皆が1秒を取りたい展開ツール・ド・台湾に挑んだ日本ナショナルチーム エースの一人、小石祐馬によるインサイドリポート

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 UCI(国際自転車競技連合)アジアツアー2.1クラス、ツール・ド・台湾が3月17日から21日に渡って開催され、日本ナショナルチームの5選手が挑戦した。チームは最終日までにアジアンリーダージャージ獲得のほか、個人総合や区間順位でも上位に入り活躍。エースの一人として奮闘した小石祐馬のインサイドリポートをお届けする。

ツール・ド・台湾に日本ナショナルチームのエースの1人として挑んだ小石祐馬 Photo: Sonoko TANAKA

◇         ◇

UCIポイントの獲得へ

 ナショナルチームにてツールド台湾(2.1)に参戦してきました。昨年から続き、3回目の出場です。代表に選ばれたチームメートは、宇都宮ブリッツェン増田成幸選手、チーム ブリヂストンサイクリングの窪木一茂選手、シマノレーシングに所属する入部正太朗選手、愛三工業レーシングの大前翔選手と僕の5人。U23(23歳未満)の頃からお世話になっている浅田顕監督の指揮のもと、5日間のステージレースに挑みました。

日本ナショナルチームに臨んだ5人のメンバー Photo: Sonoko TANAKA

 今回の目標はUCIポイントの獲得です。世界選手権などの大舞台で、日本選手の枠を増やすうえでも大変重要な指標となります。浅田監督から言い渡されたオーダーは、僕と増田選手のダブル総合エース。個人総合成績で3位に入るという目標もありました。ツールド台湾は第2、3、4ステージがタイム差がつきやすくキーポイントとなるステージなので、そこでタイム差無しの先頭集団内でゴールするのはマストでした。

 第1ステージは、台北市内の平坦サーキットレース。距離も88kmと短く集団スプリントにて終えることが多いレース。ごくごく稀に10人以上の選手が逃げ切るような展開もあるので要注意でした、今年は特に危なげなくスプリントとなったので自分はタイム差無しの集団でゴール。翌日からは優勝チームのマンサナ・ポストボンが集団コントロールへと動きます。

 そして自分や増田選手にとって勝負が始まる第2ステージ。ここから山岳がコースに組み込まれてくるので、スピードが上がった集団内は、中切れによって分裂しやすく、注意が必要です。この日はチームメートの入部選手が逃げに入ってくれたので、日本ナショナルチームは安心してリーダーチームのマンサナ・ポストボンに集団コントロールを任せます。

エースの1人、増田成幸 Photo: Sonoko TANAKA

 最後の1級山岳、周りの様子はとてもフレッシュで、数人で逃げ切りも十分にあり得ます。注意して上り口から集団前方に位置して上り始めました。調子も良かったので余裕で上れていることも確認できました。しかし、まだ2日目なので、力を出しすぎないように気をつけることもステージレースにとっては重要です。そんな中、増田選手が上りの途中でできた5人で抜け出すことに成功。僕はチェック(後続からの先頭を追う選手の抑え)をしつつ、自らも先頭の少集団に追いつき、日本チームとして2人送り込む展開を狙いましたが、最終的に集団は1つ。結果的には30人程度でのスプリントとなり、その真ん中でフィニッシュしました。

望まぬ“ユルい”展開に

 第3ステージは最も警戒すべきレースだと予想していました。同コースで開催された前年は荒れた展開になり、10人位に絞られたからです。この日のチームの作戦は僕と増田選手がレース中盤の1級山岳で必ず先頭で入ることでした。いざ上りに入るとアタックする動きはあれどペースが安定しており、思ったほどスピードは上がりません。集団が割れることもなく、そのまま80人の一団でゴールになだれ込む形となりました。僕らエース陣は上りでも余裕があったため、速度が上がり振るいにかけられる厳しい展開を望んでいたために残念な結果となりました。

 そして、第4ステージ。最終日はステージは平坦のコースプロフィールのため、大きなタイム差は期待できません。実質この日が最後の総合争いでした。レース前のミーティングでは、タイム差を獲得できるよう、チームでレースをハードな展開にすることが作戦として決まりました。このままでは同タイムの大きな集団のまま最後を迎える可能性が高いためです。

タイムを稼ぐべく動く一丸となって走る日本ナショナルチーム Photo: Sonoko TANAKA
ボトル運びでチームをサポートする窪木一茂 Photo: Sonoko TANAKA

 僕は調子が良かったので最後の上りの後半アタックをしかけることに。予定通り上りに入り、少し待って残り20km地点からアタックをしかけるが、コントロールをしていたフロイドプロサイクリングの強力な牽引のもと引き戻される。その後はそのまま30人弱の集団でまたなだれ込む。同タイムの選手が20人近くひしめき合う状態で最終日を迎えることとなりました。

増田選手がアジアンリーダーを獲得

 そして迎えた最終日、200kmの平坦ステージにスプリントポイントが3つ設けられています。1秒を削りたいと考える同タイム総合上位勢による熾烈なボーナスタイム争いが予想されました。特に台湾の選手のフェン・チュンカイ(台湾ナショナルチーム)がアジアンリーダージャージを着用していたので、同タイムの日本人選手には特にマークがとにかく厳しかった。それでもなんとか50km過ぎに抜け出すことに成功。残念ながらフェンと、そのチームメートも連れてくることなってしまったが、とりあえずは抜け出したボーナスタイムを獲得するチャンスをゲット。

山岳コースの厳しい展開でも前線で動いた小石祐馬 Photo: Sonoko TANAKA

 しかし、フェンはぴたりと僕をマーク。抜け出した逃げグループ内で一切前に出てくれません。チームの戦略上仕方のないことなのは理解していますが、さすがにむしゃくしゃする展開に。フェンに真っ向からスプリントを挑んでも敵わない可能性もあり、「それならば」と僕も一切前を引きませんでした。ステージレースでは選手・チーム間で様々な思惑が交錯しており、思うような動きができないシビアな展開がいつも起きています。

 その後、残念ながら先導バイクがコース誘導をミスしてしまい、一旦ストップしてからの再スタート。もとからぎくしゃくしていた逃げのリズムがさらに崩れてしまい、逃げグループは集団へと吸収されました。後半に設けられたスプリントポイントにトライするも、前半消耗していて取れず…。そのまま集団ゴールでレースを終えました。

チャンスを逃さないよう、積極的に動く小石祐馬 Photo: Sonoko TANAKA

 全てのレースが終わり、走りを振り返ってみると、個人的には日本チームとしてさらに厳しい展開を作り、タイム差を稼ぎやすい体制を築くこともできたのではないかと思います。UCIプロコンチネンタルチームのイスラエルサイクリングアカデミーはチームとして日本ナショナルチームと同じ目標を持ち、タイム差を作りづらい現状を崩そうとする走りが見て取れました。

 ただ、監督のオーダーあってのチームです。結果的に最終日、増田選手がボーナスタイムを獲得し、アジアンリーダー賞を獲得という形で終えたことは一つの成績でもあります。僕自身のコンディションはシーズン序盤にしてはとても良く、手ごたえを感じたレースとなりました。翌日、朝6時には荷物を山積みにしたトラックとともにホテルを後にし、台北・高雄空港から帰国しました。

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