「シルベスト」一行が参加船旅で2泊3日の大阪~鹿児島弾丸サイクリング 「関西サイクリストモニターツアー」体験レポート

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 大阪発、鹿児島着を船中で2泊する弾丸ツアーに、大阪を拠点にしたプロショップ「シルベストサイクル」の一行が参加しました。「道そのものが観光資源」と山崎敏正統括店長が謳うとおり、ライドに適した道や自然、名所を堪能。参加した小川毅さんによるリポートをお送りします。

船中2泊の「関西サイクリストモニターツアー」を体験レポート Photo: Takeshi OGAWA

鹿屋体育大学がアテンド

 「サイクリングは人生の喜びである」そんな言葉が自然と頭に浮かぶような爽快な「道」。鹿児島県大隅半島をめぐる「関西サイクリストモニターツアー」は期待をはるかに上回る自転車旅となった。

小川毅さんのレポートをお届けします Photo: Takeshi OGAWA

 鹿屋市を中心とした大隅半島におけるサイクリングの魅力は何か。地域おこしにつながる魅力を外からの視点で発掘することを目的としたツアーだ。3月15日(金)午後5時半に「さんふらわあ号」に乗船して大阪南港フェリーターミナルを出港。翌16日(土)に志布志港に到着後、約100キロのサイクリングを楽しみ、午後5時半に再び「さんふらわあ」に乗船して17日(日)に帰阪する鹿児島弾丸ライドである。

 この「さんふらわあ号」には、夜行の往復が1万円ぽっきりという、関西ではちょっと有名な、その名もそのままの「弾丸フェリー」というお得なプログラムが定番としてあり、それを「関西からのサイクリング客の誘客に活用できないものか」という試行イベントでもある。

旅は「さんふらわあ号」からスタート Photo: Takeshi OGAWA

 「シルベストサイクル」の山崎敏正統括店長をはじめとしたスタッフおよび練習会の参加者の一行は大隅半島を拠点とするプロサイクリングチーム「シエルブルー鹿屋」のゼネラルマネージャー兼監督の高宮正嗣氏の出迎えを受け、期待に胸を膨らませていざ「さんふらわあ」に乗船!! ゆったりとした展望浴場でウィークデイの疲れを癒し、充実のディナー・バイキングで明日への活力を得る。就航して半年という新造船なのでどこもかしこもピカピカで気持ちいい。

立命館大学応援部の皆様に応援されるサプライズも Photo: Takeshi OGAWA

 アトラクションでは乗り合わせた立命館大学応援部の皆様に(明日の弾丸ライドを)応援されるサプライズも浴び、食後は一行がすっぽりと収まる快適な大部屋でこれから向かう鹿児島の本場の芋焼酎の試飲をさせていただきながら皆で歓談。船旅の魅力は移動それ自体が大きな楽しみであり目的だ。船旅が含む時空の余裕が安らぎと楽しみをもたらしてくれる。

 そして、サイクリング旅の魅力は同じ趣味を持つ者同士の連帯を感じながらのツーリズムであること。一般的な団体旅行よりもすぐに皆が仲良くなり、体験を共有して広めることができるのだ。皆でワイワイと明日への期待を膨らませてしゃべっていると、子供の頃、盆や正月に親戚一同集まって憂いなく楽しめた昭和のあの時の記憶が蘇ってくる。明日に備えて、日付が変わる前に就寝した。

船旅の魅力は移動のそれ自体が大きな楽しみ Photo: Takeshi OGAWA
大部屋で歓談しながら移動する Photo: Takeshi OGAWA

 3月16日(土)。いよいよ鹿児島へ上陸を迎える。ゆったりと大浴場で目を覚まし、朝食バイキングを堪能。この時間のゆとりが日常の疲れを癒し、仲間との交流を深めたり旅情を感じ取ったりできる。これは、飛行機旅や車旅にはない船旅の良さ。大阪・南港を夕刻に出港すれば、気づいたら朝には鹿児島へ。まるで「ドラえもんのどこでもドアのよう」(山崎店長)だ。

鹿屋体育大学自転車部の選手がライドをサポート Photo: Takeshi OGAWA

 「さんふらわあ号」は定刻通り8時50分に志布志港に到着した。陽光を浴びて、下船すると気分は南国。志布志港に出迎えてくれたのは、シエルブルー鹿屋の原田裕成選手(25)と鹿屋体育大学の現役競技者の学生のお二人。そして、今回のモニターライドを主宰してくださっている、地域活性化の為の集まり「おおすみ観光未来会議」の皆様だ。

コースの説明を受けていざ出発! Photo: Takeshi OGAWA

 皆でライドへの期待を膨らませ、本日のコース説明を受けて、いざ出発!! 志布志港を出発した後、大隅半島を西に横切り鹿屋市へと至る。鹿児島湾沿いを走った後は再び半島の内陸を東に向かい、志布志港へと至る半島横断の約100kmのコースだ。

 読めない風がどのようにライドを彩ってくれるのか。期待と不安(?)を胸に、一行は進んでいく。

大隅半島を横断する約100kmのコース Photo: Takeshi OGAWA

 「どこでもドア」のように移動しただけあって、景観と気候の違いをダイナミックに感じる。早くも薄着になるメンバーもいて、夏用ウェアでも何とか走れそうな温暖な気候。「おおらか・おおすみ」、景観を一言で言い表すとこんな風だろうか。淡い緑が大きく広がり、遠くになだらかな山が見える。見慣れた関西各地の風景とはまた違った「異国情緒」。まだ序盤でありペースもまったり。気持ちに余裕をもたらしてくれる。

 平坦基調で進んでいくと茶畑が目立つようになる。鹿児島というと焼酎やお肉を思い浮かべてしまい、今日のランチもステーキなのだけれど、「鹿児島はお茶の生産量が静岡の次に多いんです」とは先導の原田選手の解説。お茶好きの自分としては「お茶ライド」をしてみたいなという夢も広がる(笑)。

グルメ、フォトスポットが満載

 そして、特筆すべきは道を行く車のほとんどが、申し訳ないほど大きくよけてくださること。安心して走ることができるので会話も弾む。温かい土地柄だ。そして、シエルブルー鹿屋、鹿屋体育大学の皆様が地元で築き上げてきた信頼の一端が垣間見える。いわゆる「激坂」も豊富にあるとのことだが、今日は抜けるような気持ちのいい平坦路を快走!! チームタイムトライアルに向けた集団走行の練習にも利用されるという道を気持ちよく走っていく。

「焼肉工房 陣力」でランチ Photo: Takeshi OGAWA

 大まかな脚力差によって3つのグループに分かれた一行は、正午には「焼肉工房 陣力」に到着。地元鹿児島黒毛和牛や黒豚の焼肉、ステーキを味わえるとあって、心が躍る。その場で焼きながらの焼肉、鉄板に乗せられて運ばれてくるステーキなど、様々な味わい方ができて会話も弾む。柔らかな食感と、体に染みわたるような味は、この土地の食の豊かさを感じるに充分!! コーヒーやケーキのデザートまであり、最後までリラックスした時間を過ごすことができた。

立ち寄りスポットで地元のグルメを堪能 Photo: Takeshi OGAWA

 食後はゆっくりと走り出す。途中、地元のサツマイモを使った本格派のお店「おいもDEカフェ」に立ち寄り、名物(?)お母さんの歓迎を受けながら写真を撮ったり補給をする。乾燥させたパリパリお芋は2度目のデザートにぴったりで、思わず笑みがこぼれる。
 
 大隅半島を縦断していよいよ鹿児島湾へ。太陽の光を浴びて輝く海に向かっての気持ちのよい下りが続く。海の香りと優しい陽光に癒されつつ車輪が連なっていく。南国を思わせる海は別名「錦江湾」といい、かつてハワイの真珠湾に似た地形であるという事で海軍の演習が行われた歴史の舞台でもある。

 海岸沿いを気持ちの良いペースで集団走行すると、荒平天神(正式名称:菅原神社)の鳥居が見えてくる。祭られているのは菅原道真公。学問の神様だ。海にちょこんと突き出たかわいらしい岬にあり、入口の赤い鳥居は白く美しい砂浜と見事なコントラストを映し出している。フォトジェニックポイントは見逃せず、弾丸の行程と何とか折り合いを付けさせていただき(笑)皆で自転車と一緒に参拝。

束の間の旅情にひたり、海に別れを告げて東へ、再び内陸に向かった。途中の上りでは、遠く桜島の雄姿を拝むことができて感激。桜島が舞台のロードレースも開催されているとのことで、走り終わった後は灰で選手の顔が黒ずんでしまい、その風貌はまるで「パリ~ルーベ」の後のようだとのこと。

見晴らしの良い海岸線沿いの道を進む Photo: Takeshi OGAWA

 ここからの区間は序盤とは打って変わって爽快の一言に尽きるハイペース走行。追い風の助けもあってプロの練習のような速度域だが、苦しんでもがくわけでもなく、そのスピードを安全に楽しめた。こういう走りができる場所というのは多いようで少ない。山崎店長は「道そのものが観光資源になる」とおっしゃったが、サイクリスト目線で見るとよい道のある所に、魅力的なグルメがあればもう最高である。

午後のおやつは「おっぱいまんじゅう」 Photo: Takeshi OGAWA

 ということで、お楽しみの午後のおやつポイントは老舗スイーツ店の「東京屋」さん。名物の「おっぱいまんじゅう」は、最初なかなか発音するのに勇気を必要として、注文がお見合い状態になってしまったのがなんだかほほえましいけれど(笑)シルベストサイクル藤岡徹也さんがさわやかに先陣を切り、後は皆が続く。食感とお味は…実に柔らで美味であるとだけお伝えして、実際に現地を走って味わっていただければと思う(笑)。

 しばし談笑してリラックスタイムだが、弾丸のため帰りの船の時間が気になる頃だ。存分に味わった後は、締めの平坦路。シルベストサイクル渕上記理子さんが最後に少しトレーニング的な要素を取り入れてもらえるよう原田選手にお願い。渕上さんは全日本選手権タイムトライアルで表彰台に上がった実力者である。(ちなみに原田選手も昨年の全日本選手権4000mの個人追い抜きのシルバーメダリストなんです)

 最後の訪問地の山下商店(お土産の鹿児島焼酎の購入)までは少し強度を上げてハイペース走行。「自転車気持ちいいな~」と連発しながら土地の空気を体に染み込ませる。

「鹿屋シエルブルー」の原田裕成選手 Photo: Takeshi OGAWA

 そして、志布志港に向けた最後の締めは原田選手の先導による「脚自慢」たちの掛け合い。残念ながら自らはちぎれて追いかける展開になってしまったが(苦笑)安全に注意しつつもプロのトレーニングの一端を垣間見れたのではないだろうか。

 志布志市から鹿屋市、肝付町、東串良町から大崎町を経た今日の旅。いよいよ志布志港が見えてきた。達成感と寂しさ。また来たいな。早くもそんな気持ちが芽生えてくる。今日の走行距離は約100km。サイクルコンピューターの数字が300mほど足りないと言って港の周辺をわざわざ走りぴったり3ケタに乗せた人も(笑)。

グランフォンド開催を提案

 今日お世話になった選手の皆様に感謝の気持ちを皆で伝え、今後の目標もお聞きする。原田選手はトラック競技をメインにしつつロードレース全日本選手権の個人タイムトライアルにも出場予定とのこと。また、観戦や応援の楽しみが増えた。鹿屋体育大学の学生のお二人も、翌日に「九州チャレンジサイクルロードレース」を控えるなかアテンドをしていただき、参加者の皆が感謝し、競技への姿勢に刺激を受けていた。

 記念撮影や今日のライドを振り返ってのお話し、そして選手の皆様にサインをもらったりしていると、乗船の時間となった。並んで手を振ってくれる選手の皆様の姿に名残惜しさを感じながら再び「さんふらわあ号」へ。シエルブルー鹿屋の高宮さんは何と大阪まで同行してくださる。船内では浴場で今日の心地よい疲労を癒し、バイキングの食事で盛り上がった後は部屋で「関西サイクリストモニターツアー」を振り返ってのアンケートと意見交換会が行われた。

 アトラクションで盛り上がった往路とは一転、皆が真剣に紙と向き合って少しでもフィードバックしようと臨んでいる。全体として大隅半島の魅力を皆が感じ取っていて「次は九州本島最南端の佐多岬まで走ってみたい」と語る人も。一泊すれば桜島へも足を延ばせそうだ。

船内で食事を楽しんだ一行 Photo: Takeshi OGAWA

 私はイタリアで盛んなグランフォンド(レース強度で走りつつもグルメや地元との交流も楽しめるレースとファンライドの折衷のような大会)を大隅半島でできないかと提案。今日の平坦メインの100kmを基本として、山岳を組み込んだ150km程度のロングコースを作りシエルブルー鹿屋や鹿屋体育大学の選手が先頭で胸(脚?)を貸す…。自転車の聖地と言われるイタリアの存在感あるイベントを、自転車の聖地を目指す大隅半島で開催できれば、と夢が膨らむ。

 高宮さんは「コースが複数の自治体間をまたがることもあり、道路使用許可などの面で簡単ではないが、面白いと思う。今回のようなイベントで例えば原田(裕成選手)と走った方がきっかけとなって応援してくれるようになるかもしれない。そうして自転車競技の認知度を高めていければ」と話す。確かに、今までの経験でも1度でもお会いした選手の動向はネットニュースなどで追いかけているし、反応も違うのだ。

名残惜しさを感じながら再びさんふらわあ号に乗船 Photo: Takeshi OGAWA

 その後は最後の船旅を楽しむ。同じ自転車乗りの集まり。話はいつまでも尽きないが、いつの間にか寝落ちしてしまった。明日はライドがないので元気な皆さまは日付が変わっても楽しんだとのこと。ライドが終わってもすぐにさよならにはならないのが船旅の魅力だ。

 そして翌日。3月17日(日)の朝を迎える。一行は大阪・南港フェリーターミナルに無事到着。振り返ってみればあっという間の3日間。夢のような時間を過ごすことができた。「また行きたいなあ」、「秋にでも行こうか!」。そんな声があちこちから聞こえる。参加者の誰もが充実感を漂わせ大隅半島の魅力を存分に味わえたようだ。

 今回のライドでは関係者や地元の皆様のサイクリングへの情熱を十二分に感じ取ることができた。心より感謝申し上げたいと思います。そして、また、行きますね!!

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