ツール・ド・とちぎ2019 第3ステージ11人の先頭集団スプリントを制したUKYOのクレダーが優勝 逆転で個人総合優勝も獲得

by 小森信道 / Nobumichi KOMORI
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 栃木県を舞台にしたUCI(国際自転車競技連合)アジアツアー2.2のステージレース「ツール・ド・とちぎ」は3月24日、最終となる第3ステージで、11人に絞られた先頭集団でのゴールスプリント勝負を制したレイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO)がステージ優勝した。この日の中間スプリントポイントとフィニッシュでのボーナスタイムが加算された結果、クレダーが個人総合時間でも8位からジャンプアップして首位に。名誉ある個人総合優勝のグリーンジャージを獲得した。

11人の小集団ゴールスプリントを制したレイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO)がステージ優勝を飾り、その結果、大逆転で個人総合優勝も達成した Photo: Nobumichi KOMORI

総合争いは秒差のまま最終日へ

 全3ステージ、総走行距離約272kmで争われた今年のツール・ド・とちぎもついに最終ステージ。コースは那須烏山市のJR烏山駅をスタートした後、さくら市、矢板市、塩谷町、日光市、鹿沼市、栃木市、佐野市を通過して、足利市の総合運動公園にフィニッシュする約150km。前半から中盤にかけてアップダウン区間が続き、鹿沼市の峠を越えるとその後は下り基調というプロフィールで、中間スプリントポイントと山岳ポイントがそれぞれ2つ設定され、勝負の分かれ目になるのは最大斜度18%の上りが控える2回目の山岳ポイントと予想された。

スタート地点となるJR烏山駅前にレース関係車輌が集結する Photo: Nobumichi KOMORI
朝から晴天に恵まれた日曜日とあり、スタート地点には多くの地元住民とファンが訪れた Photo: Nobumichi KOMORI
スタート時点での各賞ジャージ着用者。左からポイント賞のマリス・ボグダノヴィッチ(ラトビア、インタープロサイクリングアカデミー)、U23賞ジャージのライアン・シュルト(オランダ、オリヴァーズリアルフード レーシング)、グリーンジャージのオールイスアルベルト・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ)、山岳賞ジャージのアンガス・ライオンズ(オーストラリア、オリヴァーズリアルフード レーシング) Photo: Nobumichi KOMORI

 前日までの結果で個人総合トップに立つのはオールイスアルベルト・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ)。しかし、2位と3位の選手とはわずか1秒、10位の選手でも10秒しかタイム差は開いておらず、中間スプリントやフィニッシュでのボーナスタイムで順位が大きく変わる可能性が高い。アウラールが個人総合首位を守り切るのか、それともライバル選手勢が大逆転を起こすのかに大きな注目が集まる中でレースはスタートした。

大勢の観戦客に見守られながら選手たちがスタートを切る Photo: Nobumichi KOMORI

2つ目の山岳で集団が分解

 JR烏山駅をスタートしたレースは、およそ3kmのパレード走行を終えて正式スタートが切られるとすぐに、激しいアタック合戦が勃発。山本元喜(キナンサイクリングチーム)らが何度もアタックを仕掛けて抜け出しを図ろうとするが、序盤の30km地点に1回目の中間スプリントポイントが設定されているため、危険な逃げを作らせないという思惑が集団内で働いたことで、決定的な逃げができるのは至らない。

1回目のスプリントポイントは鈴木龍(宇都宮ブリッツェン)がトップ通過。レイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO)が2番手で通過し暫定総合5位に浮上 Photo: Nobumichi KOMORI

そんな中、ひとつの集団のままで迎えた最初の中間スプリントポイントは、鈴木龍(宇都宮ブリッツェン)がトップ通過。「岡篤志選手のボーナスタイム獲得のためにチームで連携して動いたが、岡選手がはぐれてしまった」とレース後に本人も語った通り、不本意な形でのボーナスタイム獲得となった。個人総合を争う選手では、クレダーが2番手通過でボーナスタイム2秒を獲得。暫定5位に順位を上げることに成功した。

 1回目の中間スプリントポイントを過ぎた集団は一旦小康状態になるが、一息ついた後は再び激しいアタック合戦に。Jプロツアーやいた片岡ロードレースでも使用される区間に来るとその中から山本、西尾憲人(那須ブラーゼン)、木村圭佑(シマノレーシングチーム)、パク・サンフン(韓国、LXサイクリングチーム)、佐藤健(日本大学)が抜け出し、さらにコナー・マルタ(オーストラリア、オリヴァーズリアルフード レーシング)が合流して6人の逃げ集団が形成された。一方、逃げを容認したメイン集団はリーダーチームのマトリックスパワータグが先頭に立ってコントロールを開始。レースは6人の逃げとメイン集団という形で落ち着いた。

木村圭佑(シマノレーシングチーム)、パク・サンフン(韓国、LXサイクリングチーム)、山本元喜(キナンサイクリングチーム)、西尾憲人(那須ブラーゼン)、コナー・マルタ(オーストラリア、オリヴァーズリアルフード レーシング)、佐藤健(日本大学)の6人の逃げ集団がJR下野大沢駅前を通過する Photo: Nobumichi KOMORI

 この後しばらくは6人の逃げ集団とマトリックスパワータグがコントロールするメイン集団という展開のままレースは進んでいき、1回目の山岳ポイントは佐藤、木村、マルタの順に通過。3ポイントを加算した木村が山岳賞争いで暫定トップに立った。1回目の山岳ポイントを通過するとメイン集団をコントロールするマトリックスパワータグもペースアップを開始し、逃げ集団とのタイム差も少しずつ縮まり始め、2回目の山岳ポイントを前にその差は20秒ほどにまで縮まった。逃げ集団からは2回目の山岳ポイントでもポイントを加算して山岳賞を確定させたい木村が最後まで粘ったが上り口の手前でキャッチされ、レースは振り出しに戻って2回目の山岳ポイントを迎えた。

メイン集団はマトリックスパワータグがコントロール Photo: Nobumichi KOMORI
4人に人数を減らした逃げ集団が2回目の山岳ポイントへと向かう Photo: Nobumichi KOMORI
2回目の山岳ポイントを前に、メイン集団も前方で入りたいチームがポジションを上げ始める Photo: Nobumichi KOMORI

 上り区間に入ると、山岳賞ポイントを逆転されたアンガス・ライオンズ(オーストラリア、オリヴァーズリアルフード レーシング)が再逆転を狙って単独アタックを仕掛けて先行。この動きに個人総合3位につけるベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、チームサプラ サイクリング)が反応したことで集団はペースアップしてバラバラに。そのまま先頭で山岳ポイントを通過したライオンズを尻目にダイボールは下りに入ってもペースを上げ続け、数秒のリードを奪って独走する展開になった。

ボーナスタイム10秒で一気の逆転

 独走するダイボールに対し、上りでバラバラになった集団から10人の選手が追走グループを形成。クレダー、ロビー・ハッカー(オーストラリア、チームUKYO)、フランシスコ・マンセボとホセビセンテ・トリビオ(ともにスペイン、マトリックスパワータグ)、アウラール、岡、横山航太(シマノレーシングチーム)、パク・サンフン(韓国、LXサイクリングチーム)、アレクセイス・サラモティンス(ラトビア、インタープロサイクリングアカデミー)、オヌル・バルカン(トルコ、サルカノ・サカリヤBBチーム)と個人総合上位選手を多数含む追走集団がダイボールを追うも、ダイボールが単独で最後の中間スプリントポイントを通過。ボーナスタイムを3秒獲得し、レース終盤にして暫定総合トップに立った。

オールイスアルベルト・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ)の番手からインを突いたレイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO)が先頭でフィニッシュへ向かう Photo: Nobumichi KOMORI

 最後の中間スプリントポイントを過ぎると、10人の追走集団が単独で逃げるダイボールをキャッチして先頭は11人に。後続とのタイム差を考えると、勝負はこの11人に絞られることになった。その後、11人の先頭集団の中では大きな動きが見られないまま残り距離を減らしていき、勝負は小集団でのゴールスプリント勝負に。3人と人数を揃えるマトリックスパワータグが隊列を組んでアウラールを引き上げて先頭で発射したが、その番手にきっちり入ったクレダーがアウラールをかわして先頭でフィニッシュ。中間スプリントポイントで獲得した2秒に加えてフィニッシュのボーナスタイム10秒を加算したクレダーが、アウラールを2秒上回って8位からの大逆転で個人総合優勝を決めた。

第3ステージ表彰式。左から2位のオールイスアルベルト・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ)、優勝のレイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO)、3位の岡篤志(宇都宮ブリッツェン) Photo: Nobumichi KOMORI
チーム総合時間はマトリックスパワータグが獲得 Photo: 3rdTdT

 個人総合優勝のクレダーはポイント賞も獲得。山岳賞はこの日2回目の山岳ポイントを先頭で通過したライオンズ、23歳未満の総合リーダーに贈られるホワイトジャージは総合14位でフィニッシュしたライアン・シュルト(オランダ、オリヴァーズリアルフード レーシング)、チーム総合時間はマトリックスパワータグがそれぞれ獲得した。日本人選手の個人総合順位は、岡の4位が最高位だった。

各賞ジャージ選手。左からU23賞ジャージのライアン・シュルト(オランダ、オリヴァーズリアルフード レーシング)、グリーンジャージとポイント賞ジャージのレイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO)、山岳賞ジャージのアンガス・ライオンズ(オーストラリア、オリヴァーズリアルフード レーシング) Photo: 3rdTdT

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