“クラシックの王様”という大金星をあげた。

キャリア一番の勝利を手に入れたベッティオール Photo: Yuzuru SUNADA

前年王者テルプストラが落車で早くも脱落

 春のクラシックレースの中でも格式が高く、“クラシックの王様”としても知られるツール・デ・フランドル。今年の距離は270.1km、その中に、5つの石畳と17カ所の上りが詰め込まれている。もちろん石畳の上りも登場する。

“クラシックの王様”とも呼ばれ最高の格式を誇るレース。世界チャンピオンや各国チャンピオンがスタートラインに並ぶ Photo: Yuzuru SUNADA

 レース前半は比較的なだらか。だが、約80km地点の石畳区間を皮切りに、ゴールまで石畳とアップダウンが選手を襲う。また、今年もオウデ・クワレモント(距離2.2km、平均勾配4.0%、最大勾配11.6%)を3回、パテルベルグ(距離360m、平均勾配12.9%、最大勾配20.3%)を2回通過。169km地点にはミュール・カペルミュールも待ち受けている。

 レースはスタート直後に逃げたい選手が前へ。ユーゴ・ウル(カナダ、アスタナ・プロチーム)、ダミアン・トゥゼ(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ)、ジャスパー・アセルマン(オランダ、ルームポット・シャルル)、ケネット・ファンローイ(ベルギー、スポルト ヴラーンデレン・バロワーズ)で構成された4人の逃げができあがる。

 ティム・デクレルク(ベルギー)をはじめとしたドゥクーニンク・クイックステップ勢がコントロールするメイン集団とは、一時は8分近いタイム差がついていた。

ディフェンディングチャンピオンとして臨んだテルプストラ Photo: Yuzuru SUNADA

 このまま落ちついた展開で進むと思われたレース。だが、1回目のオウデ・クワレモントを前にメイン集団では落車が発生。なんと、前年チャンピオンのニキ・テルプストラ(オランダ、ディレクトエネルジー)が巻き込まれ、早くも優勝争いから脱落した。

 その後も逃げとメインという構図で進む一方、タイム差は徐々に縮まってくる。残り100km地点で登場したミュール・カペルミュールも先頭は4人のままで突入するが、メイン集団は1分半に迫っていた。先頭は順調にミュールをクリア、だが、メイン集団は道幅が狭く厳しい石畳の上りを前に遅れをとる選手もみられた。

ミュールの上りをこなすジルベール Photo: Yuzuru SUNADA

 ミュールの下り、メイン集団から数人の選手が飛び出し先頭を吸収。そこについて行けなかった集団が離れ、集団は2つになってしまう。その中で、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)、フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチーム・エミレーツ)、マチュー・ファンデルプール(オランダ、コレンドン・サーカス)、ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)といった有力選手は前方へ。だが一方、優勝候補であるオリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール ラモンディアール)は後ろの集団に下がってしまった。

終始前方でレースを展開したが、優勝はならなかったサガン Photo: Yuzuru SUNADA

 その後もレースは活性化。残り80kmカナリエベルグを前に、イヴ・ランパールト(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)を含む4人が抜け出す。だが、この逃げは許されず。集団は一つになり、レースは振り出しに戻った。その後、ダウンヒルを得意とするマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)が攻撃を仕掛け抜け出す場面もあったが、やはり決定的な動きとはならなかった。

ファンデルプールが落車

 残り60km、優勝候補のファンデルプールにアクシデントが発生する。前輪をパンクした直後に右肩から落車。復帰はしたものの、落車した場所は2回目のオウデ・クワレモントの直前。優勝争いから脱落したと言っても過言ではない状況だった。

ファンデルプールは落車後レースに復帰。驚異の追い上げで4位に入る。 Photo: Yuzuru SUNADA

 一方集団はオウデ・クワレモントへ。セップ・ファンマルク(ベルギー、EFエデュケーションファースト)やサガン、ガビリア、ランパールト、ナーセンといった選手はしっかり前に位置しながらこの上りに突入した。

 そして、ここでスティン・ファンデルベルフ(ベルギー、アージェードゥーゼール ラモンディアール)、ファンマルケがアタック、さらにカスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)もジョインし3人の逃げが形成される。その後、この逃げにディラン・ファンバーレ(オランダ、チーム スカイ)がジョインする一方で、ファンデルベルフが脱落。メンバーが入れ替わったものの先頭は3人のままだった。

 残り36km、後ろでも動きがでる。先頭に追いつこうとベッティオール、ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)、ニルス・ポリッツ(ベルギー、カチューシャ・アルペシン)、アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)を含む6人の追走集団が出来上がる。先頭、追走、メイン集団で進むレース。ゴールに向け、より一層展開が激しくなる。

オウデ・クワレモントで飛び出したベッティオールがライバルを振り切って独走態勢に Photo: Yuzuru SUNADA

 残り26km、先頭にいたファンマルクが後ろに下がり、ベッティオールのアシストに仕事を切り替える。ファンマルクの強烈な牽引で集団はペースアップ、残り17kmにある3回目のオウデ・クワレモントを前に先頭2人を吸収、ベッティオールを発射した。

独走でパテルベルグを駆け抜けるベッティオール Photo: Yuzuru SUNADA

 仲間からのアシストを受け先行するベッティオールは独走態勢へ。牽制気味になった集団を置き去り、先行していく。その後、ランパールトやサガン、バルベルデも追いかけるがここまで250km以上走ってきた選手。残された力は限られていた。また、後ろの選手が攻撃を試みようとするたびに、チームメートがすかさずチェック。ベッティオールの勝利をアシストし続けた。ベッティオールは快調に飛ばしゴールラインを一番に通過。ワールドツアー初勝利を手に入れた。

 ベッティオールは、今年BMCレーシングチームから移籍してきた25歳。キャリア初のワールドツアーでの勝利が、ワンデーレースでは最高級の格式を誇る「ツール・デ・フランドル」。今後の活躍が楽しみになる勝利となった。

2位はアスグリーン(左)、3位はクリストフ(右) Photo: Yuzuru SUNADA

ツール・デ・フランドル2019結果
1 アルベルト・ベッティオール(イタリア、EFエデュケーションファースト) 6時間18分49秒
2 カスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) +14秒
3 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAE・チームエミレーツ)) +17秒
4 マチュー・ファンデルプール(オランダ、コレンドン・サーカス)
5 ニルス・ポリッツ(ベルギー、カチューシャ・アルペシン)
6 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ)
7 オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール ラモンディアール)
8 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)
9 ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル)
10 グレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、CCCチーム)

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