sfiDARE CRIT Osaka stageリポート大成功のトラックバイククリテ大阪ステージ 現役競輪選手・児玉利文さんが振り返る舞台裏

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 「自転車の運動会」と「自転車の文化祭」をミックスして行われる自転車イベント「アーバンバイクロア 大阪」が、3月30、31日に大阪の中心地「うめきた2期工事区域」の周回コースで開催された。中でも注目を浴びたのは、固定ギヤのトラックバイクで行われたクリテリウム「sfiDARE CRIT」(スフィダーレ・クリット)。主催者で現役競輪選手の児玉利文さん自身のリポートで熱い2日間と舞台裏を振り返ってもらいます。

←<4月1日掲載>大都会のど真ん中で「アーバンバイクロア 大阪」開催

女子優勝の児玉和代(sfiDARE CRIT JAPAN) Photo: Kenji MUTO

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大都会で初開催の固定ギアクリテ

 3月30日、31日とアーバンバイクロア大阪の会場で行った、「sfiDARE CRIT大阪ステージ#4」はノーブレーキ、固定ギヤの自転車で行うレースで、日本での開催できているのは我々のみです。日本のフィクスドギヤクリテリウムとしては初の大都会での開催となり、このような機会を与えてくださったバイクロアに感謝です。

このロケーションに、すごい数のオーディエンス Photo: Kenji MUTO
抜群の動きをしてくれたsfiDARE CRITスタッフ Photo: Kenji MUTO

 今回は男女70人の事前エントリーが、わずか1分で終わるほどのプレミアチケットになり、また韓国勢の大量エントリーなど、国内外からの注目度の高さを感じました。

 金曜日からスタッフとともに会場入りした我々は、会場の狭さにびっくりしてしまいました。しかし様々な制約がある中、コースをイメージして、試走を繰り返し、コーンを置きなおしたり、数十回試行錯誤してコースが出来上がりました。フィクスドギヤはコーナーのライン取りが特殊で、コース作りがとても難しく、いかに安全かつライダーの激しい攻防をオーディエンスに見せることができるのかが最大の肝なんです。

制約と戦いながらのコース設置

 制約との一進一退のせめぎあいの中、30年間のフィクスドギヤ経験をフルに発揮して完成したのが、ヘアピンカーブが3個と高速コーナー含む一周200mで、1周わずか35秒のコース。最初は「これで良いのか?」と自問自答しましたが、仲の良い韓国のライダーにテスト走行してもらったところ、「とてもリズムよく走れ、コーナーのラインがスムーズだ」と感想をもらえたので、自信をもって翌日の予選に向かいました。

 30日は男子の予選、10周回を9人のライダーで行い、2人が翌日の決勝、3位と4位がエキシビションレースに進みます。当日は雨のバッドコンディションでしたが、どのライダーも入念に試走を重ね、コーナーの進入スピードやラインどりなどを確認していました。

土曜日のレースは雨。コーナーを走る児玉利文 Photo: Kenji MUTO

転がり抵抗よりグリップ重視

 雨でグリップが極端に悪くなっている様子もなく一安心、私はタイヤの空気圧はコンチネンタル・コンペティションチューブラーを6気圧で走りました。フィクスドギヤは、ペダルの回転を止めることができないため、タイヤのグリップ命ですから、転がり抵抗よりもグリップですね。普通のロードバイクとは異なります。

 予選の前の試走時から、雨にもかかわらずオーディエンスが鈴なりで、観戦ができないほど!? シクロクロスのフライオーバーに登って観戦している方も出るほどでした。このレースに対する注目度の高さを感じました。試走時からこの調子ですから、予選1組目から盛り上がりはすごく、sfiDARE CRIT名物MC、YKO氏がオーディエンスをあおるから、なおさらたちが悪かったです(笑)。レーサーも少し高揚気味なのか、激熱のレースが展開されました。

ウイリーをキメる、男子優勝の貞末優和(Team Cinelli Japan BSBC) Photo: Kenji MUTO

 コースがテクニカルな為、ストリートで慣らした、貞末優和(Team Cinelli Japan BSBC)の速いこと! 韓国のライダーもトリック系のライダーが多いのか、すさまじくバイクを倒していくコーナーリングに会場は大興奮でした。

 順当にライダーが勝ち上がり、翌日の決勝を迎えます。31日、午後3時より予選3位、4位のライダーによるエキシビションレース。予選落ちとは言え、ハイレベルなレース展開、各ライダーともバチバチの接近戦で、トップを目指すレースは何も変わらない。韓国のライダーが、ハイレベルなテクニックを見せつけ、先頭でゴールを駆け抜けました。

女子優勝は実力者・児玉和代

 女子決勝は、スタート直後から降り出した雨で、少しウェットになりましたが、問題なく周回を重ねました。先頭で逃げ続けるのは、昨年King of trackで優勝し、RED HOOK CRIT ファイナルの経験がある児玉和代(sfiDARE CRIT JAPAN)抜群のコーナーリングテクニックを見せつけ優勝、全員が事故なくゴールしました。

 ゴール後の選手たちは、会場の雰囲気の凄さを興奮気味に話してくれていました。今回のこのレースに参加してくれたのは4人、まだまだ少ないので、このおしゃれでかっこいいレースに若いライダーの参加を期待したいですね。

女子の表彰式 1位児玉和代、2位TAMA、3位原田 悦子 Photo: Kenji MUTO

男子優勝はストリート出身・貞末優和

 そして男子決勝。会場のボルテージがパンパンの状態で、1人ずつ紹介されて1周のフォーメーションラップに入っていく。この時もウイリー、ドリフト、オーディエンスとのハイタッチと各ライダーが盛り上げ、MCがあおるもんだから、会場はますますヒートアップ!?

 妙なテンションでスタートを迎えますが、スタートスタッフの中村君のカウント10秒前からは、一瞬で会場は静まる。決勝は13人なのでスタートは大切、というかスタートで決まるといっても過言ではないので、全選手緊張が高まりスタート! ホールショットを決めたのは韓国のSungjae Yoon、貞末、児玉と続くが、最初のヘアピンで先頭のSungjaeが落車。貞末が先頭で、ファーストラップ賞をGET、児玉は2番手で続くが、コーナーで離され気味、3番手に上がってきた田口純也(662CCC)は前に出たそうだ。

安定したコーナリングの田口純也 Photo: Kenji MUTO

 そのまま貞末は逃げ続けるが、韓国のTAE HWAN MOONが猛プッシュ! ファーストヘアピンはドリフト気味で入っていくから、アウト側の観客は大興奮だったのでは? 貞末はそのまま逃げて10周目の中間ラップ賞もGET、TAE HEAN MOONは疲れが見えてきたか、少々離され気味だった。

 この辺りで、私は周回遅れで降ろされたので、コースの内側から見ていましたが、貞末選手は全然余裕な走りで時折笑顔を見せるほど! コーナーリングが安定しているから見ている方も安心してみていられる。

 そしてそのままゴール! 周回賞も全て獲った完全V。素晴らしい。ゴール後はウイニングランをしたり、一緒に走った選手たちと健闘を称えあったりする姿が印象的でした。私が注目したいのは、ダートジャンパーだとお聞きした、田口選手でした。トラックバイクの経験は少ない様子ですが、ほとんどのライダーが降ろされた中で、フルラップ完走! 安定したコーナーリングテクニックはダートジャンプにヒントがあるのか? 実に興味深いですね。今度聞いてみよう。

男子の表彰式 1位貞末優和、2位 TAE HWAN MOON、3位 Sungjae Yoon Photo: Kenji MUTO

 このレースは選手、観客とも大盛り上がりだったと思います。それは、見えやすく、わかりやすかったのが良かったのではないかと思います。どこにいても、まるまる一周が見渡せて、わずか数十秒で選手が目の前にやってくる。そして激しい攻防戦!!! レース展開も全員がトップを狙っていることが単純明快。これが観客にも好評だったのではないでしょうか? 自転車レースのヒントはここにあるかも!?

 次回は?まだ秘密!

児玉利文
児玉利文(こだま・としふみ)

1974年12月19日に生まれ。8歳からBMX、BTRに興味を持ち乗り始め、12歳から、地元のロードレースチーム「大垣レーシング」に所属し草レースに参加。名門岐南工業高校自転車競技部に入部、平成4年宮崎インターハイにて3km個人追い抜きを高校記録で優勝。初めて日本代表に選ばれてジュニア世界選手権に出場。1995年競輪選手としてデビュー、競輪選手として走る傍ら自転車競技にも参加し幾度もナショナルチームに選出され平成11年アジア選手権、団体追い抜きを日本記録で優勝。2013年2015年全日本プロ選手権 チームパーシュート優勝。競技者としての経験と、幼少の頃からの知識を生かし2011年に104サイクルをオープン。2017年、2018年にニューヨークで行われるRED HOOK CRIT BROOKLYNと韓国のKing of Track(フィクスドギヤクリテリウム)に競輪選手として初参戦。

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