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山下晃和の「“キャンプ”ツーリングの達人」<4>快適も軽さも妥協しない キャンプツーリングを変えるウルトラライトな“三種の寝具”

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 前回はキャンプツーリング向けの自転車本体について紹介しました。どのような自転車でもキャンプに行くことはできますが、長く自転車とキャンプを楽しめる耐久性を考えるとツーリングバイクがオススメです。ただ、持っていく道具を工夫すれば、ロードバイクやクロスカントリー(XC)のマウンテンバイク(MTB)などでもできないわけではありません。今回は、その肝となる道具の「軽量化」についてご紹介します。

アメリカのラスベガスにてキャンプ。テントは「プロモンテ」のVL14。現行品はVL16というモデルで水色にカラーチェンジして、重量もわずか1.4kgまで軽量化されている Photo: Akikazu YAMASHITA

テントは軽さも耐久性も格段に進化

 キャンプツーリングは自転車で走る前の段階、道具の選定をするところから楽しみがあります。宿泊日数が多ければ多いほど、それなりに衣食住の全てを自転車で運ばなくてはならないため、快適性を保ちつつ軽量化を図る工夫が求められてきます。

アメリカのフロリダ半島縦断ツーリングでの一コマ。洗濯ものを乾かしているところ。こちらも同じプロモンテ Photo: Akikazu YAMASHITA

 衣食住の「住」の部分は、私は三種の神器ならぬ「三種の寝具」と呼ぶことにしています。それはテント、スリーピングバッグ(寝袋)、マットレスのことです。これらのアイテムはある程度、お金をかけてしっかりとした物を買わないと、前回書いたように寒さや冷えに繋がり、危険です。縦走登山ほど過酷な環境ではないため、それが原因で死に至るというものではありませんが、キャンプが楽しくなくなってしまう原因となります。

 まずは、これらの軽量化を考えます。ここ最近の登山用の山岳テント(1人用)の重量は、だいたい1kg前半。10年前は2kgでも軽量といわれていたテント類が、耐久性が格段に上がった強靭なナイロン素材を備えているにもかかわらず、軽く、進化しています。また、防水性能もアップしていて、シームの技術(縫い目や継ぎ目の部分)も上がり、今までよりも長く使うことができるようになりました。

イベント「BIKE&CAMP」に参加されたシルベストサイクルさんのキャンプサイト。カラフルでとてもきれいです Photo: Akikazu YAMASHITA
こちらはキャンプツーリングの撮影で撮ってもらった一枚。「マウンテンハードウェア」のUL1テント。重さ751gと超軽量 Photo: Akikazu YAMASHITA
いわゆる「バイクパッキングスタイル」でツーリングしたときの野宿風景 Photo: Akikazu YAMASHITA

 テントは大まかに「自立式」と「非自立式」がありますが、自転車キャンプの場合は自立式のほうが設営も簡単です。北海道や海外などでは、東屋や小屋の横などにテントが張れるところもあるのですが、アスファルトや木の地面には「ペグ」というアンカーが打てません。そういったときに自立式だと地面を選びません。

名古屋のバイクショップ「Circles」が主催する「RIDEALIVE」のキャンプ泊。各々のスタイルを見るのも非常に楽しい Photo: Akikazu YAMASHITA

 さらに軽量化するのであれば、夏季限定ではありますが、登山用の緊急用フロアレスシェルターの「ツェルト」もバイクパッキングのツーリングでは使われることも多いです。こちらは床がない分、1kg未満の物も多いです。

軽さ&保温力ならにダウンに軍配

 寒さを経験し、キャンプが嫌いになってしまった人も少なくない、ということを前回書きましたが、その問題はスリーピングバッグ(寝袋)の選定で解消されることがほとんどです。ちなみに寝袋は「シュラフ」と呼ぶこともありますが、これはドイツ語からきた呼び名で、ここではテントやマットレスが英語なので、合わせて英語にする方が分かりやすいと思ったのと、海外自転車旅では「スリーピングバッグ」の方が圧倒的に通じるのでこう書きます。

テントの中でスリーピングバッグに入った状態で足元を撮影。これはモンベルの「U.L.ダウンハガー#4」。かれこれ15年くらい使っていますが全く保温性が落ちない Photo: Akikazu YAMASHITA

 スリーピングバッグには、羽毛(ダウン)タイプと化繊タイプがあり、それぞれに一長一短があります。化繊タイプは値段が羽毛と比べて安いのですが、羽毛に比べると収納時にかさばります。つまり重たくなります。ただ、化繊の物は水濡れに強く、多少結露で水分を含んでも保温性を失いません。

 一方、羽毛タイプは軽くて保温力も高いのですが一度濡れるとぺちゃんこになり、保温性を失います。それぞれの特長を考えて、積載できる容量、すなわち自転車の種類で選ぶといいと思います。従来のパニアツーリングの場合は大きなバッグを付けられるのでどちらでも構いませんが、バイクパッキングなどのUL(ウルトラライト)な物しか積載できない場合は羽毛の方が良いと思います。

携行性にも優れるインフレータブルマット

 最後のマットレスは、春夏のパニアツーリングであれば、見た目はあまり良くないのですが「銀ロールマット」と呼ばれる安価な物でもかまいません。ただ、寒い時期にもツーリングする場合には、「EVA樹脂」素材の物か、インフレータブル(空気を入れて膨らませるタイプ)の物がオススメです。

「クライミット」のマットレスはスリーピングバッグの中に入れるタイプ。穴が開いているのでロフトを潰さずに保温性を保つ。スリーピングバッグは「ファイントラック」の化繊ポリゴンネスト Photo: Akikazu YAMASHITA

 この中ではインフレータブルの物が最も軽量で場所を取らないのと、保温性もあるので個人的に好みです。山岳用の物であれば500g前後。また、半身だけのタイプもあります。頭の部分には洋服などを入れた防水バッグを枕として置けば、全身サイズのマットである必要もありません。これも好みによります。

 インフレータブルとっても、ファミリーキャンプで見るようなポンプで空気を入れる分厚いエアータイプの物は、自転車に積載するには少々無理が生じるので、よっぽど大きなカーゴバイクや牽引できるキャリーなどがある場合を除いてオススメしていません。ちなみに、銀ロールマットやEVA素材の物は折りたたんだり、丸めて使うのでロードバイクへの積載は厳しいと思います。MTBやツーリングバイクであればOKです。

実店舗やイベントで機能を確かめて

 自分が冷えに強いのか、身体が大きいのか、自転車の種類(ロード、MTB、ツーリングなど)、旅のスタイル(パニアツーリングなのかバイクパッキングツーリングなのか)、宿泊日数、季節や気候などを考えながら最適なものを選んでみてください。そういった悩みはインターネットではなかなか得難い情報もあるので、山岳登山用のギアを扱っているアウトドアショップに行って相談してみるのが手っ取り早い方法です。

 ロードバイクでキャンプツーリングをしたい方は焚き火台などは積まず、最大でもコンパクトな調理器具に押さえるか、「三種の寝具」を超軽量化(3kg以下に抑える)したり、三種の寝具をシンプルにハンモック一つにしてしまう(夏季限定ですが)ことで可能になります。また、ツーリングバイクやMTBに乗る友人と一緒に行って、道具をシェアして、持ってもらうことも一つの選択肢です。

ネパールのジョムソン街道で出会った、バイクパッキングスタイルのアメリカ人サイクリストと情報交換しているところ Photo: Akikazu YAMASHITA

 また、この記事を書いている間にもアウトドアギアは進化しているので、今後もより軽量なアイテムが登場すると思います。そういった新アイテムは、直近だと4月6日(土)、7日(日)に開催される「TOAD」(トレイルオープンエアデモ)というトレイルランニングのイベントだったり、「OMM」(オリジナルマウンテンマラソン)や「OMMバイク」などの山岳レースで使われていたり、三重県いなべ市で開催している自転車とキャンプの旅イベント「BIKE&CAMP」などで出展していたりするメーカーにアンテナを張っておくと良いと思います。

三重県のいなべ市の青川峡キャンピングパークで開催される「BIKE&CAMP」。昨年は50張りのテントとハンモックが展示され、約50のキャンプツーリストのテントが並んだ。圧巻の旅フェスです Photo: Akikazu YAMASHITA

 次回は、キャンプ道具を積載する「バッグ」にフォーカスしたいと思います。

<つづく>

山下晃和山下晃和(やました・あきかず)

タイクーンモデルエージェンシー所属。雑誌、広告、WEB、CMなどのモデルをメインに、トラベルライターとしても活動する。「GARVY」(実業之日本社)などで連載ページを持つ。日本アドベンチャーサイクリストクラブ(JACC)評議員でもあり、東南アジア8カ国、中南米11カ国を自転車で駆けた旅サイクリスト。その旅日記をもとにした著書『自転車ロングツーリング入門』(実業之日本社)がある。趣味は、登山、オートバイ、インドカレーの食べ歩き。ウェブサイトはwww.akikazoo.net

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