ヘント~ウェヴェルヘム2019クリストフがヘント~ウェヴェルヘム初優勝、スプリント先行で制す 逃げたサガンは最後埋没

by 平井久美子 / Kumiko HIRAI
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 ベルギーで3月31日、“北のクラシック”のUCIワールドツアー「ヘント~ウェヴェルヘム」が開催され、アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAE・チームエミレーツ)が先頭集団のスプリントを制して、同大会初勝利を飾った。2連覇を狙ったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)は、序盤から前方でレースを展開したものの32位に沈んだ。

世界屈指のスプリンター、クリストフが勝利 Photo: Yuzuru SUNADA

サガンら有力選手の逃げが形成

 今年の「ヘント~ウェヴェルヘム」は、251.5kmの道のり。ベルギーをスタート後、約130km地点でフランスに突入。約30km走行した後に再びベルギーに入る。序盤は平坦基調だが、レースを折り返すあたりからアップダウンの連続。10カ所の上りと3カ所の未舗装区間がコース後半に詰め込まれている。

 ただ、上り区間がスプリンターでも耐えらえるもの。過去3年の優勝者は、2016、18年はペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)、2017年がグレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー、現CCCチーム)と、スプリント力の高い選手が勝利している。

 前半はゆったりとしたレース展開が予想されが、そうはいかなかった。横風による集団分断が発生し、波乱の幕開けとなる。

横風を警戒し、前でレースを展開するサガン Photo: Yuzuru SUNADA

 18人の逃げが出来上がったのはスタート後しばらくしてから。このグループには、横風による遅れを嫌ったレース巧者のサガンやジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)、エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)ワウト・ヴァンアールト(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)、マテュー・ファンデルポール(オランダ、コレドンド・シルキュス)、フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAE・チームエミレーツ)といった面々も含まれていた。

 分裂と吸収を繰り返す集団。レースは折り返しにさしかかっても落ち着くことはなかった。その状況で突入した残り約114kmの最初の上りで、クリストファー・ユールイェンセン(デンマーク、ミッチェルトン・スコット)が抜け出す。追走には、サガンやガビリア、ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード)、ルーク・ロウ(イギリス、チーム スカイ)らを含む13人、さらに1分ほどの差で50人近いメイン集団と続いていた。その後も激しい展開が続くレース。スタートから2時間の平均時速は52.7kmとハイペースだった。

優勝候補ながら20位に終わったグレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー、CCCチーム) Photo: Yuzuru SUNADA
ワンデーレースに強いドゥクーニンク・クイックステップの最高位は、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)の19位 Photo: Yuzuru SUNADA

 決定的な逃げが決まらないまま迎えた残り約161km、6つ目の上りを前にサガンやロウ、デゲンコルプ、ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)、マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)といった優勝候補たちが多く含まれた12人の逃げが完成する。一方、後ろはユンボ・ヴィスマがタイム差1分半ほどでコントロールしていた。ただ、この時点で脱落した選手も多数いる状況。優勝は先頭とすぐ後ろの集団、約50人に絞られたと言っても過言ではない状況だった。

逃げ切りを狙ったサガン

 残り68km、未舗装路を前にサガンが小集団を作って抜け出した。メンバーはサガンのほか、マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)、マイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)、ジャスパー・ストゥイヴェン、(ベルギー、トレック・セガフレード)の4人。

4人の選手が抜け出す Photo: Yuzuru SUNADA

 残り50km地点では46秒差、安心できるタイム差ではないものの4人は順調にレースを展開する。その後、後ろの集団にいたロウが抜け出して前にジョイン。5人の逃げとなる。

 残り32km、この日2回目のケンメルベルグを通過する頃に、後ろの集団にも動きがでる。ゼネク・スティバル(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)がアタック。これをきっかけに、追走集団が45秒前にいる5人を追う。残り25kmでは30秒強、残り20kmでは9秒までその差を縮めた。

終盤まで先頭でレースを展開するサガン Photo: Yuzuru SUNADA

 吸収までは時間の問題というところで、先頭からロウがアタック。同時に残りの4人は集団に吸収される。残り約18km。ここまでの激しい展開で、集団の選手は約30人にまで絞り込まれ集団スプリントが濃厚という状況になっていた。

 その集団の中からまず動いたのは、ニキ・テルプストラ(オランダ、ディレクトエネルジー)。その動きに反応したのは、複数枚のユンボ・ヴィスマ。積極的な引きで前を追う。

 依然としてアタック合戦が続く中、残り13kmではジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)とヤシャ・ズッタリン(ドイツ、モビスター チーム)がアタック、さらにセバスティアン・ラングフェルド(オランダ、EFエデュケーションファースト)も反応する。さらに、6kmではストゥイヴェン、ラングフェルド、ジャック・バウアー(ニュージーランド、ミッチェルトン・スコット)、アムントグレンダール・ヤンセン(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ)が抜け出す。ただ、後ろとのタイム差は5秒程。もちろん逃げ切りは厳しく、やはり勝負は集団スプリントに持ち込まれる。

アシストなしでの勝利。名スプリンターにふさわしいスプリントで勝利した Photo: Yuzuru SUNADA

 まず、仕掛けたのは人数を揃えていたユンボ・ヴィスマ。ファンポッペルを発射させる。ユンボ・ヴィスマ以外にアシストを揃えているチームはない状況、他の選手は単騎でスプリントを開始する。クリストフ、デゲンコルプ、オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール ラモンディアール)も勝負に出た。その中で勝利したのは、クリストフ。ガッツポーズをする程の差をつけてゴールラインを通過した。

 これまでツール・ド・フランス区間3勝、ミラノ〜サンレモ(2014年)、ロンド・ファン・フラーンデレン(2015年)など、数々のレースで勝利をあげてきたクリストフだが、ヘント~ウェヴェルヘムの優勝は初めて。栄光の歴史にまた新たな1ページを書き加えた。

ヘント〜ウェヴェルヘム2019
1 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAE・チームエミレーツ) 5時間26分8秒
2 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード) +0秒
3 オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール ラモンディアール)
4 マチュー・ファンデルプール(オランダ、コレンドン・サーカス)
5 ダニー・ファンポッペル(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
6 アドリアン・プティ(フランス、ディレクトエネルジー)
7 マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)
8 リュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
9 マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)
10 イェンス・デブシェール(ベルギー、カチューシャ・アルペシン)

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